悪魔と少年

やと

第1話

僕は親友を殺した、間違いなくそれは変えようのない事実だ何度もあの夜を

思い返しては夢に出てきては僕は僕の中の何かを殺しているそれでも

前を向こうとする僕は悪魔なのか。人に向けた悪意は多くの後悔が必ず自分に帰ってくる。


今日も意味の無い酸素を吸いながら目が醒める、学校という皆を同じにするはみ出し者を否定しそれを

授業という時間をかけて教育と言う名を語って誰もが平等なのかと錯覚させる毎日のページを開く

僕は基本的に学校では一人だ友達と呼べる人はいない挨拶程度する人や上っ面で話す人はいるが

趣味が合う人でもいればそれは世間的に言えば友達というんだろが僕には趣味はないだから友達と

談笑するなんて時間も過ごすことはないといっても寂しいなんて思った事は一度もないそれは

いつかの時間に失ってしまったのかもしれない。

たまに僕を友達との話の出しにして話しかける人間はいるがそれは多分僕を学校に来ても誰とも話さない

所謂陰キャとして扱って馬鹿にして話にかけて来てるに違いないだろう、今日も誰も居ない家

「行ってきます」

と一言添えて出かける、学校に着くには歩いて三十分掛かるが僕にはその学校という魔窟に足を向ける為の時間なので苦痛でしょうがない、帰りはとっても楽しいと足も軽くなる感覚に陥るがこの朝の登校時間だけはなににも勝てない時間だ、

教室に着くと登校時間ギリギリだった僕の席はいわゆる陽の方々に使われてる。

そして、僕がどうするか考えてる間にチャイムがなり僕に気付いた席に着いてた女子が

「あ、ごめんねいまどくから」

と一言いってだるそうに自分の席に向かっていく、

そんな態度とるならなにも言わず立ち去ればいいものを僕に対しての嫌がらせとしか思えないがその一言を言ってくれるだけましなのかもしれないと思い、少し自分の中で良いことなのか

悪いことなのか分からず混乱しながら席に着く、そうすると忽ち担任が教卓に着き今日の出来事を淡々としゃべり出す。そして僕にとってそれは苦しみのスタートになることをだれも知らないし知って欲しいとも思わない。それから始まった授業、いつもの如く淡々と先生が話すことと板書を分けてノートにまとめて書く、授業を受けているといつも思い出すことがある、僕は勉強は苦手ではない、前はこんなものなにに役立つなんて思って勉強をしてこなかったがある一人の子供の一言で

「勉強は今じゃなくて未来に繋がる、人間にしか出来ない素晴らしい産物なんだよ、きっと君は勉強は苦手じゃなくてやろうと思わないからやらないだけでやろうと思えば勉強の素晴らしさにいつか気付くと僕は思うよ」

そんな一言でもないおせっかいな言葉をはくたった一人の人間に言われたことにの意味に何年か経っても未だに全てを理解できた分けではないしこの先生きても理解出来るとは思わないけどその真実を突きとめるくらいの事はしたいと思っている。

そんな事を考えながら授業の時間を潰していると急に先生に答えを言うように僕を指名してきた、でも僕は自分が当てられないとばかり思っていたから答えが分からなかった、偶にしか声を出さないため上手く声が出ず声がうらがえってしまった、最悪だ、クラスの殆どが急にでた

間抜けの声を面白がり静かににやけずらを浮かべて声は出さずとも僕を馬鹿にしてるのがそれで十二分に分かる、穴があれば入りたいと言うがいまの僕はまさにそんな感じだった、恥ずかしいったらありゃしれないでもそれも時間が経てば少しは緩和されたそして苦痛だった授業も終わりのチャイムがなり先生もそれに気付いて

「今日はこれまで」

と言い教室を去って行く、そうするとまるで悪魔がいなくなったように一斉に皆が楽しそうに各々友達としゃべり出す、たしか聖書では悪魔より天使の方が人間を殺したなんてなんかで見たのか読んだのか分からないがなんとも今の僕には先生よりもクラスの人間の方が天使に見えてきた、それから僕はやることはないので読み終ってない小説を読み出した。

この時間の過ごし方が僕の学校でのルーティーンだ、ひたすらにこれの繰り返し、その時間を使い方では勿体ないと贅沢だとも言われるのかもしれないかもしれないがこの時間が僕のたった一つのアイデンティティだと思っているから他人にとやかく言われたくないなんて思いながら全ての授業を終えて皆が各々と部活動やらバイトなどさまざまな理由で教室を出て行く、でも僕は教室に一人残りやがてだれも居なくなる夕焼けも刺す教室に一人残る事になる、ここで

僕がこんなにも毛嫌いしていた学校と言う一つの箱庭にも好きな時間が流れていく、たった一つの矛盾とも言える出来事が僕を幸福に導いていく、それは僕が誰とも話さなくても良いと言える、誰にもきを使う事と言う行為をしなくても良いという事が答えだ、このだれもいなくなった教室で小説という一つの世界に連れていく物が僕は好きだった、僕には趣味はないと言ったが小説が僕の趣味ということじゃない、この時間が僕を現実から切り離してくれると思うから僕は嫌いな学校に一人残り残ることを毎日のように過ごしている。

「ねえ、君もう下校時間すぎてるよ」

その言葉で一気に僕を小説の世界から引き離した、それがいつもの先生だったら顔も見ず

「すいません、今帰ります」

の一言で済むのだが今日は少し違った。その声はなにやら声色がいつもの若人の勢いに疲れた大人な声色ではなく優しく少し若い声色だった為興味をもって顔を上げて声の主を確かめた、そうすると同じ制服を着てるが何かが違う、それは胸元をみれば答えがすぐ分かった。ネクタイの色がちがうのだ、同じ学年でないのは分かったがなぜいつもの先生ではなく生徒が僕に声を掛けたのか不思議だった、そのことに囚われて答えるのに数秒時間を要した、

「あ、すいません今帰ります」

そう言い教室を出たが少し先ほどの女子生徒が何故だが気になった、多分生徒会とかそんな役割なのだろうが僕は入学して半年は経つが帰りの催促を先生ではなく生徒にされたのは初めてだった、僕のネクタイはの色は緑なのに対しての先ほどの女子生徒はネクタイの色は臙脂色だったので僕の記憶が正しければ二つ上の三年生の先輩だと結論がでた。そんな問題に答えを出して帰路に着くがそこから僕が休むことはなく家に着いて着替えて家を出て家のそばの喫茶店に入る。

「いらっしゃい、はよ着がえてこい。」

最初から無愛想な迎え方をされて店の奥に入り狭い部屋に掛かってるお店指定の恰好に着替えて部屋を出るそしたら接客モードに切り替える、僕がなんで学校では誰とも話さないのにバイトでは笑顔で接客できるのかは、バイトだから当たり前であるのは前提ではあるけどもここの店長のおかげである僕の親は僕が小学生の時に共に蒸発した、それは急に訪れた何の気なしに過ごしてた日に学校から帰ると家が無かった、正確にはあるにはあるが家にテープが全面に張られてて黒いスーツを着た大人が沢山いて僕が家の前で立ち往生してるのを見て大人は全てを悟り僕はそのまま大人の言われるまま施設に入り高校生になるまでにはそこを出なければ行けなかったので今はアパートを借りたのだがバイトをしなくてはいけないという事でそこの施設長に施設出身のこの店の店長を紹介してもらったということだが、店主の最初の印象は無愛想で笑顔なんて客にも見せないが心はとても優しい人ではある事はバイトとは言え一緒に働いているので少しは分かった、ちょうど僕が誰とも関わろうとしなく心を閉ざしていた時なのに店長はなにも聞かず僕をすぐ受け入れてくれたそればかりか二十一時には法律で働けないのに僕がちょうど朝の新聞配達のバイトをしようとしたのを止めてまで日によって変わるが最大二時間延長してくれて、

「高校生なんだから遅くまで起きてても登校時間にまでには起きればいいから」

なんて一言で僕は心を少し開く音がした気がした、でもあくまで高校の制服で店にいくのはまずいので学校の下校時間まで小説を読んで家に帰り着替えて店に行くようにした、最初は授業が終わってすぐお店に行ってたが

「夕方に店は開かん」

なんて言って僕をできる限り学校にいる時間を長くしようとする店長の心遣いだって分かってた、だって店は現に昼間から開いてるのを僕は知ってるし授業も終わりに店に行くと

「買い出し行くから閉める」

その一言で店を閉めてしまうけどそんな不器用な人だけど心を開いて関わろうとするには充分すぎる人となりだった、店長のおかげでなんとか一人で生活できるくらいにはなった。

僕以外にバイトはいないので伸び伸び自分のペースで動けるし段々と笑顔で人に話せるようにもなったが心の中では笑ってなくそんなんでも笑顔を作れてしまう事に驚きと自分の中でなにいかが欠落してるのかと自分の中で違う人格を作り出してる気分になったが高校を通うようになって皆誰かように仮面を作ってる事に気付いた、多分それが心を守る一つの盾のようなものなんかと段々と理解する事によって自分が十六と言う人生では短いようにも長いようにも感じる時間を掛けて大人になった気がした、でもそれは人によるとも思う多分人によってはその人間と言う多くの仮面を付けて生活すると言うある種のギャップとでも言うのか、ただ皆分かり切ってるその簡単な事実にいざ目を向けてみると心を壊すには充分すぎる理由な気もする。

僕はこんな事を考えながら普段は生きてる。ただそれを話さないだけで話す機会、人、友達が居ないと言えばそれまでだが。

昔から考える事は好きだった、そうすれば会話に入らなくても心の中で返事してれば人の輪に入れた気がした、考えれば時間が勝手に過ぎるし僕と言う人間が少しずつ出来上がってく感じがして子供ながらに人間を育ててる気になってた、でも現実には僕みたいな変わり者でも興味を持って接してくる変わり者もいたでもいつも最後には

「お前なに考えてるか分かんない」

って気味悪がって離れてく、最後までいつも一緒だなんて言ってくれた子いたけど結局今は僕の隣には誰もいない。それが悲しいとは思わないけど店主や施設の大人に人は一人では生きないって教わった、それが今の所僕の唯一の頭の中での財産になってる僕という人間には似つかわしい物がだが結局それが人間なんだと理解はしているつもりだ。

そしてやがていつも得意の考えてる事で客も常連しかいなく殆どいないのでこんなんで考えて時間を潰して店長に

「今日はもういい」

と言われ

「お疲れ様です」

と一言いい店を出る。

時間はもう十時を回っていた、帰ってもやることと言えばせいぜい晩御飯のカップ麺を作って

あれば宿題を終わらせてスマホを弄るくらいなので、少しは散歩していえの近くの公園のベンチに腰を掛けることにした。この時間ですれ違う人と言えば恐らく独身の人でいつも疲れた顔をしてる人やバイト終わりの大学生くらいだ、多分家に帰れば家族が出迎えてくれる中年の大人になんてのはこんな疲れた顔を外ではしていても子供に会えばそれがやがて笑顔に変わるんだろう、僕もそんな歳の取り方をしたいと思ってみても想像が出来ない、想像出来ない事は考えられないし考えても無駄だと分かっているので幸せな暮らしをしている自分をかき消して街頭の光が無ければおそらく何も見えない空間に目を向けてみる、そうしてると想像もつかない出来事が起こった。

「やっぱりそうだ」

そう言い街頭の光でもはっきり分かるくらいに綺麗な目で僕を見つめる。

「あ、下校時間の人ですよね」

そう言うと少しは悲しそうな顔をして僕に言葉を掛ける

「下校時間は確かに伝えたけど、そう言う認識か、なんか嫌だな」

そうは言っても嫌そうな素振りはせず僕の隣にちょこんと座った

「家ここから近いの?」

「まあ」

いつも人と話さない弊害がここで出てしまった、なんとも気まずいっていうかなんでこの人はわざわざ隣に座ったんだと言う疑問がでてきた、ただ用が無ければ立ち去ればいいのに、そもそもなんで声掛けたんだろうそんな素朴であって僕には大切な疑問が生まれどうこの場を乗り切ろうか考えたがこの先輩は多分話し好きだ、だって僕がこんなコミュ症のような考えを頭の中が巡っている間にも淡々と話をしてくる

「ねえ今私の話なにも聞いてなかったでしょ」

そう笑顔で僕に言っててきた。

心の中を見透かされた、いつもなら頭の中を覗かれる事や心の中を見透かされるなんて僕にとってもっとも嫌な行為であるはずなのに先輩の笑顔を見てるとふと懐かしいような気がして嫌な気がしなかった、これが所謂陽キャの力なのかと、今までもそう言う輩とは会ってきたが嫌な気持ちになった気しかしないのにまだ自分が会ってきてないだけでこう言う自分とはかけ離れた人種はまだまだいるもんだなと思った

「なんで僕なんかと話すんですか?」

会話を交わす為にも一番の疑問をぶつけてみた、普段ならこんな事言わないのに今だけは、この人には聞いても良い気がした。

「え、なんとなくかな。」

「なんとなくですか」

「そう、なんとなく。てか君普段からそんな事考えてるの?」

「まあ」

それが当たり前すぎて少しは素っ気なくなってしまった

「君さ友達いないでしょ」

そう笑顔で言われた、そんなこと先生にも誰にも直球に言われた事なかったから驚いて反応に困った

「あはは、ごめんってそんなに怒んないでよ」

「怒ってません」

「嘘だよね」

そうカラカラと笑う笑顔で言われたがこうなっては怒ってない事を証明する事は出来ないと分かっているのでどうしようか考えた結果すぐにどうすれば良いか分かった僕が帰れば良いのではないかそんな簡単な事が思いつかなかった

「じゃあ失礼します」

「逃げるんだ」

自分でも開けられない、心の中奥底にあるものが触れられた気がしてぎょっとした

「逃げるって帰るとだけです」

「そう、まあ時間も時間だし私も帰ろうかな」

やっとこの奇妙な時間から解放されると思った矢先に思いもしない事を言われた

「後輩君の家ここから近いんだよね?」

「まあすぐそこですけど」

「じゃあ私も近いし、普段バイト終わりこの時間になるからバイト終わったらこの時間にこうやって話そうよ」

自分の家が近い事を話したのは間違いだったと理解した、殆ど毎日のバイトしてるしこの時間だしこんな約束してしまったら正直面倒くさい

「今面倒くさいなって思ったでしょ」

まただ、なんでこの人は僕の考えがわかるんだ、不思議でしょうがないでも間違いではないしこのまま怒らせてるのは少し忍びない

「はい、正直に言うと」

「あはは傷つくな」

「すいません」

そう言うと間髪を入れずに話し始めた

「悪いと思うなら約束ね」

そう言って自分のいう事だけ言って帰ってしまった、なんて自分勝手な人なんだと思いながらこの約束は守らなければいけないと思った、守らなければもっと面倒くさい事になりそうだと思った。

家に帰ると即布団に倒れた僕の日常が色んな意味で壊れた日になった事でのとてつもない程の疲れが押し寄せた。家に帰ると即布団に倒れた僕の日常が色んな意味で壊れた日にな

った事でのとてつもない程の疲れが押し寄せた。

それからと言うもの殆どのバイト終わりの時間を先輩と過ごした、そんな僕からしたら歪とも言える日々が一週間と過ぎた頃だった。

「ねえ、後輩君のバイト先行っても良い?」

「なんでですか?」

「だってバイトの話はして喫茶店ってことは知ってるけどどこにあるか知らないし、それに私喫茶店好きなんだよね」

「別に良いですけど」

「なんか嫌そうな顔するね」

「そんな事ないですけど」

でもその通りだったなんか自分のテリトリーを脅かしそうで嫌だった、でもそんな事を先輩がしない事も分かりつつ場所を教えて今日はお開きになり公園を後にした。

その次の日に先輩はバイト先の喫茶店に来た。

「いらっしゃいませ」

「いらっしゃったよ」

そういつもの笑顔を覗かせて僕の目の前の席に着いた。

「なににします?」

そういつもの接客文句を言うとしばらく経って返答した

「んーじゃあカフェモカで」

「分かりました」

いつもの手付きで注文のカフェモカを入れた

「お待たせしました」

「ありがと」

そう言い一口飲んで僕に問いかけてきた

「今一人なの?」

「はい、店長今買い出し行ってて」

「そう」

そう言うと鞄から小説を持ち出しカフェモカを飲みながら読み出したそのままコップを洗ったりしてなにもすることをなくなった僕は自分の小説をもち椅子に座って読み出そうとした時だった

「ねえ店員さんがそんな露骨にさぼっていいの?」

「さぼってません」

「まだ客がいるのに対して本読むなんてありえないよ」

「店長から許可もらってるので」

「へー、いいな私なんて暇になってもそんなことできないよ」

そう言い、またカフェモカを飲み会話を続けた

「後輩君学校で友達いないの?」

嫌な所を突かれた

「いませんけど、なんでですか」

「だって学校で後輩君のクラス覗いても誰とも話さなしてるとこ見ないしすれ違っても話しかけるなオーラ醸し出してるし」

「たしかに友達いないのですけど、なんですかそのオーラってそんなもの出してないです」

そう言うと驚いた顔をした

「オーラ、凄い出てるよだってとてつもなく怖い顔してるし」

「生まれつきです」

でも実際のところ全てを否定できる訳ではなそうな顔するね

「心中お察しします」

「失礼ですね」

そんな軽口を叩けるくらいに互いに友達ではないただの先輩と後輩と言う関係がなんとも言えない心地よさなった。

「先輩こそ休日にこんなとこいていいんですか?」

「なんで?」

「だってこんな僕とは違って先輩は友達多いでしょ」

「まあ友達は後輩君とは天と地ほどの数の違いはあるけどどんなに友達がいても一人で出かけたいと思う日はあるよ」

そんなふうに言ってもなんだか先輩の顔には寂しそうな顔をしていた。

「そうなんですね、でも先輩の周りにはいつも人がいますね」

「そう?そんなことないけど」

「学校で先輩を見かける時常に人がいるように見えますし、確かに僕とはとてもじゃないくらいの差がありますね」

「君とはまだ会ってそんなに時間はないけど本当に自分を卑下する癖があるよね」

ある程度自分という人間を客観視出来ているつもりだったがそんな事微塵も思った事はなかった

「そうですか?」

「うん、自分の心の中で思った事が他人には伝わってないけど感じる事で自分の事どう思ってるかとか伝わっちゃう事もあるから君には友達が居ないのかもね」

この人は本当に失礼と思うけれどこの言葉は本当なんじゃなかと思ってしまった

「先輩はお節介ですね」

「よく言われるからあんまり人に言い過ぎるようにしないようにしてるけど今の君には必要な気がしたから」

先輩に言われた事が染みたと同時にこの人が僕なんかと共にする時間が先輩には無駄になってしまっているんじゃないかと思ってしまう

「まあ今日来たのはまた別に理由があるんだよね」

「なんですか」

一呼吸おいて先輩が口にする

「この前私に告白してきた人がいるんだよね」

「良かったじゃないですか、てか自慢ですか?」

「自慢する為に来たんじゃないよ、てか私そんな暇に見える?」

「見えます」

そう皮肉をたっぷり込めて言ってやった

「酷いね、まあ後輩君には縁通り話かな?」

僕が言った以上の言葉を向けてきた

「じゃあなにしにきたんですか、僕も暇じゃないんですよ」

「よく言うよお客様の前で堂々と本出しちゃうんだから」

この人の考えてる事がまるで分からない

「まあ、話を戻すけど。その人の事そう言う目で見た事ないんだよね」

「じゃあ素直に降ればいいじゃないですか」

そう言うと小さい顔のほっぺたを膨らませてむっとした

「それが出来ないから相談しにきたんじゃん」

確かに先輩は顔は整ってるしこんな僕にも話かけてくれるくらいの優しさを持って素敵な心を持ってる、だからこそそう言う話は良くあるもんだと思ったしそう言う経験もしてると思ってたけど次の先輩の一言で意外な先輩の乙女な姿を目にした

「それに私付き合った事1回しかないし、男の人の考えてる事分かんないしそう言うのって素直にバッサリ言っちゃうのって傷つけないかなとか考えちゃうの」

「変に長く返答をながくして期待させて断るよりも、すぐに断った方が以外と受け入れられたりしますよ」

「そうなんだ、もしかして後輩君も誰かに告白してたりして」

先輩は顔に面白そうだと言わんばかりの表情を浮かべて僕を見つめる。

「面白がってるとこ悪いですけどそう言う経験はまるでないですよ」

「だよねー。私もその人のこと友達って感覚だったし正直に言った方が良いよね」

「そうですね」

そう言うと先輩はカフェモカの残りを飲み干してお会計を済ませて店を出た。世間的に言えば僕や先輩は華の高校生と言う年代に区別される、そんな年齢の所謂恋バナの相談だった訳だが案外あっさりとした話し方だったしなんで僕なんかにこの話しをしたのかよく分かんなかった。僕は人の事を好きになった事がなかった、どう言う話し方接し方をすれば他人の事を好きと言うようになるのかが分からなかった、もちろん僕も恋バナをしたことがない訳ではない正直興味もないだろうに僕なんかにも聞くので良い気分ではなかったが毎回

「いない」

と言うもんだから僕に話し掛ける人もいなくなった、そう言う意味では先輩の言葉は間違いではないのかもしれない。

帰ろうと店のドアを開けようとしたとたん僕のほうに振り返って僕に対して気まずそうに口を開いた

「もしかしてだけど後輩君って同性愛者?」

「なんでそうなった」

そう少し怒りぎみに答えた

「だってなんか普通じゃないと思って」

「くだらないこと言ってないで早く帰ってください」

そう言うと

「はいはい」

と言いながら出て行った、人が親切に相談に乗ったのになんでそう言う結論になるかね。

閉店時間にはまだ時間がありこの時間には常連さんも来ないので暇になったと思いながら折角なので自分の心の中で恋愛と言うものがなんなのかと考えてみた。

恋愛とはどう言うものなのかそもそも人間には必要なものなのかでも先祖を辿れば必ず皆恋をしてその想いを成就させて僕代まで繋いできたが証明させてるでも子孫繁栄をするためには恋愛と言うものはとても大切で尊いものなのかもしれない、だって人間の感情で一番の傷つきやすくて強いものは人を愛すると言う行為で感情だけどそれが時にはそれが人間の中で変化して時には歪になり恋が愛が殺人と言うものに変わってしまうこともあるそんな感情を持ってる人間はなんて臆病で愚かなのかと思う反面どうしても人には無くてはならないものでもあると思うだって僕は友達と恋人ともう戻れく淡く青い青春と言われる時間に生きてる。僕は今の所他人の事を好きになった事はないしこれからも好きになるなんて分からないけど少し二人して同じ感情をもって接する事が本当に少しだけ羨ましいと思う、だってそんな自分の味方が居れば僕の中に住んでる黒い思い出を浄化してくれるかもしれないと期待をしてしまう。でも結局

こう言うものは答えなんてないし人それぞれに思うことがあると思うので最終的にいつも自分の中で附に落ちるまで考える、いつも考え事をやめられない僕からしから答えのない問いというものは只の時間稼ぎではあるもののとても好きな時間ではあった、人によってはそんなものは時間の無駄だと言われるかもしれないが例え答えがなくともその時間に考えたものがいつか役立つかもしれないしいざという時ふと口に出した時に納得してくれるかもしれないだから無駄だとは僕は思わないしこれがもしなにもなくなった人間にとって最良の財産になるのかもしれない。


今日も学校に行くいつもの景色一言も喋らない僕にとってなにも変わらない日でも何かが変わったとすればこの状況だ、この日の昼休み誰も居ない教室で購買で買ったパンを口に運ぶ、でも今日は一人じゃない先輩が僕の目の前で弁当を持っておいしそうに食べてる。それは突然の出来事だった。

「ねえなんか先輩が君の事呼んでるよ」

そうクラスメイトに名前すら覚えられてないと実感して悲しくなったが僕に用があるとしたら一人しかいないそう思い教室を出て本人に会いに行った

「なんですか」

「んーやっぱり一人で昼休みもご飯食べてるのね」

「そんな事関係ないでしょ、なんか用ですか」

そう言うと僕の手を取って僕をどこかに連れて行く

「ちょっとなんですかてかどこいくんですか?」

「来たら分かるよそれにこうでもしないと来ないでしょ」

それはそうだが先輩は後輩の僕でも分かるくらい沢山の人から注目される存在だ、人伝に聞いたがどうやら先輩のファンクラブがあるのだとか、そんなのアニメくらいでしか聞かなかったが先輩によればそんなものはないと言われたが勝手に他人に作られたという事もあるのかもしれない、どっちにしろ先輩はその事に迷惑だと言っていたがこう言うのは本人には迷惑でもファンにとっては大切な思い出になるのかもしれない。でもそんなものがあってもなくても先輩はどの学年の男女問わず人気なのは変わらない事実なので名前も覚えてない人間を呼んでるなんてクラスメイトだけじゃなくてすれ違う人のも二度見される、誰だこいつはと言う視線の矢で刺殺されそうだ、先輩はそんな事関係ないといいながら未だに僕の手を取って歩いて僕がいつも一人で昼ご飯を食べてる教室に連れ込まれたなにをされるのかと思ったら

「座って」

そう一言言っていつもの席に着いて先輩は僕の前の席に着いた、しばらく無言になって僕はその時間に耐えられなくなってパンの袋を開けて食べ始めた。席に着いてから時間にすると五分と経ってないけどこの無言で意味の分からない時間対して対等とは言えないものに僕は少し怒りぎみで口を開いた。

「で結局なんなんですか。学校では話さないでもらいたかったのですが」

「そう?でも一人で昼ご飯ここで食べてて寂しそうだったけど」

「そんな事はないし、話しそらさないでください」

こういう時に物語の優しいイケメンな人なら何も言わず相手が話は始めるまで待ったりできるんだろうなと思いながら僕はそんなに優しくないのでつい口が開いてしまった。

「なんか教室が居づらくてね。少し後輩君の気持ちが分かった気がするよ」

これは重症かもしれない。僕の前ではいつもコロコロと笑い本心を隠すように振る舞っていたことが殆どだった先輩がこんなにも寂しそうな辛そうな顔をするなんて。

昼休みが終わるチャイムが鳴った

「あらもうこんな時間か」

そう言った先輩の一言は聞かずに僕は教室を出た。結局先輩がなにが起きたのか分からないけど僕の中になにかむずがゆうい感情が沸いていた、だからなにかしようと思った。

確実になにかあったのは分かったがそれを踏み込めない自分が情けなくとも同時に面倒であると思ってしまうのは僕が薄情な奴なんのか。とにかく事態の終息させるには情報が少なすぎると感じた僕は今の先輩に聞くより周りに聞いた方が良いのではと思ったが答えにたどり着くには僕には途轍もない程の労力が掛かるだろうと思いながらも先輩の為なら少し自分から動くのも少しは良いのかもしれないしと思った。今までの僕ならこんな事はしないので少しは人間に近づいたのかもしれないそれまでに先輩と言う存在がこんな僕でも変えてしまう人間と事に怖いとも先輩の人気なのに気が付いた。その日は夏休み前という事で五時間目だけ短縮授業だったのでこのままの勢いで先輩のクラスに行ってなにがあのあの人にあんなにも悲しそうな顔をさせるのか確かめようと思ったそう思い先輩のクラスに着く前にすれ違った先輩とよく一緒にいた人とすれ違った時に聞いた言葉で全てが分かった。

少し距離をとって聞き耳を立てた

「あいつちょっと調子乗ってね?」

「確かにあんなに同級生にも後輩にもちやほやされてあんな良い物件けるとかしかもよく分かんない理由でふって勝手すぎだよね」

僕は本当にこう言う時なにも出来ない自分が嫌いだった、それと同時に心底人間の悪い部分を目の当たりにした。僕が見てきた人間の嫌な所とは別の途轍もない邪悪で真っ黒な部分を感じてしまった。それは嫉妬と言う人気があった人にしかされない所謂虐めの分類だったでも僕は少し懐かしい苦しくなって呼吸が荒くなって目の前が暗くなってきたそのまま酸欠で倒れてしまった。

目を開けるとそこには真っ白な天井でベットの隣の椅子には見た事がある人が座っていた、その人は先輩と同じ臙脂色のネクタイをして小説に夢中になっていたその横顔が先輩とはまた違う綺麗さを持っていて思わず見とれてしまった。そうしてると僕に気付いて本を閉じて口を開いた。

「なに、起きてたのね起きたなら私行くから」

そう言いそそくさと立ち上がると僕がそれを阻止する一言を言った

「あの」

「なに、先生がいないから目覚ますまで此処にいてって言われただけだからもう行くわ本当面倒くさいわ」

そう言いながら席に着いた

「あの先輩と前に保健室に一緒にいましたよね」

僕は少し記憶力が良いので偶々前に保健室に先輩と一緒に入っていく所を見ていた

「あなた1年生ね。もしかしていつも一人で友達がいない子」

間違いではないが面と向かって言われると少しぐっとくるものがある

「まあそうですけど」

「やっぱりあの子が言ってた子か、でなにか?」

「僕の事知ってるんですか?」

そう言うと面倒くさそうな顔を作って僕の方を向いて目を見て僕に話しかけてきた

「でなに?」

こんなに僕に目を見て話てくれる人なんて先輩以外にいなかったのと単純に目力が強いので少し臆してしまったがこの人なら事の顛末を知ってるのかもしれないと思うと自然と口が動いた。

「あの先輩って何があったか知ってますか?」

「知ってても貴方には関係ないんじゃない」

そう言われてしまうとお終いなのだがここで引き下がる訳にはいけなかった、自分がここまでやる理由ははっきりとしてないがここで終わらせてしまうと後悔するような気がして気持ちをぐっとこらえた

「正直関係ないと言われればそれまでですけどここで目を逸らせるのは僕は嫌なんですよ」

「それがあの子が知って欲しくないと思っても?」

「例えそうであっても僕は知りたい、勝手な事かも知れないけど本人から聞けなかった臆病な僕でもあんな先輩の悲しい顔を見てしまったからにはほっとけません」

この先輩以上の目力と負けん気を出してみた

「はー、分かったわよ。このまま話さなかったらここから出してくれない勢いだし」

時間にすると三十秒くらいだったが体感は三分くらいに感じたくらい疲れた

「少し長くなるけど、文句言わないでね。あの子君が丁度入学した頃くらいにあの子が1年生始めから付き合ってた人をふったのそのながれで同じ学年や後輩にも何度も告白されてたのよ、周りにはどんなに魅力的な男の子でも間髪を入れずふってたわまああの子は社交的で誰とも仲良く成れるから君みたいな子でも告白したくなる魅力を持ってたのは事実だけどそこが気にくわないけどね。」

そう笑顔を作って淡々と話をするこの人の笑顔を見てはっきりと物を言うんだなと思いながら多分そう言う所がこう言う話が出来る先輩とのこの人の仲の良さなのかもしれないし友達なのかそう言う関係ではないにしろそれなりの仲なのだと思った。

「まあなんであの子が誰とも付き合わないのか前の彼と寄りを戻さなのか疑問なんだけど実際そう思うほど上手く行ってたしでもあの子がその彼と別れたのが貴方の話をし始めた時期と一致するから貴方が関係してるかもねでも少しでもあの子と付き合えるなんて期待しない方が良いわよ」

もちろんそんな期待もしてないし先輩とそう言う関係を築く気もないそれを悟ったのか安心して話を続けた。

「最近あの子に告白した同じが学年で金持ちでイケメンな男の子がいるんだけどそれなりに仲は良かったし周りの人は付き合うだろうと思ったけどその人も瞬殺されてね、そいつは自信満々で周りからも変に期待されてたからその瞬間が私にとってはとっても面白かったけど当然それを良しとしない連中はいて同級生やそいつと仲がいい後輩にもあの子と喋るなって脅して回ってあの子にクラスの居場所はなくなったわそれで多分君が見たのは授業以外保健室に隠るようになった。私は保健委員だしそんなくだらないそう言う話題でしか群れの威厳を保てない奴らは大嫌いだから一緒に保健室に入っていくのを見たのね。まあそんなとこ、君にどうこう出来る問題じゃない程に大きな壁になってるって訳。」

簡潔にでもとてもどす黒い物を淡々と喋られたので少し動揺した、そしてそんな話し今日会って一言も喋ったこともない人間に言って良いのかと思ったいくらそう言う関係でもあっさりと言ってしまうなんて口が軽くないか。

「何で話してくれたんですか」

「何でってあの子が君に聞かれたら話しても良いよってあの子に言われてたからあの子とって君がどんな存在のなか知らないけど帰ってもいい時間なのにわざわざ時間を掛けて話しあげたんだから感謝してよね」

そう言うと自分の荷物を持ってそそくさと保健室を出てってしまった。先輩に直接聞けなかった事などからどんどんと後悔してきた、先輩が今どう言う位置にたたされてるのかは分かったが先輩にとって僕はどう言う存在なのか分かんないしなんで放課後にちょっと話すくらいの仲である僕なんかに話しても良いのかと思ったのかなにもかもが分からないまま保健室の先生が帰ってきて元気なら帰りなと言われ学校を後にしたまま家に帰り着替えてバイトをして接客をしながらもずっと先輩の事で頭がいっぱいだった。

バイト終わり着替えて帰ろうとすると店長に止められた。

「コーヒー一杯飲んでけ」

そう言われた事はなかったのでなにかしてしまったのかと不安になりながら今日は先輩の事で頭いっぱいで上の空で接客してしまったがお客さんに失礼な事はしてないよなとか色んな事を考えたながらカウンターの席についてブレンドコーヒーを出された。

「あの僕なんかしちゃいました?」

考えても埒が明かないと思い聞いてみた

「特に何もしてない」

そう言いながらコーヒーカップを洗って吹きながらいつもの閉める作業をし始めた。

何も聞かない店長に大人な男性の対応をされて勉強になるなんて思いながら丁度外のオープンの看板をひっくり返してカウンターに戻ってまたカップを吹き始めたので自分では解決出来なそうなので店長に聞く事にした。

「あの店長は女性が悩んでいる時どうしますか?」

そう言うと僕の方を向かず作業をしながら口を開いた

「なにをするか状況によるし男女問わずこっちが話さず相手に話してもらい自分は聴く事に徹するだろうな特に女性は話す事が好きな事が多いしそれが解決に導いてくれるかははっきりとは分からないが解決しようと思わない事が一番の必要な気持ちを持つ事が何よりも大切だ。人間なんて結局は他人だから何を考えてるなんて分からないのは当然だ。」

人間なんか結局は他人だなんて家族ですら当てはまる事なのだと思い出した。そのままコーヒーを飲み干して急いで公園に走った。雨が降る中公園のベンチにいつもの公園のベンチに向かって何を言えば良いのかも分からないが店長に言われた事をそのままやってみる事をしようと考えてとにかく今傍に居ようと決めた。

でも先輩は公園にはいなかった。最初は毎日の居る事はなかったが雨が降っていても雨が防げるようになってたので雨も関係なく最近は毎日居たので今日も居ると思い込んでいた自分が馬鹿だった、こんなにも人の為に何かを話しをしようと考えてるなんて今までの僕なら考えもしない事だった、一度失った人間らしさを取り戻せてくれた人に対して失礼な事をしていしまった。思えば先輩のしてきた事は助けて欲しいと思える信号だったのかもしれない僕はそれに答える事が出来なかった、僕は二度も自分を変えてくれた人に対してと後悔で押しつぶされそうになったでも今の僕ならまたあのような悲劇も起こすことは防げるかもしれない後悔をするのはまだ早いと決心したが、今すぐ先輩に会う事は出来ない、先輩の家も知らないばかりかバイト先すらしらないそう思えば先輩の事は何も知らなかった今まで先輩はみじかな友達の話しや授業がつまらないなどそんなたわいもない事ばかりで先輩の本当の心の中に感じてる話はしてこなかった、僕もそんな事しか話さなかったのにあの話好きな人だけど大切な事は話す関係じゃなかった事に後悔を重ねながら家に帰った。

そのままタオルで頭を吹いてシャワーを浴びて何も食べずに床について頭の中で考えが回りながら深く睡眠に入った。

次の日、頭と体のだらさに驚きながら薬を探したが何も家にない事に気付いた冷蔵庫にもろくな食べ物もなければ飲み物もない事実に一人で家に居ると言う寂しさに初めて気付いた僕には学校に休みの連絡をした食べ物や飲み物を頼む事や看病してくれる人もいない、僕の携帯の連絡は店長しかなかったこんな時家族や恋人がいてくれるならこんな寂しい思いもしないで済むのだろうかと思った。家の近くには大学病院があるが風邪をこじらせたくらいで病院に行くのはなんか良いのだろうかと思いそれに家から出る気もしないまあ昨日あんなに雨が降っていて傘もささず出歩いてたので当たり前だろうと思い体温計で体温を測ってみると三十九度を示していたバイト先にも今日は休む連絡してもうやることはしたので眠ろうとしても昨日の先輩の事で眠れなかった,昨日はあんなにも熟睡してたのに今日は眠れないのはなぜなのかやっぱり病院に行くべきなのか風邪じゃなくて睡眠薬だけでも貰いたい気分だった。結局その日は眠れずただぼーとした日になって次の日は土曜日なので部活も入ってない僕からしたら土日バイトだけでただいつもの日常を過ごしていた。日曜日にはバイトをしながら明日先輩にちゃんと話をしようとしていた。

学校に行き朝から先輩のクラスに行く勇気はなく先輩の事で僕に話し掛ける人もいたが有力な情報は得られずただ先輩との関係を聞かれたりしたけどあの人が先輩とつるんでいるからあんな事が起きたなんて言われる始末だった、いつもより僕に嫌な視線を受けてもなぜか視線が痛くもないと思えた自分がいた。

放課後になって先輩のクラスに行こうと教室を出て廊下を歩いていると保健室の先輩が僕のクラスに向かって歩いて来るが正確に言えば僕に向かって歩いた。

「ちょっと来なさい」

そう言われて大人しくついて行く事にした、ついて行くとそこには誰も居ない保健室に着いた。

「あなた、あの子の教室に行くつもりだったんでしょ」

「なんで分かったんですか?」

「そんなのあんな怒った顔で歩いてたんだから分かるわよ。その様子だと朝からは行けなかった感じ?」

なんであの人の周りには僕の考えてる事が分かるんだと思ってしまった

「貴方の行動はあの子が予測してたわよ、まあ行けなかったのならましだけど」

「言うかましってどういうことですか?」

「だって貴方学校では少し話題になってる見たいだけど心当たりない?」

確かに今日はやけに人の視線も話かけられる事もあった

「あんなに人気な子と手を繋いで誰も居ない教室に入って行ったんだから」

そう言われればそうなる事は想定できたけど先輩はそれが分からないなんて事はないし僕がそれを嫌がる事も分かるはずなのに僕は先輩に何も出来なかった、今になってまた後悔してきた。

「今になって後悔してきたって顔ね、まあ貴方の事はあの子からも聞いてるからだいたいなにもせずに別れたって感じでしょ?」

「まあそんなとこです」

「でも何も知らない鈍感な人達には貴方が教室であの子にいかがわしい事したって噂もあるけど」

「そんな事してません!!」

「分かってるわよ、あんたにそんな度胸はないだろうし」

少し心外だと思いつつなんでこの人がわざわざ僕の教室に来て先輩のクラスに行かせないようにしたのか分かった。恐らく先輩のクラスの人間にはイジメの事実は知ってるだろうけれどそれ以外のクラスの人間には僕が先輩に何かしたと言う認識でいるだろうから僕が三年生のクラスの廊下を歩く事ですら暴動が起きる可能性もあるだろうし実際そう言う輩に捕まると何をされるのか分からないのでこの先輩に救われたのかもしれない。

「でもあの子は今日学校に来てないわ」

「なんで?」

「さあ理由は良く分かんないけど先生によれば入院したみたい」

「入院って何があったんですか」

「さあそこまでは教えてくれなかったでも最近なんか悩んでる様子はないかって聞かれたから今まであの子に何があったかはっきりと言ってやったわ」

そう言うとニヤリと口を曲げて楽しそうしていた

「なんか楽しそうですね」

「だって先生何も知らないんだもの本当にそれで教師が務まってるのが不思議なくらい」

「人の気持ちで遊ぶなよ!!」

そうつい怒ってしまった。保健室の先輩は動じる事はなかったそれよりこんな大声で人の為に怒る事が出来た自分に驚いた。

「なんか怒ってる見たいだけど私に怒るのは御門違いよ。まあ気持ちは分かるけど先生もちゃんと事実確認をして関わってる人間に処罰はするって言ってたけど」

そう言われて冷静になってこの人を見るとこの人は楽しんでるんじゃなくてちゃんと怒ってると声色や態度で分かってきた

「すいませんでした」

「何で謝るの?」

「いや先輩もちゃんと怒ってるって分かったのに冷静になって本当に怒るべきは違う人と気付いたので」

「なんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど私は怒ってないわよただ少しばかり悲しいだけ」

「悲しい?」

「そう、互いに小説が好きでねそう言う事で言うと私は小説オタクなとこがあってあんまり価値観が会わなくてでもあの子はそれでも私の話に合わせてるだけじゃなくて自分の好きな本で私が読まない分野とかも教えてくれるから話して飽きないのよ、でも殆どが漫画だけどね」

そう笑いながら淡々僕が知らない先輩の事を教えてくれた。

「でもこの件に対して事実確認して処罰すると言っても詳しく調べたら同じ学年だけじゃなくて学校の殆どの女子に処罰がくだるんじゃ」

そうふとした疑問をぶつけると

「そうはならないだろうね」

「え?」

「だってそんな事したら切りが無いじゃない、せいぜい同じが学年の主犯格だけでしょうね」

「そんな」

「こればかりはしょうがないわよ」

現実はあんなに苦しんだのになんて薄情なんだと思ったがそれよりなんで入院したのかが気になった

「先輩が入院した病院知ってますか?」

「さあ知らないけど多分あの子もここから家が近いしそれを考えるとこの近くででかい病院と言えばあの大学病院しか無いでしょうね」

この近くで入院できる病院は大学病院しかないがそれによって入院せざるをえないと言う事実に何だか嫌な胸騒ぎがした。

その後病室まではさすがに知らないと言われ、だるそうに約束は守ったからあの子に会えたらちゃんと言っておいてと言われた。

そのまま店長に今日はバイトを休んむと連絡をして大学病院に向かった。

病院に着いたは着いたが病室が分からないのではどうしようもないもう正直に受け付けの人に聞くかでも事が事なので事実が病院側に伝わっているとしたら当然通す訳には行かないだろうからどうにもこうにも行かない、そうしても此処まで来て素直に帰る事はしたくないまた後悔で押しつぶされる思いをするくらいなら警備員に止められても行く決意を固めて受け付けの人に向かって足を向ける。

「あの」

「はい。昨日此処に入院してきた女子高生の友人なんですけど」

話初めて気付いたが自分が気持ち悪い入りすぎて受け付けの人も困るしこんなんでは直ぐに突っ張れるに違いないと思ったが現実は少しどころかびっくりするくらい違った

「お名前は」

思った返答とは違ったので少しだけ間が空いて自分の名前を言った

「少々お待ち下さい」

そう言って奥に入ってどこかに電話をかけていた。しばらく経って受け付けの人が帰ってきた

「もうしばくしたら先生がいらっしゃるので椅子に掛けてお待ち下さい」

そう言われた。

時間にして五分辺りか僕の前に細身で疲れからか目の下に隈がある三十代くらいの男性だった優しいくちょっぴりおかま口調で僕にしゃべってきた

「君が噂の子ね、僕が担当してる主治医だよ今から君を病室に案内するね」

「噂ってなんですか?」

素直に聞きながら歩き始めた

「色んな意味でね、正直に言うと僕と親は君を病室に君を入れる事に反対だったんだけどね彼女がどうしてもって今は家族も会えてない状態だけど君だけは必ず来るからってお願いされてそれが彼女にとって前向きに事を捉える一番の薬になるからって言われた時には驚いたよ」

先輩が僕にそんな事を言うなんてどう言う意味かは今考えないようにした

「とにかく許可は出したけど彼女を刺激するのはやめてね、それだけ約束出来る?」

「はい」

「でも話す時間は五分十分になるからそれを守ってね」

エレベーターの乗って九階になるとエレベーターを降りた、先輩がなんで入院したのかとか色んな事を気になったけど先生の雰囲気からそれら全ての理由は答えてくれなそうなので辞めた

、それは先輩の病室に入って先輩の事を見たら直ぐに事態の重さを分からされた。

病室の前に着くと先生は再三時間と刺激しない事を僕言ってどこかに行ってしまった、多分先輩の指示だろうどうしても僕と話したい事があるのかいつもの如く分からない事が多かったがこの扉を開けたら先輩が居るいざ会うとなると色んな事を考えてしまって手が震えてきたが此処まで来たんだと思い勢いをつけて扉を開けた。

「あ、来たね後輩君」

そう一言も言うと先輩の病室は個室で普通の大部屋とは広さは違って狭いはずなのにいつもの先輩の強い声色はなく先輩は顔や体がやせ細っていて一日、二日でこんなにも人は変わるのかと思えるほどの違いように困惑してた僕に向かって笑顔を向けたがそれすらも顔の筋肉が落ちてるせいなのかちょっと前の先輩ではない気がした、一言言うだけでも辛そうで咳が出たタイミングで僕は我に返り慌てて先輩に駆け寄った。

「大丈夫だから後輩君は椅子に座って」

そう言われてベットの隣の椅子に座る、先輩のあまりの変わり様に何を言えば良いのかも分からず事前に考えて来た言葉が全て吹っ飛んでしまい頭が真っ白になった。

「こうなる事は分かってたから本当は会いたくなかったんだよね」

「じゃあなんで僕を此処まで通したんですか?」

「んーそれは多分急に私が入院したって聞いたら後輩君は此処まで来ちゃう気がしたから」

「それは多分僕だけじゃないですよ」

そう言うと暫く無言が続きながら笑顔で先輩が口を開いた

「でも今の私に一番会いたいって言ってくれるのは君だけだと思うんだよ」

実際警備員に止められても会おうとしたのを忘れてた多分先輩はそうなる事を分かってたから僕だけに会ってくれたんだろうと思いこの状態の先輩に家族どころか主治医の人も止めた事も理解できた、僕が先生だとしても今の先輩に同じ学校の制服を着てる人間は会わせられないと思うのは当然だった。これでは薬どころか僕は毒になってしまうそう感じて病室を出る事にして椅子から立ち上がろうとすると

「どこいくの?まだ時間まで九分近くあるよ」

そう言って力のない笑顔で言った。

「でも今の先輩に大切なのは人じゃなくて時間ですよ」

「君も私から離れるの」

そう言って僕の服を弱い力で掴んでる、恐らく今の先輩にある力の全てで僕を掴んでる事が分かった。

「先輩はずるいです」

そう言って先輩の方に目を向けると顔を下に向けていた、布団には少量の涙が落ちていた

「ずるくても何でも良いから今は私から離れないで」

ようやくあのおかま主治医の言ってた薬の意味が分かった。多分今の先輩は全てを失ったと思ってる、僕はこの辛さの味も暗さも知ってる死にたく成る程の時間を一人でその場に居たから。

僕は椅子に座り直し先輩が掴んでた手を取って先輩の目を見て話始めた

「先輩?こっち見てください」

「嫌だ君に泣き顔見られたくない」

「でも先輩が此処に居てって」

「だってそう言わないと居てくれないでしょ」

そう言って頑なに僕の方を向こうといない先輩に僕は今までやったこともないくらいの精一杯の優しさを言霊に込めた

「先輩に言われないと僕は此処から離れるの気も先輩の所から離れる事もしませんだから目を見て話をさせてください」

そう言うと腕で目一杯目を擦ってぐちゃぐちゃになった顔を僕の方に向けた。

「僕は今の先輩の全てを知りませんでも一人になってしまったと思う暗さを知ってます、だけど僕の時とは違って今の先輩には僕が居るじゃないですか、僕は先輩を一人にはしないだから生きて下さい」

そういうと先輩は咳をしながら泣きじゃくって僕の胸を掴み叩いた。

暫く経って先輩の事を見下ろして口を開いた

「落ち着きましたか?」

「うん」

「そろそろ離して下さい」

「嫌だ、君離れないって言った」

「なんで箇条書きみたいに言うんですか」

結局そのままタイムリミットを迎え僕は病室を出ることになった。でも先輩に言いたい事は言った、でも店長の言う通り先輩の言いたい事を聞くと言う事をすっかり忘れてたけどこれで良かった気がする今の先輩には時間だけじゃなくて人が居ると言う事も必要な気がするのに家族は会えてないってのは少し引っかかるけど家族は何をしてるんだろう、この疑問は単純明快で家族が先輩と会わせるの許可を出さないのは当然だった。

同じ時間、病院で先輩の家族と主治医の険悪なムードで話をしていた。

「先生なんであの人を会わせたんですか?」

「この選択が間違いと思っていたんですが正解だと分かりました」

一呼吸もしないで先輩の母親が主治医に向かって言葉を続ける

「何が正解なんですかあの人が何をしたって何度も」

母親の言葉を遮っても主治医には言わなくはいけない事があった

「確かに会わせるの許可を出したのは私ですが会うと言う選択をとったのは娘さんですそれにさっき会った時には私に笑顔でやっぱり会った方が良かったと言ってました、意識を取り戻してから一日経っても笑顔すら後輩君に会わせてと一言しか言わなかった人がこの短時間で力はなくとも笑顔を取り戻せた事に私は意味を感じています」

「そんな」

「母さん先生の言う事が正しいなら今あの子に必要なのは私達じゃなくてあの少年なのかもしれない」

「貴方までそんな事言うの?」

「でも事実だ、今日は帰ろう」

そう言い病院の一室から先輩の母親は涙浮かべて父親は優しく母親に寄り添って帰路に経った。

その日から学校は夏休み入り事情を店長に話してバイトを少し削って少しでも長く先輩の病室に行った、時間は五分十分から二十分になりやがて三十分と段々長くなっていきその時間が伸びていくごとに先輩の顔色も良くなっていった。

その日も病院に行くと病室の外に聞こえるくらいの笑い声がしていた主治医の先生と話してるんだと思ったが中には違う人が居たその人は意外と言えば意外だがそうでもなかった底には僕には見せない笑い方をした保健室の先輩が居た。

保健室の先輩は僕が来た事を確認した事で、その笑顔は消えて

「じゃあ私はこの辺で」

と言い出て行った。

「今は後輩君あの人に見惚れたでしょ」

そう笑顔で僕に言った

「見惚れてません」

「嘘っだー正直に言ってごらん」

「見惚れてないですただ綺麗な笑顔だなと思っただけです」

この人の前では嘘をつくのは無理だと思い正直に自白した。

「正直に言ったのは偉いけどああ言う人が後輩君のタイプなんだ」

「タイプとかはないです」

「今頃それ言う?今の顔見てた時すごく伸びてたよ」

「そんな事ないです」

こんな感じに軽口を叩けるくらいに先輩の体は回復した初めて病室に行った時からまだ一週間だというのに順調に見えるが心のダメージは癒えてないし多分これからも癒える事はないんだと思うのは僕が頭の中で心の中で身に染みてるからどこかでふとした時に見せる寂しそうな目を見ればやっぱり先輩の中で事が消化出来てないんだと実感させられる。僕は前みたいに言葉を選ばず話す事を辞めていた、それを先輩は気付いてか時折間が開くと間髪入れて違う話題に変える時があるでもそれで先輩が本心で話して欲しいと感じていても僕にはそれが出来なかった、それには先輩が入院に至る過程に問題があった。

先輩は服毒自殺をしようとした、睡眠薬のオーバードーズによって倒れてる所を家族が発見して病院に搬送されたこの事によって先輩は嘔吐を繰り返しあんなにも痩せたらしい。先輩の部屋には大量に睡眠薬が発見された家族は先輩の心の変化に分かる事を確認する時間もなく急に倒れた先輩に驚いたようだった家族には学校での事は話せずにいたらしく気付けなかったと後悔の念に押しつぶされそうだったそうだどれもこれも僕があの時ちゃんと先輩と向き合って話しを聞いていたら防げたかもしれないと僕にも沢山の後悔が降りかかった。

この事を先生から聞いたと時はそう思ってしまったが先生からは君があの子に前を向かせて向き合える事が出来るかもしれないと言われ自分にも何か出来るかもしれないと思ったのをきっかけにできる限り先輩の傍に居ようと思えた。

結局学校側はこの事を重く捉え先輩をここまで追い詰めた主犯格の生徒五人を退学にし聞いたが先輩の事を見て見ないふりをした生徒までは問い詰めず結局重く捉えたと言っても正直こんなもんかとがっかりした、でも僕も見て見ぬふりをしたと言うとそうなのかもしれないと僕も同罪じゃないかと思っていた。

「今日は帰りますね」

「あらもうそんな時間?」

「今日はバイトです」

「そうなの、まあ最近ここきてばっかりだから店長さんに怒られてない?」

そう悲しげに言うもんだから此処をでる時いつも少し辛くなる。

「ねえ後輩君、ラインやってる?」

「まあやってますけど」

そう言うと不思議そうな顔した

「やってるんだ」

「なんですか、悪いですか」

「嫌悪い訳ではないけど友達登録何人?」

「なんでそんな事聞くんですか?」

そ言うと当然の疑問だと思うように次次と言葉を並べた

「だって後輩君友達いないじゃん」

「失敬な、まあ間違いじゃないですけど、じゃあ今日はこの辺で」

そう言うと少しいや少しでもない怖い声色で逃がさないとしまいと言葉を続けた

「逃げんなよ」

ここまで恐怖を覚えたのは初めてだった。

「あ、店長さんには駄目だよ」

「じゃあ一人です」

そう言うと目を丸くしてそれは誰なのかと考え始めたけど結局答えは出なかったらしく降参して素直に聞きいてきた。

「誰?」

「保健室の先輩です」

「え、ライン交換してたの?」

「はい」

それは夏休みに入る直前に体調が悪くなって保健室で仮眠を取らせてもらってた時に仮眠を取り終えて目が覚めるたらベットの隣の椅子に保健室の先輩がいた。

「なんで居るんですか」

「だって保健委員だから」

当然だった質問にの対して保健室の先輩は本を読むのをやめることはしなかった。

「あの子どうだった」

昨日の事のように先輩の体の変化がフラッシュバックしてくる

「まあ酷い変わり様でしたよ」

そう言うと本を読むのをやめて僕の方を見てちゃんと話しを聞いてきた

「そうまああんな事があったんだから当然か」

「先輩は間違いなく苦しんでました」

そう声色に自分に対しての怒りを込めて喋る

「君のその自分が全て悪い言い方はやめなさい」

そう静かに僕に叱り始めた

「全くあの子の言う通りね」

「そういうことですか?」

「君は自分を悪くする癖があるって聞いてたから、でもそれは自分にとって他人の苦しみを理解したつもりになってるだけよ」

そう言われればそうなのかもしれないと思ってしまう反面何とも反撃出来ない事実に結局は自分はそう言う人間なのだと理解した

「でも、先輩の事を理解したいって思う事ってそんなに悪い事ですか?」

「悪くはないよ、でもそれで自分が気持ち良くなってる事に嫌気が刺すだけ」

「そんな事」

この人の言う通りかもしれないと思えてしまう自分に腹が立った。

「でもそれでも僕は先輩の傍に居ようと決めました、もう現実から目を背ける事をして後悔したくないんです」

そう言うとさっきまで怖いくらいの迫力があった顔ではなくいつもとは違った笑顔で言った

「まあ人間には時折そう言うお節介が必要な時があるのも事実よね」

その笑顔は優しさに溢れてたこの人は心底先輩の事心配してるんだなと思った。それにそんな事にまだ十八くらいの少女が理解しるって人生何周目なのかとまた新しい疑問が湧いてきた。

「じゃあ現状家族も会えてないのに貴方は会う事を許可されたって事ね」

「はい」

「じゃあライン教えて」

それは予期出来ない事態で頭が混乱した

「何でですか?」

「だってそれしかあの子の現状確認出来ないじゃないの、それに夏休みに入ったら部活も入ってない君は学校に来ないでしょ」

「まあ行かないですしそう言うことなら」

そう言っラインを開いたら急に笑われた。

「なんですか」

「だって友達登録一人ってもうそんなの必要ないじゃない」

そう言われて少し苛立ったが間違いではなかったのでどうしようもなかった

「で、結局はその一人って誰なの?」

「バイト先の店長です」

「クラスラインとかも入ってないの?」

「まあ、それでもなんとかやれてるし出来てるのかも知りません」

「普通あるでしょ」

そう言うものなのかと思いながらも結局は僕にはそう言うものを知らせないということは僕にとってないものだと思うの

「やれてるってこれから文化祭とか体育祭とかクラス行事で必要でしょ」

「必要なら呼ばれるでしょ」

「そうやって人と関わりを避け続ける気?」

「べつに避けてる訳では」

「嘘、君の奥底に君がそう言う人間になったきっかけがある気がするのは気のせいかしら」

まるで僕の事の全てを知ってるような口ぶりだった。それはまずい、わざわざ五百キロも離れた高校に通う選択をして学校おろかクラスの人間にも知られてない事実を知ってると言うのか

「まあいいや、ライン教えて」

「え?なんで?」

「なんでってあの子がそうなってるかって君しかいないし」

まあ会えるは僕しかいないし当然と言えばそうだろうからこの人も最初は薄情な人間だと思ってたけどそれなりに他人を想える優しい人なんだろって思った

「君今私に失礼な事考えたでしょ」

「そんな事ありません」

「嘘」

「嘘じゃないです」

そう言って僕のラインを教えた、そうすると友達登録の人数が一人増えたと言う事実に少しで嬉しくなってしまった。

「嬉しい?」

「べつにそんな事ないです」

そう言うといつもの嫌味が込もった笑顔を僕に向けて言葉を放つ

「その割に顔が緩んでるわよ」

そう言われはっとして顔に手がかかる

「嘘よ、君って本当に嘘にまみれてるね。そこまで君みたいに嘘にまみれてる人なかなかいないよ本当の君はどんな顔すんだろうね」

この人は僕の犯した過ちを知ってるんだろうか確かに名前を変えてないし年齢を合わせれば結びつく可能性はあるがこの人は何を知ってるのだろうかいやあの事件だけでなく僕自身分かってなるかもしれないあれいらいばれないように色んな仮面を被って人に接してきたでもこの人はその仮面の中を見られてるみたいで怖くなった。

「じゃあ僕は病院に行くので、何かあったら連絡します」

「そうじゃあね」

そして一人になった保健室での独り言が細く響く

「んー、ここからなのにな。私が知りたい事あとちょっとで聞けたかもしれないのに」


そうして初めての友達登録何人をした経緯を先輩に話した

「ふーん私が初めてじゃなかったんだ」

「もしかして嫉妬してます?」

「そんな事ないよでも君を見つけたのは私だったから残念と思っただけ」

それを嫉妬と言うんじゃないだろうかと思ったが口にはしなかった

「もう学校では夏休み入った?」

学校の話題はなるべくしないようにしていし僕はなにせ友達はいないので話す事と言えばバイト先の客の話しくらいなのでそれにも飽きたのだろうそれにそんなに人を楽しませれる程の会話力は持ち合わせていないもしそんな会話力があれば友達の一人や二人出来たかもしれない。

学校の話しをするのは少しきが引けるけどそれも先輩のとった選択なら良いかと思った

「はい」

「後輩君は部活に入ってないの?」

「入ってません、面倒だし」

「へーもし入ろうと思ってたら何部にする?」

「人の話し聞いてました?面倒なのでそんな事考えた事もないです」

「もしもの話しだよ」

「まあ入るとしても文化部でしょうね」

「だよねー後輩君に運動部似合わないもん」

「失礼ですね。それに似合う似合わなで入る訳じゃないでしょ」

「そう私の周りではモテたいとかって理由で運動部に入る子もいたよ」

多分友達だったであろう人の話しをする、もうその人の事は友達でなくただの知り合いであると認識できてる事に先輩のメンタルが回復してる事に喜ぶべきなのか悲しむべきなのか正直よく分からなかった。

「もうそんなに気を使わなくて良いよ」

「え?」

「だって君が態と学校の話しをしないようにしてた事気付いてたから、それとも学校の話し出来ないくらいの暮らしぶりなの」

そう言われると間違いではないのだがそれよりも気付かれてたのかだとするといつから、いやそんな事はどうでもいいそれに気付かれたとしたら先輩に少しでも考えて欲しくない事だったので僕の嘘の付きぐわいを恨んだ。

「いつからですか?」

「んー何となく最初から」

「そうですか」

「でも後輩君にそんな気を使う事が出来るとは思わなかったな」

「僕の事のどう思ってるんですか」

「そうだな。君の事は悪魔かな」

「悪魔ってそこまで、酷いですね」

僕にとって先輩の方悪魔に感じるけどそこは追求しなかった

「あー夏休みなのに入院って勿体ないなー」

「まあ飽きますよね」

「そうだね、まあ最近は外に散歩させてもらえるくらいにはなったし後輩君以外にも人は来てくれるようになったけどでもさすがにこの部屋の景色にも飽きるよねー」

「家族とも会えたんですか」

「うん、それだけじゃないよたった一人になってしまったけど友達も来てくれたしクラスメイトも来たり君が居ない時は沢山の人が来た。」

その事実に僕はどう反応するのが正解なのか先輩にとっては会う事を許可してる訳だから良いのかもしれないけど僕は怒るべきなのか喜ぶべきなのか心の中の感情の海で溺れそうになる。

「家族と保健室の先輩は分かりますけどそれ以外は良んですか?」

そう言うと少し声のトーンを落として先輩が口を開いた

「うーん、まあ最初はどの面下げて来たんだよとか思ったし学校の事実確認として先生も来たけど正直処罰されるまでに随分と掛かったし人数も理解出来ない事ばっかりだけどざまー見ろって感じた時にはもう吹っ切れたしそれに私がいない学校の事や部活の事も教えてくれて面白かった私は部活入ってないし引退したとかここからとかそう言う話しを聞くのも悪くないかなって思えた」

「そうですか」

先輩以上に僕は少し怒りを覚えた、今さら先輩に謝ったって先輩の心の傷が癒える事はないし見て見ぬ事をすることは確かに学校のヒエラルキーの中で生きる僕達にとって時には必要である事は理解出来るでもそれをしといて今になって謝って、はいこれで良いでしょ、なんて虫が良いのではないか。

ただ吹っ切れたとは言え先輩の顔は解決に向かってるなんてこれっぽっちも思えない程静に怒ってる事も分かる程に怖い顔をしていた

「先輩の苦しみを理解出来る人は多分居ないと思います」

「そう?じゃあなんで後輩君は此処に来てるの?」

「最初は先輩に対しての贖罪でした、でも保健室の先輩にそれは自分に酔って自分だけが気持ち良くなってるだけど言われ気付きました。確かにそうだと、結局人の気持ちなんて口にしないと分からないものです友達であっても家族であってもそれは例外はない、でも僕はそれでも先輩が何を考えて何をして欲しいと分からなくても傍に居たいと思ってるのでそれが先輩にとって邪魔でも僕にとって初めて生まれた感情なのでそれを大切にしたいと思ったので僕はなんと言われても先輩の傍にいます」

「ふーん君にもそう言う感情があるなんてね。でもそれに気付くには少し遅いんじゃない?」

「そうかも知れません」

少しの間が空いた

「私ね退院したら学校に戻ろうと思ってるの」

「辛くないですか?」

「うん、って言ったら嘘になるかもしれないけどもう少し君を見ていたと思ったから」

「それが本当の理由ですか?僕にはそんな価値あるとは思えませんけど」

「良いのそれで」

きっと家族やあのおかま口調の主治医には反対されたろうに、それでもあの学校に戻ろうとすると言う事を先輩が選んだのなら僕にそれを反対する事は無粋だろう。

「ねえ少し散歩しない?」

「良いんですか?」

「うん先生に許可もらってるから」

そうして病室を出て病院の敷地内にある公園ような緑がある所にぽつんとベンチがあった

「そこに座ろう」

そうして病室には感じれない夏特有の蒸し暑さを感じながら自動販売機で買ったジュースをもちながらたわいもない話しを繰り返す。その中には先輩が今のクラスメイトに対してどう思ってるかなどの重い話や学校に戻ったら何をしたいのかなどのとても濃い話をした。

その時ある男性と女性が僕達に近付いてきた。そして先輩が慌てた様子をした。

「まま、ぱぱ何で」

その一言でこの二人が先輩の両親だと思い挨拶をしようとした時だった、急に先輩の母親に殴られた

「なにするんですか」

僕が怒るとそれ以上の怒りを込めた声で僕を罵倒し始めた

「貴方が何も知らない愚か者だから」

「どう言う意味ですか?」

「貴方が私達の幸せを奪った」

「もう辞めて!!約束したでしょ」

そう先輩が大声出して自分の両親をこの場から立ち去るように言い始めそれに従うように何も言わずにそのまま先輩の両親は僕達とは反対の方角に歩き始めた

「ごめんね」

「約束ってどう言う事ですか?」

「まま達は私がこうなった事を貴方のせいだと思ってるみたいで」

「そうなんですね」

確かに僕も先輩と一緒に居たのに何も出来なかったと言う意味では僕も加害者である事には違いはないのだかあら親が怒るのも理解は出来る。

僕達は先ほどの楽しい談笑をしていた時とは全く違う感情を抱えて病室に戻る事になった。

そして親がそう言う認識でいるなら僕は病院に行く事は良くないのではないのかと思い暫く病院に行く事は辞めようと思った。


先輩の病室に行く事を辞めてから暫く経った日にちにしたら一ヶ月半あたりか、この期間先輩からラインは来たがバイトが忙しいと言う事で通した。多分先輩も僕が行く事を辞めるだろうと踏んで親とは会わせないようにしていたんだろうとしていたのだろうから最初はしつこく見舞いに来いと連絡してきたけどそれも三日と続かずバイトを元のシフトに戻して僕にとっては先輩と会う前に戻った日常だけど前とは違うのは常に先輩の事が頭の中ある事だった。例えばこの日々は先輩と出会ってしまった事で灰色に見えてしまう。

この灰色の日々に一筋の光が刺した。それは突然の先輩からの連絡だった。

「ねえ明日空いてる」

明日はバイト三昧だった僕にとって久しぶりの休みだった

「何もないですけど」

「じゃあ夏祭り行こ!!」

そう可愛い絵文字を多用した連絡が来た。断る理由はなく少しこのまま何もなく華の高校生活の初めての夏休みを終わるのかと思っていたのでとても楽しみなたった一つの予定が出来た

「分かりました」

そう返信をしてその後集合場所などの細かい連絡を繰り返してそのままその日は早めに寝ることにした。

次の日昼間に集合した、夏祭りに行く前に少し買い物がしたいと言う事で若者が集う渋谷に行く事になった。

集合時間より十分前に着いた、先輩と初めてそとに出かける事になった事になったので少し緊張していたそれに僕にとって初めての渋でありこんなにも人が多いのかとハチ公前の人の多さに緊張がマックスに達した時だった

「待った?」

普段とは違うガーリーな格好をした先輩に思わず戸惑ってしまった

「何か言ってよ、もしかして緊張とかしてた?」

緊張していた事を瞬時に見抜かれた事よりもいつもよりメイクも詳しくないが可愛い感じに仕上がって元々可愛いよりの顔付きをしていた事により可愛さを際立てていた、多分顔だけで言えばそこら辺のモデルや女優より可愛いと思ってしまった。

「こう言う時出来る男人は今日の服可愛いねとか言うんだよ」

「へー勉強になります」

「うんちゃんと勉強したまえ。じゃあ行きますか」

そう言うと一○九へと入った

入ったら目が痛くなるほどに壁一面にピンク色が覆っていたそして階段までもカラフルに彩られていた周りを皆女性しか居ない男性は殆どがカップルだ、僕は来た事に後悔するほどに場違いだったそしてカラフルな階段を三階まであがって先輩がお目当てなお店があったのか目をきらきらさせている方を見るとなにやら行列が出来てる、そこに並ばされた。

「此処何屋ですか?」

「此処はクレープ屋さん」

「なんでこんなに並んでるですか?」

「今日と明日しかやらないコラボしてるお店だからかな」

なにとコラボしてるのかなど気になる事は沢山疑問が出るが時間てきにお昼時なのか此処が人気なのか知らないが僕達の後ろにもぞろぞろと人が並んでる。

やっとの思いでレジまで来たがかれこれ三十分くらい並んでやっとの思いで注文が出来る先輩はすらすらと注文を済ませた。

「後輩君はどうする?」

そう言われ僕も何か注文するように聞いてきたので此処まで並んだのだから買うつもりは無かったが折角ならとメニューを見るとでかでかと一番でかく一番人気と書いてあるものにした今日と明日しかやらないのに一番人気ってなんだよと思いつつ注文を口にしてふとメニューを見るとカップル限定と書かれてる物がある事に気がついてそう言えば先輩が頼んだ物がそれだった事から今日僕を誘った理由が分かった

「先輩もしかしてこれの為に僕を読んだんですか?」

「まあそれもあるね」

思わず溜息が出てしまった

「あ、今溜息ついたでしょ」

「しょうがないじゃないですか」

「まあまあ今日はこれだけじゃないから機嫌直して」

そう言い丁度クレープが届いたのでそれを持って歩き始めた。

「うーん、美味しいやっぱ並んで良かったわ。後輩君も機嫌直してさあお食べ」

そう言われてこんなに並んで美味しくなかったら流石に腹が立つ何故なら僕は大の甘党なあのだ。一口口にすると違う意味で腹が立つくらい美味しかった。

「どう美味しいでしょ」

「まあ美味しいと言えば美味しいですけど」

「もう素直じゃないんだから、でも並んだのは後輩君への罰だから」

「え?」

何のことから分からず混乱したが先輩の次の言葉で理解した

「君私から離れないって言ったのに一カ月半もほったらかした事への罰」

そうはっきりと言われてしまったのだからもう怒れない

「すいません」

「まあまま達とブッキングさせてしまった私も悪いけど」

「ブッキング?」

「そうままが後輩君と会うとああなるって分かってたから会わないようにしてたんだけど急にまま達が来ちゃったから防げなかった」

「それは先輩のせいじゃないです」

「また君はそうやって自分のせいにする、その癖直した方が良いよ」

「はい」

ちょっと暗い空気になりかかったがそれを振り払うように

「次行くよ」

と言って僕の手をとって笑顔で走る。これはもしや青春と言うものなのではないのかそれを体現出来ている僕とはほど遠いものだと思っていたものが実はどうやら最も近いものだったらしい。

そのままクレープを食べて先輩が行きたかったおしゃれえな服屋を巡って終わりかと思った瞬間に別のメンズ服のお店に入り僕の服を見定め始めた

「んー後輩君にはこんな格好いいってよりアンニュイな暗い感じの色が似合うね」

「いやいや何で僕の服を探してるんですか?」

「いやだってバイトの時いつもその服だったしお見舞い来てくれた時も殆ど同じ服だったし服ないんだと思ってたから」

いや服には全くと言っても興味はないし家にも上下に合う服は三着くらいしかないがそれで事足りるので要らないと思ったが折角先輩が見定めるのなら良いかと素直に任せる事にした。

そうして色んなお店を回って先輩がずっと観たかったと言う映画にも行った、そんなこんなしているとあっという間に夕方を過ぎて時間は夜になっていた。

「あー映画面白かったね、どうだった?」

「まあまあでしたね」

「それ面白かったって感想言ってる人の前で言う普通」

ちょっと怪訝そうな顔で僕にもう一度感想を言ってみろと訴えかけてくる

「主人公が彼氏に選ぶのがそっちなんだと思ったです」

「そうだよねー、私だったらもう一人のイケメンで気遣いが出来る方選ぶけどなって思いながら観てたよ」

「先輩のタイプってああ言う人なんですか?」

「タイプって言われるとちょっと違うけどまあ気遣い出来るイケメンって誰でも好きじゃない?」

「そう言うもんですか」

「まあね」

女心は分からんと思いながら花火が上がる神宮球場前に向かっていた。

花火を見るのにこんなにも人が来るのかと圧倒されるくらいの人が来てた

「花火って人集まるね」

「そうですね」

「手繋ごうか」

「え?」

「だから手繋なくちゃはぐれちゃうでしょ」

「そうですね」

ちょっと照れくさいと思いつつ手を繋ぐ、先輩の手は暖かかった。

そんな照れくささを掻き消すように周りがざわざわしてきた

「そろそろ花火上がるかもね」

そう言われて今日なかなか言えなかった事を言おうと思った

「先輩に昼間言い忘れたんですけどメイクいつもより可愛いです」

そう昼間の勉強したことをしてみた所先輩は何も言わずそっぽを向いてしまった。何か言い方が悪かったのか気持ち悪かったのか何はともあれ気を悪くしたのかと思い誤ろうと思った瞬間花火がでかでかと打ち上がった、それにびっくりして思わず体が跳ねた所を丁度先輩に見られていた。

「そんなに花火にびっくりした人初めて見たよ」

そうけらけら笑う先輩を見てお二カ月前の先輩とは全く違う人になってる事に気付いた。

心底今日は来て良かったと思えた。


そうして夏休みが終わり明日から学校が始まると言うタイミングで先輩からラインが来た

「ねえ明日一緒に学校行こ」

多分いや十中八九先輩は不安なのだと悟った。当然だ覚悟を決めてまた同じ学校、クラスに向かうのだから不安にならない訳がない僕はそう思いながら返信した

「分かりました」

丁度学校に行くのにはあの公園があるのでそこを集合場所にすることにした。

朝公園には既に先輩は先に来ていた

「おはようございます」

「あ、おはようちゃんと夏休みの宿題はやったのかい?」

「もちろんやってますそう言う先輩こそやったんですか?」

「時間はたっぷりとあったからね」

「登校するにはちょっと早いですね」

「そう?ちょっと緊張しちゃってあんまり寝れなかったんだよね」

「先輩でも緊張するんですね」

そう言うと直ぐに反撃してきた

「まあちょっぴりだけ」

少しの間が空いて歩き始めると先輩は足を止めた

「嘘、緊張してきた」

今更訂正し始めた、まあ無理はない事だが

「やっぱり今日は辞めときますか?」

「え?」

まさかそんな事言われないだろうとでも思っていたのか先輩は何とも言えない顔をした

「辞めるって学校さぼるって事?」

「はい、勿論いつかは学校行かければいけないでしょうけどそれは今日じゃなくてもいいんです。先生にそう素直に言えば理解してもらえると思いますよ」

そう言うと少し悩んで答えを出した

「私学校はさぼるの初めて」

「そうなんですね、僕なんてもう常習犯です」

そう笑いながら答えた。

「笑い事じゃないでしょ。でもそんなに休んでたの学校では結構見てたけど」

「高校はちゃんと行ってますけど、小中学校は不登校です」

「へーそうなんだでもちゃんと更生したのね」

「更生と言うかなんと言うか結局高校って義務教育じゃなくなるし高校受かった時高校はちゃんと行こうかなってなんとなく思ったんです」

「なんとなくか」

「はい、なんとなく。結局は友達に会いたいとか恋人に会いたいからとかもちろん色んな理由は人それぞれあるでしょうが僕はなんとなくって軽い気持ちで通っても良いと思ってます」

「そっか、なんかありがと」

「なんかってなんですか」

「なんとなくはなんとなくよ、でもちょっと気持ちが楽になったよ」

「それは何よりです。じゃあマクドでも行きますか」

「マクドって朝マック?」

「はい」

そうして僕のちょっと後ろを歩いてた先輩が僕の隣に来て歩き始めた。そのままマクドの行って三時間くらい談笑して先輩は家に帰るって言うので帰る事にしてその帰り際先輩が、

「明日も一緒に登校しても良い」

そう聞いてきたので僕は

「勿論」

そう答えて僕も家に帰ってバイトに行き次の日も一緒に登校したのだがやっぱり先輩の顔には不安が残ってた。当然だったが先輩はその日勇気を持って学校の敷地を跨いだ。

それから次の日とまた次の日としだいに毎日先輩と登校することになった、それ以外にも毎日の光景はもう一つ増えた。それは保健室で保健室の先輩と僕と先輩で昼ご飯を食べる事だった。先輩達は午前授業なので学校に残る事はしなくて良いのに僕と昼食をとる事為に学校に残った。保健室の先輩は最初こそ面倒くさいだなんて言ってたけどいつも最初に保健室に居た、それは保健室の先輩も先輩の事を思っての事で先輩にも学校で笑顔を取り戻せていた、あいかわず保健室の先輩は面倒くさいって口癖のように言ってたけどその照れ隠しを追求する事なんて無粋な事はしなかった。

そのまま月日は流れて文化祭もあり互いにクラスの仕事を片付けて二人で回ったりもした、先輩のクラスでの生活は知らなかったけど保健室にでの生活が僕にとって学校に行くのが楽しいと思えるのには充分だった、ただその間にも先輩に恋をして告白する人間は居たがそれに先輩は上手くかわして文化祭マジックに賭ける生徒も居たけど全部断ったそうだ。僕がなんでそんなに詳しいのかは保健室の先輩がそれを面白がって僕に逐一報告してきたからだ

「貴方また一人丁寧告白断ったみたいね」

それが一番最初に聞く先輩の話しが続いた日もあるくらい愚かな生徒が多かったけど僕らの中では会話の種になるお粗末なものだった。

そして十二月を回って先輩の受験勉強に付き合ってマクドで勉強するのが日課なってその間に僕の勉強も教えてくれた事もあり先輩は勉強が出来たみたいで僕が教わる事が多かっただから先輩にとって足風になってないか心配になったが先輩は

「私の受験先は勉強しなくとも受かるから」

「そうなんですね。そう言えば先輩の志望校どこなんですか?」

「それは教えられないな」

そう得意げな笑顔をしても顔を僕の方に向ける事はなくノートに向けられていた

「そう言えば明日暇?」

「まあ何もないです」

「あんなバイト熱心の後輩君がクリスマスに暇なんてびっくりだね」

「そう言えば明日クリスマスですね」

「明日渋谷にイルミネーション見に行こ」

「良いですよ」

そしてクリスマス当日先輩の服好きにつられて僕も服に興味を持ち始めて今まで冬に着るのはジャージーくらいだったのにお洒落なトレンチコートなんて物に手を付けた、と言っても一着しかないが。

それを先輩の服は先輩を待った。

「やあ待った」

そう言う先輩はまた僕を越すお洒落をして真っ白いマフラーを着こなして来た。

「待ってなです、僕もさっき来たとこです」

「お、君もそんな気遣い出来るくらいに成長したか」

「何ですかそれ、そんなふざけた事言ってないで行きますよ」

「はい」

そう言って僕に手を出してきた

「はいはい、はぐれますもんね」

そう言って手を繋ぐ、相変わらず先輩の手は冬だと忘れさせるくらいに暖かかった。

すっかり時間は夜になって周りはカップルで溢れていた、僕達も周りにそう思われてるのかと考えただけで楽しくなるそして用意してきた言葉をいつ言うかタイミングを伺っていたそうこうしてると会場に着きいきなり先輩が一言

「写真を撮ろう」

そう言ってスマホを手にとった、写真なんて撮った事はなかったので緊張して真顔になってしまった。

「君はこんな時でも笑顔は見せないんだね」

「笑顔が良いかったですか」

「いやこれで良いやその方が君らしいし」

そう言ってみ嬉しそうに撮ったばかりの写真を見ている、今だって思ったここしかないロケーションもタイミングもバッチリだったので用意してた物を先渡す渡す。

「はいこれ」

「なにこれ」

一瞬困惑して僕が渡した箱を見つめている

「クリスマスプレゼントです」

「ありがと、開けていい?」

「はい」

そして箱を開けると中には先輩なら選ぶだろうと随分悩んで買ったネックレスが入っていた

「ネックレス?綺麗ね四つ葉のクローバーなんて」

「一日しかなかったので随分と悩みました」

「そうなんだ、ありがとう嬉しいよ」

「お気に召したのなら悩んだ甲斐があります」

嬉しそうにそして大事そうにバックの中には閉まった

「先輩に言いたい事があるんですけど良いですか?」

そう言うと先輩は僕の方を見てそれを防ぐように僕に手紙を出した

「それ私からのプレゼント」

「ありがとうございます」

「恥ずかしいから私が卒業した後で読んでね」

「普通家に帰ってからとかじゃないんですね」

「うん、多分会うの今日で最後だから」

「へ?」

休みはまだあるけど三年生は新学期なったら殆ど学校に行かない事になるけれどそれはどいう事なのかと言う疑問で用意してきた言葉なんて言えるはずもなくそのまま家に帰る事になった。

「後輩君は好きな花はある?」

「花ですか」

「うん」

「白の彼岸花ですかね」

「へーそうなんだ、なんで?」

「今の僕にはこの花の花言葉がなにか期待させてくれる気がするので。先輩は?」

「んー花言葉で言うなら四つ葉のクローバーかな」

なんでこんな話しをするのか分からなかったがこの会話が先輩との最後の会話になった。

そのまま年を越して学校が冬休みを開けたがそれ以降先輩を学校に来る事はなかった、あんなにも学校が楽しいと思えたのに僕の景色はまた彩りのない灰色に変わってしまった。

保健室の先輩に聞いても答えてはくれなかった、卒業式に行こうかとも思ったが最後の先輩の寂しそうな顔がフラッシュバックして行けなかったそして卒業式を迎えた日僕は先輩に貰った手紙を開いた。

そこにはこう印されていた。

「後輩君君は偉いね、私の言いつけを守って卒業式にも来なかったなんて。

私は一つの過ちを犯してしまった。それは君を好きになってしまった事。

それは私の二つ離れ死んだ弟になんて言えば良いのか分からないよ。

君は常に自分の中の自分を殺してたんだよね多分自分が弟を殺したって言う事が原因なのかもしれない、私があの日君に話しかけたのは弟が君だけは恨ないでなんて小学生にしては遺書なんて用意して自殺してしまったからそんな君がどう言う人間なのか確かめる為に君に近付いたんだ。私は知らなかった弟がイジメに遭ってた君を助けて自分がイジメられる側になりそれに君が加わった事が決定打になって弟は死んだ。だけど今更君の事を恨む事は出来ないだって君の事を好きになってしまったからだから君には志望校は伝えない私の事を着いてきてしまわないように。どうやって君に辿り着いたかは随分と苦労したよでも名前を替えていない事で実際簡単ではあった。これからはそう言うとミスはしちゃ駄目だよ、これが私に出来る最後の君への駄目出しだねそれじゃあ精々人生を楽しんでね。」



「久しぶりー」

「お久さ」

高校を卒業してから三年がたった都内の夜、居酒屋で高校の同窓会があった。

「三年ぶり?皆変わってないね」

「当たり前だろ三年でそんなに変わらないだろ」

楽しく人間のとても人によって変わるが高校三年間を楽しい青い青春を語るには談笑すれば時間は早く感じる事だろう。そうして禁断の話題に移り変わる

「そう言えば一人足りなくね」

「そう?」

「だって学校三年間同じクラスでそん中退学した奴いないし」

「確かにクラス三十人だし今いるのは」

そう此処にいる人間の数を数えて行くと二十九人しかいな事実に此処にいるの誰もが気付いた

「当時のクラスライン見てるけど三十人いないよ?」

「いや一人だけ、あいつ誰だっけ三年間誰とも殆どが喋んなかった奴いなかった?」

そう一人が言うと事実に気付いた

「あー確かにいたかも」

「でもなんでラインにいないんだ、退会してもないし」

「そもそも入ってないんじゃない?」

「いや全員入れたはずだけど」

「でもライン入ってないしインスも知らないなら連絡のしようもないし仕方ないっしょ」

「おい、そう言えばお前大学デビューして金髪にしてたけど高校の時陰キャだったんだからなんか知らないんか」

そう言うと今まで黙っていた金髪の男性が重く口を開いた。

「あんまり喋ってなかったけど確かに一人だけ此処にいない人がいるけど」

男性が思い雰囲気で語り始めた事で周囲の人間も黙って男性の話しを聞き始めた

「皆覚えてない?」

「何を内のクラスで小学生で俺らが1年の時ある先輩の弟を殺したって事件起こした奴が居るって」

皆当時態と口にはしなかったけど近くに殺人者がいると言う恐怖に怯えておまけに誰とも喋んない不気味さでクラスラインにも入れてない事に気付いた瞬間にまた空気が重くなる

「確かにそんな事会ったけど結局は本当なのか?」

「本当だよだって弟を殺された先輩が僕らの学年にそいつが居ない時色んなクラス回って事件の新聞と当時の事件のネットニュースの画面開いて『そいつとは仲良くするな殺されるぞ』って脅して回ってたんだから」


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