エピローグ

手紙の内容には、おおよそ俺が言ったことが書かれていたようだ。つまりは箱を開けられれば正解、わかったら城島さん本人に電話をかけるというのが、わかったかどうかの基準だったようで、電話番号が書かれていたそう。明日、城嶋さんはどんな面持ちで店に来るのか、面白そうなので早めにカフェに来ることにしよう。



ハンカチの箱を再度表に向ける。



左上にはロゴがくっきりと載っている。JSという文字とともに添えられたシンプルな花のデザインが、妙に視界に入ってきた。


たしか名前は城島庄司と言っていたな。とても相性の良い名だ。




ガランガラン!



少し勢いよく入り口のベルが鳴り響く。


外からは白いカットソーに軽めの黒のジャケットを着た女子大生が入ってきた。下は青のロングスカートと少し大人めのコーディネートではあるが、如何せん服に着られている感じが否めない。



「緋村先生、私の電話には必ず出てくださいといつも言っているじゃないですか。」



綺麗な落ち着いたトーンの声からは、俺だけにしかわからない怒りが含まれているのを耳から感じ取る。



俺は彼女に手を取られ、今日も仕事へと向かう。帰り際に梓ちゃんにお礼としてもらったコーヒー無料券を握りしめて。



俺の時給は、コーヒー一杯の換算となった。

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緋村瑛一の不本意推理ショー @wataru803

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