第36話 思惑
莉来に上目遣いをされている中、携帯がバイブする。
連絡は雪花からだった。
内容は...まぁ、ある程度お察しって感じだった。
「私という可愛い可愛い後輩が目の前にいるというのに、よそ見ですか?いいゴミ分ですね」
ご身分がゴミ分に聞こえるのは気のせいか?
「まぁ、分かりますけどね。雪花先輩は確かに可愛いし、勅使河原先輩も可愛いし。よそ見したくなる気持ちはわかりますけど、最終的にはなんだかんだ私が一番いい女ですよ?」
「確かに、莉来はいい女だと思うよ。顔は可愛いし、面白いし、話は合うし、ノリはいいし、後輩力は高いし」
真正面から褒めると顔を真っ赤に染め上げて「だ、だしょ!!」と、顔が赤いのをなんとか誤魔化そうとする。
「だからこそ、真剣に考えたいんだよな。半端な気持ちで答えたくないから。好きってはっきり言えるように」
「いやん、イケメン!濡れちゃう!」
「...本当、どこまで本気なのか分からないのが良いところだよ」
「だしょ!それが莉来マジック!!」と、某マジシャンのようなポーズを取る。
ちょっとネタが古いのはなんなんだろう。
「ちなみに、さっきのメールは雪花からなんだが...」と、文面を見せる。
「...春川先輩に副会長に佐藤先輩...それと謎の男...。って、やばくないですか!?雪花パイセンは大丈夫なんですか!?」
「まぁ、文面を見たところは大丈夫っぽいけど。本当の目的は俺だと思うから、それにあたって莉来にも接近する可能性があると思うから...悪いけどしばらく気をつけた方がいいと思う」
「なるほど...なるほど。じゃあ、変に唾をつける前に先輩...私を抱いてください」
「いや、抱くかー!」と、チョップすると「いやーん」と喘ぐ。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089605404608
相変わらず、呑気というかマイペースというか...。
「本当に何かあったら言えよ」
「あいあいさ。分かってますよ。先輩も私にも雪花先輩にも隠し事は無しです」
「おう」
慢心はない。
いざとなれば俺は助けを求める。
勅使河原先輩のときのような失敗はもうしない。
そんなことを考えながら、その日は莉来と遊ぶのだった。
◇
「どうしますか...?僕的にはもう...」
「...俺もちょっと怖くなってきたっていうか...」
「だよな...」
副会長、佐藤、春川の3人は既に雪花の圧に押されて意気消沈していた。
そんな3人を見て俺はため息をつく。
「こんな簡単に諦めちゃっていいんですか?お三方の気持ちは結局その程度だと」と、俺は全員に言葉のガソリンを被せる。
「騙されたこと、あの男が入れ知恵したこと、そして現在の彼女たちを救うにはあなた達の力が必要なことは言うまでもないですよね」
「...そ、それは分かってますけど...」
「なら、迷っちゃダメでしょ。そして、手段を選ぶのもダメ。だからこれからは僕のやり方に従うこと。いいね?」と、不敵に笑う。
「...なぁ、あんたはなんで俺たちに手を貸すんだ?」
「それ聞いてどうするの?」
「いや、普通に気になっただけだけど。なんでそんなに俺たちをぶつけたいんだ?」
「まぁ、そうね。また今度話すよ」
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勝ちヒロイン達が今日も彼氏についての相談をしにくる! 田中又雄 @tanakamatao01
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