永久機関

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第1話 永久機関

 地球は今、大きな危機に直面していた。

 資源は枯渇こかつし、貧困は拡大し、人々は残った富を求めて戦争を繰り返している。間違いなく、人類は滅びの一途をたどっているだろう。

 私はそれを止めるために新たなエネルギー資源を求めて研究を進めていたが、現状を打破できるだけの成果はまるでえられていない。


「平和を愛する者よ……」


 どこからか声がした。

「誰だ⁉」


「私は神だ。平和を愛する者よ、人類を救いたくはないか?」


その声は頭に直接響いてくる。私はついに狂って幻聴がするようになってしまったのか。いや、幻聴でもいい。私は藁にもすがる思いで自らの願いをぶつける。

「おお神よ、あなたが本当に人類を愛しているのであれば、この地上のあらゆる問題を解決する力を私にください! 決して悪用はいたしません! 私はその力を真に平和のためのっみに行使すると誓います!」


「……よかろう」


私の目の前に見慣れぬ機械が現れた。

「神よ、これは?」


「無から無限の力を生み出す装置だ。一度起動させれば、そこから無限に力を取り出せる」


「なんと! 私に永久機関をお与えになるのですか!」


「左様だ」


「おお神よ! なんと慈悲深い! あなたの厚意に感謝します!」

 

 神から与えられた永久機関の効果はすさまじかった。たった一台で原発数百基が一年間で生み出すエネルギーを一瞬にして生み出し、永久機関の複製も可能で、その際の大きさは自由自在だという。


「平和を愛する者よ、約束は覚えているな?」


「はいもちろんです! 私はこの力を世界の平和のためのみに使用します! 決して私利私欲のためには使いません!」


「……よろしい、では、さらばだ」


 それ以降、私は神の声を聞くことはなかった。

 それから数年もしないうちに、地球上のあらゆる問題が解決した。地上はエネルギーに満ち、富は無限に生み出され、飢えも貧困も紛争もなく、真の平和がおとずれた。

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