14.ウェーブ&ムーブ〈惑星テクトリウスの異邦人〉/保紫 奏杜
https://kakuyomu.jp/works/16817330653313722580
【私がこの作品を手に取った理由】
ジャンルはSFとなります。作者さんからの自己推薦があり、この作品を手に取っています。タイトル、キャッチコピー、三行あらすじから、女性が主人公のスペースオペラものということが分かります。M.O.V.ブリガンダイン=ヴァージルは、この時点では何なのかよく分かりませんでした。物語としては十分に想像ができそうなので、推薦がなかった場合でも、この作品を手に取っている可能性はあったと思います。
【私がこの作品から読み取ったあらすじ】
まさしく作者さんのあらすじの一部のとおり、「公女ロクサーナと、相棒M.O.V.ブリガンダイン=ヴァージルとの活躍譚です!」という作品に思いました。詳しくは以降のレビューで記述しますが、世界観としては「序章 宇宙の波」を引用とします。以下、引用です。
宇宙には波がある。
AH波の発見より百余年、人類はついに恒星間航行を成功させた。しかし、AH波の大きさに依存する移動手段は、文明の拡大というよりもむしろ分裂という形をとった。
AH波は、人類の意図とは関係なく、時に荒れ、時に凪ぐ。その予測は可能になったが、発生を操る力を人類は持ち得なかった。人類が初めの植民惑星に降り立ってから一千年以上経った今でも、それは変わっていない。
大規模で安定的な輸送がされない以上、植民惑星に降り立った入植者たちは、持ち込んだ僅かなテクノロジーを元に、現地で新たに文明勃興を図らねばならなかった。その結果、新旧のテクノロジーが同居する、剣と魔法ならぬ、剣とメカのモザイク文明が各地で展開されることとなったのだ。
そんな辺境植民惑星の一つ、テクトリウスに、一つの廃鉱があった。かつては初期入植者の古参氏族の一つ、カイレン氏族の首都ファル・ハルゼの発展を支える鉄鉱山であったが、二百年を越える頃から産出量が低下し、放棄されていたものだ。
そして今、一時は荒れ放題だった廃鉱を再利用している者たちがいた――。
【私がこの作品に感じた良い点】
とにかくキャラクターの魅せ方がかっこいいです! 「第二章 自然要塞都市ファル・ハルゼ」まで拝読した範囲となりますが、この物語は公女ロクサーナとM.O.V.ブリガンダイン=ヴァージルによるバディものと思います。
「第一章〈始まりの章〉少女とM.O.V.」では、「序章 宇宙の波」にも書かれていた惑星テクトリウスの廃鉱で何やらきな臭い雰囲気から始まるのですが、それもそのはず。敵方の麻薬密売人の視点で物語が始まっているのです。取引相手として現れた客人――それが公女ロクサーナでした。ロクサーナは麻薬密売人組織の捜査のために取引相手を装っていたのであり、うまく相手の信用を得て潜入すると大立ち回りを繰り広げます。
それだけでは終わりません。M.O.V.という聞きなれない単語。なんと人が乗って操縦する巨大ロボのことで、ロクサーナはM.O.V.乗りで、戦況を一変するほどの戦力を持っていたのです。麻薬密売人は、M.O.V.に乗っていなければただの人と冷静に言い放ちますが、それでもロクサーナはレイピアを振りかざし麻薬密売人組織を翻弄します。
しかし多勢に無勢。ロクサーナを追い詰める麻薬密売人でした。そこに現れたのが紫紺の人型M.O.V.ブリガンダイン=ヴァージルだったのです。ブリガンダイン=ヴァージルの力もあり、麻薬密売人は抵抗を諦めて投降することになりました。
一連の流れはまるで映像作品の一幕を見ているような見事さがありました。
このM.O.V.ブリガンダイン=ヴァージル。ただの巨大ロボではなく、ロクサーナと会話もでき、サポートするだけではなく冗談も言えるようなお茶目な面もあります。また、クロちゃんという芋虫型のかわいい?メカも随伴しており、ロクサーナの周りを彩るキャラクターも万全の布陣といったところです。
【私がこの作品に感じた悪い点】
基本的には悪い点はないと思っています。キャラクターの良さが際立っていますが、他の点もかなり良いものがあります。三人称一元視点で視点の混在もない文章は癖がなく、SFらしい専門用語も初心者に配慮されていますし、巨大ロボ戦の生身とは一味違った戦闘らしさもしっかり出されており、高レベルでまとまっている作品だと私は感じています。
強いて言うのであれば、M.O.V.ブリガンダイン=ヴァージルが巨大ロボであることが、作品の中身を見るまで私は分かりませんでした。タグには入っていますが、タグを見ない方もいるかもしれませんので、あらすじに補足で加えておくと、よいかもしれません。
【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】
・ひとこと紹介
とにかくキャラクターの魅せ方がかっこいいです!
・レビュー本文
上記の【私がこの作品に感じた良い点】を投稿します。
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レビューは以上となります。全く個人の感想なのですが、このレビューを見られた作者さんは【カクヨムに公式に投稿する場合のレビュー内容】を公式に投稿してよいものか、ご意見をいただければ幸いです。ちなみに私がレビューする時の星は必ず★★★です。
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