13.瑞国伝/水野文華
https://kakuyomu.jp/works/16818093078198236614
※短編のため、先に作品を読んでいただくことを強く推奨します。
【私がこの作品を手に取った理由】
ジャンルは異世界ファンタジーとなります。作者さんからの自己推薦があり、この作品を手に取っています。タイトルとキャッチコピーから中華の歴史ものであることが分かります。私はあまり歴史小説を読まない人間ですので、推薦がなかった場合は、おそらく手に取っていない作品となります。
【私がこの作品から読み取ったあらすじ】
この小説は20000文字程度の短編であり、ネタバレ防止の観点から、作者さんのあらすじを引用とします。以下、引用です。
傲慢な皇太子と、冤罪によって宦官にされた側仕えの物語。
【私がこの作品に感じた良い点】
ジャンルは異世界ファンタジーとなっていますが、その要素としては瑞国という架空の中華風の国を舞台としているだけであり、ほぼほぼ歴史小説といってよいかと思います。ただ、歴史に詳しくなくとも、説明など配慮されていて読みやすい作品となっています。
この作品に出てくる登場人物たちは、腐敗してしまった国を良くしたいという強い意志を感じられ、とても魅力的に映りました。冤罪によって宦官にされた側仕えである楚清朗は、一度は人生を諦めて絶望の淵に立っていましたが、傲慢な皇太子である李翔令の本質に触れることで、国の未来を託すに相応しい資質を見出し、生きる目的を再び得ることができました。李翔令も、始めは己を愚物にせんとする宦官自体を良く思っていませんでしたが、楚清朗だけは違うと感じ、最後はその高潔さを誰よりも信頼するに至りました。
その過程が登場人物の心の内にも触れながら丁寧につづられており、文章に硬軟を織り交ぜることで、さらに際立って見える、そんな印象を持ちました。
国の支配権をめぐる水面下の闘争の中で、二人の絆は完全なものとなっていきます。楚清朗は李翔令に対して、当初は自身が終わりを迎えるための道具と思っていたところがあり、その後ろ暗さから李翔令を頼り切ることができずにいました。それゆえに楚清朗は命の危機にさらされることになるのですが……その最後には素晴らしい結末が待っていました。
【私がこの作品に感じた悪い点】
私は歴史小説をあまり読まない人間であり、それを前提として眺める程度でお願いしたいところです。
美しい主従関係が見事に表現されていて、歴史小説ってもしかして食わず嫌いだったのかもと思わせる素晴らしい作品でした。ただ、途中までが見事すぎて結末は結構あっさり目に感じてしまった自分がいて、李翔令や楚清朗のその後の功績をもっと盛り盛りにして余韻を持たせることがあってもよいのかと思いました。短くまとめられているからこそ良いというところもあるかもしれませんが……私の感覚がちょっと俗っぽいのかもしれません。
【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】
・ひとこと紹介
歴史小説をあまり読まない方へ。新たな扉を開いてみませんか?
・レビュー本文
上記の【私がこの作品に感じた良い点】を投稿します。ネタバレを含むとします。
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レビューは以上となります。全く個人の感想なのですが、このレビューを見られた作者さんは【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】を公式に投稿してよいものか、ご意見をいただければ幸いです。ちなみに私がレビューする時の星は必ず★★★です。
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