第6話

ドーンという音がして、夜空に花火が咲く。

三人で花火大会に来た。

お店を見て回ったりした後、観覧席に来てゆっくりと眺めている。

花火は好きだ。

暗い空に星が散りばめられたような景色に目を奪われる。

「綺麗だねぇ」

「うん」

話している間も次々に咲く花火。

夢中で見入ってしまう。

花火は素敵だから夏だけじゃなくてもいいのになぁ。

周りの人達も、大人も子供も皆が笑ってる。

平和で穏やかな時間。

そんな風に思いながら眺めていたら、一際大きな音とたくさんの花火。

クライマックスが近いのかもしれない。

ふと、いつか元の世界へ帰るんだと思い寂しくなる。

この世界へ来て、最初は不安でしかなかった。

でも、二人と過ごすうちに当たり前の日常になっていて。

戻りたいけど、戻りたくないなんて。

ノアとルカの手を握って少しの悲しさに蓋をする。

「また来年も来たらいい」

考えを見透かしたみたいなルカの声に少し目が潤む。

そう…戻るのは何時なのか分からないけど。

ここにいる間は二人といつも通り過ごすだけ。

幸せで甘い時間を過ごすだけ。

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