人生誰しも通る罠だけど、人によってその罠の大きさが違うやつの取説小説

人生で誰もが直面する、ある普遍的な問題について書かれた作品です。

それが何かといえば、自己評価と他者評価が食い違うと、色々とめんどくさいと言うやつ。これは自己評価が過剰だけでなく、過小でも引き起こされます。このお話の主人公も、孤高の人として自己評価が高い一方で、他人は自分に対して興味を持つわけがない、持つ必要がないと言う、潜在的な自己評価の低さもあります。これを極端にデフォルメした主人公で書いているところが、この小説の醍醐味です。

読者はおそらく作者の意図した通り、この主人公にツッコミを入れたくなることでしょう。自分も読みながら突っ込ませて頂きました。

でもこの問題、最初にも書きましたが、誰もが一度は直面する問題でもあります。自己評価に関しては、自分でなんとかできるところもあるのですが、他者評価も絡んでくるとやころがやっかいです。主人公も他人に振り回されていると嘆き、そして怒りを感じています。

現実社会では、これは普遍的に存在する問題でもあり、ある時点で問題がなくても、進学したり転職したりで周りが変わることでも発生します。それも時として、社会的な地位の向上と言った、成功体験がそれを引き起こす場合もあるのです。

こうして文章を書いている大先輩である、川端康成先生も、芥川龍之介先生も最後は自分で命を絶っています。決して、お話の中の極端な主人公だけの問題ではないのです。