怠惰の代償

@sousuke0310

第1話

ボクはしがない高校二年生。もう夏休みも終盤だが、今日も大量の課題を見て見ぬふりしてTikTok、YouTube、Twitter、Instagramを行ったり来たりする生活を続けている。遡ること一ヶ月前、ボクは高い志を胸に夏休みをスタートさせた。「夏休みはこれまでの遅れを取り返すチャンスだ!!ここで頑張ればボクも学年トップになれるぞ!!」そう意気込んで始まった夏休みだったが 毎日遊び呆けて、お腹いっぱい食べて眠りにつく生活をしていくうちに夏休みはどんどん終わっていった。「今日はいいや、」「明日やればいいだろう、」と、後回し後回しにする癖があった。いつしか夏休みが始まる前の高い志はどこかへいってしまったようだった。そんな風にして夏休みを過ごしていると、友達と遊ぶ約束をしているある日のことだった。朝起きると何故かすごく体が重い。今まで感じたことのないような体の重さで、まるで自分に大量の脂肪がついたようだった。そして何故か立つことができない。ベッドに寝転んだ状態から起き上がることができないのだ。「ごろん、ごろん、どーん!!」ベットから出るためには転がって落ちるしかなかった。やっとの思いでベッドから出るといつもより視点が低い。さらに二足歩行ができない。四足歩行で歩くことしかできない。間接視野で見える自分の前足には心なしか蹄のようなものが付いているように見えた。なんとか鏡のある洗面所に辿り着いて鏡を見るとそこには驚くべき自分の姿があった。そこに写っていたのはブクブク太ったブタだった。これは夢なんじゃないかと何度もほっぺを叩こうとするが前足が短くて届かない。「こんな姿でもどうやって友達と遊べばいいんだ、というかどう日常生活を送ればいいのだろうか。そんなことを考えているうちに時間が来てしまった。「このままいくしかない。」何故かそう考えたボクはこのまま遊びに行くことにした。待ち合わせ場所に着くとそこを通りかかるすべての人から怪訝な目で見られた。中にはボクのことを写真に収める人もいた。SNSにでもあげるのだろうか。すると集合時間になり友達がやってきた。しかし、友達はボクに気づかない。なんせボクはブタなのだから。どう友達を呼ぼうとしても声が出ない。必死に出した声は「ブヒ、ブヒィ〜〜」だった。こんな声では気づいてもらうどころか周りの人全員に冷たい視線で見られる。そうこうしている間に友達はどこかにいってしまった。途方に暮れたボクは街を歩き続けた。歩きすぎてお腹が空いてきた。ボクは気づいた時にはどこかの山の中にいた。「あ、あそこにご飯がある!」ウキウキして向かった先には餌があった。夢中で貪り尽くしていると、「ガチャーン!!」大きな音を立てて何かが閉まった音がした。後ろを振り向くと檻だった。よく周りを見渡すと三百六十度鉄格子で囲まれていた。そう、檻に捕まったのだ。ボクはその檻ごとトラックに乗せられた。トラックの中は真っ暗ですごく寒かった。トラックの中で眠くなったボクは現実逃避のために寝ることにした。「ブヒブヒ、ブヒィ〜、ブヒ」

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