お兄ちゃんと呼んで、懐いてくれている従妹との平凡な一日

夜宵恵

お兄ちゃん!! 朝ですよ!! 起きて下さい!!

 SE:ダンダンダン(誰かが階段を上がる音〕

 SE:ガチャ!!(勢い良く扉が開く音〕


「お兄ちゃん!! 朝ですよ!! 起きて下さい!!」


 SE:カーテンを開ける音


 SE//兄の体を揺らしながら


「ほら。お兄ちゃん起きて下さい。いつまで寝ているんですか!!」


 SE//兄の体を揺らす速度を速める


「ねってば、起きて下さいお兄ちゃん。おーきーて」


 SE//揺らすのを辞めて、兄から離れる


「・・・全然起きないですね~・・・こうなったら仕方ないです!!

 あれをしちゃいますからね!!」


「これもお兄ちゃんが起きないのが悪いんです」


「そーれ!!」


 SE//兄の体に勢い良く乗っかる


「おはようございます。やっと起きましたね。お兄ちゃんのお寝坊さん」


 SE不満そうな声で


「何ですか? その不満そうな顔は・・・」


 SE不思議そうな声で


「えっ? 「今日は休日だろって?」 何を言っているんですか? お兄ちゃん。

確かに今日は休日で、私は学校休みですけど、お兄ちゃんは学校があるじゃないですか」


「お兄ちゃん。昨日、自分で言っていましたよね?「明日、休日なのに普通に学校があるから面倒くさい」って」


 SE呆れた声で


「もしかして自分で言っていたのに忘れていたんですか・・・」


「まったく、お兄ちゃんは・・・私が起こしに来なかったら学校に遅刻していましたよ」


「ほら、分かったのなら早く学校に行く支度してください」


「早く支度しないと朝ご飯を食べる時間が無くなっちゃいますよ」


「えっ? 何ですか・・・「起きるのが面倒くさいから起きたくない」って・・・なにを子供みたいな事を言ってるんですか、お兄ちゃん・・・」



 SEボソッと小声で


「まったく、仕方ないですね。お兄ちゃんは・・・」


 SE//兄の耳元に近づき囁くように


「ねぇ、お兄ちゃん。そんなに起きるのが嫌なら、このまま、私と一緒に二度寝をして、学校をサボってしまいませんか?」


SE//耳元から離れて兄の顔を目を合わせながら見る


「何ですか~お兄ちゃん。そうな驚いた顔をして・・・私が学校をサボる提案したことがそんなに不思議ですか」


「ふふ、確かに普段の私なら、絶対にこんな提案はしません・・・それどころか強引にでもお兄ちゃんを叩き起こしてお説教をします」


「・・・ですが・・・」


SE//兄の首元に抱きつき、左耳に囁くように


「・・・今日だけは私もお兄ちゃんと一緒に一日、過ごしたいと思っていたので、今回だけ、特別に学校をサボるのを許そうと思います」


SEボソッと小声で


「それに、お兄ちゃんと一緒に居れる時間が減ってしまうのは嫌だったし・・・」


SE//兄の首元から抱き着くのを辞めて、右側に横になり、兄がいる方向へ顔を向ける

SE:ぞもぞと右側に移動する音


「ふふ、やっぱり、お兄ちゃんの隣は安心します」


「はい、とても安心します・・・」


「何ですか・・・お兄ちゃん」


「はい? 「何かあったのか?」・・・」


「何故、そんなことを聞くんですか?」


「はい?「明らかに普段の私と様子がおかしいから」ですか?」


SE//戸惑った表情を浮かべながら諦めた様な声で


「ふふ、バレていましたか・・・」


「やはり、お兄ちゃんには隠しごとをすり事は出来ませんね」


「誰にも、特にお兄ちゃんには心配を掛けたく無かったので・・・」


「・・・それでも、お兄ちゃんには分かってしまうんですね」


「いえ、私が分かりやすかっただけでしょうか・・・」


SE//兄の胸に顔を埋める


「・・・あの・・・お兄ちゃん・・・別に何かあった訳では無いんです」


「ただ・・・その・・・昨晩、お母さんとお父さんの夢を見てしまって・・・それで・・・寂しくなってしまったというか・・・」


「それで、お兄ちゃんに少し甘えたくなったというか・・・」


SE:兄が天の頭を優しく撫でる音


「・・・お兄ちゃん・・・」


「・・・ありがとうございます・・・お兄ちゃん。いつも私の寂しさを埋めてくれて・・・」


「私はお兄ちゃんの、その優しさに、いつも助けられてばっかです」


//数分の沈黙後


「あの・・・お兄ちゃん。 さっきは「一緒に二度寝して学校をサボってしまいますか?」って言いましたが、本当に良いんですか?」


「お兄ちゃんは、根は真面目ですから本当は学校に行く気でしたよね?」


「まだ、今の時間なら間に合いますよ?」


「えっ? 「今日は学校休むって決めたから良いよ」って・・・」


「それに、今日は一日ずっと一緒に居てくれるんですか!!」


「・・・お兄ちゃんと一緒に一日ずっと居れるなんて、嬉しいです」


SE//安心した声で


「・・・お兄ちゃんが今日一日、ずっと一緒に居てくれると分かって安心しました」


「・・・実は私、不安だったんです。お母さんとお父さんの夢を見てからずっと・・・」


SE//少し震え声のように


「お兄ちゃんも何処かにいってしまうんじゃ無いかって・・・」


「頭では分かってるんです。お兄ちゃんは何処にも行かない。私の所に帰ってきてくれるって・・・分かっては要るんです・・・」


「でも・・・お母さんとお父さんの事を思い出すと、どうしても・・・」


//兄は頭を撫でるのを辞めて、天の事を優しく抱きしめる


「・・・お兄ちゃん・・・」


SE//涙声で優しく


「・・・はい・・・はい・・・お兄ちゃん・・・ありがとう・・・ありがとうございます・・・」


//数分経過後


SE//少し恥ずかしそうなっ声で


「・・・あの、お兄ちゃん・・・このまま抱きしめてもらったままで居ても良いですか?・・・」


「お兄ちゃんに抱きしめられていると不安な気持ちが無くなるので・・・」


「ありがとうございます」


SE//心から安心しきった声で


「お兄ちゃんの腕の中、暖かくて安心します」


「ずっと、このままお兄ちゃんの腕の中に居たいです」


SE//少しずつ声は小さくなって行くように


「お兄ちゃん・・・今日は、朝から迷惑を掛けて、ごめ・・・ん・・な・・さい・・・」


SE//寝息

「スゥ~スゥ~スゥ~」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お兄ちゃんと呼んで、懐いてくれている従妹との平凡な一日 夜宵恵 @yayoikei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画