第2話 返事

 二度とめぐってこない一度きりのチャンス。しかし、俺(凪)には迷いがあった。確かに赤坂大学に行ったら、選手として成長して、オリンピックに出て、強豪実業団に行って、周りからちやほやされて、美人と結婚できるかもしれない。いや、今の俺にはできる自信があった。だが、子供のころの俺の夢は地元・茨城を陸上大国にする。そんな俺が、東京みたいな大都会にいていいのか。いや、俺の夢をかなえるためには...。俺は悩んだ末に柳沢監督にこう連絡した。

『柳沢琢磨様へ

こんにちは。この間はスポーツ推薦の話ありがとうございました。僕もとても悩んだ末、この話はお断りすることにしました。僕自身も行きたい気持ちはありますが、僕を成長させてくれた茨城県を陸上大国にしたい。そう考えています。進学先についてはまだ何も言えないですが、決まり次第ご連絡致します。僕はそのチームで箱根優勝を目指すので、その時はよろしくお願いします。

 氷室凪』

 悩みに悩んだがこの結果を出した。柳沢監督からも返事はあったが、受け入れてくれた。さあ、問題はどの大学に行くかだ。他にもオファーはもらっているが、茨城県からはもらってない。なので、受験することにした。そして見事水戸国際学院大学に合格した。

 そして4月、桜の木の下で自分の大学生活が始まった。

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継走 ~美しくも過酷な箱根駅伝~ @seishirounagi

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