第7話

〈約束の記憶〉

町に来た。相変わらず緑が多い。屋上から植物が生えているなんて、おかしいなぁ。

「あ、あそこに人がいるよ。」

「ホントだ。」

男の子かな。

「こんにちは。」

「お願い!僕の記憶の欠片も探して!」

「え、あ、うん。」


記憶の欠片はどこにあるかな。

「これは…」

男の子が座っていた階段に何かの機械?が落ちていた。文字が書いてある。

『や………げ…ま…う…ついたらはりせ…ぼ…のーます』

文字が足りなくて読めない。

周辺を探すと、何かのパネルが落ちていた。パネルにも文字が書いてある。ひらがな1文字だ。

機械にちょうどいい穴が空いていた。パネルをはめ込んでみる。すると、足りなかった文字が浮かび上がった。

『や………げんまんう…ついたらはりせんぼんのーます』

パネル1枚では足りなかった。穴はあと2つ。


パネルを2枚見つけた。これで全部の文字が浮かび上がるはず。

『やくそくげんまんうそついたらはりせんぼんのーます』

カチッと音がした。裏から鍵が落ちてきた。

「鍵かぁ…。どこで使うのかな?」

「あ、見つけた!」

彼が走って来た。

「これ、見つけたんだけど、鍵が掛かってて。」

彼は箱を渡してきた。鍵を差してみる。

ガチャ。

「開いた!記憶の欠片見っけ!」


記憶の欠片を男の子に渡すと、欠片は消えた。

「思い出した!僕は、『とても大切な約束の記憶』だ!こうしちゃいられない!『あの子』のところに帰らないと!お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがと!」

男の子はまくし立てるように言った後に消えた。

「え……どんな約束だったんだろう?」

「わからない。でも、本当に大切な約束なんだね。」

「……うん。」

約束の内容が分かれば――。


・・・


「僕ね、夢があるんだ。」

「夢?どんな?」

「南十字星を実際に見ること!」

「南十字星?」

「そう!ここからは見えないから、いつか、南半球に見に行く。絶対に。」

「……私も…」

「ん?」

「私も、見てみたい。」

「それじゃあ、一緒に見に行こう。」

「一緒に…?」

「そう!一緒に!」

「うん!約束!」

「え!?あ、うん!約束!」

「「二人で一緒に、南十字星を見に行こう!」」

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