第15話 新たな始まり
電力が復旧し、都市の明かりが再び灯ったことで、夜の闇が少しずつ引いていった。廃工場での激しい戦いが終わりを告げた今、捜査班のメンバーたちは、互いの顔を見つめ合い、無言の中で深い安堵を感じていた。しかし、彼らが背負ったものは重く、決して忘れることはできないだろう。
西川真理は、ようやく動かなくなった菅原義隆の遺体に目をやり、静かにその場を離れた。彼女の胸の中には、これまでの出来事が渦巻いていた。菅原が信じていた未来――それは、彼がかつて築き上げた通信企業での栄光と、そこからの転落に起因していた。その野望が、今回の事件を引き起こしたのだ。
「彼は、ただ自分の理想に囚われていただけだったのかもしれない。」西川は自分に言い聞かせるように呟いた。しかし、その理想のためにどれだけ多くの命が犠牲になったかを思い、彼女の心は重く沈んだ。
志摩と伊吹もまた、菅原の最後の言葉に胸を締め付けられていた。「私の信じた未来は、きっと誰かが引き継ぐだろう」という言葉は、彼らにとっても避けては通れない問いかけとなった。果たして、自分たちが守ってきたものは正しいものだったのか――その答えを探すには、まだ時間がかかるだろう。
「これからどうする?」伊吹が志摩に尋ねた。
「まずは、これを終わらせる。それからだ。」志摩は静かに答え、捜査班全体を見渡した。
その時、西川の無線が鳴り、奈緒美の声が響いた。「西川さん、システムは完全に復旧しました。都市の安全は確保されました。」
「ありがとう、奈緒美さん。あなたのサポートがなければ、私たちはここまで来られなかった。」西川は感謝の気持ちを込めて言った。
「これで全てが終わったわけじゃない。でも、少なくとも一つの戦いは勝ち取った。」奈緒美もまた、安堵と共に次の課題に目を向ける覚悟を決めていた。
【完結】配送されたのは商品ではなく、都市を震撼させる恐怖だった。物流システムの最終段階に潜む謎と陰謀――24時間のタイムリミットが迫る中、社会全体を巻き込むスリリングなサスペンス・アクション! 湊 マチ @minatomachi
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