夕焼けのきれいな日
階段をおり、今日は一人で地下鉄の轟音と共に眠る
決して心から笑わない君と
真実は女のせいで売り物になったと言い張る俺と
お互いに
夢の中で
もう一度愛し合うために
それは
どこにも無い明日
俺はここから君の夜明けを奪うために
悪い夢で朝陽を覆う
君はきっとおびえた振りで
俺を呼び出すだろう
暗い空はいい声で古い子守唄を歌い
アスファルトの舗道は
冷たい風と抱きあう
ここから
どこにゆくつもりだ
君の手の中の切符は
思い出の雫で濡れて行き先は消えてしまい
誘惑のための衣装は奪われて
ただの首なし死体だ
君とは
二度とくちづけはできない
もう、どこへもいけない君を
遠いしずかな海に帰してやろう
そこにはきれいなレストランも気の利いた恋人もいない
あるのは波と風と月明かりだけ
それ以外に何がいる?
俺は
新しいベッドに黒い猫をようやく寝かしつけ
地下鉄の轟音を聞こう
いつもの行き先を捨てて
その日を待つ
俺の死ぬ日は夕焼けのきれいな日
ただ
その日を待つ
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