3 夕方の公園

 その日の夕方――私は学校を終え、塾に向かって歩いていた。


 ヤだなぁ……学校が終わったら、すぐに塾なんて。

 これじゃあ、一日のほとんどが勉強じゃん。


 私、まだ子どもだよ?

 勉強ばっかしてたら、ココロの健康に良くない!

 ゼッタイ!


 おまけに『今年も』このまほろば町の花火大会は中止……。

 理由は例の感染症かんせんしょうがまた増えてきたから。


 ったく……せっかく夏がやってくるっていうのに、花火も見れないだなんて、一体どういうこと?

 勉強ばっかじゃなくて、たまには、こぉ、パーッと花火くらい見たいよね!


 そんなことを考えながら、私は塾に向かって歩く。

 すると塾の近くにある公園の中に、一人の男の子が立っているのが見えた。


 ん?

 あれ?

 あの後ろ姿、もしかして――ロボくん?


 いや、間違いない。

 あれ、ロボくんだ。


 ロボくんは公園内の広場に、一人で立っていた。

 つえみたいな細長い棒を持って。

 ホウキみたいにそれを動かし、地面に何かを描いている。


 えっと、あの……な、何してるの、ロボくん?

 そんなところに、一人で。

 近づくと、ロボくんの足元になんだか大きな模様のようなものが見えた。


 大きくて、まあるい二重丸にじゅうまる

 その内側に、見たこともない文字やイラスト、数字みたいなものが、めちゃくちゃ細かく描き込まれている。


 ね、ねぇ、ロボくん?

 それ、何?

 なんか意外と……めちゃくちゃ上手いんですけど……。

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