第4話
〈触れ合いの記憶〉
さっきまでいたのは受付という場所らしい。
「ここは…病室?」
「ここにも記憶の欠片があるかもしれないよ。」
「そうだね。」
ベットの上に、男の子が座っていた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「記憶の欠片を探してるの?」
「うん。もしかして」
「探そう。一緒に!」
「うん!」
どこにあるのかな?何かヒントは……あ、そう言えば、記憶の欠片はキラキラしてたから、
「ねぇ、カーテン閉めてくれる?」
「分かった。」
病室が薄暗くなる。
キラキラは…ん?ベットの下にキラキラがある!でも、届かない。
「カーテン開けてくれる?」
「分かった。」
えーっと、何か長いもの…長いもの……あ、これだ!
私は壁に立てかけてあった棒を手に取り、ベットの下に潜らせる。
「ん…あとちょっと……届いた!あとはこれを横にずらして、よし!記憶の欠片見っけ!」
男の子に渡すと記憶の欠片は消えた。
「思い出した!僕は『セラピードッグとの触れ合い』の記憶だ!」
「セラピードッグ?」
「入院してる人と触れ合うワンちゃんだよ。」
「『あの子』もよく触れ合ってたよ。撫でたり、一緒に寝たりして、『彼』と一緒に楽しそうに笑ってた。」
「私もね、沢山ワンちゃんと遊んだの!隣にはいつもね、仲良しの男の子が―――あれ……?」
「…僕、もうそろそろ帰らなきゃ。またね!」
男の子は消えた。
「うん。またね。」
私は、またね、と言えず、考えていた。
「……男の子……?」
途端、頭に痛みが走る。
「痛い!」
違和感があったのに、頭痛で忘れてしまった。
「無理に思い出そうとしなくて良いよ。少しずつ思い出そうよ。」
「……うん。そうだね。」
「一度、あそこに戻ろうか。」
「うん。」
私達は、私が目覚めた場所に向かった。
・・・
「おいで!」
『ワン!』
「よしよし、いい子だね〜。――ちゃんも撫でる?」
「うん!……うわぁ~もふもふだ!可愛い!」
「だよね!」
「安心…するなぁ……スー、スー」
「あ……お休み、――ちゃん。」
少年は、笑顔で少女を見守っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます