日常

@kkatg2007

一話

少年Aは日本のどこかに住んでいる。(以下少年とする)これは少年の何気ない日々の生活の話である。

彼には今、これと言ってやりたいことがない。友達もあまりいなく、将来的になりたいものややりたいことがない。

少年はこう考える。「僕はそこそこな大学に行ってそこそこな会社に就職してそこそこな人生を歩む。それができれば1番いいのに。」だが彼はこの時はまだ理解していなかった。普通やそこそこがどれほど難しいものなのか。

彼は生まれつき気が弱かった。自分の意志があまりなく、選択を迫られた時いつもどちらにしようと決めあぐねてオロオロしてしまう。当の本人はあまり気にしておらず、自分のことは楽観的でいつでも楽しく物事に対して接せるだとか。そんな彼でも唯一友達と言える人がいる。彼は今高校生で、同じクラスに仮名(少年B 以下略B)と言う友がいる。彼曰く、B以外と仲良くしたことはなく、これからもそういった友達は作れるような気がしないなのだとか。Bはどのような人物なのかと言うと、Aとは全くもって逆の性格の持ち主である。活発でチャレンジ精神豊富だが、物事に対して適当で大雑把なところはAと似ているのではないだろうか。少し時間が経ち、彼らの高校生活も終盤に差し掛かってきた。彼らは同じ近くの大学に進むことが決まっており、これからの大学生活に胸を膨らませていたりいなかったり。そんなある日、彼は帰り道にふと考えていた。今までの人生や生き方を振り返って、自分は他の人に比べて何か誇れるようなことをしただろうか、いつもなら絶対に思わないようなことを何故か彼は考えていた。その理由は彼にもわからない。そして、彼は後悔をし始めた。自分はなんて小心者なんだろう。このままでは何もできない、何もなすことができずに朽ちていってしまうのではないだろうか。そのような要らぬ心配をしながら彼は眠りについた。ベッドに入ると彼はいつも落ち着くことができた。何故ならそこは彼にとって一番居心地が良い場所の一つであり、Bと過ごしていたりする何気ない日々の会話の次、もしくはそれ以上にリラックスできる場所だからだ。だが今日は違った。ベッドに入っても全く落ち着ける気配がしない。彼の頭の中には、帰り道に浮かんでいた過去の自分への叱責のみが浮かんでいた。結局寝付くことができたのは彼の体感でベッドに入ってから5時間以上は経過していた頃だった。幸いにも次の日は休日であったため、時間に関しては特に問題はなかったが、一体どうして自分の感情にこのようなバグが生まれてしまったのだろうかと彼は無意識にも思いながら、今までとは違うと自覚しながらもどこかこの感情の起伏に納得している彼がいるのを認識していた。

そして彼が起きると、そこにはいつもと違う光景が広がっていた。今まで自分の部屋にあったものが、数十倍にまで大きくなっていたのだ。これはおかしいと彼はすぐに認識することが出来なかった。何故なら昨日急に浮かんでいた過去の自分に対する叱責の念が一切消えており、これまでと何も変わらない楽観的な彼の心持ちがそこにあるだけだったからだ。そして少しの時間が経ち、彼の腹も空いてきた頃になってようやくこの事態に対して彼が重く認識するようになった。だがよくよく考えてみれば、特に困ることはないだろうといつもの調子で彼は考える。親だっているし自分の部屋に来た時にこのことを伝えれば最低限生活くらいはできるだろうと彼は考える。Bと話したりするのに少し支障が出てしまうとは思ったが、この現状にをなんとかしたいと切に思うことは毛頭ないようだ。少し間があって自分が小さくなっていると理解した瞬間、昨日と同じ今までの自分に激しく怒る昨日の自分が出てきた。彼は動揺していた。何故このように自分が思うようになったのか理解できない。そこからの記憶は無くなっていた。次に目を覚ました時、隣には成長したBの姿があった。そして先ほどまでの別人とも言えるような彼の姿はまたしても無くなっていた。彼は未だ彼とは違う彼が怒る理由がわからない。何故なら今の彼はいつもと変わらない温厚で楽観的な彼だからだ。今の彼にいつもと違う彼の気持ちを理解することはいつまでもできないだろう。そして、このことについて考えていても意味ないだろうといつもの調子で彼は思うようにした。何故なら彼の唯一の友であるBがしばらく経った今も彼の隣にいるのだから要らぬ心配はかけるべきではない。そうして彼の心の中には今までとは違う友への考え方が生まれていく。次はいつ別の彼が出てくるのであろうか。それとももう出てくることはないのか。

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