第1話

〈笑顔の記憶〉

町にて。

「記憶の欠片ってどこにあるんだろう?」

「色々なところにあるよ。ここらへんにもありそうだね。」

そんな会話の途中だった。

「こんにちは。」

女の子がいた。

「あ、こんにちは。」

私よりも小さくて、多分、年下だと思う。

「あの、私の記憶の欠片が見つからなくて。」

「探してあげようか?」

「良いの!?ありがと!」

私は笑顔の女の子の記憶の欠片を探してみる。彼は、女の子と会話していた。

「ここらへんにあるの?」

「ある気がするの!」

「そう。頑張って探すから、待っててね。」

「うん!」

…ここらへんかぁ……手の届く範囲なら調べてると思うから、上の方かな?……お店のまえの雨宿りできる場所の上に、何かキラキラしたものが乗ってる。手は届きそうにない。

何か道具があればいいんだけど……。あ、お店の入口近くに、……なんだろう?これ。何かのパーツかなぁ。彼に聞いてみよう。

「ねぇ、これってなんのパーツかな?」

「……わからない。」

「私、こんなの持ってるよ!これってなんだろう?」

「貸してくれる?」

「うん!」

組み合わせてみる。…えっと、こうだから、こうして…できた!

パーツを組み合わせると、マジックハンドができた。


これで、キラキラしたものを掴んで……

「取れた!記憶の欠片見っけ!」

記憶の欠片を女の子に見せる。

「あ、記憶の欠片が…」

女の子に当たって、消えた。

「思い出した!私は、『初めてのプレゼントの記憶』だ!」

「プレゼント?」

「そう!小さい、くまさんのお人形さん!『あの子』はとても喜んでいて、ありがとう!ってとびっきりの笑顔で言ったんだよ!」

「そうなんだ。良い思い出だね。」

「うん!お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがと!」

「どういたしまして。」

「『あの子』のところに行かなきゃ!またね!」

そう言うと、笑顔の女の子は消えた。

「…またね。」

私は、気になっていたことを聞いてみる。

「人じゃ、なかった。」

「ここは記憶が集う場所だって言ったよね。あの女の子も、誰かの記憶なんだよ。ただ、人の形をしている…どうしてなのか、わからないけどね。」

「君は人間なの?」

「わからない。僕も欠片が足りないんだ。」

「じゃあ、君の記憶の欠片も探さないとだね!」

「そうだね。」

少年は、優しく微笑みながら言った。


・・・


「わぁ…くまさんだ!」

「欲しいの?」

「うん!欲しい!」

「それじゃあ買ってあげる。――ちゃんの初めてのプレゼント。」

「プレゼント…ありがと!」

「ふふっどういたしまして。」

女の子とその母親は、笑顔だった――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る