告うた

勇気

第1話 さよなら好きな人

離婚した。

男って面倒くさい。


別に離婚原因はそうじゃなくて。


好きだった。

出会って5年。

結婚して10年。

15年は一緒にいた。


子どもも産まれた。

2人。


まだ小学生。


絶対離婚はしないって思ってた。

子どもたちはパパが好き。

だから余計に。


わたしも彼が好きだった。

一生懸命なつもりだった。

でも彼はわたしのことは元々の家族からすると一番下。


おかあさん、おねえさんよりもずっと下。


何があっても優先するのはこの2人。

あとは自分の自由。


なんで結婚したの。

結婚って何。


喧嘩もたえなくなった。


「お前さ。子どもの面倒見なかったらなんのためにいるわけ?」



あまりにも自由を求めて、家にいないから喧嘩になった時に言われた一言で、ぷつんときた。



『あ、離婚しよう』



この人はわたしのことなんとも思ってない。

そう思ったから。


結婚って何。

一生一緒にいる。

それだけ?


子どものおもちゃみたい。

買ってもらって満足してあとは放ったらかしの。


子どもが産まれたのは幸せだった。

子どもたちがいるのは今でも幸せ。

結婚してよかったのは子どもたちがいること。



その子どもたちに離婚することを告げた。

「パパとママどっちでもいいよ。」

「ママと一緒だったらさじーちゃんとばーちゃんとこに近いところに引っ越さなくちゃいけない。転校しなきゃいけなくなると思う。」

「だから、どっちでもいいよ。」

そう言った。そう告げた。



下の子はまだ一年生。

上の子は三年生。


決めさせるのは申し訳なかった。

でも、勝手に決めたくはなかった。


「花はママがいい」

「海はママがいい。だってパパはどこにも遊びに連れて行ったりもしてくれない。ずっと一緒にいたのはママ。だからママといく。転校するならそれでいいよ。」


完全な決め手になった。


でも話し合う前に大きな喧嘩をして飛び出してしまった。


「もう、飯作らんでいいから」


電話でいつ帰ってくるか聞いた時の一言。

その瞬間、向こうが帰ってくる前に、車に荷物を積み込んで子どもたちと逃げた。

結婚生活を始めた家から。



帰った彼から来たLINE。


【親権はこちらがもらいます】


何をいってんだか。

本気で思った。

誰が面倒を見るのだろうか。

ママとおねーちゃん?


いい大人が何を言ってるのだろうか。


調停を申し込んだ。

別居して5ヶ月。

外面のよい彼は最初は調停員を味方にしたような感じだったが、何か言っては行けない一言を言ったようで。



「ご主人の言ってること、モラハラですね」



って言われてた。

わたしの心、とっても狭いので。



泣き真似つきで、



「いつもそんな感じのこと言われてたので、少し心が軽くなりました。」




って添えた。



そしてまたわたしは独身になった。














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告うた 勇気 @tamagooao

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