第6話 大団円

「大日本帝国の崩壊というものが、世界情勢の青写真を狂わせたのだ」

 ということになると、今の日本の

「アメリカの属国化」

 ということは、大日本帝国において、

「国家を憂いて死んでいった人たち」

 からすれば、

「許すまじ国家体制」

 であった。

 だから、欧米側は、急いで日本を民主化し、最初の青写真を、最高国家機密ということで、そんな話題が出ないように、たくらんだのだ。

 当然、プロパガンダ政策も行ったであろうが、そうもうまくいかない。こうなると、国家自体、そして、民主主義陣営の世界に、

「かつての青写真を完全に葬り去る」

 という必要があるだろう。

 それを行うには、まず、

「日本政府、国民」

 を、洗脳する必要がある。

 もし、その時の世界大戦の青写真が漏れて困るのは、アメリカだったからだ。

 だから、日本の民主化は最低限の問題であり、そのための大義名分として、日本人の洗脳が必要だった。

 そのために、サナトリウムが、精神疾患の人を治すという名目で、しかも、その精神疾患が、

「伝染病だ」

 といってしまうと、うかつに他から入ってこれない。

 特に占領という事情であれば、少々のことは許されるということで、本来であれば、真っ先に潰されるはずの、

「天皇制が維持される」

 ということになるのだ。

 考えてみれば、日本は無条件降伏したのだ。

 いくら、日本という国が、

「天皇制によって、何千年と統治されてきた」

 という事実があることで、

「むやみに禁止もできない」

 ということを逆手に取ったのだった。

 そうやって考えると、

「日本という国は、その考え方の限界と目される境界線に、ちょっとした刺激を与えることで、すぐに、軍国主義に戻ってしまう」

 という考えがあった。

 そのため、

「日本がかつて、侵略を重ねることで、国家を大きくしていった」

 という、

「軍国主義」

 を徹底的に否定することで、日本をいずれ、属国にして、アメリカが自由に行動できるための、一つの体制づくりということで、

「アメリカが、その虚栄の中で自由に動ける」

 ということを考えたのかも知れない。

 そのための、虚栄を作るために利用されたのが、

「日本」

 という国で、

「アメリカの国家体制において、その同盟国として、戦争放棄を行った、かつての軍事大国であった日本を、属国にまでした」

 ということで、アメリカの各国に対する権威が、強大になっているということであった。

 それを考えると、日本人には、

「最初から、自由主義だった」

 かのように思わせ、しかも、意識の中に、

「自分たちがかつて、軍国主義であったということをも、残しておく必要があった」

 ということである。

 そのために、日本人の頭の中にひそかにマイクロチップを埋め込み、いずれは、当時生き残った人間すべてを、洗脳するという大胆な作戦を練っていた世界であった。

 もちろん、

「これが今の時代の今の社会に君臨している考え方だ」

 というのは、あまりにも、難しい発想であろうが、そんなことを考えていると、

「サナトリウムというものが、いまだにたくさん残っている」

 というのも分かるというものだ。

 ただ、なぜか、サナトリウムというのは、その場所が決まった環境なのだ。

 大きな湖畔を取り囲む、さらに大きな森があり、湖畔にたたずむように建っている、サナトリウム」

 というところには、いつも、カビ臭さちは別に、何かしらの匂いがする。

 その臭いは、明らかな洗脳に近いものであるが、その臭いというのも、

「まったく同じ作用がある」

 ということで、

「臭いが一緒なのか?」

 ということは分からないが、その臭いを嗅いだ人間は、

「まったく同じ臭い」

 という感覚以外にはないのだ。

 それが、洗脳効果というものであり。

「同じ臭いだと思わせないところに、このサナトリウムでの研究成果というものがあるのだ」

 ということであった。

 サナトリウムにおける日本人への洗脳ということで、マイクロチップが埋め込まれるという発想、実は、日本では、その頃の小説の中には存在していた。

「本来なら、国家機密だったはずなのに」

 と言われるが、これはわざと発行されたものだった。

 というよりも、

「敵を欺くにはまず味方から」

 ということで、隠れ蓑に包まれる形で、あたかも、デマではないかと思わせておいて、実は事実だったという形の、

「木を隠すには。森の中」

 という発想を考えていたのであった。

 ただ、これは、

「一つのウソを隠すのにには、九十九の真実の中に隠せばいい」

 と言われる。

 それも、九十九というのは、

「事実ではなく。真実なのだ」

 ということである。

「事実というのは、一つしかないが、真実というのは、複数ある」

 といってもいい、

「事実を時系列で組み立てていって、立体的に見える一つの流れを、真実というのであれば、真実は一つである必要はない」

 といえるだろう。

 しかし、

「真実が立体的になってきて、しかも、時系列が含まれるとなると、そこには、四次元という発想が生まれてくる」

 ということを考えると、

「真実は、パラレルワールドによって作られているものではないか?」

 と考えられる。

 この発想を利用して、日本人を洗脳しようと考えたのが、アメリカという国の、最高機密として君臨している組織であった。

 この組織は、大統領ですら、知らない。

 もちろん、それが事実かどうか分からない中で、

「真実味を帯びている」

 ということで、パラレルワールドというものが提唱される前から、言われていたことだったといってもいいだろう。

「アメリカという国も、自由と平等が叫ばれ、それが共有できないということが分かっていることで、

「真実と事実というのも、同じような関係ではないか?」

 とウスウスながら分かっているようであった。

 実際に、今は、一人の人間に、その事実と真実をはじめとした、

「日本人をいずれは植民地に」

 ということでの

「パラレルワールド」

 というものを、いかに操って、いずれ国家のためになるか?

 ということで、その事実を誰にも悟られないまま、いずれ、成長した頭の中から抜かれることで、

「アメリカの日本を植民地化する」

 という計画の半分は達成したといってもいいだろう。

 日本という国が、敗戦したことで、日本政府の、もちろん要人は、

「分かっていても、抗うことはできない」

 という、チップを埋め込まれている。

 そう、人間は、チップによってコントロールされ、

「どこまで行っても、逃れることのできない世界」

 というものを、かすみは、今、それを夢ということで見ているに違いない。

 そんな世の中において巻き起こっているパラレルワールド、そこには、別の世界どころか、それぞれにしかいない人間も存在していることだろう。

 その世界には、

「アメリカを支配しようとたくらんでいる、こちらの世界にはないという、別の世界の、新しい文化の国が君臨していて、別のマイクロチップをアメリカ人に埋め込んでいることであろう……。


                 (  完  )

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パラレル国家の真実 森本 晃次 @kakku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ