3 ココロ残り

「じゃあ、もしかして山崎さんは、今でもマボロッシーに会ってるの?」


「ううん。会ってない。今年に入ってから、まだ一度も見たことがないんだ。私もお友だちができて、放課後ブランコに乗ることもなくなっちゃったし……」


「でも、それ、なんか……すごい思い出だなぁ。幻かもしれないから、マボロッシーかぁ……」


「だからこの町を離れることが決まった時、私はマボロッシーに会いたくなったの。マボロッシーに会えるのも、もしかしたらこれで最後になるかもしれないから……」


「最後……」


「でももう時間がない。私は、マボロッシーにもう一度会うことはできなかった。それだけが、私のこの町でのココロ残りだよ」


「運動場に……首長竜……」


「今思うと、もしかしたらあれは、本当に私が頭の中で作った幻なのかもしれない。あの頃の私はお友だちがいなくて、とってもさみしかったんだ。だから自分で幻の首長竜を作って、代わりに仲良くしてたのかも……」


「えっと、今年に入ってから、まだ一度も会えてないんだよね?」


「うん。会えてない」


「じゃあ、山崎さんが引っ越すまでに、ちょっと私の知り合いに相談してみるよ。そういうのにくわしい人がいるんだ」


「え? そんな人、いるの?」


 いやいや、山崎さん。

 いるんだな、これが。

 って言うか、山崎さんも、よく知ってる人だよ。


 放課後の運動場にあらわれる首長竜。

 なんか……めちゃくちゃ興味深い話じゃないですか!

 地面からボヨ~ンって首を伸ばす古代生物とか、サイコーに不思議すぎるっしょ!


 よし!

 さっそく、ロボくんに相談してみよう!

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