サキュバスシーシャ。

第5話：サキュバスの気持ち。

さて渉（わたる）が勤務する派出所の近所の一般民家で盗難騒ぎが起こった。

被害にあったのは5軒、全家同じ手口で家の中を物色されてお金や貴金属

などが盗まれた。

当然、犯人逮捕に向けて警察が動きはじめた。

派出所の近所ってことで渉も捜査に参加することになった。

だけど窃盗犯は案外用意周到だったのか防犯カメラにもその姿は写っていなかった。

現場検証でも犯人を特定できるような証拠もでなかった。

警察もお手上げ・・・犯人は浮かび上がらず焦るばかりの日々が続いた。

渉（わたる）の帰りが遅い時はシーシャも母親も心配した。

僕がくたくたになって帰ると、さっそくシーシャからの質問。

「ワタル、最近帰りが遅いけど・・・なにか大きな事件に携わってるの？」

「シーシャには関係ないことだから・・・」

いつの間にかお互い呼び捨てになっていた。

「ブッブー・・・そんなことないから・・・私、心配してるんだよ」

「ワタルをいつ誘惑しちゃおうかって思ってたんだけど、今そんなことしたら

ワタルきっと死んじゃうと思うからね、辛抱してるの」

「それどういう意味？」

「そのままの意味だよ・・・私とワタルもうそう言う関係なんだよ」

「え〜、いつそんな関係になったの？」

「お互い好きだって意思表示したわけでもないのに？」

「ワタルが私を帰さないって言った時から・・・ああ、私は求められてるんだな

って確信したの・・・この人になら好きにされてもいいかなって」

「シーシャってサキュバスなんだよね・・・人間の女性と同じように思ってちゃ

いけないんだ・・・」

「多分、私と一度でもエッチしたら私から一生離れられなくなるから・・・」

「まじで？・・・ちょっとそれは怖いな」

「エッチしながら食べちゃたりしないからね・・・忘れられないような快楽が

体験できちゃうよって言ってるの」

「でも先にワタルが担当してる事件がかたずいてからね」

「そうじゃないと落ち着かないでしょ？」

「で、話してみて？・・・私、なにか役に立てるかもしれないよ？」

「これでも私、魔法使えるしなんて言っても婦警さん志望だから」

「・・・・だけどシーシャを危険に晒（さら）したくないし・・・」

「殺人事件とかじゃなくても窃盗だからって侮れないからね」

「窃盗？・・・相手は泥棒さんなの？」

「泥棒にさんはいらないからね、シーシャ」

「今はね、証拠がまったくなくて、お手上げ状態」

「昼間の検問や夜の近所の聞き込みもしてるんだど手がかりなしなんだ」

「大丈夫、泥棒さん見つけ出してみせるから・・・」

「私は直接泥棒さんとは接触しないからね・・・犯人の痕跡を辿るだけだから」

「証拠が見つかったらワタルたちが犯人逮捕しちゃえばいいんだよ」

「だから私をどなたかの窃盗現場に連れて行ってくれない？」

「なにしようっての？」

「魔法と科学の融合だよワタル」

「きっと泥棒さん、見つけられるよ・・・」

「まじで？・・・どうやって？」

「ちょっと待ってね」

そう言うとシーシャはポシエットから、何かを取り出した。

それはハンディタイプで先っぽが丸くて手で持てるようになっていて、なんとなく

アダルトな何かに似ていた。

つづくのかも。