記憶をなくした女の子

夜影空

プロローグ

「わぁ…綺麗…あ!あれが春の大三角?じゃあ1番明るいあれがスピカだね!そしてあれが君の言っていた―――星?……あれ?でもここで見られるんだっけ……。それになんだかプラネタリウムでみたものと違う…じゃあここは……どこ……」


・・・


目が覚める。

…あれ…ここは…確か私は星を…!

直後、頭に衝撃が走る。

痛!?……一人で?…誰か、一緒だった気が、痛い……。

「やぁ、気がついたみたいだね。」

私は反射的に振り返る。

「ああ、ごめん!驚かせるつもりじゃ無かったんだよ。」

男の子が立っていた。

「ここはどこ!私は…あれ…私は…誰…」

また頭に激痛がきた。

「無理に思い出そうとしなくて良いよ。ここは失われた記憶が集う場所。ここには記憶の欠片があって、それを見つけると記憶が元の場所に戻る……言葉では説明しづらいから実際に見せたほうが早いね。」

記憶の欠片?記憶が集う?私が混乱している間に彼は小さな箱を取り出した。

「ここに君の記憶の欠片が入ってるよ。開けてごらん。」

「…開けてくれないの?」

「ごめん……僕には、開けれない。」

「そっか。」


箱には鍵が掛かっているみたいだ。箱を観察してみる。側面には何も書かれていない。底面には、点がいくつかあった。

点があるってことは、点同士を繋げればいいのかな?イメージしてみる。……あ…点が繋がって…がチャ、と音がした。

箱を開く。

「開いた…。これが、記憶の欠片…。あ…」

「思い出した?」

「うん。私の名前は、――!そういえば、」

私はもう一度箱の底面を見る。

「この形って、北斗七星?そしてこれが南十字星だね。」

「うん。」

「君も、星が好きなの?」

「うん。」

「私も!」

「話を戻すけど、名前があるってことは君は人間なんだね。」

「うん。でも、全然、思い出せない。」

思い出したのは、名前と、星が好きだっていうことだけだ。

「まだ記憶の欠片が足りないんだ。探しに行こうよ。記憶の欠片を。」

「……うん!」


こうして、少女と少年は記憶の欠片を探しに行くのだった――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る