我が唯一つの望みに
いよいよ今日と決めて、わたしはユニコーンをこっそり連れ出した。
妻の膝の上だけでなく、我が家の安物のカーペットの上でもいつも静かに体を横たえていたこいつが、そんな芸を仕込まれていることがただただ不思議でならない。
もし不安なら……と、わたしは業者から強壮剤をもらっていて、昨夜、こいつの餌に交ぜておくことも忘れなかった。
やつの細い首はわたしを軽々と持ち上げ、一振りで草の上に投げ飛ばした。
左胸が血に塗れたわたしは、他人から見たらナイフか射創か──といったところなのだろうが、妻がそれではないと証言してくれるだろう。
最後に頬に触れた草はチクチクしていたが、わたしはそれでもあいつの純白の毛並みにくっついているみたいに気持ちがよかった。
ユニコーンがわたしに寄り添う 崇期 @suuki-shu
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