恋死

やと

第1話

僕には何も取り柄がないし何も出来ることがない、スポーツなんかもスポーツテストなんかでもC以上とったこともないし勉強も七十点以上とったことがない。皆に自慢出来ないし,かといって出来なさすぎる事もないのでまず人に興味持たれる事もなかった、僕も人にあまり興味を持つことはなかった、なので僕には彼女どころか友達すらいない、授業とかで喋らなければいけない時など休み時間などで本当にたまに話しかけてくる物珍しい人もいたが休みの日などでクラスメートなどと外に遊びに行くことは一度も無かったなので中学の修学旅行なんかは地獄でしか無かった、行く前の班決めは快く班に入れてくれる人もいたが迷惑そうな目線を向ける班の人もいた。

それ以外は可哀想な目線を向けてくるなんてことが多かった、特に迷惑そうな目線である後者の方が多くこれなら行かない方が良いのじゃないかと思ったのだが先生の強い要望で仕方なく行く事にしたのは良いが終始ほぼ喋ることなく終わり。行った後でも行かなければ良かったと強く後悔した。ただ上っ面のつきあいなら何度かあった,誰とも仲良くもない人間とたまに話しかけてくれたりなど、はたから見たら寂しい人生と思われるかもしれない,ただ小学生、中学生、高校生として過ごすともう寂しいなんてことは思はなくなるには十分過ぎる時間だ。そして僕は高校三年生になったが休み時間友達と馬鹿なことを言い合ったり、放課後買い食いしたり、休みの日に人と遊びに行ったこともないし学生らしいことは何もしていない、親は高校生になれば気の許せる友達が出来る友達や彼女なんかできるかもしれないなんてことを言っていたが僕は最初から期待してないしてなかったし欲しいとも思はないため自分から行動もしない、そして十七年生きてきて分かった事がある、灰色の人生を送っていた奴が薔薇色になる事はない。

高校三年になり高校生活も後一年になる、もう三年になってから一ヶ月経とうとしているので一年もないが、未だに友達と呼べる人はいないに等しい 。

「おい、聞いていんの?」

こいつは柴山薫、こいつとは一年の時から同じクラスで僕の顔を見るなり何なり話しかけてくる、こいつのせいでゆっくり穏やかに過ごすはずだった高校生活が工事現場なみに物音を立てることになった、まあ学校で毎日人と話すなんて事が起きるのは小学生の低学年ぶりだ、嬉しくはないがまあ話し相手がいるのは良いものなのかどうなのか未だに分らない。

「なに?」

「昨日さ彼女に振られたんだよね」

「また?この前も同じ事言ってなかった?」

「前とは違う子」

柴山は二、三ヶ月に一度彼女がこうやって入れ替わっている気がするが、なぜこんな奴に女の子は近づくのか僕には全く理解が出来ないのだが。

「またか、ほどほどにしときなよ」

そう言いその場を足早に去って行く。

「はーい、ホームルーム始めるよ」

先生が教室に来てそう言う。

ただいつものように五分も掛からずこの時間は終わる 。

ホームルームが終わるとクラスの人は殆ど部活や友達と帰る人や寄り道する人が殆どで放課後教室に残る人は僕しかいない、それも当然で三年生になると授業は土日は学校ないので火曜と木曜以外週三で四時間、今日は水曜日なので四時間だから皆昼ご飯を食べる為お店に行き部活の人はその人達と視聴覚室が用意されそこでご飯を食べたり時間を潰す、僕は何をするのかと言うと本を読む、僕は誰もいなくなった教室で一人本に没頭出来るこの時間が好きなのだ、このために学校に言っていると言っても過言ではない。夕日が差されながら本を読むこの時間が僕のストレス発散になる。

いつものように本を開き本の世界に入る。

「おい」

急に耳元で大声を出されたもんだからビックリした

「え?」

「え、じゃねぇよ、何回も声えかけたんだけどお前大丈夫か?下校時刻過ぎたから早く帰れ」

そう言いおじさんの先生は足早に隣のクラスに行った。

「そんな大声出さなくても」

いつも草臥れた顔をして僕にとって至福時間の終わりを告げにくる。

そうつぶやき、本をバックにしまい学校を出る。

学校から家までは徒歩で三、四十分くらいだ、殆どの人なら自転車を使うだろうが僕は歩く事が趣味というか、好きな為この距離を歩いて登下校をしている、一回学校の最寄りを通るのだがここに来るといつも思うことがある、母親と小学生くらいの女の子が仲良く手をつなぎながら歩いていたりするこの女の子ももう少し年を取ると普通なら反抗期で手をつなぐことや必要最低限の事以外話さなくなるだろうし、余程良い子に育たないとそれ以外は無いと思う。親は分っていると思うがこんなこと出来るのは今だけだ。小さい手が軈ては大きくなるその手がいつか親ではなく大切な人に変わる時がいつかは来るのだろう。それを親はどう思うのかいつかは僕にもそんな相手が現れるのかもしれない、この子を見ると毎回そんな夢物語を考えてしまう。僕はいつも自分ではなく他人が変わる事を期待してしまう、悪い癖だ。後はその反対側の歩道を歩いている疲れた顔してコンビニ袋を持ち歩いている。これは家族がいて帰宅した瞬間子供や妻の顔を見て仕事の疲れなんて吹き飛ぶタイプじゃなく家に帰っても一人しかいなく一人でご飯を食べているタイプ、つまり後者の方だろう。いつもこんなこと考え勝手に人の家での姿を想像している、たぶん気持ち悪いと思う自分でも思うのだから尚更だ、人間観察が好きなで趣味の内の一つである事に対して気持ち悪いかもしれないけどこの学校

と言う一つの箱庭で生きてく事も良い事ばかりではないけどこの一つの趣味のおかげで乗り越えられている。この性格の悪さが友達も彼女も出来ない一つの原因なのかもとマスクの中で溜息をつく、そんなこんなしている内に家に着いた。

僕の家は都内にある高級マンションだ僕が高校生になり始めてきた時に一目見ただけでそう思ったのだから多分そうだし気になって引越当初家賃など諸々調べて一人ででかい声を出してしまったくらいだ、家は最上階で二階建て一階にはリビングとお風呂、お風呂には成人男性が二人入るくらいの露天風呂があるこれは両親のたっての希望で作ったらしく、ただとても掃除が面倒くさい。そして台所さらに一部屋父親が使っている、二階には部屋が四部屋そのうち一部屋は自分が使いもう一部屋は母親そしてもう一つは書籍になっている、今親は海外で自分の会社を持ち仕事をしているので僕はこの家に一人で暮らしているただ、この家に一人で住むには広すぎるし何より全部掃除するのに三十分以上掛かる有様でまあ時間がかる。その上親は本当に滅多に帰ってこない、僕がこの家に住む前に叔父、叔母と一緒に住んでいた時は日本に帰ってくる時は此処に帰ってきた時はあったらしいが僕が高校に行く事になってこの家に引っ越してきてからは帰ってこない、なんでここ三年くらい日本に帰ってない僕がここに住んでからいちいち掃除とかを気にすることがなくなったらしくちょくちょく帰るのをやめたらしい、僕が小学一年生か二年生だったときに一緒に三者面談に行ったきりまともに顔を見ていない、本当にたまに電話が来るくらいで自分から電話をかける事はないのでここ一年顔も声も聞いていない。端から見れば友達も恋人もいなく家には一人で家族がいない実質喋る相手がいないことになるので寂しいだなんて言う人がいるだろう、テレビのワイドショウを見るとつい最近虐待で子供が死んでしまったニュースがあり同時に育児放棄の話題になったとき一緒に親と子供が住む事が大切だとかなんとか言っている偉そうな上辺でしかものを言うことが出来ない人間の出来損ないみたいなコメンテーターが自信満々に喋っていたし、そのほかのなんかタレントとかが同意していたが本当のこと言えばどれが幸せかなんて十人十色であり誰かが、勝手に決めて良いことではないはずなのにそんな意見が出ると言うことはワイドショーなんてものは何も考えず流し見するくらいが丁度良いのかもしれないと思った。僕は寂しいなんて一度も微塵も思ったことはない、実際現実はこんなもんだ僕は叔父叔母がいたし金だけは毎月送られてくるので何不自由もなかった、欲しいものなんて小説くらいしかなかったしテレビゲームなんて一度も触った事もなければあれの何が面白いのか分らない。まあ多少はひねくれてはいるとは思っているが実際には家の書籍いっぱいに詰まっている本など小説以外に興味は無くと言っても二次元にしか興味が無いとかそんなんではない実際に恋はしてないがそう言う色恋沙汰に興味が無いだけだ。

今日は少し長めに露天風呂に入り、晩ご飯に買ったコンビニ弁当を胃に入れてテレビを見てゆっくりする、そう言う意味では先程見た疲れた顔をしたサラリーマンと同じだ、将来ああ言う人にはなりたくないと小学生や中学生の時に思っていたが今では疲れた顔以外はそうなっている。いや周りから見たら自分もそうなっているかもしれない、周りからなんと思われても良いが自分がなりたくない人に近付いていると考えると少し嫌な感じがする。ただ今は社会にあるだろう縦割りなどで悩ませられる事はないし好きな小説は読む時間は有り余る為少しばかし楽なのかもしれない。

そんなこと考えている内に眠くなったので寝ることにした。

翌日覚めるととてつもなくだるい、体温計で測ると三十九度ある、今まで此処までの熱は引いたことがない。確か薬がリビングにあったのを思い出し重い体を動かしなんとか下に行き探す、けど無かった。

「なんでだー」

そう大声で発してしまった、咳き込みながら今だけ親がいない生活が嫌になった親や一緒に住んでくれる人がいれば薬を買ってきたり一緒に病院に付き添ったりしてくれるのにと後悔した。

もうこのまま学校に行くのは無理なので電話をしなければいけないのだが面倒くさいどころか電話する気力が無い、こう言う時友達が居ればラインで代理を頼めるんだが。

そう思っていると柴山からラインが届いた。

「今日学校休みか?」

何と言うグットタイミング、こう言う時だけ友達というか何というかこう言う頼みをするのは気が引けるがこいつしかいない。

「今日四十度近い熱がでて学校に電話出来る気力が無いから言っといてくれない」

よし、これでいい。あいつには今度なんか奢るか。このまま寝たいが薬が無ければ寝られそうもない、しょうが無いので家の目の前が大学病院なので薬局に言ってもなにが効くのか分らないし医者が処方する薬なら間違えはないはずだし此処は正確性を選択し着替えて外に出る、着替えるのもきつい、なんか昨日変なことしたか?ここ最近料理せず弁当ばっか食べていたか?改めて考えると意外と原因は思いつく、そんなこと考えていたら病院に着いた。

そのまま先生に診察してもらい案の定風邪だと言われ薬を処方され近くの薬局に行きなさいと言われそこまで持つか不安だったが。待合室でお金を払う為ソファーで待つ、平日の半ばなので病院はあんまり混んでいなかったが大学病院なのでそれなりに人は居る。

子供の付き添いで椅子に座っている子も居るし多分体がだるいのだろう横になって時間が来るのを待つ子も居る。そんな病院の日常を見ていると突然話し掛けられた。

「ねぇ、君おなじクラスの安倍君だよね」

急に声をかけらたのでビックリした。なぜなら学校以外で僕に話しかける人なんていないのだから。 僕の名前を知っている人に覚えがないので不思議な感覚になりながら恐る恐る顔を上げる。

「そうだけど」

「私のこと分る?」

「えーっと」

「えー分んないの?ショックだな-」

「ごめんなさい」

「まあいいや、私は小鳥遊瀬菜宜しくね」

小鳥遊?そう言えばそんな名前の人がいたような。

「まあ最近学校行けてなかったからしょうが無いと言えばしょうが無いか」

だから見覚えがなかったのか 。

「でも最初の自己紹介の時には居たんだけどね」

心の中を見透かされたかのように返された。

「ごめん」

「うん、許す!!でもこれで覚えてよね」

「分った」

「それで君はなんで病院に?」

「風邪引いちゃって」

「そっかじゃあここで長いしちゃいけないね、あ、そうだあのさ君暇そうだから暇な時来てよ、じゃあまたね」

そう小鳥遊さんが言うと同時に病院のアナウンスなり受付に来てくれとのことだった。

受付を済ませ近くの薬局に薬をもらいに行き家に帰るとすぐに着替えて薬を飲みベットに体を沈めた。そういえば小鳥遊さん来ているものが病院着だった気がするが入院でもしているのだろうか?それはともかく最後の暇そうって言うのはなかなか失礼じゃないか、まいいかと今は薬も飲んだし眠い、程なくして意識がだんだんと暗闇の奥に引きずり込まれていく。そこを抜けたら花畑にいた。

「ほら向日葵だよ綺麗だね」

そう女性が子供に語りかけている。子供はとても笑顔で楽しそうに女性に話しかけている親子だろうか?しばらく母と子で話していると後から男が出てきた、父親だろうか家族三人で仲良く花畑で話している。とても楽しそうで懐かしいさを感じた。

目が覚めると十六時になっていた十時くらいに寝たのでもう五時間近く寝ていたことになる、体温計で体温を測ると薬を飲んで寝る前は三十九度だったのが三十七度まで下がっている改めて薬の効果の凄さを実感する、携帯を見ると学校から三件くらい電話が掛かってきていたのでかけ直そうとしていたら丁度学校から電話が掛かってきた。

「はい、安倍です」

「おーやっと出た、大丈夫か?」

「薬を飲んで寝たら熱も下がったし気分も良くなりました」

「そうか明日は来れそうか?」

「今のままなら行けそうです」

「分かった、明日は四時間までだから来やすいと思うけどあんまり無理すんなよ」

「はいありがとうございます」

「おう、じゃあ明日な」

「はい」

電話を切るとお腹が空いてきたので下のリビングにおり簡単にできるカップラーメンを作り始める、お粥なんて作ったことないし、お腹も空いているから作り方を調べて作るよりお湯入れるだけなカップラーメンを選んだ、三分なので食べられるカップラーメンを食べながらさっきの夢を思い出した、夢は起きた時に殆どがすぐ忘れると言われているがなんかこの夢ははっきりと覚えている、あの夢で出てきた花畑は僕が四歳か五歳の時に家族で唯一外に出かけた時に行った花畑に似ている、どこの花畑かは分からないが家族と唯一の思い出と言っても過言ではないので覚えているのか、ただ夢に出てきた程に楽しそうな顔をしていたかは分からないし詳しくなんて覚えているのかは分からない。家族で行った時も夏に行ったので向日葵が咲いていた、あの時は暑くて麦わら帽子を被りはしゃいでいた、あの時期は何も考えずただ日々を過ごしていた年を取りこんな人生を歩むなんて事も知らず、何でこんな惨めとも取れる人生になってしまったのか男性の平均寿命が八十年だとするとあと七十年もこんな人生を生きなくていけないと言うことになり溜息が出てしまう。もちろん人生なんていつ何が起きて終わるだなんて分からないのであと数分後には心臓が止まり死ぬかもしれないし数日後かもしれないそれこそ十年二十年はたまた八十年以上生きるかもしれないまあそれは自分で終わらせてでも勘弁してほしいものだが

カップラーメンを鱈腹食べてお腹がいっぱいになり眠くなり出したが明日学校に行かなくてはいけないのですぐお風呂を済ませることにした。よくよく考えてみれば昼間病院で小鳥遊さんと話したが学校以外でまともに人と喋るのは高校入学してから初めてに等しいかもしれない、柴山とはちょくちょく話すがそれ以外の人とは全くと言って良い程に喋らない、少しは華の高校生らしい時間を過ごす事も時には悪くないのかも知れないとそんなことを考えながら湯船に入るとお湯が溢れてしまった、どうやら入れすぎてしまったみたいだ。もったいない事をした、こんな家住んでいても金銭感覚とか物持ちとかは良い方なのでこう言う水道代や生活費などのちょっとした無駄が嫌いなのだ。まあ起きてしまった事はしょうがない、多少の後悔に襲われながら自分の頭の中にある記憶の海に入るさっき見た夢意外に家族三人での思い出を巡るが虚しい程に頭の中は真っ白になっていくばかりだ、他の世間一般の家庭はこんなことは無いのだろうなぜならば親と暮らしているのが俗に言う普通なのだ、十年もろくに顔を合わせないのははっきり言って異常なのではないだろうか裁判でもしようもんならどんなに駄目な弁護士でも勝てるだろうな、そう考えていると笑えてくる。まあ僕の親も好き好んで自分の子供を一人にしている訳ではないと願いたいがただ僕がこの家に引っ越してきたのは一人暮らしがしたいと思ったからなのでなんとも矛盾が働いている。

明日は学校なので三十分近く入っていたお風呂を出ることにしてすぐ寝ることにした。

朝起きると少しだけ頭が痛いこう言う時すぐさま原因を考えるがすぐ思いついたのが昨日の風邪が今日まで長引いているのかと思ったが昨日お風呂に出た後すぐに髪を乾かさずスマホをいじっていたのが悪かったのかどっちかは分からないがどっちみち頭が痛いのは変わらないのでどうでも良くなってきた。ただこのまま学校へ行けば退屈な授業、何の面白みもない話を聞かされる今のこの状態ではその場にいることは可能だろうがいらいらが募り爆発してしまいそうなのでもう休むことにした。そうと決まれば学校に連絡し一日休みなった時間を有効活用しようと何をしようか考える、これはサボりでは無いと自分に言い聞かせる、とはいえ普段インドアな自分がやることと言えば本を読む以外ないしまだ読んでいないで書籍に眠っている本達が沢山あるので一日本を読む事にした。


少しして時計を見たら八時半を回っていたスマホを見ると柴山からラインが来ていた、内容は今日も休みなのかと言うことでいつもなら学校にすでに行っている時間なのでラインが来たのだろう、僕はすぐに休みだと返事をして先生に言っておいてと頼んだらすぐに「了解」と返事か来た、今日は本を読む日と決めたのですぐに携帯の電源を切った。今読んでいる本は今実写映画化されていて話題になっている本で僕が本を選んで読んでいるといつの間にか映画化ドラマ化されている事が多く、結構驚く事があるのだが世間一般の価値観と自分の価値観が一致していないと起きない事なんだとも思うので自分としてはそう言う出来事があると少し嬉しく思うしとても不思議な気持ちになる、自分が書いた訳でもないし何かに関わっている訳でもないのに勝手に認められた気がする。認めて欲しいなんてそんな承認欲求は自分ではあまりある方ではないと思っているが客観的に見たらどうかは自分でも多分周りから見てもそう言う面で僕を見ている人はいないと思うのでもちろんいないだろう、なぜならまず僕は人と喋んないのだから、そう思うと少し笑えてくる、別に寂しいとか思わないけどなぜ今になって笑ってしまうのか分からなかった。

日頃から自分について考える事は多い方だ、本を読む事に次いで自分の考えを改める事がテレビを見ているにしても本を読んでいるにしても頭の片隅に常にそう言う考えがよぎる、自分ならこうしたとか自分ならもっと旨くやれたとか物心ついた時から考えに考えている、小学校の時とかクラスメートには何考えているか分からないなんてよく言われたものだ、酷いときなんかは二者面談の時に担任の先生にあなたは皆にも言われているけど私にもなにを考えているか分からないからもう少し自分を出しなさい、そしたら友達との学校生活がもっと楽しくなるよと言われた事だ、学校にくるなんてそもそも勉強をしに来る場所で楽しいなんて感情はその次のはずなのになぜそんな人に楽しいを共有させようとするのか分からない。確かに楽しい場所があればそこに自ずと行こうと思えるが必ずとも楽しいから学校に行こうと思えない人が全国の中の学生の内に一人は居ても良いのではないか、当時はそう思っていたけれど今となってはその後なんで先生にしてもクラスメートにしても自分の事を理解したがるのだろうかと不思議に思った自分はクラスメートのことは友達なんて思わなかったしなにが友達の定義かも分からなかった、そんな面倒くさい事なんて考えたくなかったから今まで通りに過ごしていたら見事にいじめられた、今考えると何を考えているのか分からない不気味な人間と共同生活は過ごしたくないと思うのは当然だはある。それが小学生なら自然と出た言葉が素直に出てしまう年頃なのだから自分達が楽しければ良いと思えていてしまうのでそんな生活圏に不気味な奴なんて傍に置いておきたくないと思うのは当然だ、今となってはそれないりに人間を見てきたので自分が当時に戻れたらいじめられる事はないかも知れない。周りは自分のなにが気に入らなかったのかなんで省くのか分からなかった僕がいじめられていた時助けてくれた人はいなかったクラスメートも担任も見て見ぬふりだったなにを考えているか分からないのがそんにな気味が悪いのか、あの時の僕は間違いなく一人だった唯一助けてくれたのは僕自身と小説だった小説は自分の世界に連れて行ってくれた。

しばらくして目が覚めた時計を見たらもう十二時、三、四時間寝ていたみたいだもう頭の痛さだるさはなくなっていたが自分が生きてきた中で暗黒期の事を思い出してしまったので気分は最悪だ。そして体のだるさと頭が痛い事と引き換えにお腹が空いたそう思い台所のカップラーメンを取りに行こうとしたらリビングにある椅子に母が座っていた。そういえばなんか暖かいと思ったらタオルがかけられていた、毛布とかもっと暖かいものじゃないのは仕事以外は適当に過ごす母らしいなと思った。

「お帰り」

そう声をかけるとスマホをいじる手を止めて此方を振り返った

「お帰り、そういえばあんた寝ながら泣いていたけど怖い夢でも見たの?」

そう少し笑った表情で言ってきた。いつものからかうときの表情だ

「あなた怖い夢見たときいつもそうやって泣いて私たちの前に来てただ居たもね、泣くのは変わらないのね」

一年くらい顔どころか声すらなかった人に言われたくないでも

そういえばそうだったと思い少しむかついた

「何年前の話しだよ。そんなことよりなんで居るの?」

「なに、居ちゃ行けないの?」

「別にそういうわけじゃないけど」

「なにふてくされてんのよ」

「別に」

そう言い僕は台所からカップラーメンを取り出した

「ちょっと、もう少しで父さん帰ってきてお昼作ってくれるんだから待てなさいよ」

そう言われて父が居ない事に気づいた。

「お父さんどこ行ったの?」

「もうすぐ帰ってくるよ、って言うかあんた携帯見てないの?」

「携帯?見てないけど」

「なによ、せっかく連絡したのに」

そう怒り気味で言ってきた。電源を入れて見ると母から昼くらいに

「そっち着くから」

と連絡が入っていた。電源を切っていたので気づくに気づけなかった。

「そんなことよりなんで帰ってきたの?」

「仕事が一段落付いたのよ、それにあんたの進路とか聞いときたいし。で、どうすんの」

「んー、なにも決めてない。特にやりたいこともないし」

「あんた三年でしょ?そんなんで大丈夫なの?」

学校でも担任にも口酸っぱく言われていたのにまさか家でも言われるとは。でもなにも決まってないのも事実だしどうするかな。

「ねぇあんたなにも決まってないならさ」

そう気になる次の言葉を言う前に父親が帰ってきた。

「ただいまー、お、起きているじゃないか」

「お帰り、随分遅かったわね」

「そうなんだよちょっと道が混んでいてね」

そういつもの通りに喋っているが一つどうしても疑問に残る事があった。

「ねぇなにその箱?」

そう父が随分と綺麗な可愛い少し小さい箱を持っているのだ、ケーキにしては少しでかいしさっき道が混んでいると言っていたので車で行ったのだろうケーキ屋ならすぐそこにあるので違うだろう、だったらなんだあの箱は。

「これか?ビックリするぞ」

そう笑顔で言い、よいしょっと言い箱を開けたので覗こうとしたとき覗く前に中になにが入っているのか分かった。

「ワン!!」

そう元気そうに小型犬特有の甲高い鳴き声をして見せた。

「え、まさか犬?」

「そうだよお前好きだったろ」

確かに好きではあるけどいきなり帰ってきて犬を飼ってくるなんてまた突拍子も無いことをどうせこんなこと思いつくのは母しかいないだろうけど。

「なんでまた犬なんてどうせ母さんが思いついたんだろ?」

「なんで私なのよ、違うわよ」

意外だったこんなこと父が思いつくはずないし

「じゃあ誰なの?」

「誰でも良いじゃないのあんた犬のダックス好きなんだし」

なんか最後の言い方が引っかかるけどまあ犬が好きでずっと飼いたいと思っていたし気にしないことにした。

「さあ名前決めよ」

父のその一言で変な空気だったのが少し緩和された気がした

「せっかく決めるんだったら可愛い名前にしなさいよ、ちなみにメスだから」

可愛い名前にしろって言っても急に連れてきてさらに名前付けろって言われてもそれに僕にはそんなネーミングセンスもないししかも性別だって今知ったし。

「そんなに悩まなくても自分で良いと思った名前で良いのよ」

と言われてもいくら考えても良いのは思いつかないしと思った瞬間に急にこの名前が頭の中に降ってきた。

「じゃあさくらにする」

「何でさくら何だ?」

「単純に桜が好きって言うのもあるけどなんかさくらって言う名前が思いついたからかな」

さくらにしたのは二つ理由がある一つは少し前になにかで見た海外に派遣で行った医師絡みで何処かの国で桜が植えられたと見た事が印象に残ったから。

「ふーん、不思議なもんね」

「なにが?」

「別に、さあご飯食べましょ」

母はそう言い少しはぐらかすように話題を変え父にご飯を作るように催促した

「じゃあ三人揃ってご飯も食べることもないし腕に縒りをかけて作ろうかな」

そう意気込んで台所に消えていった。

父は元々料理が得意で母と父が海外にいる時ほぼ毎食作っていたと言うのだから台所に行ってテーブルに料理が並ぶまでそんなに時間は掛かんなかった。

「さあ出来たよ、お昼は皆好きなカレーだ」

なんともおいしそうなカレーが三つ分並んでいる、お腹が空いている事もあり、よりいっそう美味しそうに見えるし良い匂いがする。

「いただきます」

そのかけ声で一気に食べ始める

「そんなにがっつか無くても御代わりは沢山あるから」

「それしてもあんたの作るご飯は外れがないわね」

「それは褒め言葉として受け取っとくね」

少し毒がある言い方だが母は元々こう言う言い回しをするし照れ隠しや隠し事をする時こういう風に言うのだ、つまりツンデレと言うやつだ。

「久し振りの僕のご飯はおいしいかい?」

いつもの母のツンデレを巧く躱し僕に聞いてきた

「おいしいよ」

「そう言えばあんたそんなにがっついて私達がいない間カップラーメンとかコンビニ弁当ばっかり食べていたんじゃないでしょうね」

「そんな事ないよ、毎日じゃないけどちゃんと料理して食べたりしていたよ」

そう答えたものの母の予想通りで料理は一人暮らしにしてはやっていたと自負しているが実は殆どカップラーメンやコンビニ弁当が多かった。

「嘘付くんじゃないよ」

「そうだね嘘は良くないよ」

「え?」

「あんた嘘付くとき眉毛上がる癖治ってないよ」

まじか、ばれていた。

「黙るんじゃないわよ、都合が悪くなると黙るのも変わってないのね全く」

随分と会って無かったのに随分と僕の癖を熟知している、変な所で鋭いのも嫌なものだ。

「そう言えば学校楽しい?」

「まあぼちぼちだよ」

急に話題が変わり少し動揺するが嘘は言っていないし友達はいないけど小学生の時よりは楽しい方だと思うし 。

「そう、友達とか彼女は?」

「友達も彼女もいないよ」

そう答えるとつまんなそうな顔をして期待外れだなと顔に書いてあるような表情をした。

「何だよもう十七、八で華の高校生なのに青春を謳歌いなさいよ」

「謳歌もなにも僕には彼女なんていらないよ」

少し向きになりつつそう答えるとすかさず父がこんなことを言った

「まあそんなこと言わないで、進路が大学にせよ就職せよ高校生とかの恋人作り必要だよ特に学生でのね」

「なんで?」

「ごちそうさま、あんたも早く食べちゃいなさいよ」

急に母が会話にカットインしてそう言ってきた 。

「まあその内分かるよ」

父はそう言い笑顔で食べ終わったお皿を片付けに行った 。

僕も程なくしてカレーを食べ終わり僕はお皿を片付けに行った。

そこで皿洗いをしている父にさっきの話の続きをしようと父に質問をしてみた 。

「ねぇさっきのさ恋愛が学生にとって必要だって言っていたけど何でなの」

そう聞くと皿洗いの手を止めず喋りだした

「そうだねー、僕はね学生の時に一度も恋愛をしたことがなくてねそのままお母さんの会社に就職したは良いけど最初はお母さんなんて人にも自分にも厳しくてね特にミスなんかした日には邪魔だから帰りなさいって容赦なく言うし本当に棘がある言い方するしあの時のお母さんは仕事一筋でプライベートでも人を寄せ付けない一匹狼な所もあったんだよ、まあとにかく練習とかじゃないけど学生でのそう言う経験をしてないとゲームで言うと初期装備でボス手前の中ボスに立ち向かうくらい無謀な事だからやっぱり早めの時期に経験値として貯めとく事が大事って事かな」

父が言うことにしてはなんとも説得感があると思ったし父は普段のほほんとしているのもあって意外だった。

そんな事を話している内に母はなにをしているのかと言うとさくらと遊んでいた、父のこんな苦労も知りもしないで笑顔で遊んでいるそう言えば母もあんな笑顔出来るのか。

それこそ小さい頃に僕にもその笑顔を 向けてくれていた気がする。まあ自分の子供に無愛想な親はいないだろうが僕が小学生になったらすでに母はもう厳しい人だった。

一度海外に帰ると言われ、泣きながらそれを止めようとしたのだが母は厳しく

「もう小学生だから一人で我慢しなさい」

そう言われ、小さいながら甘く居られないなと思った記憶がある。

「何でさそんな修羅みたいなお母さんと結婚したの?」

そう二人して片付けの手を止めず会話を続けると急に父が笑みを浮かべて楽しそうに話し始めた

「博文お前お母さんのことそんな怖い人と思っているのか?」

不適な笑みを浮かべた割にそんな愚問をぶつけてくるとは、答えはもちろんイエスだ。あんな人の心を読む人間はいないだろうもはや人間かどうかも怪しい

「あんた今私に対して失礼な事考えているでしょ」

急に悪寒がすると思ったらさっきまでさくらと戯れていたのにいつの間にか真後ろに母がいた。

「別にそんな事ないよ」

「そう」

一言言って母はさくらの元へと去って行った、なんとか耐えたが危なかった。

さっきまでさくらと戯れていたのに急に人の背後を取るだなんて本当に厄介な人だ、母の部下も仕事場に母である社長がいるときはこう言うどきどき、緊張感を持ちながら仕事をしているのかもしれないそう思いつつ母の方を見るとさくらになにやら話しかけている。

「さくらはあんな根暗で性格が悪い子に育っちゃ駄目だよー」

なんとも聞き捨てならん台詞だ 。

「根暗で性格悪くて悪かったな」

そう捨て台詞を吐いてリビングの椅子に座り入れ立てのコーヒーを流し込む

「さくらの前でそんな嫌み言わないで、あんたの性格悪いのが移っちゃう」

移るって性格は移る訳ないだろと心で言ってみる 。

「性格まではそんな移らないと思うよ」

父が言うと母は父の方を睨みつつとんでもない事を言いだした。

「給料減らすよ」

「脅しにしてはエグイこと言うね」

父は動揺もせずすかさずこう言う所を見ると日頃からのやり取りが階間見える

「お母さんの分もコーヒー入れたから飲んじゃいな」

「うん、ありがと」

母はさくらから手を離して椅子に着く

「そう言えばあんた普通に家にいるけど今日学校じゃないの?」

「そう言えばそうだね、サボりかな」

「サボりじゃないよ、今日朝起きたら昨日熱引いたのが残っていて体調悪かったから休んだんだよ、ちゃんと学校にも連絡したしサボりじゃないよ決して」

「昨日熱引いたって事は昨日も休んだの?」

「うん、ちょっと最近寝不足な事もあって」

「今は熱ないの?」

そう言いながら母は自分のバックから体温計を出し渡してきた

「多分薬も飲んでいるし体調も悪くないから熱は無いと思うけど」

体温計を胸と腕の間に挟み体温を測っていると

さくらが心配そうな顔をして鳴きながら僕に近づいてきた 。可愛い奴だ、内に来てものの数分で心をつかんでくる。これから一緒に二人で生活すると考えるとありがたい。

「あらさくらそんな心配そうな顔しないで、こんな奴のこと心配していたって疲れるよ」

相変わらず人には失礼な事言うなとか言うくせに僕の事は良いのかと少しむかつきながらさくらの頭をなでながら測り終わるのを待っているとその後すぐに測り終わったと知らせる音が鳴り見てみると三十六℃だった

「平熱だったよ」

「そう、じゃあ今から学校行ってくれば」

「今から?」

「そうよ、なに行きたく無いわけ?」

別に学校には行きたく無い訳では無いけどと思いつつ時計を見てみるともう一時を回っていた、家から学校に行くには徒歩で三十分くらい掛かるしいつも徒歩で行っているので今から行っても五時間目の途中か六時間目の頭くらいからになる。

タイミングが悪いと授業中に教室に入る事になる、そうなれば入った瞬間に皆がこっちを見ることになるし普段そんなに僕に注目が集まる事はないので 緊張するし入ったらはい入ったで皆からの「何だこいつか」みたいな冷たい視線を全身に浴びることになる訳で僕はその視線が本当に苦手なので今から学校に行くことはなんとしてでも避けたい。注目を浴びて視線を指されるのは僕にとってナイフを突き付けられる事と同義だ。

「いや、今から学校に行ってもろくに授業受けられないしご飯食べたばっかりで眠くなっちゃうよ」

「そんなの歩いてればすぐ目覚めるわよ、なによそんなに学校行きたくないわけ?」

普段から察しは良いくせにこう言うときだけ察し悪くなるの本当にやめて欲しい。察するのが悪いと言うかもはや態とやっているのかと疑ってしまう自分がいる。

「まあまあ博文が言うように今から行ってもしょうが無いみたいなとこもあるし今日は病み上がりって事で大目に見てあげたら?」

「あんたはいつもそうやって甘やかすんだから、全く」

そう言いなんとか学校に行くのは阻止出来た。

そこからの流れはいつもと殆ど変わらず本を読んで過ごしたが一つ変わった事と言えばさくらに散歩を連れて行く事がこれからも生活の一部として追加されていく事だ、今まで一人でいるには広すぎるこの家にもう一人増える事に対しては話し相手がいるということだけでもありがたい。そんなこんなでお風呂に入りご飯を食べ久し振りの家族三人で、いや四人での初めての日を終えた。

はずだった、僕が就寝している時に携帯に一見の通知が届いた、送り主はクラスメートの小鳥遊さんからで僕は次の日なんとこの内容に身震いが止まらなくなった。

朝起きるとさくらが僕の足下にいた。昨日寝た時にはいなかったのだが多分僕が寝静まった時に部屋に来たのだろうか。ドアを閉めていたはずなのにドアは空いていたのはなぜなのか。そう疑問を持ちながら今の時刻を確認するともう八時を回っていた、ただ今日は学校が休みの日なのでもう少し寝ようと思い携帯を閉じようとした時ラインの通知欄に一件通知が来ていたのが目に入った、見たこと無いアイコンと名前だったので無視をしようとしたのだが休日の僕に連絡をしてくる人なんて誰もいないしそもそも友達という枠組みに入るような人の連絡先は持っていない、そう思うとなんだか妙に気になり始め思い切って見てみたらなんと小鳥遊さんからで自分は小鳥遊という事と明日つまり今日になるのだが、今日の午後十二時半あたりに渋谷に来て欲しいと言うことだった。何で僕がと思いつつ今日は特にすることも決めていないので行ってみる事にするかと迷っていたら、さくらが起きてきて僕の目をじっと見つめてきてじっと動かないでいる

「まさか僕に行けって言うんじゃ無いだろうね」

そう言うとさくらは甲高い声で見事に鳴いて見せた、こいつは人の言葉を理解しているのかと言う疑問が出てきたがそんな訳無いよなと同時に思い布団を出た。

リビングに降りると

父が朝食を作りテーブルに並んで洗面台に行き顔を洗い椅子に座ると母が居なかった。

「母さんはまだ寝ているの?」

「うん、今まで仕事付けで会社にも缶詰状態だったし今回家に帰るまで結構無理をしていたし疲労も時差もあるだろうし寝させてあげようと思ってね。」

昨日はあんなに元気でさくらと遊び回って居たのに次の日にはぐっすりだなんて

まあ正直海外で飛び回って仕事をしていても母国の家に帰ると時差なんて関係なくとも休みの日は昼過ぎまで起きてこないだろうしいつも通りなんだろうと結論付けて朝食のパンを口に運ぶ。

「今日は何するんだ」

何もしない本でも読んでゆっくりしようと思っていたのでその有無を伝えようとしたときに急に身震いがして何だろうかと考えた末に小鳥遊さんの顔が浮かんだ、

「今日は少し出かけてくる」

「へーお前が外に出るなんて珍しいな、どこに行くんだ」

「渋谷だよ」

「渋谷?一人でか」

「うん」

「そうか一人で渋谷に行って何やるんだ」

一人で渋谷に行くのがそんなに不思議なのか随分と深い所まで入ってくるな、これ以上話を続けてもまた嘘だとばれてしまうので早めに切り上げて部屋に逃げることにした。

「うん、渋谷の本屋でしか売ってない本があってね」

そう言うと納得してくれたのか

「そう」

と言ってキッチンに向かっていった。

そうこうしているうちに朝食も食べ終わり部屋へと戻り今の時刻は九時を少し過ぎていた家から渋谷まで電車で十分くらいで着くのでさほど急がなくては良いのだが何にせよ女の人と出かけるなんて一度もないしどんな服で行けば良いのかもまずなぜ自分と行きたいと思ったのか僕なんて話もつまんないし顔も良くないおまけに頭だって良くない僕が女性だったら絶対に自分みたいな人選ばないしどうして、なのか分からずいくら考えても多分答えはでないと思う、なぜなら僕にどんな人間としての魅力があるのかなんて小学生の時から考えて一つも答えがないのだから。

服を選び持ち物をバックに入れて準備をする、結局渋谷で何やるのかも分からないし普通の服で良いかと思い部屋を出るとすでに母が起きていた。

「おはよう」

そう僕から声をかけると

「おはようって私が起きたの二時間も前よ」

「別に起きた時居なかったんだからいいじゃん」

「そう言えば桜の散歩したの?」

そう言えばやってないな

「僕はやってない」

「あんたね、自分だけ出かける準備終わってさくらには朝ご飯も朝の散歩もなしかい」

「今日は僕が済ませたよ、だけど僕もお母さんもしばらくしたらまた帰らなくてはいけないからこれからはちゃんと自分でやるんだよ」

「分かっているよ」

「ちょっと待った、車で送っていこうか?」

父がそう言うが僕はこれ以上今日の事に触れられたくないので、大丈夫と断った。

土曜の昼間だからかなりの人数居るのだろうと思ったが意外と人は居なかった、僕は普段電車には乗らないし学校に行くにも徒歩だし、休みに日は家で小説を読むし買い物に行くくらいだから最寄りの駅がどの時刻にホームにどれだけの人が居てどれほどの人が前の駅から来るのかが分からない、ただまばらに人が居るくらいなのでこれから渋谷に行くにしては空いている方かと理解する、家からは渋谷まで三駅ほどで着いてしまうよく住んでいる場所の話とかになると渋谷とか原宿に近いんだから少しくらい外に出てみたらと言われる、まあ主に二者面談や柴山に言われるが二者面談では小学生の時からずっと言われ続けている。そう思えば僕の周りには無駄に話し好きな奴が多い全く厄介な人ばかりだ、そう考えている内に目的の駅に着きホームから改札に行改札を通り待ち合わせ場所のハチ公前に到着、時間を確認しようとスマホを確認すると五分前に着いていた。

周りを見ても小鳥遊さんはいない当然だまだ時間の五分前なのだからだけどなんだか本当に小鳥遊さんが来てくれるのだろうか、もちろんあっちから誘ってきたのだから普通は来るものだがなぜか不安になってしまうし同時に緊張してくる心臓の鼓動が早くなるたび僕の頭もフル回転し小鳥遊さんが来た場合どんな事を話せばいいのかどんな話題を持ち出せば良いのか、此処に来る前に少しスマホで検索してきたが緊張してもう覚えてないので再び検索しようとスマホを取り出した途端、肩を叩かれたので振り返ると病院で見た時よりまた随分と可愛らしい服装をしていた。

「お待たせ」

「いやそんなに待ってないよ」

なんかお決まりの返しをしてしまった。

「スマホ見ていたけど私に会うのそんなに楽しみにしていたの?」

まだ会って二回目なのに僕の扱い方がまるで母のようで手で回されている感じだ。

「何その中学生カップルみたいなやり取り」

「嘘だね。安倍君嘘付く時眉毛少しあげるでしょ」

え、なんで知っているんだ?このことは親と叔父、叔母しか知らないはずなのにしかも昨日その話されたばかりだし

「黙っているって事は図星かな、嬉しいな」

「別に楽しみとかそう言うわけじゃなくてただ時間を確認しただけだよ」

そう言うと小鳥遊さんはそう言う事にしてあげると言い歩き出した

「そう言えば何で俺のライン知っていたの?」

だいたい答えは分かっているが一応聞いてみる

「それは友達に柴山君に聞いてもらってそれで」

やっぱりあいつか、全く本当にあいつは厄介ごともって来やがって。

それはそうと今日一番の疑問を聞き忘れていた

「そう言えば今日はどこに行くの?」

「今日はなんと今話題のパフェを食べに行きます」

パフェ、そんなものの為に僕を呼んだのか?

「それなら別に僕じゃなくてもいいじゃん、小鳥遊さんは他に友達とかいるでしょ」

「んーん、確かに友達と行ってもいいけど今日は安倍君じゃないと駄目なの」

「そうですか」

柄にもなく少しドキッとしてしまった、普段はこんな仕草というか上目遣いみたいな態度では全く反応しないしまず女性に興味を持つことはないのでショックというか何というかまあ何時ぞや聞いたレンタル彼女というものが何であるのか少し理解した気がした。

「此処だよ、近いでしょ」

確かに駅からまだ十分もたってないところに行列が出来ていた

まさかこれに並ぶのか?と小鳥遊さんの顔をの見ると覗いてみると目を輝かせながら店内のカップルのいる席のテーブルを見ている、そのテーブルでは今まさに彼女が彼氏に食べさせている所を見てしまった、全く反吐が出るこんなもの見たくないからこう言う人が集まる特にカップルがいそうな場所は避けてきたのに。

気分を変えようとする為何か話題を探そうとして病院での疑問が出てきた。

「小鳥遊さんって何であの日病院に居たの?」

「ちょっと心臓が悪くてね、でも今は外出許可もらえるくらいピンピンしているけどね」

なぜか言葉とは裏腹に少し暗い表情をしたのが気がかりになったがこれ以上聞かないことにして後は当たり障りのない会話で済ましだいたい三、四十分くらいで僕らの番なり席に通された。

椅子に座り荷物を置いたくらいで店員がメニューと水を出し去って行こうとしたとき小鳥遊さんが「こられ下さいと言った。」

すると店員は笑顔で喜んでと言い店の奥に消えていった

「何頼んだの?」

そう聞くと不適な笑みを浮かべて秘密と言った。

店の中はカップルでいっぱいで女性同士が少し至りして男の人はまずいない、いつまり僕しかいないまあこんなにカップルではない男性からしたらアウぇーな場所には来ないだろう。

店内を観察していたら定員が普通より二倍くらいあるパフェを持ってきた。

「パフェ一つしか来ないけど」

「だってこれカップル専用のパフェだもん」

スマホで写真を撮りながら言った

「まじで?」

「まじ」

パフェのお店からほど近いでかい公園のベンチ座りぐったりとしている。

「何であんなに小食なの君」

「ごめんお昼抜いてきたんだけどね」

あれから僕はほとんどの部分を食べ見事にダウンしているわけだ、まあ普通は二人で食べるようだし僕もそこまで大食いな訳ではないので当然の結果だった。

「あのパフェを食べたくて僕と来たの?」

「うん、だってあれカップル専用なんだもん、男の友達なんて私居ないしだから安倍君に頼んだんだ」

そう弾ける笑顔で言った。なんか一瞬ふと懐かしいように思えて何も言い返せなくなってしまった。

「あれ、安倍君もしかして私に惚れちゃった?」

「なぜそうなる」

本当に小鳥遊さんは不思議な思考回路の持ち主だ。このせいでこうだけで頭が疲れる

「まあ私は男の人の友達がいないから関係性でいったら安倍君が一番私に近いよ」

いたずらな笑顔でそう言うのではいはいと適当に流すと小鳥遊さんが急に僕について聞いてきた

「安倍君は彼女とか居ないの?」

「僕にそんな関係性の人がいると思う?まずいたとしたらここに来てない」

「そうだよね、安倍君にそんな人いる訳無いよね」

随分と失礼な事を言うなこの人はまあ間違っては居ないのだが、

「そうですよ、僕は彼女もいなければ友達もいないですよ」

そう言い、疲れたので少し黙ると小鳥遊さんもそれを悟ったのかそれ以降喋らなくなった。

しばらく周りを見てみるといろんな人がいる犬の散歩をしている人もいれば散歩帰りなのかとても変な体制で犬を抱きかかえている人もいるそんな抱き方をすれば落っこちてしまいそうだ、他には子供を連れて笑顔で父親と母親の間で二人で手をつないでいる家族もいれば五人くらいで音楽を流しリズムに合わせて踊っている集団もいる、おそらく部活と言うより何か活動をしている人たちなのだろう。いや、こう言う人間観察はしてもその人がどういう人なのかは自分の頭で決めつけるのは良くないだろうなと思ったとき、急に左の肩が重くなったのでその方向に目を送ると小鳥遊さんの頭が僕の肩も枕に寝ていた。

全くさんざん人を振り回せておいて一人だけお休みとはと思いつつ今日まだパフェを食べただけで眠くなるもんかと疑問に思ったがとりあえずこのまま起こさないでやることにした。

「うーん」

と寝言のような声を出した、よく見てみると少し魘されているようにも見える。酷い夢でも見ているのか段々と顔も険しくなってくる、流石に起こそうかとも思ったが人から見て酷く魘されていても昨日の僕のようになにか大切な思い出を夢として思い出しているのかもしれいので下手に起こすのはよそうと思った。それにしても小鳥遊さがもし一人でいたらどうなっていたかとこんな顔も整っていて一般的に言えば可憐と言うに相応しい顔立ちをしている少女が一人で渋谷のベンチに座ってうたた寝なんてだいぶまずいだろうそれにしても小鳥遊さんくらいなら男はほっとかないだろうに男友達がいないとは変わった事もあるもんだ、ふと考えたがそもそも男女の友情はあるのだろうかこんな可憐な女性がいるのなら友情が好意に変わってしまうのではないかと思ってしまうそんな事を考えているなんて知りもしないでよく呑気に寝ていられるなんんて少しは僕に感謝して欲しいと思った。

全くさんざん人を振り回せておいて一人だけお休みとはと思いつつ今日まだパフェを食べただけで眠くなるもんかと疑問に思ったがとりあえずこのまま起こさないでやることにした。

スマホを取り出し見てみるとラインの通知が何件か来ていた殆どが公式のアカウントからだったが一つだけ人から来ているのもあった、柴山だった。

{頑張れ、青春を手に}

なんて奴だ、こいつがラインを教えなければ今日も小説が読めたのに、こいつは話をすれば彼女の愚痴か彼女が変わったとか本当に生粋の遊び人なのだけどこんな何の取り柄もないく人として魅力もない人間にも奇策に話しかけてくれるある意味いい奴なんだけどなにかとつかみ所のない奴ではあるので学校の中では一番話すけど実際自分の性格上本当に友達と呼んでいいのか微妙な奴なのだ、なので親にも友達はいないって言った、大体友達の定義よく分からないよくズッ友とかいつメンとか言うけどその言葉に当てはまる人がいないのだ仮に僕が友達だと思って接していても相手が友達と思ってない時点で関係性が崩れてしまうわけでこう言う友達の定義の答えを探すことにエネルギーを使うので友達と言える人を作らないようにしている。実は作らないじゃなくて作れないと言うのはそう思わないようにしているのでしかもそれを知られるのが恥ずかしいので人には作れないんじゃなくて作らないと豪語している。そう言えばこの前柴山にお前彼女作らないのかって事が思い出した。

「お前さ、顔はちゃんとすればいい感じになるのに何できちんとしないんだよ」

「別に面倒なだけ」

その時は二言で終わったが今思うと好きな人同士がこのように外に出歩く、つまりデートというのも悪くないなと思いつつ僕はもちろん小鳥遊さんもだろう今現状全く意識していない同士が一緒に長い時間二人でしかもパフェなんて食べてなんとも不思議で無駄な時間ではないのかどうなのか。

それから小鳥遊さんが僕の肩で寝て目を覚ますまで一時間も掛り一緒にいた時間はなんと五時間ほど、世間の皆は僕たちのことを見たらなんと思うのだろうか、「カップル?」「友達?」など意外と世間体を気にする僕なのでこういうことを考えてしまう。家に帰るとなにやらにさくらを抱きにやついた顔で此方に近づき口を開く。

「どうだったのよ」

「どうって何、特になにもないよ」

このようなお決まりのやり取りをしなきゃいけなくなる。よくイクメンパパみたいな立ち位置でテレビに出る俳優、タレントは子供に深くは介入しないで見守るなんてことを言う、自分の母にも見習って欲しい所だ、娘がいる父親じゃあるまいし。その後もなにやら言っていたが無視をして洗面所に向かい手を洗ってうがいをしリビングに向かおうとするとさくらが走ってきた。

「お前のおかげで酷い目に遭ったぞ」

さくらはもちろん何も言わずただ此方を見つめるだけだった。

翌日朝起きると今日はさくらが来ていなかった、リビングに降りると昨日と全く同じ風景で父が朝食を作り母はいない、おそらくまだ寝ているのだろうさくらもいないのでおそらく母の方で寝ているのだろうか。

朝食を済ませ本を読む前にスマホを見ていると丁度ラインが一件来た。

「暇なら病室に来てね」

送り主は昨日僕を散々振り回してくれた小鳥遊さんだった。

既読を付けずにしばらく考えてとりあえず分かったと返そうとして返すとすぐに既読が付くがその後の折り返しはなく心起きなく小説を読めるそう思った瞬間家族の女王である母が起きてきた、さくらをつれて眠そうに欠伸をしながら二階の自分の部屋から降りてくる。

「おはよう」

「顔洗ってきたら」

僕がそう言いかけた時に父が先に言った。

母は寝起きが悪いのでここは父に任せ手置こう二階の自分の部屋へと足を向ける

「今日は何を読もうか」

そう独り言を呟き部屋の本棚へと目を向ける、本棚には父の本もあり自己啓発本とか僕が読まないよう社会の本とかが並んでいたり元々小説が好きで小説家になると意気込んでいた時もあるそうで僕の部屋には二メートルくらいの高さで横幅もある本棚が三つあるので僕の部屋には本棚が大部分を占めている、僕的には本以外の物欲がないので本棚とベットと机と椅子があれば基本的には何もいらずそれ以外に部屋にはものがないので多分他の人を部屋に案内したらお前の部屋は

「つまらないな」

とでも言われるだろう、第一に僕にはユーモアというものがかけていて人と喋っていて面白いと言われたことがないので父の本の中にユーモアについてある本を読んで色々と試した事もあるが特に効果無し、学校で一週間居ても喋らなかった事もあり家にも誰もいないので声が巧く出ないこともあった。僕は人に良いように思われたじゃなくてある程度の距離感を持てる人が欲しいだけなのだ、だから友達が欲しい訳でもなく彼女が欲しい訳でもない、こう言うと多分人は変な、変わった人だと思うだろうな。

そう考えて本棚に並べられた本の中で今日読む本を選び手に取る。

この日はそのまま本を読んでご飯を食べお風呂に入ると言ういつもの生活を一日ぶりにして次の日の学校に嫌気がさしながら眠る。

翌日学校に来て見るもやはり僕に話しかけている人は誰もいない、この教室では僕は空気と同じ存在になる。自分でそれを望んでいなくてもそうなってしまうのだ、ただこの空気という存在も悪くないいつも誰にも気を使わなくてすむのだから。今日は月曜日なので六時間だそれを考えるだけで嫌になるがなんとも今日は二者面談と言うことで面談がない人は四時間と言うことになるが面談をする順番が名前順なのでこのクラス最初の面談は僕と言うことになる。

「なあ今日お前面談だろ、何言われたか明日教えてくれ」

柴山はいつもみたく軽い口調で僕に話しかけてはまた違う誰かに話しに行く、まるで嵐のような奴だ僕が喋ろうといてもそれに気づかず行ってしまうこともあるさっきの先生に何か言われたか教えてなんていう奴は大体頭が悪い奴とか授業態度が悪くて親に知られたく無いとかに当てはまっている人が人に聞いたりするが柴山は基本は何でも出来るのだ勉強もスポーツも人並み以上に出来るくせにコミュ二ケーションが異常に高いのだ,つまりこいつは何でも出来るくせに出来なそうな振りをして情報を聞き出そうとしているわけだ、ちなみに逆の人間もいる出来ないのに出来る風に振る舞う奴もいる、少し脱線したが柴山はこう言う風に自然と相手を騙す感じだが、それに悪意を感じさせない人間なのだ、こう言う人間は何なのかとよく考える、こう言う人間は俗にいう勝ち組と言う奴なのか

[神は二物を与えず]

という言葉があるがその範疇を超えてくる人間が一定数いる、なんでこんなことが起きるのかこう言う人間はよくうらやましがれるが僕は実は勝ち組という分類の人間は神様の失敗例なのではないのか宗教の勧誘とかそれ以外でも神様を信じている人たちの殆どは神様は平等だと言うのがそれが本当だとするならばなぜこのような事が起きるか不思議でならない神様がもし本当にいたとしても仏様のような心は持ってないだろう、なにせそこまで綺麗な心を持っているなら誰しもが持っている心のコンプレックスなんてものは出来ないだろうそれにスケールを広げるならそもそもこの夜に災害も戦争も紛争もない生きていくのに苦しみや憎しみを生まれる出来事は起きないのだからそれに天使なんて聖書では悪魔より人間を殺しているし。所詮神様なんてのは人間が作り出した偶像なんだ。まあ僕は神様なんて信じないしのでなんでもいいのだが。

そこから暫く経つまに二者面談が始まった。

「さあやろうか」

教室に入り机を四つ並べて向かい会わせに座り二者面談が始まる

「安倍君は勉強の方はまあ良くも悪くもなく平均だね出席日数もちゃんと来ているし問題無いね、それで進路どうするの?」

いきなり来た、僕は親の会社を継ぐとかそんな大それた事も考えてないししかも親がイベント会社の大企業くらいしか知らず特に親も何も言わないのでとりあえずは自分の学で入れる大学に入ってその先はまた考えようと思っていたので

「進学しようと思います」

「そう、どこの大学?」

「T大です」

T大学は成績がまちまちの自分でも入れる事が出来そうで家から近いから選んだだけで特に生きたい理由も何もなかった、

「そっか、うん、安倍君の成績ならいけそうだねじゃあこのままで、ちなみにそろそろ夏休みだけど何かするの?」

「特に考えていませんけど」

「じゃあ研究会に入らない?」

その提案をするにはあまりに急すぎて少し思考停止したがすぐに取り戻し

「研究会?今からですか」

「そう、本研って言ってね、今まで部員は一人でやっていてその子が最近学校を休んでいるから誰もいなくて僕も忙しくて部室の掃除も何も出来なくてその子が学校に来たときに部室が汚いと嫌だしね」

まあその学生のことを思えばそうだろうが今の時期進学がいけるだろうとしてもこのタイミングで誘うか普通

「いくら何でも、今は普通部活に入っている生徒は引退する時期ですよね」

「そうだけど、いまいる唯一の部員も同じ学年だしその子も卒業までいるつもりっていていたし、それに特にやることがない研究会だしね」

「と言うと?どういうことをやるんですか?」

「基本は本当に何もないよ、文化祭で掲示板に自分の好きな漫画、小説を画用紙いっぱいに題名と説明を書いて張るだけだしそれにこの研究会も意外と歴史があってね潰したくないんだけどどうかな、それに学校に一人でいられる場所があるのも良いものだよ」

結局先生の気迫に押され入る事になってしまった。それから先生にはクラスはどうだとか友達入るのかとか彼女はいるのかとかなんか途中から親のような質問責めを十分くらいされた一人の時間が十五分くらいなのでそれに助けられた、それからすぐに帰る準備をして教室を出て家に帰った

「今日はちゃんと学校に行ったんだ」

母がそう口を開いた

「いつもちゃんと行っているよ、それから研究会入る事になったから」

そう言うとすぐさま二階に上がり自分の部屋に籠もり頭を整理するためシャーロックホームズのような座り方をしばらく続けた。

一方で母は口が開き放しで父親はそれを見てにやつき母は心配そうに

「あの子が研究会だなんてしかもこの時期に大丈夫かしら」

「まあなんとかなるんじゃない」

父はそう軽くいうもんだから母はより心配してしまった。

それから学校に行き授業が終わればすぐ帰れる生活が終わってしまった、と言っても月水金の三日だけで終わる時間も自分の好きに出来、行きたく無いなら行かなくても良いと言うなんとも素晴らしい研究会ではあった、ただそこまでしてもらって研究会を行かないというのはなんだか申し訳ない気がして一ヶ月、二ヶ月と一度も休む事はなく続けている。ちなみに休みの日には小鳥遊さんの病室に行ったりとしていた全く休む事が出来なくなってしまった、こうなったのもある約束のせいであった。

それは今から二ヶ月も前のことで小鳥遊さんとパフェを食べに行った翌週のことだった。

いつも通り放課後にだれもいない教室で本を読んでいたら同じクラスの田村さんが急に僕に近づいてきて僕に今から付き合ってといい教室を出て行く

「何やっていんの、早く」

「分かった」

多分この状況をクラスの人のが見たら少なくとも男子には視線が鋭く殺されそうだ、それもで田村さんはバレーボール部のエースで顔もアイドル急に可愛く勉強はあんまり出来ないらしくてでもそのギャップが良いらしくちなみに僕がいる高校はバレーボールの強豪国で全国大会には毎年出ているみたいで、すでに大学もスカウトされていてもう進路も決まっているらしい。僕がなんでこんなに田村さんの情報を知っているのかは実は漫画やアニメに出てくる俗に言うファンクラブが学校にありそのファンクラブに入っている数がとにかく多いらしく会員じゃない僕でも知っているくらいの大きいファンクラブでそれだけじゃなくて学校外にもそう言うファンクラブがあると言う噂もあるくらいでそしてもう一人小坂さんという一つ歳が下の部員もそう言うファンクラブがある為バレー部のその二人がこの学校の二大美女と言われる。つまりその田村さんは活発でいろんな人と友達で性格も良いらしいがいくら何でもこんな僕に話かけてくる事はないのはずなので今まさに起きている状況があまりにも変で現実離れしている訳だ。

そうこうしながらしばらく田村さんと歩く事になった。

「あの?」

「ん?何?」

「どこに行くんですか」

「どこだと思う?」

「どこって何も分からないんだけど、まさかこれから裏路地に連れて行って喝上げとかじゃないよね」

そう言うといたずらな笑顔で涙を浮かべ手を叩き笑った

「そんな事いないよ、なる程ねあの子が気に入るのも分かる気がする」

「あの子?」

「んーん、気にしないで今日はある子に頼まれて安倍君を連れてくるように言われてねそれに前から安倍君と話したいと思っていたし。」

誰かさんはなんとなく歩く方角で分かる気がするけどあの田村さんが僕と喋りたいだんんておかしいけどなんかそんな事もあるかと思うことにした。

そのままたわいもない話をしながら歩きついに目的地に着いた。そこは僕の家の前の病院だった。

「やあ、一週間ぶりだね安倍君」

「やっぱり」

予想していた通り目的地は小鳥遊さんの病室だった、田村さんは病室についてすぐ「それじゃ帰るね」と言ってすぐに帰ってしまった

「あのさ、呼び出すなら普通にラインでしてくれない」

「あれ、もしかして怒っている?」

「怒ってないよ」

そう言うと小鳥遊さんはにやっとしてこう答えた

「やっぱり怒っている、分かった萌果がすぐ帰っちゃった事に腹立てているんだ」

「萌果?、ああ田村さんのことか別にそうじゃないよ呼び出し方が気に入らないだけ」

「そう、そう言えば呼び出すことには抵抗ないんだね」

確かに今の会話からそう読み取られても仕方ないようなそうじゃないような気もした

「って言うか何でこんな回りくどいやり方したわけ?」

「説明するからとにかく座ったら」

そこでやっと自分が座らず話をしていた事に気づいた。

「分かったよ」

「あのね、実を言うと普通に言っても着てくれないじゃないかって思ってほら萌果ってめちゃくちゃ男子に人気でしょ、だから萌果が来てって言ったら誰でも着てくれるんじゃないかって思ってね」

と言うことは僕はまんまとこの悪魔の手の中で踊らされた訳だ、そう思うとなんだか嫌な気になったがそれを口にしてしまうと負けたような認めたような気がしたのでやめた、それになんかさっき実はって言った時なんかほっとけないような顔をされたので気になってしまった。

「そんな事ない、普通に言えば僕は来たよ」

少し変な空気になったので空気を変えるために話題をそらそうとした

「そう言えば研究会に入る事になったよ」

そう言うと小鳥遊さんはビックリした顔で聞き返した

「研究会?そんな安倍君が入るなんてね」

「何、僕は入ったら変?」

「そういうわけではないけど今まで部活にも入らなかったのにと思って」

「まあ三年間、部活も研究会も入る気なかったからそう思われても仕方ないと思うけど」

小鳥遊さんの僕のイメージは実はそうかけ離れてないと少し思った

「ねぇじゃさこれから暇な時で良いからここに来てね」

「暇な時ね」

「いや週三日は来てね」

「なんでそんなバイトみたいいな言い方すんの」

そう笑うとすかさず小鳥遊さんの声が入ってきた

「あ、やっと笑ったね。」

「え?」

「あのクレープ食べた日はなかなか笑わなかったから嬉しくてね」

「僕は小鳥遊さんが思っている程笑わないわけじゃないよ」

「じゃあ今日何回笑った?」

「確かに今日は初めてだけど」

そう言うと「それ見ろ」と言わん見たくどや顔を僕に見せてきた

「まあ暇になったら来るよ、それじゃ僕は帰るね」

「うん、ありがと」

そう言ったのにここ二ヶ月ほぼ毎日来させられるには本当に簡便して欲しいものだ、学校が休みの日とか病室に行かないと鬼のように電話を入れてくるし行ったら言ったで検査でいないときもあるし、と言いつつも今日も朝から昼過ぎまで病室にいたわけだけども、お互い小説が好きなこともありお互いの好きな小説を紹介したりして飽きもしなく今となっては僕にしては楽しいと思える時間だ今まで人とと話をしてきてそんな事なかったしこれが友達として人と接する事なのかもしれないと思いつつ家に帰ると母と父が忙しそうに彼方此方と行き交っていていた。

「おお、お帰り」

「ただ今、帰るの明日でしょ?」

「そう、お昼冷蔵庫に入っているから暖めて食べてね」

そう言うと父は自分の部屋へと消えた、母はおそらく自分の部屋だろう、珍しく二ヶ月も家にいや日本にとどまっていたのに帰る時になったら自分たちの片付けが間に合いそうにない、そんな慌ただしい家で冷静なのは僕だけかと思ったとき後ろから元気良いい声で一匹がいた

「さくら、散歩行くか?」

そう言うとさくらは目を輝かして自分に首輪を持ってきた、こいつは家に来て二ヶ月で自分の名前と散歩と言う言葉を覚え散歩するときはこの首輪を付けることを覚えたのだなんとも頭の良い奴だ、昼ご飯を後で食べることにしてさくらの散歩に行くことにした。

いつものコースで行くと大体二十分くらいで家の近くの公園まで行きそこで少し座って帰るといういつものコースを行く途中で同じ犬種を飼っているおしゃべりが好きなおばあさんに会ってそこで十分くらい捕まり結局帰ってくるのに四十分も掛かってしまった。

家に帰ると出迎えてくれた父親に早速声をかけられた。

「おお、さくらの散歩に行ってきたのかお帰り」

「ただ今」

帰るとまた父に挨拶されてしまった、そのままさくらを離し手洗いうがいをして冷蔵庫に入っているオムライスを温めて食べながら準備が終わったらしい父が話しかけてきた

「どうだった散歩は」

「たまに捕まるおばさんに捕まったよ、あの人の話を聞くのは本当に疲れるよ」

「そりゃ災難だったね」

「そんなんで根を上げているようじゃこれからどうすんのよ」

そこで母が上の自分の部屋から降りてきた

「別に根を上げている訳じゃないよ」

「そうなら良いけど,これからあなたが世話するんだからちゃんとしなさいよ」

「分かっているよ」

父が作ったオムライスを平らげて皿を洗いそのまま自分の部屋に行きまたいつものように本を広げようとした時さくらが部屋に入っている事に気づいて探してみると僕のベットに大の字で寝ていた

「しょうがない奴だな、全く」

そうして布団をかようとしてせっかくなら自分もと思い読みかけの小説を持って布団に入り続きを読む事した。

「博文、そろそろ起きてくれ」

父の声で目が覚めた、いつのまにか寝ていたみたいださくらはどこかに消えていた

「どのくらい寝ていた?」

「んー、随分ぐっすり寝ていたよ。五時間くらいかな、さあお風呂沸いているから入ってきな」

昼寝にしては随分と寝ていたみたいだ、そのせいで体がだるいし頭がガンガンするそれにそんなに寝ていたとしたら夜寝られるか心配だ

このままお風呂に入り、父特性のカレーライスを食べた

「そう言えば日本に帰ってきた時もカレーだったわね」

「確かに言われた見れば」

「まあ良いじゃないか、それより僕たちは帰るけど、博文これから夏休みだろこっち来るのか?」

そう言えばもうすぐ夏休みというか後二日で夏休みだけどもう学校は終わったので実質今日から夏休みと言っても過言ではないのだ。

「あー行ってもいいけど特にそっちでのようがないならいいや、研究会もあるし」

「そうか、じゃあ夏休みだからといって羽を伸ばしすぎないように特に彼女とはね」

まるで先生のような言い方をする父親だが一つだけ違う点がある

「彼女はいないって言っているでしょ」

そう言うと父親はなんとも言えない表情を作り「そうか」と呟いて食べ終わった皿をさげ始めた、それを見た母がタイミングを見計らうように僕に話しかけてくる

「お父さん早く孫が見たいって言っていたわよ」

「冗談はやめて」

「冗談じゃないわよ、タイミングは早いけど見たいものは見たいのよ」

一応そう言うことなのかと思うがいくら何でも早すぎやしないかと思いつつカレーを平らげお皿を下げるが明日からまた自分で何でもやらないといけないかと気が引ける、明日は朝から研究会なので残念ながら父と母を送ることは出来ないが研究会なのでしょうがないと思いつつ自分の部屋へと足を向けてベットにダイブして明日の研究会が面倒くさくなってきた、けど夏休みの部活の日程を決めたのは自分なので時間を巻き戻そうと思う気持ちを抑えつつ眠りに入る。

気づいたら見覚えがない公園にいた、これは夢だそう僕は夢を見たとき夢としてしっかり認識出来る事が出来るとなんかの本で見かけたきっがするが今がそうらしいだが僕はベンチに座っているらしくその場から動けない、足が動かないのだ。こう言うときはじっとただ時間が過ぎるのを待つだけだ、ふと前を見ると小学生に成り立てくらいの女に子がブランコに座って一人で下を見ている、良く見ると足や腕に絆創膏が張っており怪我が多いのかと思った瞬感女の子と同じくらいの歳の男の子が近づいてきた瞬間女の子は弾けた笑顔を見せて男の子に近づいて行った。

起きるともう七時になっていたいつもならもうそろそろ支度しないといけないが今日はもう少し余裕があるのでさくらの散歩を済ませて朝ご飯を食べ制服に着替えて家を出た、いつも通り何も変わらない道にいつも見るサラリーマンや幼稚園に子供を預けるためにいつも自転車をこいでいるお母さんは今日は家族で出かけるのかいつもの制服じゃなくて私服で可愛らしいリュックをしょっている。そう言えば朝いつものように支度をしているとメモ用紙に「行ってくる」と置き手紙にしてはあまりにも短い手紙がおいてあった多分両親は朝一番の便で出て行ったのだろう起きたら綺麗さっぱり居たという痕跡をも消えていたかのように綺麗な状態の部屋であった。そうこうしている内に学校に着いてしまったのでいつもの下駄箱に靴を入れて部室のドアを開けるとそこにはいないと思われていた人物がいた。

「なんで君が居るの?」

初夏の日差しがますます強くなりなんとも外に出たくなくなる日が続いているが外を見れば運動部が汗水垂らして走っている、三年生が最後の大会になるのと言う事で意気込んで後輩を鼓舞していれば三年生が引退して二年生が主体となり頑張っている部活もある、そんな中本研は涼しい部屋で本を読んでいるだけだ。

本研に入ってのってのこの二ヶ月間はこの部室が何かあれば逃げ込める、学校の中でも自分のプライベートな面を出せる唯一の場所だったがそれが今まさに脅かされそうになっている。

「何でって私この研究会のメンバーだし」

「なんだって?」

一回で聞きとれはしたが目の前で起きている出来事が理解できずつい、聞き返してしまった。

「だから私も本研に入っているの」

「まじか、なんで病院で会っているときに言わなかったの?」

「ビックリさあせようと思ってね」

この人の行動と発言には毎度驚かされているが何というかこの人の頭の中が見てみたくなる

「もしかして怒っている?」

「怒ってないよ、先生も先生で言ってくれれば良かったのに」

「まあ私が言わないでって言ったからね」

って事は僕を本研に誘うって言い出したのは小鳥遊さんだったのか、やっぱり入らなきゃ良かった

「今入らなきゃ良かったって思ったでしょ」

「そんな事ないよ」

「まあいいや、それじゃあそろそろ決めようか」

「何を?」

「何って文化祭で展示するおすすめの本」

そう言えばそんな事顧問が言っていたような

「実際どんな風にやれば良いの」

「簡単だよ、自分のおすすめする小説や漫画他何でも好きなようにまとめてって言うのを画用紙いっぱいに書くだけ」

それだけかと思うと顧問が部室にやってきて画用紙を持ってきた

「こんな漢字のサイズだから二人には少し頑張ってもらうからじゃあ僕はまだ仕事があるあらそれじゃ」

まるで嵐のように過ぎていった、僕らの目には本当に終わるのかと言わんばかりのばかでかい画用紙が丸まっている

「これ本当に終わるの?」

「まあ去年はこの半分を一人でったから多分大丈夫だよ」

本当かよと思いつつ画用紙を広げて端と端へと二人で移動して好きな本の紹介を書き始めた。

このまま書き進めても良いのだがせっかく二人で居るので何か話そうかと思いずっと疑問を持っていた事を小鳥遊さんにぶつけてみた。

「小鳥遊さんって病院に居なくていいの?」

そう言うと小鳥遊さんは書いているペンを止めず、そのまま集中したまま答えた

「私心臓が悪いのそれで学校もあんまり来られないんだけ夏休みの部活なら長くて二時間だしその後もちゃんと病院に戻れば良いって先生に言われてね」

「そっか」

と返してその後の会話はなくその日はどのままなんとも言えない空気のままで時間が来てしまった。

帰る準備をして先に帰るよと声をかけた時急に小鳥遊さんが急にでかい声を出して僕が帰るのを阻止し始めた

「ちょっと待って」

「分かったからそんなデカい声出さないで」

そこからは早かった、すぐに持っていたペンを置いて鞄をとって僕の目の前にぴょこっと出てきた

「さあ帰る方向同じなんだから行くよ」

そう言い先に帰ろうとした僕を置いていくように部室を出て行った。

帰りながら、コンビニによってアイスを買って食べながら帰る途中小鳥遊さんが立ち止まったので何かあるのかと思ってその方向に目を向けるとここの近くの神社で花火大会が行われると言う張り紙であった。

「行きたいの?」

「うん、でもいけるか分からないし一緒に行く子が居ないからね」

「田村さん誘えば良いじゃん」

「萌果彼氏居るから無理でしょ」

「そうなの」

そう言うと満面の笑みで此方を見て

「今少し気落ちしたでしょ」

「してない、知らなかったからビックリしただけ」

「嘘だ、絶対萌果の事好きでしょ」

「そんな事ないよ」

「嘘だー」

そんな事を会話をしている内に病院が見えてきたので小鳥遊さんと分かれて家に帰ってきた途端さくらが迎えに来てくれた、もう親は居ないがこうやって家に帰ると人が居るのってなんか安心するなと思った。

時が過ぎるのは早いもので夏休みはもう終わり、そして文化祭に出すおすすめの本をまとめるのもなんとか終わり部活以外はさくらの散歩くらいしか外にでなかったので学校で柴山に会った時白すぎだろと言われた対照的にサッカー部に入っている柴山は焼け焦げていた、おそらく夏休みの大半は外に居たのだろう、小鳥遊さんはと言うと病状が悪化したらしく喋ることも会うことさえ出来ずにかろうじて少しの連絡とお互いの近況報告くらいしか出来なかった、この頃になると僕は自分の少しの変化に気づき始めた自分はもしかしたら小鳥遊さんが好きなのではないか、そう考え始めたきっかけは柴山のある一言のおかげだった

「お前さ最近小鳥遊さんと仲良いよな。付き合っていんの」

「なんでそうなる、別にそう言うことはないよって言うか仲良いとかそう言うことで付き合っているとかなんでそんな発想になるんだ」

「じゃあお前好きじゃないの?」

「好きじゃなよ」

「本当かよ、だってお前暇さえあれば携帯見ているし人と少しは長く喋るようになったし女子に対しての耐性出来ている気がするし」

「スマホはただゲームしているだけだよ」

「嘘付け、お前がラインばっか見ているから皆噂しているぞ」

「そう、でも例え僕が本当に小鳥遊さんのことが好きだとしてもそれは意味ないよ」

「どういうことだよ」

まあそのうちに分かるんじゃないそう言い残してその場を去った

自分がもしそんな感情を持っているとしたらずっと心に秘めて実行しようとしている事にも説明が付くな、周りの人からもなんで人もたまにそこまで出来るのかそう言われても答えが出そうだ。

次に小鳥遊さんに会ったのは十二月に入ってしばらくたった頃だった。

いつもみたいにラインで呼び出されて病室に行った

「久し振り、元気にしていた?」

「元気だったよ」

お互い久し振りに会ったからか会話がぎこちない、しばらくの沈黙を破ったのは小鳥遊さんの方だった。

「ちょっと屋上で話そうか」

力がない歩き方で何が会っても小鳥遊さんを支えられるように横に付いてきながら歩く、しばらく歩いて屋上の外に出ると夜風が冷たかった

「結構冷えるけど大丈夫?」

「大丈夫、それより安倍君の肌の白さにはビックリしたよ、私と変わらないくらいだしさては夏休み外に全く出てなかったな」

「うるさいよ、それでようって何」

「今日は夜になんか呼び出してごめんね」

「別に大丈夫だよ」

「なんと嬉しい報告があってね、私の臓器提供の順番が回ってきたの」

「って事はもう大丈夫って事?」

「まだ心臓を変えてもそれにちゃんと体があうかチェックしなっきゃいけないみたいだけどなんとか卒業式にはでられるかもしれないよって先生が言っていた」

「そっか、良かったね」

「なんか嬉しそうじゃない」

「そんな事ないよこんなに一緒にいた人に死なれたりされたら後味悪いし」

「そっかそうだよね、なんかさ今まで病院に缶詰で死ぬかもって言われていたのに急にもう助かる可能性があってそれで自由って言われてもあんまり実感沸かないんだよね」

「それは時間が経てばなんとかなるよ」

「そっか」

また沈黙になってしまった

「それじゃあそろそろお開きにしようか」

「そうだね、手術前に体調崩れたら大変だ」

そうして小鳥遊さんを病室まで連れて行き自分も家に帰ろうとした時丁度雨が降ってきた、まるで自分が言わなければいけないのに言えなかった事を神様が怒っているようだった。

家に帰るとさくらがで迎えてくれた

「お前はいつも元気だな。でもこうやってさくらに出向けてもらうのも最後だな今までありがとう」

そう言うとさくらは悲しそうにこっちを見つつそれでも力強いまなざしで見守っているそう言ってくれた気がする

いつものようにお風呂に入りご飯を食べ布団に入り睡眠に入る。

僕は昔からそうだった、何にも出来なくて学校で友達すら作れなくてそのおかげで良くいじめられた、ものを隠されるのなんていつもだし一番酷かったときはマッチの火で体の彼方此方を火傷したことかな今でも夢に見る、でもただ一人だけこんな僕とずっと一緒に居てくれた人が居た名前も顔も覚えてないけどその子のおかげで、その子が一緒に居てくれたおかげでいじめはなくなったし今どこに居るのか分からないけど案外近くに居たりして、灯台もと暗しってやつかなその子にも感謝しないといけないな。

これは夢だそう自覚したときさっき小鳥遊さんと喋ったベンチに小鳥遊さんと僕そっくりの人が喋っている、何を喋って居るのか分からないがなにやら深刻そうだと思った瞬間小鳥遊さんが涙を流しながら取り乱し始めた、なんだか分からないけど落ち着かせようと思ったときに真っ暗になってしまった。そして手術台の上の光でまた眠りにつく。


母さんと父さんへ

これを書こうと思ったときには時間がなかったので二人同時に書きます。

多分母さんも父さんも僕がいじめられていた事知っているよね、僕がそれを言ったら海外へと連れて行くだろうからそれもいやだったし当時一人だけ友達が居たことも知っていたみたいだし。

父さんはいつもおいしいご飯ありがとう

母さん僕といる時間が極端に一緒に入れることが少ない事から僕の事を下の名前で呼んで良いものか迷っていたのも知っています、それでも僕は一ミリりたりとも恨んでいません、それどころか感謝しています二人ともの子供で本当に良かったありがとう


小鳥遊さん

あなたが居たからこの七ヶ月間ほど僕に色が付きました、言葉にして言うことが出来ないのでここに書き留めます「好きでしていた」


さくら

君が犬が好きで良くダックスフンドの話しをしてくれたのが良い思い出だよ。いつも見守ってくれてありがとう。そして僕の傷を分け合ってくれてありがとう。

これにて僕の七ヶ月の事をまとめた日記を終わります。

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