第36話 あるゲームがきっかけで学校一の美少女とお友達になったお話

「うっへん! 今日も私の勝ちだったね! 影密くん!!」


 僕はデラックスファイターズで朝比奈さんとタイマンをしたのだが、見事に完封負けをした。


「朝比奈さん腕上げたね……もしかしてめちゃくちゃ練習した?」

「まあね! 体育祭が始まる前、影密くんに負けまくってたから体育祭の練習期間中、めちゃくちゃ練習したの〜!!!」


「熱い戦いを繰り広げたら、なんか疲れたね、影密くん」

「そうだね、ここまで熱くなったのは久しぶりかも……」


 僕と朝比奈さんはタイマンに熱中する中、気づけば外は真っ暗になっていた。

 体育祭が終わり、もうすぐが10月にさしかかろうとしているこの時期、秋なのかはたまた冬なのか曖昧な時期に突入しようしていた。


「ああ〜嫌だな、中間テスト……」

「そういえば来週からだよね、中間テスト……」

「そうなのよ〜これ前にも行ったけど、学期ごとに二つもテスト要らなくない? 期末テストだけでいいじゃん!!」


 そういえばこの前のテスト前に朝比奈さんはそんなこと言ってた気がする……


「朝比奈さん……そういえば僕たち高校に入学してからもう半年も経つんだね……僕は朝比奈さんのおかげですっかり高校生活に慣れることができたよ」

「ふふ! じゃあさ! 私と影密くんが出会ってから半年経ったってことだよね! どうする? 半年記念でもやっちゃう?」


「そんな恋人あるまいし……」

「こ、恋人か……」


 僕は朝比奈さんにツッコミを入れたのだが、朝比奈産は顔を赤くして静かに黙り込む。


「どうしたの? 朝比奈さん?」

「え!? いやいや、なんでもないの! それでそれでさ! 今度中間テストが終わったら、一緒にどこか出かけようよ!! 二人でさ!!」


「え? 二人で……?」


 それってデートじゃないの? 


「なによ……私たち二人で出かけたこと何回もあるじゃん! マニメイトやかき氷などでさ」

「それはわかってるけど……それでどこに出かけるの?」


「うーん……あ! そうだ! どうせなら映画に行きましょう!! ほらほら! この前やってたアニメが劇場版になるでしょ!! その公開日がたしか中間テスト最終日の日だったからさ!!」

「映画って、映画館で見るってこと?」


 映画館って……僕、何回か一人で見に行ったことあるけど、友達と行くのは初めてだな……


「それじゃあ! 決まりね!! 楽しみだな!」

「ちょっと朝比奈さん……僕まだ行くって言ってない……」

 

 朝比奈さんは僕の返事を聞かずに話を進めるけど僕も行きたい気持ちがあるので、軽いツッコミを入れてその場でにっこり笑う。


「影密くん映画終わった後何しようか! 映画館が入っているショッピングモールのゲーセンにでも行こうか?」

「え!? 朝比奈さんもうそこまで考えてるの?」

「えへへ! 楽しみだな〜!!」


 彼女が大きな声で笑うと、僕の部屋にある時計をふと見た。


「ええ!? もう8時30分!?!?」

「確かに……ゲームに熱中しすぎて全然気づかなかったね……」


 時計の針が8時30分を指していたので、朝比奈さんは驚愕の声を上げる。


「私さすがに帰らないと!! あ〜でももっと影密くんとゲームしたい〜!! むううううう〜!!」


 朝比奈さんは可愛らしく頬を膨らませて現状の不満を爆発させる。


「あはは……朝比奈さんゲームはまた今度だ……」

「そうだね……また今度だね……!!」


 僕は朝比奈さんをお見送りするために彼女と一緒に玄関まで足を運んだ。


「それじゃあお邪魔しました〜!!」

「また今度ね朝比奈さん!」

「影密くんせっかくだから外まで来てよ!!」


 僕は朝比奈さんにそう言われたので、彼女と一緒に玄関を出た。


「影密くん見て見て!! 空……! めちゃくちゃ綺麗じゃない!?!?」

「本当だ……お星様がいっぱい輝いてる……」


 僕が上空に浮かぶ多数の星に目を奪われていると、朝比奈さんがそんな僕をにっこりと笑って見つめる。


「私今日やっぱり気が変わったから、影密くんのお家に泊まっちゃおうかな? 幸い今日は金曜日だから学校明日ないし! お母さんもきっと影密くんのお家だったから大丈夫って言ってくれるし!」

「……へ? ……へへ!?」


「うふふ! 冗談冗談!! 影密くんめちゃくちゃびっくりしてる!!」

 

「……もう! 朝比奈さん冗談きついよ!」

「アハハ!! まあ、影密くんの家に泊まりたいっていう気持ちは冗談じゃないよ!」

「……え?」


 朝比奈さんはとても恥ずかしそうな顔をしつつ、小さい声で呟いた。


「えへへ! まあこの話は一旦置いといて! また今度ね! じゃあーね!! 日影!!」

「じゃあね、朝比奈さん……」


 僕は家に帰るために楽しそうに走り出す朝比奈さんの背中を見つめた。

 朝比奈さん僕のこと、日影って言った?

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———1章 終わり

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ゲームがきっかけで学校一の美少女と友達になる話 赤岡伊織 @akapen3

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