スチームタウン起眞にて【コラボ前編 観夢ちゃん&ユミーさん】
+翔side+
「みーちゃん、藍ちゃんどこにおんのー!?」
「藍、みー……?どこぉ……?」
そう。二人が迷子になってしもうた。
しっかりものの翠ちゃんも泣きそうやんか。
尖晶、どうすんねん……
「藍も、みーも言いつけはちゃんと守る偉い子だ。
『はぐれたら浜南神社の大鳥居にいること』は覚えてるはず。そこで待とう」
*
ピリッ、モグモグモグ……
小さいチョコレートの袋を一つ、また一つ開けて口へいれる。
「お〜きなあっかーい鳥居はどこだろね〜♬
あれぇ?ここどこだろ〜?」
もしかしてみー、迷子になっちゃった…?
みーの周りは人でいっぱい。あの人めっちゃチョコレート見てるし……
ちょっと怖くなってきちゃったなぁ。
あ、でも優しそうな女の子連れて——
「せんしょーさまぁ……ぅあ!?」
バタッ
「あっ、あぁ……。ちょこれいと……散らばっちゃった……」
タッタッタタッ、スッ……
「このチョコ貰うぜ〜」
「みーのちょこれいと見てた人だぁ。」
「は?おめぇ、何いってんだ?」
このお兄ちゃん怖いかも……。
「巡査!小さな子にはやさしくしないとですよ!」
「いいよぉ、あげる……」
女の子やっぱり優しいなぁ。
あ、
「あ!大きな赤い鳥居に連れてって!!
そしたらチョコレートあげるから!」
「まいご…ですかね?巡査!まいごを送り届けるのは警察官のおしごとですよ!」
「ッたく…これだから餓鬼は嫌いなんだ…!!
行くぞ。」
*
「ぅう……。せんしょーさまぁ。どこぉ……」
私が機械に見惚れてたからからだぁ。
怖いよ、ここどこぉ。
あっ、『はぐれたら浜南神社の大鳥居にいること』。
でも、人で見えない、分かんない……
「いやだぁ、せんしょーさまに会いたいぃ…」
こんな端っこで座ってたって誰か気づくはずないのに。
「どうしたんですか?」
「……」
「あちゃぁー、迷子ですかね……。」
「あの。お、お姉さん、浜南神社、の大鳥居分かる……?
連れ、って、欲しい。です……」
お願い。言霊、使いたくない。
「そこで待ち合わせしてるんですか?」
「……うん。尖晶様と。」
「わかりましたよ〜、だから泣かないでくださいね〜」
「ありがとう、お姉さん。」
#
あぁ、あの子達大丈夫だろうか……
建前は翠と翔を落ち着かせるためにあんなこと言ったが、ちゃんとここに来るよな?
鳥居を背にひたすら待つことしかできない。
「藍とみー、まだ来ない??」
「なぁ、探しに行った方がええんちゃうか?」
この鳥居は隠り世の住人が踏み入れば直ぐ隠り世に繋がる仕組みだし、外界の者が入るには神社に紛れた隠り世のものに触れたり、興味を持たなくてはならない。
だからほとんど迷いこまない。
まあ、翔は祭りで灯籠に灯っていた狐火の写真を撮ってしまったようだが。
最近は「いんすた」というものが流行ってきたためか、本当に彷徨子が多い。
「……せん、さまぁー!!」
早くこの鳥居の通路を封じなければ……
僕にはまだ妖力が足りない。
早く立派な九尾にならなくては。
「せんしょーさまああぁぁぁぁ!!!!!」
「「「みー!!!!」」」
良かったぁ。飛びついてきたので思いっきり抱きしめる。
「……せんしょーざまぁ。会えだぁぁぁ……」
藍も号泣しているが合流できた。
「二人共、1人で来たのか?」
「チョコのお兄ちゃんが!!」「お、お姉さんが…」
「ったく…餓鬼が…」
「初めまして〜」
そこにいたのはいかにも優しそうな女性と、
小さな女の子を連れた、いかにも不服そうな男性……
「翔、三人を連れて先に宿へ行ってくれ」
「ええで。ほら、三人ともいこか」
「藍とみーをありがとうございました。僕は尖晶と申します。
隠り世で遊郭を経営してまして、お礼をさせていただきたいのですがっ――」
その瞬間に後ろから思いっきり引っ張られた。
「大丈夫ですかっ!?」
「おいっ、お前!?」
――何に?
鳥居から伸びた生気のない真っ白い無数の手に。
二人が僕の手を掴んで止めようとしても無駄だった。
そのままなすすべもなく三人とも鳥居の中に引きずり込まれたのだった。
妖華し ゆ〜 @WGS所属 @MainitiNichiyo-bi
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