帰りのバスでの会話

合宿が終わり、東京へ戻るためのバスが動き始めた。窓の外には、夏の緑が目に映る。冬と稲はバスの中で隣り合わせに座り、穏やかな表情をしていた。


冬はバスの座席に深く腰をかけ、ふと稲に顔を向けた。


「ねえ、稲。昨日の特別講義、どうだったと思う?」


稲は少し考える素振りを見せ、ゆっくりと答えた。


「うん、まぁ、あの場にいた人たちにとっては新しい視点を与えられたんじゃないかな。特に、冬のアプローチは本当に新鮮だったと思うよ。」


冬は少し照れたように笑った。


「ありがとう。でも、正直なところ、私自身はまだ完璧じゃないと思う。複雑な問題の簡略化はできたけど、もっと深く掘り下げる必要があるなって感じた。」


稲は頷きながら、優しい目で冬を見た。


「それはお互い様だよ。私ももっと精度を上げなきゃいけないし。でも、今回の合宿で新しい発見がたくさんあった。冬の視点を取り入れたことで、私の考え方も少し変わったよ。」


冬は驚いたように目を見開いた。


「本当に?稲がそう言ってくれるなんて、ちょっと意外かも。」


稲は微笑みながら、バスの窓の外を見つめた。


「まあね。でも、正直なところ、問題を解くための方法は一つじゃないってことを改めて感じたんだ。これからもお互いに学び合っていけるといいな。」


冬は満足そうに頷き、バスの揺れに身を委ねた。


「そうだね。これからも頑張ろう。」


二人は静かにバスの中で揺られながら、それぞれの考えを胸にしまい込んでいた。バスは東京に向かい、彼女らを新たな日常へと連れ戻していくのだった。






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数式の彼女 紙の妖精さん @paperfairy

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