夕暮れは今日も

明日を奪っていく

それは悲しいことではない

俺に

最後を教えているのだ

こうして

静かに暗闇が来ることを

教えているのだ


そこには

輝く虹色の塔があり

静かにさざめく波が打ち寄せる

それら何もかもが崩れていくのを

俺は見ているから


行過ぎる街路の風に

昔の横顔を見つける

くらいアスファルトを見つめながら

来るはずの無かった明日を

俺は待ったのだ

おかしな

馬鹿げた夢を見ながら


失えば

そこはまた夢に満たされた大地だろう

しかし俺はそこに戻ることはない

灰色の

どんなものも生きていくことのできない丘で

こうして

夕暮れを見つめているのだ


ただ

俺のために

俺の明日を奪っていくために

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