第2話 地球侵略

「ふぅ」

俺は宇宙船内で安堵あんどのため息をついた。

「お疲れ様です、先輩」

後ろから後輩が声をかけて来た。

「にしても変な任務でしたね。なんであんな遅れた星に僕たちの母星の技術をプレゼントしちゃうんですか?」

「……お前、俺たちが何のために来たか忘れたのか?」

「覚えてますよ。地球侵略のため、ですよね? でも、これがどうして侵略になるんですか? あっちの星の文明を進めさせるだけじゃないんですか?」

「あぁ、もう少し文明の進んだ星ならまずかったかもな。だが、あの星なら大丈夫だろう」

「どうしてですか?」

「そう遠くない未来、永久機関はあの星中にあふれかえるだろう」

「そうかもしれないですね」

「そうすればあの星の人々は労働から解放される。何もしなくても富が手に入るからな。労働する必要がなければ学ぶ意欲も次第に衰え、あの星の人々の知能は退化するだろう」

「……それで?」

「俺たちは数百年後、知能が衰え永久機関に依存しきったあの星の機関を遠隔で停止させるのさ」

「なるほど! そうすればあの星の人々は一網打尽ですね!」

「だろ? あの男は平和主義者だから、変に戦争を起こして人類に知恵が付くこともねぇ。まったくちょろいもんだぜ。遅れたあの星じゃ機関の仕組みを理解して再現することは不可能だ。これでもう侵略完了ってわけだな!」

「ですね!」

「さ、俺たちはのんびりと帰ろうぜ。どうせオレたちはによってあたえられたのおかげで不老不死なんだ。数百年だろうと、遊んですごそうぜ」

「はい!」

俺たちはゲラゲラ笑いながら、ゆっくり母星へと帰還した。

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