第5話

 例によって目が覚めたら俺を讃える声が・・・あんまりなかった。


 寧ろ滅茶苦茶怒鳴られたんだが? 解せぬ


 なんであんな真似をしたと言われればそれが発動条件だからとちゃんと教えてやると納得してくれたようで何より。


 あ、馬車のおっちゃんには涙を流してお礼を言われたぜ、馬車台もタダになったぜ、やったNE☆ミ


 ついでにおっさん達も俺を叱った後は礼を言っていたのでよしとする。俺は根に持つタイプではないのだ。根に持つけど。


 そして道中おっちゃん達が沢山の食料くれるから腹も減らずに助かったぜ。流石においしみには程遠い保存食だが、これはこれで割といいのではなかろうか。


 あれだな。準おいしみ。こいつらは準おいしみとして認定しよう。


 そういえば山賊達の遺体はおっさん達が片付けてくれたようだ。持ってた武具とかそれなりの金目の物はなんと俺が全部もらえるらしい。えー? いいんですかー? そんな事言われたら俺は全部もらうぞ! 金が欲しいからな!


 とはいえかさばるという事で馬車のおっちゃんに買い取ってもらいますた。結構良い金になったのでホクホクやで。


 後はのんびり馬車の旅をしましょうかねぇ~。


 







 

 いやー、代り映えしないな、あれから1日ほど過ぎたけど見えるのは街道と草原だけやで。遠くの方に多分街があるんだろうが、全然見えませんな。


 ガタゴトガタゴトと馬車に揺れると腰が痛いだのケツが痛いだの気持ち悪いだのなるみたいだが、俺はその辺全部無効になっているので気楽なもんじゃよ。ほっほっほっ。だからんなしきりに心配しなくてもええんやで? おっちゃん。


 起きなかったのが心配だった?


 すまんな! 昼くらいまで寝るのが前世のデフォだったんだよ! 働かないで食う飯は美味いか? はい! 美味しいです!!


 それにこの世界だと俺は昨日働いたからな、これは権利・・・! 当然の権利! 俺の権利なのだ!!


 と言う訳で大丈夫だから気にすんなと言っておくと、何故かおっさんズに頭を撫でられる。なんでだよ? 今のどこに頭撫でる要素があるんだよ? わしゃわしゃすんのやめれ?


 わしゃわしゃ攻撃を何とか回避したので俺は意を決しておっちゃんに話す。


 ん? 何で意を決してるのって? 俺はね? コミュ障なの、ぼそっと話したり、相手を見ないで喋るのは出来るけど、いざ話そうとすると心臓がばっくばく言うの。のーない俺はこうやって元気だけど、リアル幼女俺はそれはもう見事にぼそぼそ喋っておりますよ。


 チート持ちなのに?


 チートあっても怖いもんは怖いんですぅー! 人間そんな簡単に性根なんて変わらないんですぅー! それに俺が前世でまともに会話したのいつだったか覚えてませんー!


 よし、考えてて悲しくなってきた。と言う訳で頑張って聞くか、次の町いつつくのん?? ふむふむなるほど、急げば夕方で、普通にいけば明日の早朝と。


 意外と遠いのねーと思ったけど、割とそんな物なのかもしれんな。


 仕方ない明日迄はおっさんずにおいしみを俺に献上させる権利をやろう。


 ほらほら、もってんだろぉ~? おぉ・・・! あれはジャーキー! 異世界の保存食の定番ともいえる三大定番何の肉か分からないジャーキーではありませんか! 


 おっさんがジャーキー食うか?と渡そうとしてきたので早速もらいましょう!!


 ※スカッ


 ※スカッ


 俺が取ろうとするとジャーキー君が上に動くのん


 こ の や ろ う(ピキピキ


 良い覚悟だ、このおっさんめ。俺を怒らせてしまったようですね?


 食らうがいい、幼女のストレートパンチをおおおおおお!! と振りかぶった所でチーズも追加されてもらえたので今回だけは許してやろうではないか。俺は根に持たないのだよ、根に持つけど。


 おぉ、しょっぱい。これが初ジャーキーか、肉ってこんなしょっぱくなるんだな!  これはこれで割と良い感じではないだろうか。お米は・・・合わん気がするけどパンと一緒に食べたらおいしみなのではなかろうか。


 あ、チーズはあぶってくれ? あぶってトローリチーズが好きなんよ、食った事ないけど。さぁ、頂きます!!


 おいしみが・・・・あふれる・・・!!!





 

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