第二章 禍つ土着神
第13話 古い夢
ここはどこだろうか?俺は確か家で寝ていたはずだ。
当たりを見渡すと現代の家とはかけ離れた簡素なつくりで随分と古い家のようだ。電気なんかはもちろんなく部屋を照らしているのは格子窓から入る月明かりのみ。
窓から外を見ようとすると誰かが部屋の中に飛び込んできた。
「いいかい○○!このお札をもってあの壺の中に隠れているんだよ!どんな声が聞こえたって出てきちゃだめだよ。絶対だからね!」
この家の女性だろうか俺に一枚の紙を握らせると無理やり壺の中へ押し込み始めた。
「こんなことになってごめんね。生きていたらまた会いましょ。」
そう言って壺にふたをした後どこかへ走り去っていったようだ。
しばらく隠れていると家の外からいくつもの叫び声が聞こえてきた。一体外で何が起きているのだろうか、絶対に隠れていろと言われた手前抜け出して見に行く勇気が出ない。
その後も叫び声に加えものが壊れる音が増え始めた。先ほどの女性は無事だろうか今のこの状況で出歩くなど自殺行為のようなものだ。
隠れ続けていると次第に静かになっていき最後には何の音もしなくなった。もう出ても大丈夫かと思い中からふたを開けようとしたときペタペタと絶対に人の足音ではない音が家の中に響いた。
「ゲゲゲ、もう村人はいないか。俺との約束を破った罰だ、誰一人逃がさん!」
ペタペタと足音を鳴らし少しずつ確実にこちらに近づいてくる。隠れている俺の居場所がわかっているのかほかの場所に見向きする様子はなく一直線にこの部屋まで入ってきた。
「んー?たしかに臭いがしたんだが、ゲゲゲどこに隠れてる?ここか?」
すぐ隣のツボがパリンっと砕ける音がした。
「違った、こっちか。」
皿に横のツボが割れる。次は俺の番だ。
「ふむこんなところに隠れるはずがないか・・・。「おとうちゃんー!」む!」
家の外から子供の泣き声が聞こえてきたためそちらへ興味が移ったようでゆっくりとこの部屋を出ていった。
何なんだここは。俺はなぜこんなところにいるんだ逃げよう、今なら近くにはいないはずだ。声さえ漏らさなければ大丈夫だろう。
壺を少し開け近くにいないかよく音を確認した後、素早く家から出てこの場所から走り去る。
家の玄関を出て少し走ったところで先ほど家の中出であった女性であろう死体が地面に横たわっていた。確証が得られないのは服装はそっくりなのだが胸から上が何かに食われたように千切れており顔を確認することができなかったからだ。
あまりの恐怖に声が漏れそうになるがぐっと押し殺し涙をこらえながらこの村?町?から抜け出すためにさらに早く足を動かす。
ようやくこの村の外に出られそうだというところで突然足を何かに引っ張られ地面に強く体を打ち付けた。
「いった!!」
「ゲ、ゲゲ。まだいたか、逃がさんぞ!」
先ほどの声が聞こえたのでそちらを見るとミミズだろうか?細長く均等な感覚で横線の入ったツルツルの肌に脈打つように動く体、そして極めつけは体に巻き付く触手。
その姿は魚釣りで使うミミズの塊のようでひどく気味の悪い見た目だ。
「お・わ・り。」
1本の触手を俺の元へ伸ばすとそれは段々と大きくなり先端が口のように横に裂けそのまま頭から胸のあたりまで覆った。
あぁ俺はこのままあの女性のように食われてしまうんだな。この状況に死を悟りあきらめかけたその時、手に握りっぱなしになっていたお札が触っていられないほどの熱を上げ思わず手を離すとその熱は全身に回り体の外側を燃えがらせた。
「ギャア!!!」
化け物は叫び声をあげると触手を離し燃え移った炎を消すため体をじたばたと動かしていた。
俺のほうはというと先ほどまで暑いと思っていた熱は自身を守るかのように暖かく心を落ち着かせる淡い光を放っていた。
逃げるなら今だと化け物に背を向け村の外へ一気に駆け抜けた。
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「はっ!なんだ夢だったのか・・・。それにしてもリアルな夢だったな。」
悪夢による寝汗でぐっしょりと濡れた服は気持ちが悪くまだ時間は夜中の3時と中途半端だが一度汗を流しに行こうと着替えをもって脱衣所に行き服を脱ぐと自身の小指に赤い紐がついていることに気が付いた。
その紐は目で見ることはできるが実際に触れることはできず洗ったり振ったりしても離れることはなかった。
「なんだこれ?寝る前はなかった気がするけど。朝になったら神様たちに聞くか。」
汗を流しスッキリしたのでもう一度眠りにつこうと思うのだが今度は悪夢を見ないために効果はないかもしれないが井戸水をコップ1杯飲んでから寝ることにした。
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