君がいない教室で泣いた日

1 永遠に消えた光の中で

俺の親友が亡くなった。早朝、燃え盛る炎がすべてを飲み込み、彼の存在も、俺たちの思い出も、その瞬間に消し去った。あの日の火事は、ただの災難ではなかった。俺にとっては、親友との絆を切り裂く運命の刃だった。


彼は俺にとって世界一の存在だった。いつも俺を支えてくれたし、どんな時も俺を信じてくれた。それが、一瞬のうちに失われた。俺の中で、何かが壊れてしまったことに気づくまで、それほど時間はかからなかった。


その後、何度もあの時のことを思い返す。何をしていたのか、何を感じていたのか。もしあの時、俺が違う行動をしていたら、彼はまだここにいてくれたのだろうか?けれど、そんな

「もしも」に意味はないと分かっている。


時間が止まったかのような、静寂が訪れた。火事の後に残ったのは、灰と瓦礫だけだった。あの激しい炎が嘘だったかのように、何もかもが冷たく、静まり返っていた。でも、その中で俺の胸の中だけは、まだ燃え続けていた。どうしようもない虚しさと、抑えきれない怒りが渦巻いていた。


周りの友人や家族は、俺を気遣ってくれた。でも彼らの言葉は、どれも空虚に響いた。誰も、あの瞬間の俺の気持ちを理解することなんてできないと感じたからだ。それでも彼らは必死に俺を慰めようとした。だが、そのたびに俺は、自分の中の怒りが増していくのを感じていた。


「なんで、あいつが死ななきゃいけなかったんだ…」そう呟くたびに、胸が締め付けられるような痛みが走った。俺たちは、いつも一緒だった。小学生の頃から、高校生になるまで。喜びも悲しみも、全部二人で乗り越えてきた。彼がいなくなった今、俺はどうすればいいのか分からなかった。


それからの時間は、まるで生きる意味を見失ったかのようだった。毎日、彼との思い出が頭の中をぐるぐる回り、彼の声や笑顔が幻のように現れるたびに、また痛みを感じた。日常生活も、自分の中の何かが完全に壊れてしまったようで、ただ機械的に過ごすだけだった。


彼のことを思い出すたびに、何かを見つけたくなる。彼の存在が、どれほど大切だったのかを再確認したくなる。彼がどれほど素晴らしい人だったのか、そして彼と一緒に過ごした時間がどれほど貴重だったのかを、自分の心の中で再評価している。


それでも、どれだけ思い出を振り返っても、彼が戻ってくるわけではない。失ったものは取り戻せないという現実を、毎日噛み締めている。そんな中で、少しずつではあるが、自分の中で何かが変わっていくのを感じる。彼が自分にどれほど多くのことを教えてくれたのか、その教えをどのように生かしていくかを考えるようになった。


彼が望んでいたこと、彼が大切にしていた価値観を思い出し、それを自分の生き方に反映させようと努力している。彼との絆は失われたが、その絆がもたらしたものを生かしていくことが、彼への最良の弔い方だと感じるようになった。彼の思い出を胸に抱きながら、自分なりの方法で前に進むことが、彼に対する最も大切な誠意なのだと思っている。

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