主人公は役者を目指している男性だ。男性には愛おしい彼女がいた。彼女は主人公の夢を応援してくれる存在であるはずだった。しかしある日、彼女は欄干に体を預けて言った。主人公の言葉はセリフのようであり、本当の言葉ではない。そして、役者の夢を諦めて自分と付き合い続けるのか、自分が死んでも役者を続けるのか選ぶように言う。
彼女の命はもちろん大事だった。しかし役者を止めることは主人公にとって自死を意味した。どちらを選んでも、どちらかが死ぬ。
自分の命か、最愛の彼女の命か。
果たして、主人公の選択は?
主人公と彼女の関係性を中心としていながら、主人公の心の機微を丁寧に、そして丹念に描き切った素晴らしい純文学作品でした。地の文が会話文よりも多いのですが、表現力の豊かさに惹きつけられ、全く重くなっておらず、読みやすかったです。
是非、御一読下さい。