第16話 ステータス

 領主になって早くも一年が過ぎた。俺とミシミは21才、レティスも3才になった。


 この一年はひたすら領内のまつりごとばかりに関わってきた。領民からなるべく不満のないよう税を集め、一定額を国に納めた残りを領民の生活のために活用する。言うのは簡単だが、やってみると本当に難しい。

 ミシミやエラムと禿げそうになるくらい頭を悩ませ、レティシアに助言を求め、ラジェルからもたらされる情報に一喜一憂しながら、毎日必死で書類と格闘していた。

 おかげでこの一年はあまり剣を握っていない。当然レベルも全く上がっていない、レベル19のままだ。


 ちなみに俺の現在のステータスはこんな感じ。



【名前】 オーラン・ヴァン・ミルトン


【レベル】19


【魔力量】57


【力】32

【生命力】38

【器用さ】45

【敏捷性】55

【知力】38

【精神力】52


【土の権能】熟練度5 『石礫』 『石弾』 『土壁』 『石槍』

【力の権能】熟練度4 『腕力上昇』 『脚力上昇』 『鋼身体』


【剣術】熟練度5

【体術】熟練度3



 他人に見せたことはないけど、レベル19でこの数値は自分でも結構凄いと思っているんだよね。

【力】【生命力】【器用さ】【敏捷性】【知力】【精神力】はレベル20で平均40あれば順調と言われているので、【敏捷性】や【精神力】はかなり良い感じだろう。

【力】だけが極端に低いのは、男として少し情けないと感じているところだ。



 レティスに誕生日プレゼントとして欲しいものを聞いたら、去年と同じく「剣と魔法の修行がしたい」と言われた。

 まだ早いと思うけどなーって言ったのだど、ミシミとエラムから早めに教えておいた方が良いと反対されたので渋々認めた。


 だがここで一つ問題が浮上する。レティスが勇者だと知っている者、もしくは勇者だと知られても良いと信頼できる者にしか、剣や魔法を教えさせることはできない。

 レティスが普通じゃないことぐらい、教えていれば当然気づくからね。


 さらに言うと魔法を教えるには、実際に目の前でその魔法を使って見せるのが一番効率が良い。

 魔法はイメージだ。頭の中でその魔法を使った際の明確なイメージがないと、威力が弱かったり相手に当たらなかったりする。


 レティスの使える権能は【火】【風】【光】【力】【覚】。【土】と【力】の権能を持っている俺がレティスに教えられるのは【力】の身体強化魔法のみ。

 しかも身体強化魔法は、使うと身体への負担が大きいため、今のレティスには危険すぎる。つまり俺は役立たずだ。

 ミシミも【守】の権能だけなので、教えることはできない。

【風】の権能を持っているラジェルなら風魔法だけは教えられるが、「人に教えるなんて柄じゃない」とラジェルが嫌がった。

 結果、魔法の修行は一旦保留になった。


 剣の修行に関しては俺には無理。だって木剣とはいえ、レティスの身体に当てるなんて俺にはできない。厳しく教えられるわけがない。

 なにより俺はちゃんとした剣術を学んできてない。完全に我流の剣なのだ。基本から学ぶなら、ちゃんとした流派の剣術を収めている者に教えさせるべきだろう。


 口が堅く信頼できる人物で、しかもちゃんとした流派を修めている腕利きの剣士。なかなか条件は難しい厳しい。とりあえず領内にはいなかったので、近々王都に行って探すつもりでいる。


 娘の希望を完璧に叶えてこそ、尊敬される父親になれるってもんよ。

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勇者の父親は寿命が短い~家族を守りたいなら強くなれと言われた俺は最強を目指す~ 一ノ瀬 六葉 @ichinose0608

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