正体

好きな人を思い出す夜

誰もいない

一人の部屋で

明日、もう何もかもを終わりにしようと

そう思う


苦しみに耐えられない

そう思うことももう無い

それが

誰にも言えない

誰にも見せられない

恋の正体だ


この次、お前は誰と口づけをするのだ

恥知らずな

その正体を

誰に告げようか


そのうちに何もかもを失くすだろう

美しいことの嘘

可愛いことの軽薄

誠実なことの醜さ

優しいことの愚かさを


仮面はもう取ることは出来ない

誰にお前の正体がわかるだろう

もう、

お前さえも忘れてしまった自分の心


愛などと

どの口でささやこうというのか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る