5. 1章 エピローグ

「やぁ、玲子。今日も姉さんに似て飛び切りの美人さんだね」

「おはようございます。……オリビア、何でメイド服を着てるんですか?」

「ん? 可愛いからに決まっているだろう?」


 今朝のオリビアは、胸元を大きく開きとても短いスカートのメイド服を着ていた。

 オリビアの服装はバラエティに富んでいて、その日その日で全く趣向の違う服装をしていた。……いや、もっと正確に言えば服装だけでなく、髪型や髪色、目の色や肌の色、胸の大きさまで日々変わる。


「その胸、偽物なんですよね? この距離で見ていても全然偽物って分かりません」

「そうだろう、そうだろう。何せこの胸は中々にお高い代物だからね。値段相応の出来でなければ意味が無いのさ。興味があるなら、ちょっと揉んでみるかい?」

「……ではちょっとだけ」


 その精巧な作りに好奇心が勝ち、お言葉に甘えて触らせて貰う事にした。

 その肌触りはさらさらモチモチ、そして少ししっとりした感触もあり人肌と変わりがない。少し強めに押してみると、それはふにょりと形を変え本物の胸を触っているようだった。


 実の所、本来のオリビアの胸は真っ平らだったりする。

 これは別に胸が小さいという話ではなく、手術により全摘出していて本当に胸が無いのだ。

 以前、私は病気で全摘出する事になったのかと聞いた事があるのだが、それに対しての返答は。


『いや、胸が大きいと似合う服が限られてしまうからね。それは勿体ないから取ってしまったのさ』


 と言うものだった。

 それが嘘なのか本当なのか分からないが、オリビアならありえる感じもするし、仕事に何かしら関係がある気もする。

 結局の所は分からないが、考えても仕方がないのでオリビアは胸を全摘出しているという情報のみを仕舞っておく事にした。


「あぁ、そう言えば興味深い情報を手に入れたよ。資料を玲子のメールアドレスに送っているから、後で見ておくと良い」


 そう言ってオリビアは「ちょっくらパチンコに行ってくるよ」とメイド服のまま出かけてしまった。

 パチンコが嘘か本当かは分からないが、その服装のまま出かけるのはどうかと思う。


 私はそんなオリビアにため息を吐きつつ、自身のノートパソコンを開く。

 そしてメールソフトを起動し、送られてきているメールの中身を確認した。


「……」


 そこには、両親の死を執拗に中傷していた者が自殺したという事実と、その経緯などの詳細情報が書かれていた。



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これにて第1章『情報を操る悪魔』の完結です。


この後は第2章『悪魔の集う場所』へと入っていきますので、今後ともお付き合いの程よろしくお願い致します( ⸝⸝•ᴗ•⸝⸝ )


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