最終話
――帰り道――
翌日の夕方、私とカミールは、
セドリックは、部隊と共に村に残り、
日は、
私とカミールには、小さくはあるが、村の人が手配してくれた箱馬車が用意されていた。それは、村人達からの感謝の
私は、その箱馬車の中で
カミールも私の対面に座り、横を向いている。
「どうして、貴女は、私達の元を去ろうとしたのです?」
「急にどうして?」
私は、直球の質問に少しだけ
しかし、カミールの目は、
私は、そんな彼を見て、正直に答える事にした。
「私がこの世界の人間じゃない事は、伝えた通り」
「ええ」
「だから、当たり前と言えばそれまでなのだけど、貴方達が皆、アーサーさんの事を見ている気がしたの。その……、私ではなくて……」
「それはつまり――」
「私も
「…………」
「
私の
「だって、
涙も止まる気配がない。
私は、カミールに感情をぶつけてしまっている。でも、どうする事も出来ない。
「だから――、だから、思ったの。こんな事なら、こんな事なら、全くしらない土地に行った方が良いのかなって。
私は、
カミールだって、アーサーさんを失って傷付いているはずなのだ。なのに、私は――。
「申し訳ありませんでした」
その時、私は、強く
「私は……、私は、自分の事ばかりで、孤独な貴女を
「貴方が
私は、カミールに、これ以上泣き顔を見られないよう、彼の胸に顔を
「そうだったとしてもです」
カミールは、そう言って私の肩を
その時の彼の瞳は、
「これからは、私が貴女の真の従者になります。盾となり、剣となり、貴女をお
「ですから?」
「二度と私の元を去らないで下さい。お願いです」
「なら、もう二度と、私を
彼は、力強く
*
私は、この日の事を思い出すと、しばしば、その
でも、
――アーサーの屋敷――
翌朝、私は、再び屋敷に戻って来た。
「お帰りなさいませ」
久しぶりの我が家で私が見た光景は、屋敷の前で一列に並んで頭を下げている使用人達の姿だった。
中央にいる執事の名は、セバスチャン。執事としていかにもな名前である彼が、両サイドに六人のメイドを
カミールの他に執事がいる。私は、従者と執事の役割の違いをこれ以降に知った。
そして、この時、私は彼らが新たな
でも、それは、また別のお話……。
桜色の王子と空色の従者 善江隆仁 @luckybay
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます