すごい詩なので、読んでください!

海が好きだから、何気なく読みました。
1作目から「すごい!」と思いました。
心臓にドンッと来て、全12作、読む間はずっと動悸がしました。

詩の詠み手は、娘、少年、漁師、魚……
「川」などの、人間ではないどころか、動物でもない存在もいます。
それぞれの海への思いが、それぞれの口調で語られます。

詠み手ごとに、詩の作風もさまざまです。
わかりやすい言葉の詩も、難しい言葉の詩もあります(難しい言葉の詩は、無教養な私にはわからないですが、それでも「すごい!」と感じます)。

さまざまな作風があるので、どなたでも、好みに合う詩があると思います。
特に好みがない私は、作風の違いを楽しめました。
例えば、4作目の「魚」では、「魚はこんなにむつかしいことを考えているのか!」と驚かされたのが楽しかったです。

私が、こんなにこの詩に惹かれたのは、海の近くで育ち、海が原風景になっているからかもしれません。
海になじみがない方もいらっしゃいますね。
でも、私たちの遺伝子の中に、海の記憶が刻まれていると思うのです。
最初の人類が大陸間を移動していたときに、海を渡ったと思います。
そもそも、生命の誕生は海からです。

私は、いのちが死んだら、海に還るような気がしています(実際は、火葬されて土中に安置されるとしても)。
この作品のキャッチコピーは「生きとし生けるもの、いづれか海を思はざりける」です。
ふだんから海を思うひとも、そうでないひとも、この作品で海と対面してほしいです。