草ひばり 🦗

上月くるを

草ひばり 🦗



秋暁や子の絵をさがす夢を見て

明け星にひと夜の恋や草ひばり


朝顔やフル稼働せるジャム工場

犬小屋は取りはらはれて葉鶏頭


海猫帰る博労町の一丁目

啄木鳥や標高二千森閑と


町と呼ぶまちにもあらず石叩

店の猫つぐらに眠る秋日ざし


八千草や影とも見えぬ雲の影

内耳には秘密の器官胡桃の実


高く咲く金木犀は星の宿

残菊や東と西の分去れに


秋草や捨て来し社屋見に行こか

出張に倦みし半生ほうせんくわ


ぎゆうぎゆうの野鳥の夜会黒葡萄

その場所を立ち去りかねて秋螢


九年母や子恋の種をこぼしけり

とこしへに母は子を待つ棗の実


草原の大樹指揮する星月夜

馬追やきよほうへんも打止めに




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