第14話 運命の赤い糸

「おはようございます。朝ごはん作りますけど何かリクエストってあります?」


悪夢でうなされた朝、井戸水を飲んだおかげかあの後は何もなく気づいたら朝になっていた。指には変わらず赤い紐がついていたのですべてが夢だったということはなかったようだ。


「ん~サンドイッチがいいな~。挟むものは任せるよ。」


「サンドイッチですね。わかりました。」


何を挟もうか、まずはシンプルにパンにマヨネーズを塗ってキュウリ・トマト・レタス・ハムを挟んだミックスサンド。次は茹で卵と玉ねぎ・マヨネーズを混ぜ合わせたものを挟んだ卵サンド。最後にベーコン・チーズ・レタスを挟んだBLT風サンド。これだけあれば大丈夫だろう。


ご飯ができたので羽張様も起きてくるかと思ったのだがなかなか降りてこないので部屋まで呼びに行く。


「羽張様~起きてますか?」


「・・・・・・。」


こりゃあ寝てるな。仕方ない起こしますか。


「入りますよ~。ほら羽張様起きてください。畑中くんはもうとっくに起きてますよ。」


「ん~眠いのじゃ。もう少し寝させてほしいのじゃ。」


「そういう人は後でなんで起こしてくれなかったのかって怒る人ばっかりなんだから今ちゃんと起きてください。」


部屋のカーテンを全開にして電気もつけての二重で光を与えて起床を促せつつ体を何度も揺らす。


「あ~わかったのじゃ、起きるから揺らさないで欲しいのじゃ。」


「先に食べてますからちゃんと来てくださいね。」


「すぐ行くのじゃ。」


やっぱり羽張様には目覚まし時計を買ってあげたほうがいいかもしれないな。いやでも起きない人って目覚ましが鳴った瞬間に切って二度寝に入るって聞いた気がするな。やっぱり起こしに来るのが正解なのかな?でもとりあえず買うだけ買ってみるか。


「あれ~羽張は?」


「今起こしてきたんでもうすぐ降りてくると思いますよ、また布団に戻ってなければ。」


「何十年何百年寝てたんだから~少しぐらい早く起きてこればいいのに~。」


「それに比べて畑中くんはちゃんと起きてえらいな。一番早く起きてるんじゃないか?」


「(∀`*ゞ)」


「そうだね~僕よりも早く起きてるからえらいよね。」


「おはようなのじゃ~。」


ちゃんと起きてくれたようだ。しかしまだ眠いのか半分寝ているようで頭を振りながらご飯を食べてくれている。


少し時間がかかってしまったがみんな食べ終わり片付けが済んだので今朝のことをみんなに相談する。


「神様方、ちょっと話したいことがあってですね。今朝変な夢を見まして、古い昔の家でミミズの化け物に食われそうになりながらも村から逃げ出すって内容だったんですけど妙にリアルだったし、起きたときに気づいたんですけど小指に赤い紐がついてて夢と関係があるとは思うんですけどちょっと怖くて。」


「指を~見せて。」


テーブルの上に手を出すとそこには確かに赤い紐が小指に結びついていた。それを真剣に見つめる神様方の表情は少し困ったような顔つきだった。


「これはね~運命の赤い糸だよ。聞いたことない?」


「運命の赤い糸って、男女が結ばれるってやつですよね?ってことは良いことなんですか?」


「おぬしの夢からしてそんな良い物のはずないのじゃ。夢から推測するにその赤い糸は夢で出会ったミミズの化け物につながっているはずじゃ。」


「あくまでも僕たちの考えだけど~、その夢で出会ったのは~土着神か何かだと思う。土着神って色々いて田舎みたいな~人里離れた場所では通常祀られるべきでない者まで~祀っていることがあるんだ。よくあるのは~信者に対して供物と称して人を生贄を求めるのがあるかな~。」


「普通に考えれば異常じゃろ?でも昔は違うのじゃ、今よりも生きにくい世の中で雨ごいや五穀豊穣に病気なんかの厄除けをすべて神に願っておった。それがかなえられる存在がいたら悪しきものであろうとその地域の者は自分たちを救ってくれる神だと祀り上げてしまうのじゃ。その結果が異常な風習となるのじゃがおそらくおぬしが見た夢は村での決まり事を破った結果起こった悲劇じゃろうな。」


「なんで俺はそんな夢を見たんだ?」


「たぶんわしらのせいなんじゃろうがその逃げた村人がおぬしの先祖なんじゃろう。指の紐は土着神がお前を見つけ逃がさんようにつけた目印だと思うのじゃ。誰一人流さんと言っておったんじゃろ?今まで見つかっておらんかったのは血が薄くなり本人たちが土着神のことを知らなかったからつながりというものが消えかかっていたおかげじゃろうな。」


「つまり俺はあの化け物に食われる未来が待っているってことなのか・・・。」


「何もしなければの話じゃ。おぬしが食われるのを黙ってみてることわないのじゃ、時間はそうないと思ったほうが良いすぐに対策を考えるのじゃ。」


「相手は一応神だから~生半可な対策じゃいけないからね使えるものは何でも使うよ~。直毘神に話を伝えてくるから先に考えてて~。」


対策って何をすればいいんだ?そうだ!あの陰陽師の人たちに聞いてみるのはどうだろうか。さっそく俺は朝露さんに電話をかける。

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神様と田舎暮らし @kairanban

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