第2話 歪み始めた

私が小学校4年生だった年のクリスマスイブ

家では小さなケーキにチキンなどがテーブルに用意されイベントの準備

後は父の帰りを待つだけだったが

20時なっても21時を過ぎても 父は帰ってこなかった

おばぁちゃんは明日も学校だからと 先に食べましょうと言って 食事を始めたと同時に 父は帰ってきた


帰ってきた父は いつもと違う様子に 子供ながらも気づくが何がとはわからない


数分後 けたたましいサイレンと共に 数台のパトカーと 大勢の警察官が家に来て

父の名を叫んでいた


土足のまま警察官は部屋に入り そのまま父を羽交い締めにして手錠をかけた


父は1言私に ごめん

と告げて連行されていった


その数分間の光景は 私の処理能力を超えており 恐怖すら与え 心理的に深い傷となりました


私は とにかく震えながら 眠れない夜を過ごしたのを覚えてます


おばぁちゃんは警察官から事情を聞いて 泣き崩れてました

近所の人も駆けつけてくれたけど 可愛そうな人達を見る目で 見られていたように感じてました


翌日 新聞にも事件として載ってました


私が全てを理解するには数日かかりました。

私の解釈としては

父は仕事帰りに居酒屋へ行き その時に店内で口論から喧嘩となり 相手が喧嘩中に転倒した際に 頭を強く石にぶつけてしまい打ち所が悪く病院へ向かったが即死だったとのことです


父は相手が亡くなったとは気づかずに その場から立ち去り徒歩で帰宅した

その後 駆けつけた警察により現行犯逮捕


が真相の様ですが 本当の事は父しか分かりません


それから おばぁちゃんと私は 殺人者の家族と言う他人の目を気にしながら生きていくこととなりました


おばぁちゃんは逮捕後から夜な夜な泣いているのを覚えてます

家から出ることが減り なにか独り言を言うようになりました


洗濯もやらない日があったり ご飯を作ってくれない日が時々あるようになりました


朝起きたら玄関が開きっぱなしで おばぁちゃんの姿がなく どこかへ散歩でも行ったかな?

と思っていたら おばぁちゃんは徘徊をする様になってしまったんです


父の逮捕が引き金の

ショック性アルツハイマーとなり

毎日ぼーっと過ごし 奇声を発したり 独り言をずっと話してたり 時には徘徊もしてました

徘徊は距離も増え 隣町までバスや電車を使って移動してしまい 夜中まで返ってこないなんて日常的になり 私も困り果ててました

近所の人にも大変ご迷惑をかけながらもなんとか二人で暮らしていたんですが、、

いとこのおばさん(父のお姉さん)が全面的に手続きをしてくれて

おばぁちゃんは施設に入る事となり

同時に 私はおばさんのお世話になる事となりました


小学校5年の春 私のことすら忘れかけてる

おばぁちゃんを施設に預けて

また面会にくるね

と問いかけても答えのないおばぁちゃんを置いてきてしまった時の感情は複雑でした


歪み始めたのはこの辺りか


おばさんにお世話になることは正直安心だけれども 本当の気持ちを制御出来ずに 流れのままにYESしか選べなくて 感情を抑えてく事しか出来なかったと思う

1人で生きていけたら 年齢がもう少し上だったら 当時はそこまで思わなかったが 年を取るたびに 私の少年時代のウィークポイントの1つである事は間違いない


本当の母に会いたい

こんな時 会いに来てくれない 助けてくれない母はどんな人なんだろう

勝手に母を恨む私が生まれたのもこの時期


これから想像を超える 過酷な毎日を過ごす事になるとは 思いもしなかった


おばさんから聞いた

父は私が思ったよりも早く出てくる事が決まった

理由は

相手がヤクザだった

転倒による脳挫傷が死因だった

本人は反省し模範囚として過ごしている

というのも関係あるのかな?

3年半で出所 私が中学2〜3年生の時には出てこれる

これは朗報だったけど

中学卒業までおばさんにお世話になる期間

私にとって一番キツイ時期でした














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少年時代 @freed2012jk

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