最終話:シーシャの活躍。

「ちょっと待ってね」


そう言うとシーシャはポシエットから、何かを取り出した。

それはハンディタイプで先っぽが丸くて手で持てるようになっていて、なんとなく

アダルトな何かに似ていた。


「なにそれ・・・電動バイブ?」


「そんなモノ持ってるわけないでしょ?・・・でも必要な時は言ってね、いろんな

種類あるから好きなの出してあげるから・・・」


「あ〜その時はね」


僕はシーシャ相手にエロい想像してしまった。


「これね、アフターイメージ・リプロダクション・デバイス「残像再生装置」って

言うの・・・一般的にはARDって言うんだけどね」

「これで窃盗にあったお家の中を照らしたら泥棒さんが家の中を徘徊した残像が

見えるんだよ」


「え?そうなんだ・・・犯人の顔も分かるの?それ」


「分かるよ・・・映し出された残像はデジタル保存できるからPCにデータを

移しちゃって再検証だってできちゃうから・・・」


「本当にそんなことできるなら、それすっげえ便利」


「ね、だから私を現場に連れてって」


「なら、それって僕が持って行って使ったらいいんじゃないの?」


「ダメだよ・・・ワタル魔法使えないでしょ」

「科学と魔法の融合って言ったでしょ」

「このARDは、魔法を使える私しか扱えないの」


ってことで僕はシーシャを連れて窃盗に合った一軒のお宅を訪ねた。

一応事件の操作だってお断りして現場を調べさせてもらった。


シーシャは手に持ったARDで部屋の中を照らした。


そしたら映ったね・・・犯人が・・・いや犯人たちが・・・

泥棒は三人、一通り部屋中を撮影してそれを警察のPCに移して映像を再確認した。

窃盗の痕跡、そして犯人の顔もちゃんと映っていた。

そこですぐに指名手配書が全区域に回った。


映し出された手配画像を参考に一週間も経たないうちにタレ込みや聞き込み、

警察の懸命の捜査によって犯人は確保された。


下手すると迷宮入りしかねた窃盗事件・・・シーシャのおかげで事件解決に

いたった。

だからシーシャには感謝しても仕切れない。


犯人逮捕に協力した功績によってシーシャは警視総監から表彰された。


僕もシーシャに何度もお礼を言って、焼肉を食べに連れて行ってあげた。

女の子は焼肉大好きだからね。


で、派出所の先輩の「五十嵐さん」に言われた。


「おまえの彼女やるな〜って・・・」


いつの間にかシーシャは僕の彼女にされていた。


このさい僕の彼女でお願いしたい。

でも逆に僕はシーシャから焼肉とは別に欲しいものがあるって言われた。


「私のお願いごと聞いてくれる?」


「まあ、僕にしてあげられることなら・・」


「じゃ〜正式に私の彼になって?・・・人間は言葉が欲しいんでしょ」


「まあ、知らない間にそう言う関係になってるよりはね」

「お互い言葉があったほうがロマンチックだろ?」


「私、サキュバスだけど、いんだよね」


「サキュバスの彼女なんてレアじゃないの?」


「ほんと?・・・大好きだよワタル・・・誘惑してもいい?」


「うん・・・いいよでも、いざとなるとドキドキするね」


「それと、またふたりで事件解決してこうね・・・ね、ね、ね〜」

「ね〜ってば!!」


「あはは・・・だね、あれだけの活躍を見せられたらダメとは言えないね」


ちゃんとお互いの意思表示をしたため僕とシーシャは誰はばかることなく恋人同士になった。

だから喧嘩なんかしてシックスナインに帰られたら困る。

だって地球の裏側までなんて迎えに行けないし遠距離恋愛なんてできないもんね。


頼むから里帰りはしないでね。


おしまい。




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サキュバスシーシャ。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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