街は

もう、どこに行っても

僕のうずめた死骸だらけだ

花を手向けることも無く

僕は

そこここに葬り

今はどこに誰がいるのかもわからない


あの時の

微笑み

あの時の

あの時の

抱擁


僕は死んでもいいとつぶやいた

彼女たちは笑ったけれど

その方がよかっただろう

こうして街に出るたび

恋の亡霊に出会うくらいなら


ふと

すれ違う

女たちの香りに

彼女らはよみがえる

僕はそのたびに

低く笑うのだ

堕天使の羽ばたく音色に


カフェで僕の前を行き交う女たちに

さようならをいう

彼女たちは亡霊のイデア

美しく今日も装い

風に吹かれて優雅な光を放つ


そこは悪魔の谷

それでこそ優しさも素直に喜べる

でなければ

誰に恋が訪れるというのだ。

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