第三話 俺の可能性

アズライール、階級 司教、第七位


簡単に言うと、協会の上から三番目の地位の奴らの中で七番目


ちなみに俺たちの先生だ、元


三番目だけど、普通に強い、というか、多分俺じゃ―――


「三秒、でしたね」


「ああ、あなたのカウントだと、六秒でしたか」


アズライールはそう呟く、俺という椅子の上で


「クソがッ」


負けた、まぁ当然っちゃ、当然である


シトリーは知らないかもしれないが、俺は教会、学院では結構な落ちこぼれだ


アズライール、聖術が使えるシトリーなら瞬殺してもおかしくない相手だが


俺じゃ足元にも及ばない


「よく、こんな実力でこの事件に首を突っ込めましたね、私の実力で最低、私でもただの見張り、足止め役だというのに、君は、、そうですね、そこら辺を歩く、蟻ってとこですかね」


ああ、そうだよ、知ってるよ、自分の実力の事は、自分が一番


だけど、だけどよォ


「蟻でも、夢は見るもんだ」


「逆光」


俺がそう詠唱した瞬間、この部屋にいる、全員が一時、膠着した


その時間、一秒


理由はただ一つ、皆が目を閉じたからだ


聖術、逆光


聖術の基礎的な術であり、ただ光を放出する、それだけの術


目くらましや目潰しなどによく使われる


だが、それはもう、過去の話


今、現代では対処法が発見され、誰も使わない、子供の悪戯と同じレベルの物になった


そう、その対処法とは、眼を閉じる事、だ


笑えるだろ?そんな簡単な行動でこの術は無効化できる


逆光の対処術として反射的に皆が目を閉じた


だが、その中で、一人、目を閉じていない者がいた


その者の名は、ゼパル、俺だ


「逃げるぞ、シトリー」


俺はシトリーを抱えながら、そう言う、俺の聖纏のレベルでも一秒時間があれば


この部屋から逃げることくらいはできる


さらに、この部屋に来るときに、教会からの脱出場所、警備兵の巡回時間は把握済み


それなら、逃げれる、この教会の外へ


「見たかよ、シトリー、『俺の可能性』を」


そう言いながら、俺は跳躍し、教会の壁を越える


シトリーの顔は見えないが、笑ってくれているような、気がした

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