第7話
寄せては返す波をじっと見ていた。
耳に届く波の音も心地よく、ずっとこうしていられる。
「祈咲!準備できたみたいだから行きましょ」
「リチェ」
彼女はリチェ、ノアの仕事仲間の人のルーシェ。
家が近いのもあってよく話し相手をしてくれる人。
「じっと見てて飽きないの?」
「うん、海好きだから」
砂の上に直接座っていたから、立ち上がりながら砂をはらう。
今日はノアの仕事仲間の人達と海に遊びに来ている。
空が夕陽に染まり始めた頃、バーベキューの準備をする間私達は何もする事がなく、砂浜を歩いて貝殻を集めたりと自由に過ごしていた。
私はじっと海を見ていたけど、リチェは他の人たちと探索を楽しんだらしい。
「リチェ、髪に葉っぱ着いてるよ?」
「あら…ありがとう」
どんな所を探検してきたのか、服にも少し草や何かで汚れている。
話しながらノアたちの元へ歩き出す。
少しだけしか離れていないのですぐに着く。
「リチェ…どこに行ってそんな汚れてきたんだ?」
「あっちの洞窟よ!草が茂ってるだけで何もなかったわ」
話しかけたのはノアの仕事仲間の一人のアランさん。
リチェの返事に呆れた顔をしている。
「まあまあ、楽しいのはいい事よ!!」
「そうそう、退屈してたよりはいいじゃない」
仕事仲間のお姉さん達が加勢する。
アランさんは諦めたようなため息をついて、少し離れた所でリチェの服をパタパタとはらったりしていた。
「祈咲、海じっと見てたけど退屈じゃなかった?」
ノアが近寄って声をかける。
「うん、海好きだから楽しいよ」
「そっか、よかったね」
そう言って撫でられる。
「ほらー!早く始めるわよー!」
「お腹空いたー!」
「はいはい、行こうか祈咲」
「うん」
お姉さんたちの声で始まるバーベキュー。
皆で騒いで、食べて、楽しい一日になった。
ノア×ルカ〜祈咲は二人に溺愛される〜 瑚夏 @konatsunatsu
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