第8話


夏海の場合4


短い時間が過ぎ、雅史がなかなか私の上から退かないので、私は雅史を促し、自分の股間からグロテスクな物を抜かせる。


避妊具はちゃんと付けられていたみたいで、ちゃんと液体が溜まっていた。

私は少し安心して、


「じゃあ、これで私とあなたは単なる幼馴染だからね。」


そう言って、私は身支度をする。

身体を洗いたかったけど、これ以上、雅史に裸を見られたくなかった私は逃げるように部屋を出ようとしていた。


そして部屋を出る前に雅史は、こちらを見て、


「俺達はこれで元の幼馴染だな。」 


そう言って、私を見た。


その目にはあの時、見た嫉妬や欲望はなく、なんの魅力もないガラス玉のような目だった。


「えぇ。単なる幼馴染よ。」


私は雅史にそう告げて、部屋を出る。もう雅史にはなんの魅力も感じない。

後は翔太に告白するだけだ。


私達は高校を卒業して、私と翔太は同じ大学、雅史は親の家業の手伝いと進路が別れた。


だけど、しばらくは雅史とは幼馴染としての関係を続けなくてはならない。


急に雅史と付き合いをなくして、翔太にあの時の事を勘付かれてはならない。


私は大学では翔太と一緒に行動して、他の女を寄せ付けないために、カップルみたいに振る舞った。ある時は、私は大学の友人を使って翔太が私の事をどう思っているかを探ってもらった。


やはり、翔太は私と雅史が付き合っていると思っているらしい。

どうやら、高校時代に私と雅史が腕を組んで歩いているのを見たみたいだ。


クソッ、私はなんてバカなんだろう。あの雅史の目を見て、手も繋がないなんて言っていたのに、腕を組んでしまった。


過去に戻られるなら、自分を引っ張ってでも阻止してやったのに!


私は引き続き、翔太と2人で行動しながら、雅史との仲を少しづつ、何でもないように見られるようにしていった。


そして大学2年の時、私は翔太に告白した。

結果は散々だった。


まだ翔太は私と雅史が付き合っていると思っていたみたいだった。


私は雅史に久しぶりに電話をかける。


「翔太はまだ、私とあなたが付き合っていると思っている。これからは連絡も取らないようにするから。あなたも何でも良いから気になっている人でもいるって翔太に言ってくれない?私は翔太と付き合いたいの。もう、私と翔太の中に入りこまないで、お願いだから・・・。」


自分の都合の良い願いを雅史は黙って聞いている。


そして、


「分かった。翔太には店にきた人で気になる人がいると言うよ。だから、そんなに苦しむな。」


雅史は寂しそうに笑い。


「俺はお前が泣く姿を見たくない。」


だから、もう泣くな。

雅史が消えそうな声で呟く。


雅史との電話を切り、私は少し放心状態になり、過去の行為を悔やむ。


私はそれからは翔太とだけで遊ぶようにして、積極的にボディタッチもするようになった。

最初の頃は翔太も嫌がったり、恥ずかしがって離れるようにしていたけど、段々と受け入れるようになってくれた。


雅史からも、翔太に気になる女性がいると伝えて、私とは昔から付き合ってはいないと伝えたと短いメールがきた。


私は大学では同性の友人を多く作るようにした。

男と一緒にいると翔太に変に気を使われると思ったからなのと、友人の私が翔太を好きだと知っていると翔太に告白なんてしないようになると思ったからで、翔太に近づく女は片っ端から友達になった。


女性の友人が多くなると、彼氏と上手く付き合う方法なんかも教えてくれるようになり、


「エッチの時、彼のアレの大きさを昔の彼と比較して言ったらケンカになった。」


とか、


「男はエッチな動画とかマンガで性行為を勉強する人が多いから、乱暴に触ってくることが多いから、痛かったら我慢せずに痛いと言う、」


とか、


「男は1回させると、偉そうになるから焦らした方が良い」


などの経験からくる情報を教えてもらえた。



それから、私は雅史とは連絡を取らず、異性は翔太とだけ遊ぶようにして、大学生活を過ごし、翔太とお互いの就職が決まった時、2人きりで細やかな飲み会をした帰り道、終電もなくなって、どこかに泊まるしかないようにして、私はお酒の力を借りて、再び、翔太に告白をした。


翔太は恥ずかしがりながらも、私の告白を受け入れてくれた。

私は嬉しさに思わず、翔太に抱きついて、キスをしてしまった。


もう私は翔太への思いを止めなくても良いんだと思うと、翔太をホテルに誘う。

女友達から聞いていたし、1回入っているから、ホテルの入り方はある程度、分かっているし、避妊具の使い方は悔しいけど、雅史との時にちゃんと調べたから上手く付けられる。


翔太に変に勘付かれないようにしながらも、「分からない」や「恥ずかしい」を言っていると翔太の気持ちが覚めてしまうかもしれないので、口では、

「どうなんだろ?」とか「こうじゃない?」なんて言いながらもある程度、手早く行動した。


そして、いよいよその時になって翔太を受け入れたら、雅史とは比べものにならないくらいに幸せな気持ちになった。


終わった後、翔太は雅史と違って、私を気遣うように、痛くなかった?と聞いてくれたので、私は、


「女の子が全員、初めてだからって血が出て、痛がるわけではないよ。」


だから、大丈夫と言って抱きついて誤魔化した。

翔太は女性の身体には詳しくないはずだからこれで良い。


私は翔太に抱きついたまま、幸せに身を委ねた。

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僕の事を好きだと言った君は・・・ 鍛冶屋 優雨 @sasuke008

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