第一章 少年の中で廻りだす運命

:20XX年、数十頭の牛がたんべりしてる牧場が見える開放的な部屋で勉強の合問に昼寝してる一人の男がいた。

彼は澤宮岳斗である。どこにもいる平凡男子高校生の平和的な一日から始まる。 次の日学校に美人の転校生凪空加那江が来た。 帰り、彼女が山に入るのを目撃した岳斗は彼女を止めようと後を追ったら、彼女の姿は消えていて、白いゲートだけが残されていた。 岳斗は白いゲートに触れてしまい、不思議な世界に迷い込んだ。 腕が鎌であるゴブリンに襲われながらも加那江を探す岳斗。 加那江を見つけて、一緒に烏の面を被った蛸らしきモンスターを倒した。 加那江から全て忘れなさいと言われた岳斗だったが、彼はほっとけないタチなので、加那江を真剣に説得して、どうにか仲間に加えてもらった。 入り口で仲間が戦っている。 なんと、その正体は岳斗の飼い猫であるシャルルだった。 彼は魔導士なのだ。 彼らは協力しあって、花が頭になっている化物を倒して、元の世界に生還するのだった。

合計:9396文字, シーン:210文字, カット:5989文字, セリフ:3197文字

メモ欄:20XX/6月の終わりの日曜日 ひるねしてる男ありけり

場所:北海道 十勝の近く

時間帯:夕方

天候:晴れ

シーン:20XX年、科学技術が進んでおり、人類は月や火星に進出しているなど、人類の新しい進化がなされている。 一方で過去の反省から自然との共存を大事にする風潮が世界に広がってきている。

数十頭の牛がたんべりしてる牧場が見える開放的な部屋で勉強の合問に昼寝してる一人の男がいた。

畳がしきつめられた広い部屋 眼前には野原と牛と空を赤く照らす夕日が見える。

カット:んが一 よくねたあと言って、背伸びする少年がいる。彼の名前を澤宮岳斗と言う。

彼は北海道の十勝に住んでいて、母親が昔からの夢だった牧場の経営のために12歳に彼の出身であるアメリカのフロリダから引っ越して来たのだ。

現在、彼は地元にある天原高校に通っている高校2年生である。 彼が昼寝していると牧場を広く眺められる縁側から猫の鳴き声が聞こえてきた。

起き上がって見るとそこには赤い首輪をつけている灰色の猫がちょこんと縁側に座っていた。 彼はシャルルと言う。 一年前、毛がボサボサでお腹が空いて、フラフラ彷徨っているところを岳斗に拾われた。 今は岳斗の良き相棒だ。

シャルル •ヴァンタール 「ミャア、ミャオウー(オッス、岳斗)」(平穏)

澤宮岳斗 「オウ、シャルル 帰ってきたか」(喜び)

シャルル •ヴァンタール 「ニャオ(メシくれ)」(期待)

澤宮岳斗 「ほれ、オメーの好きなささみ肉だ」(愛)

シャルル •ヴァンタール 「ニャオーッ(ワーオ、いただきまーす)」(喜び)

カット:岳斗が台所の冷蔵庫からささみ肉を取り出して、それを灰色のお皿に乗せて、シャルルのところに持っていった。

シャルルはささみ肉を見て、目を輝かせ、勢いよく食べ始めた。

肉をガツガツ食うシャルルを見て、腹が減ってきた岳斗は自分の家族の夕飯を作りに台所に歩いて行った。

澤宮岳斗 「オレもメシにするか 今日はマーボー豆腐でもつくろう」(平穏)

カット:床が土となってる昭和前期風の台所なので、コンロに行くためにサンダルを履いて、冷蔵庫から材料を取り出した。 そして、コンロの横に置き、手際よくニンニク、ネギと豆腐を切り始める。

スイッチで火を付けて、植物油をひき、ニンニクとネギを入れて、鍋をふるう。 次に肉、豆板醤を入れる。 肉、野菜と植物油が混じり始め、食欲を湧かす辛い匂いがし始めた。 酒、冷蔵庫に入れといた鶏ガラスープ、水、醤油、砂糖を次々と入れ、最後に豆腐をまな板から投入する。 ネギを交えたひき肉が豆腐と共にスープの中で踊る

それがフィナーレを迎えたころ、髭を生やした細マッチョのおっさんが奥から戸をスライドさせて入ってきた

彼は澤宮北三郎、岳斗の父親だ。 彼の顔の左半分には熊に切り裂かれた3本の傷があり、左目と左耳を傷つけ、左目は義眼だ。

澤宮北三郎 「ほー、うめー匂いすんとおもったらマーボーかぁ

酒ひっかけて食いてぇもんだな」

澤宮岳斗 「いいけど、さきにフロはいってこいよ」

澤宮北三郎 「おいっす~、メシメシィー」

カット:そう言って北三郎はフロの方へ歩き去っていった。

岳斗はフライパンの方に意識を戻した。

澤宮岳斗 「おっと、あと少しでできる」

カット:完成して、湯気立った麻婆豆腐とごはんを皿に盛り付け、食卓に出したところで、ポケットがいくつもついている黒いツナギを着た女性2人が家の裏から上がってきた。

背中の真ん中まで伸びている長い髪を黒ゴムで後ろに束ねたおばさんは邦子、岳斗の母親である。

もう1人、髪を肩まで下ろしたショートヘアの髪型をしている若い女性は如月るり子、2年前に仕事を辞めてあてのない旅をしている時に偶然邦子の牛製品販売店に入った。 そこで偶然邦子に出会って、旅についての話と転職の相談を通じて、牛の酪農の仕事に再就職したのである。


出来上がって、湯気が漂っている麻婆豆腐を見て、邦子は顔を綻びかせた。

澤宮邦子 「わー

美味しそうな麻婆豆腐ね

着替えてくるから待っててね」(喜び)

澤宮岳斗 「おう」

シャルル •ヴァンタール 「ミャオン(うまそうなもんつくれるもんやな)」

如月るり子 「そんじゃあ、いただきまーす。」

カット:ドアが開いて、北三郎がスッキリした顔で髪をタオルで拭きながら風呂から出てきた。

集まった4人と数匹は夜メシを会べながら、窓からの星空を楽しむのであった

この数匹はシャルル、もみじ、ひまわり、さくらという名前の猫で、四匹とも岳斗に拾われている。

岳斗の数年間の観察では紅葉はお姉さんキャラ、ひまわりはボーイッシュ、さくらは甘えん坊の末っ子という感じになる。

シーン:岳斗が通っている天原学校に登校して、いつものクラスの2-3にいる岳斗である。

カット:始業前、学生たちがそれぞれ、仲良しの人たちとおしゃべりをしている。

その時、岳斗は太陽光を反射させながら輝く桜木の葉っぱを横目に見ながら頬杖をついてぼーっとしてる。

上川賢治 「よお岳斗」

澤宮岳斗 「おっす、山田太郎」

上川賢治 「おいおい、上川賢治だぜ」

上川賢治 「んなことより、今日転校生来るぞッ!

ウヘー、美人だとええなアー」

カット:上川は6月という異例のタイミングでくる転校生に期待を含ませながらニヤけた。 よだれを垂らしそうになっているのは彼のために言わないでおこ・・・言ってるな。

話を戻して、岳斗は生返事して、興味なさそうな顔でまた窓の方を見始めた。

澤宮岳斗 「ほーん」

上川賢治 「おめーそっけなえなー」

カット:2人がたわいもない話をしていると始業始まりチャイムが鳴り、同時に立派な顎鬚を蓄えたミニ肥満おっさんが赤ジャージ姿で入ってきた。

彼は藤原牧、岳斗の担任であり、マサさんという愛称で生徒たちから慕われている。 外見はプロレスラーのマサ斉藤をイメージするのがいい。

ちなみに彼は化学を担当していて、よく実験薬を作っては岳斗を相手に効果を確かめている。 そのせいで色々大騒ぎになったことも一度二度ではない。

藤原牧(マサさん) 「みんなハッスルしてっかー?今日は転校生紹介すっぞー」

カット:マサさんの呼びかけと共にドアを引いて現れたのは白髪のボニーテール(腰までとどく長さ)をしている女の子であった

彼女が男子たちの視界に入った瞬間、野郎どもの心臓は矢で打ち抜かれるかのこどく、ズキューンと心の音を立てた

そして、美人でかわいいので、男子たちはうっとりして、顔を赤めらせ、鼻血を出しそうになっている。

岳斗はそんなうぶな野郎どもを見ながら、心底呆れた顔をしている。

凪空加那江 「こんにちわ。 あたし凪空加那江と申します! よろしくねー」

男子生徒 (嘘やろ・・・!? こんな美人で可愛く、性格も良くて・・・俺たちってサイコーーッ!!!)

澤宮岳斗 「やれやれ、単純なヤローどもだぜ・・・」

藤原牧(マサさん) 「席はあそこでほおずえついている野郎のとなりだ

あいつは澤宮岳斗だ。」

カット:マサさんも気のせいか岳斗を羨ましそうな目で見ている。

席に着いた加那江は体ごと横に振り向いて、岳斗に挨拶した。 岳斗は一応、顔を振り向いたもののそっけない態度で返事し返した。

凪空加那江 「Ok-よろしくね岳斗くん」

澤宮岳斗 「おっす」

カット:こうしてその日は美人の転校生の話題で持ちきりになった他、何も変わったことはなかった

カット:放課後、友人らとたわいもない話(今週のマンガの内容とか)をしたあと、一人見なれた風景をぼんやり眺めながら、帰路につく岳斗

今日の予定を頭に思い浮かべている。

澤宮岳斗 「今日は剣道の練習もないし…オンラインFPSゲームでもするかね。あの金ピカヘリをどう撃ちおとしたもんか…」

カット:ふと岳斗は100メートルほど先に山を神妙に見上げている加那江の姿を目に留めた。

岳斗はなんとなく加那江の真剣な態度が気になり、ちょうど横にあった木の陰にかくれて観察することにした。

凪空加那江 「ここか…。裏世界に通じる白いゲートは。

どうやらここを30mまっすぐね」

カット:そう言うと加那江は山に入っていった。

岳斗は加那江の行動に不思議がったが、おそらく彼女が山の危険を知らないという結論を出して、加那江を止めようと後を追った。

澤宮岳斗 「あれ…?そこってたしか普通に鹿とか猪が出てくるから、危険だよな。止めてくるか。」

カット:そうして、後を追った岳斗は目に映った風景に驚くことになる。

信じられないことに岳斗の前に白いゲートが空中に浮かんでいた。 周りを見渡すが、加那江はいなかったので、疑問に思った。

澤宮岳斗 「なんだ…?この白い輪っかみたいなのは…それに加那江いないし? まさか、あの中に入ってしまった?」

澤宮岳斗 「... 入ってみるか」

カット:しばらく迷ったが、加那江が白いゲートに入ってしまったのだろうと結論づけた。 加那江を連れ戻すことを決めた岳斗が謎の入り口に左手から触れた時、目の前が白くなるもつかの間、元の風景に戻った。 岳斗は周りを見渡し、首を傾げた。

澤宮岳斗 「? 今のは何だったんだ。夢とも思えんし 少し探索してみるか」

カット:そうして、見知った道を歩くが、違和感に気づく。 岳斗が歩いてきた間、誰にも会うことはなかった。

気のせいだと思って、なおも歩いて、商店街にさしかかる。 商店街には店のシャッターは空いていたが、店員や客が1人もいなく、まるでゴーストタウンのようで、不気味に感じられた。 生きていて今まで出会ったことのない怪奇現象に恐ろしがっている時、岳斗はふと得体知れない殺気を感じた。

同時に空気を切裂く音がきこえて、岳斗は三歩前に走りながら振返った。 そこにはかまいたちを腕に取ってつけたような姿をしている緑色のゴブリンが立っていた。

彼は鋭い歯を光らせて、岳斗を殺そうと彼を見据えた。 岳斗はあまりの非現実的な生物に驚いた。

澤宮岳斗 「!?何だ? ゴブリンとかまいたちが合体したような…?RPGじゃあるまいし」

ゴブリン 「キィィ キウーッ!!」

カット:腕を鎌にしているそのモンスターは耳をつんざく高音とともに、ジャンプして岳斗目がけてー直脈に鎌をふりかざしてくる。

岳斗はこの突然な攻撃を後ろにかわし、そのまま背を向けて、走り去るが、奴も鎌をぶんぶん振り回しながら追いかけてくる

岳斗は逃げ回っている間、何か武器になるものを探していた。 人がいないパイプ屋にちょうど竹刀と同じような長さのパイプを見つけた。

岳斗は商品を勝手に使っていいのか迷ったが、緊急事態であることを言い聞かせて、パイプを持って、ゴブリンと向かい合った。

澤宮岳斗 「ヤベーな。 何かリーチがある武器がないか…?

パイプが積んであるな。店のもんだが。 悪いが、今はこれしかねぇ。」

澤宮岳斗 「さてと…剣道は少しはたしなみがあるが、人外に通用するか?」

カット:数年間地元の道場で習っている剣道の構えでパイプを持った岳斗は呼吸を整えながら、ゴブリンを観察している。

ゴブリンは岳斗の足を切ろうとかまいたちを振り翳して、低空躍走してきた。

ゴブリン 「ウォエアーー!」

澤宮岳斗 「はっ!!」

カット:岳斗はゴブリンの動きを読みきって、切りかかるタイミングでシャンプした。

その勢いで、奴の首を狙って回し斬りをクリーンヒットさせた。

ゴブリン 「ウクエ!オァ…」

カット:突然の反撃に白目をむきながら倒れるゴブリンだった。

岳斗は加那江を思い出し、探索を再開した。 岳斗は加那江が危険な目に遭っていないかを心配した。

澤宮岳斗 「やれやれこんなもんか。加那江はいったいどうしてるんだ?」

カット:そのとき、地面をゆらがす轟音と共に加那江の苛立った声がきこえた。

岳斗は生まれ持った正義心で加那江の元に走って行った。

凪空加那江 「ちっ…。めんどい敵だな。このままじゃキリがないわ。」

澤宮岳斗 「今のは…ええい四の五の考える前に助けるッ!」

カット:その音の方向に走った岳斗は建物の影から赤い目を二つ持つ白い鴉のお面らしき頭とそこから生えている10本の黒い触角を見て取れる

2本を足の代わりにしていて、加那江は残りの足の突きをかろうじて避けながら、反撃の機会を伺っている。

澤宮岳斗 「おい!こっちも相手だぜ」

カット:岳斗は一瞬、目を見開いて、息を飲み込んだが、この状況に対する疑問を一旦置いといて、加那江を助けることに集中した。

そして、奴の足に気合いを入れた回し斬りを発揮した。

どうやらパイプ棒では、ダメージはあまり与えられないが、加那江から気を逸らすことには成功したようだ。

加那江は岳斗の思いがけない登場に驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。

凪空加那江 「!! って、驚いてる場合じゃないわ」

カット:奴は岳斗の奇襲にバランスを崩して、加那江がその隙をついて、奴の片目を双銃で撃ち落とした。

凪空加那江 「岳斗! これを使って」

カット:加那江は腰につけていた少し短めの刀を抜いて、岳斗に綺麗な放射線を描きながら投げた。

岳斗は見事に刀を受け取って、怪物に向かって、構えた。

澤宮岳斗 「おうよ!しっかり受け取ったぜ」

凪空加那江 「岳斗 奴の弱点は赤い目よ

私は目に狙いをつけるから、あなたは足をひきつけといて!」

澤宮岳斗 「なにっ? まあ やるだけやってみるか(10本か…避けるだけでも精一杯ってとこか)」

凪空加那江 「銃では撃ち落とせないけど、その剣で足を斬れるわ しばらくしたら再生するとはいえ、戦いが楽にはなるわ じゃあ任せた」

カット:岳斗は生まれてこの方一度も遭遇していないケースに少し戸惑いながらも目の前の問題解決に専念することにした。

こうして、加那江は奴の目を中心に弾幕を張って、奴の足の3本を目の保護に専念させた。

岳斗は頭を支える2つの足をのぞいた残りの触角と向き合う。 後7本

カット:奴の足が岳斗に襲いかかる。1つ目は岳斗の左腹、2つ目は頭目がけて。

岳斗は右のサイドステップで、難なく避けながら、頭を狙った方を切り落とした。 後6本

カット:敵は思いかけない反撃に一瞬ひるみ、岳半はこの隙を逃さなかった。

一歩踏み込み、さらに2本切りおとし、ステップバックした。 後4本

カット:その時、2本の足が岳斗の急所を刺すべく、地上を静かに這い寄った。

今まさに死角から急上昇しようとしていた。

澤宮岳斗 「はっ! 危ねえっ」

カット:岳斗はこの奇襲に驚きながらも足を大きく蹴って、バク宙しながら、体をひねって、2本を回し斬りした。 後2本

右足を折りたたむようにして着地した。

しかし、目を隠している一本が攻撃の姿勢をあらわにした。 岳斗は避けきれないと思い、焦った。

澤宮岳斗 「げっ・・! やべえ!!」

凪空加那江 「化け物め、油断したわね 今、その馬鹿でかい目を打ち落としてやる! カドリングスコール!」

カット:加那江の銃から高速順回転した無数の弾が目に襲いかかる。

奴の大きな目は3本以上の足がないと隠すことは不可能だ。 つまり、チェックメイト

お面を被った怪物 「ぎぃやあああ」

カット:魔物は目をつぶされて、苦痛そうな断末魔をあげた。 もはや存在を主張する御立派な目が消し飛んだ以上、彼に慈悲の可能性は無しである。

燃え尽きた灰のように風に吹かれ消え去ってしまった。

戦いを終えて、一息ついた加那江は岳斗を睨みつけて、口を開いた。

凪空加那江 「ふう・・・。 とりあえず助かったけど、あなたはどうしてここにきたの!?

ここは危険な世界なのよ!」

澤宮岳斗 「え・・・。 俺はただ加那江が山に入ろうとしているから危なくて止めようと後を追って、この世界に入っただけだ。

なあ、この世界ってなんなんだ・・? 加那江はどうしてこの世界で戦っているんだ? 教えてくれないか?」

カット:加那江はしばらく岳斗を睨み続けたが、岳斗を諭すには本当のことを説明する必要があることを悟り、ため息をついた。

そして、加那江は話し始めた。

凪空加那江 「・・・わかった、話すわ。 でも、今から話す話はだれにも言わないでほしいの。できれば二度と関わらないほうがいい。

今、世界は滅亡の危険に瀕してるの。 とある邪悪な組織の手によってね。

今戦ったモンスターは彼らが人体実験の末に生み出したもの。この世界はそんな危険なモンスターだらけの世界なの。 奴らは私たちの世界に侵入してきて、人々を滅ぼそうとしている。 そして、私たちは世界を守る使命を課されているわ。

でも、あなたは関係ない。 今すぐ元の世界に送り届けてあげるわ。 そして、全て忘れなさい。」

澤宮岳斗 「事情は分かった。 しかし、俺が他の人に全て任せて、のうのうと生きてられる神経を持ったやつに見えるかね?」

凪空加那江 「この戦いでは人は簡単に死ぬわよ。 逃げて、祈るのも勇気じゃなくって?」

澤宮岳斗 「悪いが、そんなのガラじゃない。」

カット:岳斗はそう言って、じっと加那江の目を見つめる。

沈黙に耐えきれなくなった加那江が目を逸らして、ぶっきらぼうに言い捨てる。

凪空加那江 「…分かったわよ ただし、少しでも足手纏いになったら、そこであなたの冒険は終わり。 分かった?」

澤宮岳斗 「ああ」

カット:加那江は携帯を取り出して、向こうの人と話し始めた。

凪空加那江 「もしもし、昨日から追っていたターゲットは倒したわ

ところで、結社のアジトは分かった?」

「今まで倒したモンスターの遺伝子を調べたところ、レゴリスの成分を含んでいたから、おそらく月のどこかで生み出したのだろう」

凪空加那江 「そう どこにあるかは見当がついたりしない?」

「月自体には移動魔法で行けるが、どこにアジトがあるかはてんでわからん」

凪空加那江 「わかった。 遠くはないと思うから改めて探してみるわ」

「ああ 分かった じゃあ入り口で待ってる 

ん? なんだ。 あの馬鹿でかいのが入り口を塞いでいる?」

凪空加那江 「どうしたの?」

カット:その時、電話の向こうで爆音が轟いた。

凪空加那江 「なっ!? まずいことが起きてる? 」

カット:慌てて電話を切った加那江は岳斗を急がせるように促した。 そして、入り口の付近まで走ってきた時、岳斗たちは目の当たりにした。

そいつは岩のような材質でできているような花が頭にとって代わっているというような容貌で、両腕に一般自家車を簡単に貫通できるであろう細長く鋭い爪がきらびいている


そして、今まさに右腕の爪が風を切る音を発しながら、地面に刺さった。その横には、驚くことに、呪文を唱えて、反撃しようとする灰色の猫がいた。

花頭と長い爪をもつ怪物 「ギャオオオッ!」

シャルル •ヴァンタール 「どこまでも鈍いやつだぜ 火の鳥の餌食になっちゃまえ! 

屍喰らいの不死鳥よ、奴らを貪り食え!」

カット:そういうと猫の前に赤い魔道陣が現れて、そこから無数の火の鳥が敵を焼き尽くして、食い潰さんとして、群がり始めた。

花頭と長い爪をもつ怪物 「ツ!ガオオオッ!」

カット:火の鳥を爪で薙ぎ払う努力をしたが、それも虚しく、火の鳥と共に灼熱の地獄に苦しみ、消え去るかに見えたが、その肉体は頑丈だった。

シャルルはうんざりした顔で言った。 岳斗は開いた口が塞がらないような顔でシャルルに語りかけた。

シャルル •ヴァンタール 「はぁー こりゃきびしくなりそ。」

澤宮岳斗 「あんたは… シャルル?」

カット:シャルルは思いがけないところで岳斗に出会って、慌ててふためいた。

岳斗はシャルルに疑問をぶつけた。

シャルル •ヴァンタール 「なにかききおぼえのある声が・・? へ? 岳斗っ!?  おいおい待てや うそだろ

どーしてここに?」

澤宮岳斗 「加那江についていったらこうなった

ところで、シャルル。


えーと…説明してくれ」

シャルル •ヴァンタール 「あの〜、実はしゃべれたりするのよ…あと魔法も使える。」

カット:シャルルが気まずそうに答えたところに加那江が現実に戻す一言を言った。

ふたりはハッとして、目の前の敵に意識を集中した。

凪空加那江 「ふたりとも何突っ立ってるのよ 敵が目の前にいるわ」

澤宮岳斗 「そうだっ! こんな茶番してる場合じゃねえ

とはいえ、どーやったら倒せるのかもわからんが」

シャルル •ヴァンタール 「おそらく花の中にあるもののが弱点だろう

花にしちゃ硬すぎる外観だぜ」

澤宮岳斗 「どーやって開かせる?」

シャルル •ヴァンタール 「わからんが、花が戦闘を管理する知的な部分だとすれば、頑丈な肉体を何かしら補助すると考えられる


どうかにして、花を開かせて、花の中にダメージを与える必要がある。

それは加那ちゃんにお願いするか

岳斗、オメーは肉体にダメージを与えてくれ

俺は魔法で遠くから攻める」

澤宮岳斗 「イエッサー 魔導士様」

カット:岳斗はニヤっとしながら返事をした。

加那江は左側に、岳斗は右側に向かって走る。

シャルルは距離を十分に保ったまま敵と向き合った。 岳斗が剣を地面に深く擦り付けて、そのまま前に振り切った。

すると地面の土が土竜のように真っ直ぐ這い寄り、怪物の足元に衝突した。 怪物はバランスを崩すとともに土竜に意識が行った。

澤宮岳斗 「ドラァっ! こっちだぜェ

疾潜土竜剣っ!」

花頭と長い爪をもつ怪物 「ウググっ グアアッ!!」

カット:奴はその怒りを右爪の攻撃に転じて、岳斗目がけて打ち降した。

しかし、岳斗は直前で、横に避け、地面に突き刺さった爪を切り落とし、ドヤ顔で言った。

澤宮岳斗 「どーよ 少しは応えたろ」

カット:岳斗に左爪のフックが襲い掛かろうとしていた。

しかし、加那江の5発の銃声と共に、その爪は根本から砕け散った。

そして、もう一つの銃の先端には直径5センチほどの虹色の玉が光り輝いていた。

凪空加那江 「こっちよ! これで終わりじゃないわよ

くらえ シャイニングレインボー!」

カット:加那江が放った7色の玉が分裂して、さまざまな角度から敵を貫く。

怪物の胴体に直撃し、怪物は悲鳴を上げた。

花頭と長い爪をもつ怪物 「ぐぁああああ!!」

カット:奴のヘイトが加那江に向いたところで、岳斗が高くジャンプして、奴の首を斬り落とさんとして、刀を水平に回し斬りした。

澤宮岳斗 「おい 冥土への片道切符切りやすぜ〜 いってらっしゃっせーっ!」

カット:果たして、その攻撃がヒットした瞬間、奴の動きは一瞬止まって、花が開かれた。

岳斗は弱点を確信して、開かれた花に剣を刺そうとした。

澤宮岳斗 「そうか、首が弱点か とどめ刺すか」

カット:その時、奴の花の奥からぷつぷつした音がしたかと思うと、間をおかずに緑色の液体が岳斗目掛けて解き放された

岳斗はすぐさま怪物から離れなければいけないことを察した。

澤宮岳斗 「やべ 避けなきゃダメな奴だっ!」

カット:岳斗は鋭い直感と天才的な身体能力で、ジャンプ離脱と受け身を同時に行い、3歩下がった。

不幸なことに、奴の花の防御能力も引けを取らなかったようだ

花は閉じてしまった。 加那江が悔しそうに言った。

凪空加那江 「弱点が首だということはわかったけど、あんな反撃されちゃ、近づけないわ」

シャルル •ヴァンタール 「あれを使うか

おい 岳斗 さりげなく奴をさっきと同じところに誘導しろ」

澤宮岳斗 「お安い御用だぜ」

カット:怪物がシャルルに向かって体当たりをかましてくる。

花頭と長い爪をもつ怪物 「うぐおおお ドドドド」

カット:加那江が走ってくる怪物に弾幕を張り、足止めした。 怪物の動きが一瞬止まった。

凪空加那江 「ガガガガッ! そう簡単には攻めさせないわよ」

カット:その隙に、岳斗は後ろに回りながら、遠心力を利用して剣を地面に滑らせ、疾潜土竜剣をもう一回放った

またも土竜が足元にヒットして、奴の動きをうまく止めたところで、シャルルが呪文を唱えた。

シャルル •ヴァンタール 「時の神クロノスの影共よ 今一度我らの戦いを再現せよ!」

カット:岳斗によく似た黒いシルエットが奴の首を同じように回し斬りした。

奴は同じように花を開いて反撃するために、酸を吐き出した。 加那江の目に鋭い光が宿り、天に向けた双銃で空を覆うほど大量の弾を撃った。

凪空加那江 「やっと顕になったわ このチャンス逃さないっ

パレットスコール(たくさんの弾を上空に放ち、激しい鉄の雨を敵の頭上に降らす)」

花頭と長い爪をもつ怪物 「ヴォアアア…!」

カット:激しい鉄のゲリラ豪雨をまともに受けてしまった花は急激にしおれ、体も同調するようにやせていき、動かなくなった。

シャルルは戦いに勝利したことに安堵して、岳斗に労いの言葉をかけた。

シャルル •ヴァンタール 「うまくいったな」

澤宮岳斗 「そうだな.ところで、人の言葉をしゃべったり、2本足で歩く、魔法つかうおまえは何者?」

シャルル •ヴァンタール 「そうだよな…そりゃ、そんなこと聞かれるわな

よし、話すぜ。 オレは元々、遠い星にある王国の次期王子だった。

王国は偉大なる父によって平和的に治められていたが、8年前、クーデターがおこってしまった。

オレは命がらがら逃げのびて、色々あって、加那江をスカウトしに来たわけだ。」

凪空加那江 「あたしも偶然ゲートに入って、モンスターに襲われた時、シャルルに助けてもらったの。

そこで、シャルルから裏の世界に潜む四獣をやっつけるお願いをされたわ

なんでも、この門を通れる者にしか倒せない獣なんだそうよ」

澤宮岳斗 「そうか あらかた分かったが…。

じゃあ…どーして俺んとこきた?」

シャルル •ヴァンタール 「さあ・・。 何匹か猫を飼っていて、いい奴だったからついていっちゃったってとこだな」

澤宮岳斗 「そうか…まあいいや。 しゃべるモフモフくんに悪い奴はおらんからな。なんやうれしいわ」

カット:岳斗はシャルルを抱き上げて、あごにキスにした。 ついでにいつものように撫でた。

シャルル •ヴァンタール 「うおお、くすぐったいぜ キックするぞ」

カット:微笑ましい2人を見た加那江は少し微笑むが、ふと疑問に思い、首を傾げた。

凪空加那江 (この境界って、選ばれた者しか通さないはずなのに…

岳斗 貴方は一体何者?)


あらすじ:激しい戦いを終え、帰路につく。 家族が出迎える。

次の日、シャルルが見つけたアジトを襲撃する計画を立てた。 それは月の裏側にあった。 岳斗がロボットやモンスターと戦う隙にシャルルと加那江はコントロールルームを探して、工場を爆破した。 岳斗たちは脱出しようとしたが、怪しい魔術師が立ち塞がった。 決戦の末、彼を追い詰めることができたが、魔導士は時を止めて、赤い蔓が岳斗を貫く未来が待っていたはずだった。 しかしそうならなかった。 岳斗は運命変転という力を持っていて、邪悪な組織と戦う運命にあることを謎の女神エリスに言われた。 ともかく勝利した3人は地球に帰るのだった。 それを魔女と紳士が鏡を通じて見ていたのだった。

合計:12720文字, シーン:331文字, カット:5348文字, セリフ:7041文字

メモ欄:猫は基本的には鳴き声のみ セリフは猫語わかる人だけ分かる。

ちなみに岳斗はわかっている。

なぜかって? 去年の夏頃 新しい薬の効果確認のためにマサさんの試料品を飲んだところ、黒いハチワレの猫になったことがあるからである。 それ以来猫語を理解できる。


ただし、シャルルは人語を喋れる 

時間帯:夕方

天候:晴れ

シーン:こうして激しい戦いを終えた3人は帰路につくのだった。 赤い夕日が畑から見える。

岳斗とシャルルが家の扉を開けるころにはもう太陽は定時帰宅して、星々が挨拶していた。

カット:親愛なる兄と弟が帰宅して、出迎えんとする足音がリズムよく響く

澤宮岳斗 「帰ったぜ もみじ ひまわり さくら」

もみじ 「ニャン ミャオー (兄様帰りましたの)」

ひまわり 「兄貴 飯くれや」

さくら 「岳兄〜 撫でてん❤️」

シャルル •ヴァンタール 「帰ったぜ ねーちゃん方」

澤宮岳斗 「うむうむ やはりコイツァ天国だな

飯用意するから待ってろ おおさくら 撫でてやろう」

カット:シャルルと美猫3姉妹に飯をあげた岳斗は水餃子を家族団欒で召し上がるのだった。

そして、3姉妹を撫でる、頭にキス、猫パンチのフルコースに満足して、眠りにつくのだった。

シーン:翌朝 生まれ変わった朝日が草原に広がる新緑の草を輝かせている。

カット:様々なところから襲いかかってくる幾つものの紐付きの木を躱しながら、1.5メートルほど顔を見せている10本ほどの杭に木剣を打ち込むことを繰り返している男がいた。

澤宮岳斗 「キェーッ! ふっ! はっ! とお〜っ!!」

カット:彼の最後の打ち下ろしで、杭を真っ二つに割った。

岳斗は周りを見渡し、今しがた割って倒れた杭に腰を下ろした。

澤宮岳斗 「さてと、杭が少なくなってきたし、補充するか」

カット:岳斗は朝の鍛錬を終え、目を閉じて、瞑想をしている。

その時、ふと回想に入る。

シーン:継切れ継切れ、風景が浮かんでくる。

カット:山の中で数頭の熊が額から血を流していたり、口から血を吐いている状態で倒れている横で、全身血だらけで倒れている北三郎らしき者と隣で大泣きしながら動かない男をゆさぶる少年。 その少年も背中に熊に引っ掻かれたらしき3本の大きな傷を負っていて、今にも死にそうだ。

澤宮岳斗 「お父さんっ!おきてよ!ねぇ…死なないで (震えて、心細い声量)」

カット:移り変わって、病院の手術室で青い布をかけられて、横たわっている北三郎と彼を手術する医者、看護師たちが映っている。

麻酔医の横に心停止を告げる警告音が鳴り響く。

医者たちは汗を浮かべながら、何やら看護師に怒鳴りながら指示しているようだ。

医者 「おい! 心停止だ! アドレナリン1mg!」(焦り)

麻酔医 「はい! アドレナリン注入します。」

カット:アドレナリンを注入したが、心停止は続いたままだ。

医者 (これはいかん。 ここまで酷いとどうしようもない やるだけやるがおそらく助からないだろう)

カット:白いドレスを差た女性か何やら語りかけてくる.

エリス・フィッシャー 「ト…岳斗…運命を変えるのです…」

澤宮岳斗 「なっ…!」

シーン:いつも朝、鍛錬している山の中

カット:はっと現実に帰ってきた岳斗は最後の風景に首をかたむける、

澤宮岳斗 「何だったんだ…?運命…?」

カット:シャワーを浴びて、着替えた岳斗は居間でシャルル、北三郎、るり子と会った。 邦子は朝ごはんの準備で台所にいる。

シャルルは二本足で立って、岳斗に手を振った。 岳斗は家族みんながその事実を共有していることに少し驚いた。

澤宮北三郎 「おっす 」

如月るり子 「おはよー 岳斗くん」

シャルル •ヴァンタール 「よう 岳斗」

澤宮岳斗 「いつのまにかみんなの前で喋ってるのか?」

シャルル •ヴァンタール 「ああ お前にばれたなら、今更、別に隠す理由もないしな。」

澤宮北三郎 「まあ

お前が喋る猫だとしても変わらず可愛いのは変わらんからな」

如月るり子 「猫と喋るの私の夢だったのよねー」

シャルル •ヴァンタール 「るり子、まるでピュアな少女みたいだったぜ

俺が何か返事返す度に床を転がって、嬉しがってたよ。

ところで、うまそうな匂いが漂ってくるぜ。

こりゃ、シャケだな。」

カット:岳斗は3人の会話を聞きながら台所に行って、家族のご飯、味噌汁を載せているお盆をテーブルに運んだ。

邦子が後に続いて、塩がよく振られているシャケを運んできた。 シャケの匂いが部屋中に広がり、食欲をそそられる。

澤宮邦子 「岳斗 ご飯できたよー

シャルル、今日はしゃけも付くよー」

澤宮岳斗 「おうよ」

シャルル •ヴァンタール 「おおっ! 母ちゃん、うまい焼きたてくれや」

もみじ 「あたしにもしゃけくださらない?」

澤宮邦子 「もちろんみんなの分もあるよ

さあお食べ。かわいい子たちよ、」

シーン:学校 始業前 いつもの教室

カット:自分の席で頬杖をついて、ぼんやりしている岳斗に近よる影が2つ。

そのうちの1つが岳の視界を奪う 岳斗の目を手で覆ったチャラそうな茶髪男子は一ノ瀬十次郎だ。 岳斗の目を塞いで、ケラケラと笑った。

一ノ頼十次郎 「お~っす」

澤宮岳斗 「その声は十次郎か よくあきないな」

一ノ頼十次郎 「へへ、ガクート おめーこそ、もー少しおどろけよー」

カット:岳斗の後ろからもう1人の声がかかった。 上はアフロで、側頭部と後頭部は坊主の髪型をしていて、縁が黒く厚いメガネをかけている男子で江戸新吾と言う。

彼は手に持っているジャンプを岳斗の机の上に置いた。

江戸新吾 「岳斗昨日借りたジャンプ返すぜ」

澤宮岳斗 「おーよ」

カット:岳斗が友の2人とたわいもない話をしたり、ふざけあったりするところに加那江かやってきた

凪空加那江 「おはよーッ! ガークトォく~ん」

澤宮岳斗 「加那江 おっす」

凪空加那江 「今日ひま?」

澤宮岳斗 「まあな」

凪空加那江 「じゃあ放課後ね」

カット:岳斗と加那江が仲良く話しているのを見て、十次郎が肘で岳斗の肩を突いた。

一ノ頼十次郎 「おいおい岳斗おめーもすみにおけませんなァー いつの間にわしつかみしちゃったのさー」

澤宮岳斗 「おい、早合点すんな。オヤジじゃないんだからホイホイナンバせんよ」

江戸新吾 「そのオヤジのDNAを50%受け継いてるのはだれ?」

澤宮岳斗 「まてや、あのエロオヤジと一緒にしたら困るぜ」

江戸新吾 「まあぜいぜいがんばれや」

澤宮岳斗 「どーも。つーか加那江かいる所で話すような内容じゃねーだろ

隣の席なんだぜ。」

凪空加那江 「大丈夫大丈夫

恋バナくらい1つや2つあってもおかしくないから」

澤宮岳斗 「そーゆー問題か?」

カット:放課後、合流した2人は昨日とは別の場所、廃校になったとある小学校の入り口前に来ていた。

その小学校は10年前に廃校になってから管理する人もいないため、所々床が抜けていたり、埃をかぶっている。

澤宮岳斗 「加那江、なぜ昨日と違う所?」

凪空加那江 「ああ。 あの入り口ね、ばれちゃったから封印したの。」

澤宮岳斗 「そうか、ところで学校とさっき迷った世界での喋り方が違うんだが・・・?」

凪空加那江 「余計なトラブルとかめんどくさいから学校では可愛い女の子を演じているの。

あまり気にしないで。」

澤宮岳斗 「ふーん、そうか。」

カット:2年5組の教室(机やイスがまとめて、端っこにおかれている)に入った2人は改めて、今日の作戦を練ることにした

岳斗はシャルルの姿が見えないことに疑問を持った。

澤宮岳斗 「そういやシャルルは?」

凪空加那江 「月にある組織のアジトを探すので、来るのが遅れるらしいわ」

澤宮岳斗 「そうか…ところで、普段は何をしてるんだ?」

凪空加那江 「奴らがこちらの世界に侵入してこないように宇宙をあちこちパトロールしてるの。

まあアジトが見つかるまでの時間稼ぎみたいなものだけど。」

澤宮岳斗 「宇宙…?ちなみに地球以外にも文明はあるのか?」

凪空加那江 「そうよ。そして私はこの宇宙のどこかにランダムにあらわれる時空の歪みを封じるために世界を旅してきたわ。

今回はここに歪みが現れた。」

澤宮岳斗 「そうか…。ところで、もし月のどこにあるかがわかったとしてもさ、月でどうやって息するんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「それは俺が答えよう。」

カット:教室の扉に立っているシャルルの方に振り向いた岳斗と加那江。

澤宮岳斗 「シャルル!もしや魔法か?」

シャルル •ヴァンタール 「ご名答!生命が育たない環境でも行動できる魔法もあるぜ。

正確には命を形作る元素の加護が対象者を守る。」

凪空加那江 「シャルル。それで、月のどこにあるか分かった?」

シャルル •ヴァンタール 「完璧だぜ!

月の裏側のクレーターに氷が張っていてな、底に建物があった。

行きも帰りも移動魔法使うから心配いらない。」

澤宮岳斗 「じゃあ…行くか」

カット:楽感的な岳斗に対し、加那江は慎重そうに言った。

凪空加那江 「待って!そのアジトの地図、敵の戦闘データは分かってるの?」

シャルル •ヴァンタール 「いや、アジトの周りに探索妨害電波塔が建てられていて、細かいところまでは分からん

でも、正直最近モンスターがさらに凶暴化して、いつこの世界への扉を破られるかわからない状況なんだ。

だから、今日行った方がいいと思うぜ。」

カット:加那江はあまりにも不確実な情報での突撃に不安な顔を浮かべた。

そんな感情を吹き飛ばすように岳斗が陽気に言い放った。

凪空加那江 「どうかしら…。三人でなんとかなるか分からないのよ?」

澤宮岳斗 「行こうぜ。これまでも何とかなってきただろ。

俺は剣AND囮、加那江は銃の遠隔攻撃、シャルルは参謀でいろんな魔法使えるだろ。

三人が互いをカバーすりゃ、敵もそう簡単に攻めらんねーだろ。」

カット:岳斗の根拠なき自信に押され、加那江はため息をついて、仕方なく賛同する。

凪空加那江 「…しょうがないわね でも、危なくなったら一も二もなくワープで逃げるわよ」

シャルル •ヴァンタール 「おう。じゃあ、作戦練るか。おい 2人とも耳貸せ.」

シーン:栄ある光に見放されし裏の世界 唯一中国の無人探査機が踏み込んだのみである

カット:鉄に近い無機質な材料で作られたアジトの一端での風景

工場、建物全体がさらにでかい屋根に覆われていて、その屋根には無数のライトが輝いている。

ロボット 「169号 異常はないか?」

ロボット 「はい 140号 異常ありません。」

ロボット 「わかった。 引き続き警戒せよ。」

ロボット 「了解しました。」

カット:アジト内の警戒探索員2人(そいつらは白く塗装された人型ロボット 目から赤い光が懐中電灯みたいに放たれている)

が状況報告を終えて、立ち去った後…

シャルル •ヴァンタール 「さてと 誰もいないな」

凪空加那江 「まさかダクトの中にワープするとはね 狭くて、埃煙かったわ」

シャルル •ヴァンタール 「まあな だが、ショートカットにはなっただろ」

カット:廊下の通気口から舞い降りた2人は大体の地図を頭に入れて、行動を開始するのだった。

シャルル •ヴァンタール 「ここだな 右に行ったら、モンスター製造工場がいくつかある。

左はその工場を管理する区域がある」

凪空加那江 「岳斗は上手くやってるかしら 陽動作戦。」

シャルル •ヴァンタール 「あいつは大丈夫だろ

あれでいて、けっこー強いんだぜ

あいつ 剣道の道場に通っていて、今奥伝まで後ちょっとらしいぜ」

凪空加那江 「そうなの? そういえば、あの体のこなしは素人の動きじゃないわね」

シャルル •ヴァンタール 「さっ 早く行こうぜ あいつが時間稼ぎしてくれるしな」

カット:その頃 工場にある製造機械がその世界の日常の音楽を奏でている陰で、作戦開始前に待機している奴がいた。

澤宮岳斗 「さてと、そろそろか ひと暴れしちゃうか

まずはやはりこれだよな」(わくわく)

カット:岳斗は目を輝かせてそう言うと、軽い身のこなしで、次々と機械を斬り始めた。

ロボット 「なんだっ!」(激怒)

ロボット 「侵入者だ! やっつけろおー!」

ロボット 「わあーっ!!」

澤宮岳斗 「あらあらー すげー数だこと」(驚き)

カット:ロボットどもが侵入者排除の任務を遂行せんと襲いかかってくるが、岳斗は奴らの動きを見切って、最小限の動きやステップで、一切り御免なり。

奴らはネジやエンジン部分を空中に撒き散らしながら、機能停止AND冷酷なる女神の肌に偉大なる接吻を成し遂げた。

岳斗は歯を見せて大笑いしながら胸を張っている。

澤宮岳斗 「どんどん来やがれ! 俺の準備運動に付き合いなっ!」

カット:ロボットの大多数が正体不明の剣豪ボーイの排除にあたっているとき、猫と女子のコンビはメンテナンス室を探していた。

シャルル •ヴァンタール 「よし 狙い通りだぜ こっちは空いてるぞ。」

凪空加那江 「早く探しましょう。 あっ、前に地図があるわ」

シャルル •ヴァンタール 「おお なるほど 3階の奥にあるのか」

凪空加那江 「ここは1階の真ん中あたりね エレベーターがあるけど、念の為に階段使いましょうか」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな」

カット:息が切れ始めた岳斗の周りには優に100体を超える口を二度と開かない白い残骸が横たわっていた。

しかしながら、50体ほど残っていたので、流石の岳斗もロボットの大群を煩わしく思い始めている。

澤宮岳斗 「やれやれ まだやるのか? 負け惜しみだな」

ロボット 「くそっ キリがねえ! おい あれを出せ 」

ロボット 「わかりました おい 開けろーっ!」

サソリ 「ぎぎぎああああっっっ」

澤宮岳斗 「なんだなんだ 今の叫び声は? 尋常じゃない奴が来るな。」

カット:ロボットたちの叫び声と共に突然、工場一帯が影に覆われた。

というのも馬鹿でかいモンスターが地下から地上に上げるリフトに乗って、現れたからである。

十メートルをはるかに超える大きさで、尻尾に1メートルほどの黒く鋭い棘を備え付けていた。

そして、8本の足があり、それら一つ一つが人間をいとも容易く踏み潰せるであろう。 つまり、馬鹿でかい蠍だ。


岳斗はしばらく口を開けたまま眺めていたが、ため息をついて、この蠍を倒すことに集中することにした。

澤宮岳斗 「こんなのもあり? 参ったよほんと しょーがねーな、やるか」

カット:その蠍は棘を岳斗めがけて打ち下ろした。

岳斗は蠍に向かって走るようにしてかわした。

澤宮岳斗 「たしか 蠍は心臓が弱点だったな 実際射手座に狙われてる。

おっ いかにも弱点を突いてくださいと言わんばかりに胸が柔らかいぜ」

カット:罠かと考えたが、とりあえずプランBを考える前にプランAを実行すればいいのだ!

岳斗はその気持ちで、腹に一直線に駆けた。 その時、蠍の横腹からロケットが両側から10発ずつ岳斗に向かって打ち出された。

澤宮岳斗 「うげっ。 避けるか」

カット:岳斗は一旦 横に避けて、やり過ごした。 レゴリスが舞い上がり、無数のクレーターを形作った。

すぐに次のミサイルが発射された。

澤宮岳斗 「ええー 厄介だな こんなに早く次のミサイルが出るのか!」

カット:蠍の尻尾と脚を避けながら、様々な角度から来るミサイルから逃げる。

岳斗はタイミングを測る。

澤宮岳斗 「よしよし だんだんわかってきた。

おいっ ミサイル野郎 こっちだぜ」

カット:岳斗はミサイルを蠍の足に誘導させた。

そして、岳斗にあたる前に、岳斗は空中に高くジャンプして、かわした。

ターゲットを見失った突撃隊は己の母艦の命とも言える脚に衝突して、その足を爆発させ、その衝撃で、蠍は体を反転させた。 つまり、胸(弱点)をみせた。

澤宮岳斗 「上手く行ったな。 あとはとどめだ」

カット:その時、尻尾がうなりをあげて岳斗に襲いかかった。

岳斗は今蠍の胸のちょうど上の空中に浮いている。

澤宮岳斗 「Oh,shit! まだ残ってた。 避けられん いや待てよ」

カット:何か閃いた岳斗は尻尾を正面に見て、剣を前に構えた。

蠍が尻尾を突き刺さんとした瞬間岳斗は剣で尻尾を受け流し、勢い余って、胸のところに行くようにした。

果たして、見事に突き刺さり、蠍は束の間の絶叫をあげ、すぐに静かになった。

ロボット 「なんだとっ」

ロボット 「そんなばかな!?」

ロボット 「あの馬鹿でかいモンスターがやられるなんて」

ロボット 「おい 次のモンスターを出せっ」

澤宮岳斗 「うーむ 流石にこれで終わりなんて甘くないか

しかしなー 流石に疲れたぜ やばいな」

カット:リフトの音がして、また次のモンスターが登場するかと思われたが、突然リフトが止まった。

そればかりでなく、工場の稼働音も止んだ。

次の瞬間、工場から爆発があちこちに起こり始め、その炎は工場を包む。

ロボット 「おい どういうことだっ」

ロボット 「大変です ただいまメンテナンス室に侵入者が!

しかも、そいつら 工場全体のシステムを故障させて、使い物にならなくさせてるのであります。」

ロボット 「なんだとっ じゃあ工場は廃棄するしかないのか!」

ロボット 「そうかと思われます・・・」

ロボット 「うぬぬぬ われらの偉大なる計画を邪魔しやがってぇ。 ああそん…」

カット:詠嘆しかけた一体が突然止まったかと思うと、 他の奴らも機能停止してしまったようだ

澤宮岳斗 「おおっ あの2人が成功したみたいだな さて合流して帰るか」

カット:岳斗がロボットと闘い始めた時、2人は3階のメンテナンス室の前にいた

しかし、彼らの前にはメンテナンス室に入るための入室確認センサーが常時稼働している。

凪空加那江 「まずいわ 流石に普通に通ったら、センサーに異常物扱いされて、奴らが駆けつけてしまうわ。 機械には変装できないし。」

シャルル •ヴァンタール 「それならいい方法がある。 今、物体感知魔法を使ったところ、ちょうど二体こっちにきたからな

メンテナンス室の向かい側にある部屋に隠れてくれ」

凪空加那江 「わかったわ」

カット:しばらくして、あの二体がメンテナンス室の前のセンサーを通過している。

確認完了して、メンテナンス室のドアを開けて、入ろうとしたところで、シャルルが魔法を発動した。

シャルル •ヴァンタール 「時の神クロノスよ 今一度先人が刻んだ道へ我らを導かんとせよ!」

カット:魔法を唱えると同時にシャルルと加那江はドアの前にワープした。

そして、加那江は銃で奴らの頭を射抜いた。

凪空加那江 「ちょっと眠りなさい。」

ロボット 「ぐあっ! 」

ロボット 「なんだ ぐふっ」

シャルル •ヴァンタール 「よし 上手く行ったな 今のうちに工場をぶっ壊すぞ」

凪空加那江 「ええ」

カット:メンテナンス室に入った2人

しかし、メンテナンスしている機器は数多くのボタンがあり、どれをどうすれば、工場に壊滅的なダメージを与えられるか検討つかなかった。

凪空加那江 「あまり時間はかけてられないわ

とか言って、適当に押すとわたしたちを巻き込むリスクもあるのよね。」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな。 ここは過去に問いかけてみるか。

時の神クロノスよ 忘れ去られた風景を時の大河に映し出せ。 」

カット:シャルルが呪文を唱えるとメンテナンス室でのかつての風景が浮かび上がる。

2人のロボットがボタンの前に立っている。

どうやら先輩ロボが新人ロボにメンテナンスの方法を教えているようだ。

ロボット 「ここは、256番の工場の部品組み立て機のレーンの速度調整ボタンだ。 

これでほとんど全部だが、覚えたか?」

ロボット 「はい。 先輩」

ロボット 「よし。お前になら安心して任せられるな。」

ロボット 「はい。ありがどうございます。

ところで、もし、仮にこの工場にいるモンスターが我々に反抗して、襲いかかることになった場合って、どうするのでしょうか?」

ロボット 「ふむ。 そんなことはあり得ないと言っても良いがな、マニュアルに書いてあるように左から3番、上から9番のボタンと右から7番と上から2番のボタンを交互に5回ずつ押すのだ。

そうすると、工場もろとも跡形もなく爆破されるのだ。」

ロボット 「はあ…

ずいぶん手間がかかりますね。」

ロボット 「そりゃ、お前、赤いボタンがドーンとあったら侵入者に押されて、おしまいだろ」

ロボット 「そうですか。 わかりました

ご指導ありがとうございました。」

カット:過去の映像を見終わった2人は先輩ロボが言った手順通りにボタンを押した。

最後のボタンを押し終えて、数秒後、地面の底から山が歩いたかのような地響きと爆発音が轟き、同時にメンテナンス室のコンピュータ画面が全てブラックアウトした。

仕事が終わったシャルルと加那江はメンテナンス室を出て、岳斗と合流しようとした。

シャルル •ヴァンタール 「よし、作戦成功だ 岳斗と合流しようぜ」

凪空加那江 「わかったわ」

カット:どうやらロボットの稼働もメンテナンス室の管理機器と同調していたようだ。

ロボットはもはやただの屍のようだ。

工場地域に出たシャルルと加那江は岳斗と合流した。

澤宮岳斗 「2人とも無事だったのか」

シャルル •ヴァンタール 「おうよ もはやここにゃ用はねー

おさらばしよう」

カット:3人が地球に帰ろうとした時、前から全身を覆う白いフード(雨合羽のような服)をかぶった1人の男が現れた 

フードの影に隠れていて、表情は伺えないが、口は笑っているように見える。

怪しい魔導士 「ふふふ まさかここまでやってくれるとはねえ」

凪空加那江 「お前は誰なの。 あんなモンスターを送り込んで、地球をどうしようというの?」

怪しい魔導士 「まあそう慌てるな ここはもうすぐ焼け落ちる 場所を変えようじゃないか」

カット:奴がそう言うと、指を鳴らした。

その瞬間、風景が宇宙と月の表面に変わって、地球が見える。 岳斗たちが周りを見回して驚く間もなく、魔導士は質問した。

怪しい魔導士 「さあ これで舞台は整った

貴様らの目的はなんだ?」

澤宮岳斗 「そうだなぁ てめーら結社をぶっ潰すことかな

これで俺の方は言った あんたの方も言うのが筋だろ」

怪しい魔導士 「ふふふ 筋は通ってるねえ わかった、言おう

目的はこの世界の運命を固定することなのだ。

私は結社に忠誠を誓ってるのでね、結社の敵は殺さなければいけないのだよ」

シャルル •ヴァンタール 「悪いな 俺らだってこの世界を守る目的があるからな

そいつあ、こっちのセリフでもある。」

凪空加那江 「とにかく貴方は倒さなければいけないわ」

澤宮岳斗 「終わったら、とことん吐いてもらうぜ」

怪しい魔導士 「フハハっ じゃあ始めようではないか」

カット:魔導士はそう言うと、何やら呪文を唱え始めた。

それと同時に彼の周りに紫色の魔道陣が浮かぶ。

怪しい魔導士 「冥土の死神よ 愚か者をゴルゴタの十字の貼り付けにせよ」

カット:そう言うと、地面から数十本の棘鎖が生えてきて、三人に向かって襲いかかる。

シャルル •ヴァンタール 「あの棘は奴の魔法によって生み出されたものだ。

奴本体を倒すぜ 岳斗っ。 カナちゃんは棘処理を頼む。」

澤宮岳斗 「よし」

凪空加那江 「わかったわ」

シャルル •ヴァンタール 「岳斗に韋駄天の足を与えよ そして、加那江の銃に氷の加護を与えよ」

カット:岳斗は身軽となり、棘を避けつつ、魔術師の元に向かった

加那江は氷を纏った弾を棘に発射して、棘を凍らせた。

岳斗は一旦鎖の棘が刺さってないところにジャンプして、鎖を蹴った。 その勢いを利用して、魔術師に向かってジャンプして、斬ろうとした。

澤宮岳斗 「真っ二つにしてやらあ。 とりゃあーっ!! 飛天流星斬っ!」

怪しい魔導士 「偉大なる我を守るバリアよ いざ現れん!」

カット:魔術師はそう言うと彼の周りに半球のバリアが現れた。

岳斗の剣はこのバリアに弾かれたので、岳斗はバク転して、着陸した。

怪しい魔導士 「ムダだよ。 あらゆる攻撃は通じない」

シャルル •ヴァンタール 「ならばこれはどうだ。 世界の源よ、今一度全ての始まり(ビックバン)に立ち戻らんとせよ!」

カット:奴のバリア、数多の棘鎖、隕石など、彼の周りにあるあらゆる物体が魔導士を中心に一点に収縮して、奴を潰さんとする。

怪しい魔導士 「ぐわあああ!!」

凪空加那江 「やった!?」

カット:そこには自然の神秘に押しつぶされて、地獄への切符を強制的に予約されかけてるかのこどく、身体中から血を流していて、満身創痍の魔導士が立っていた。 

怪しい魔導士 「フハハハハァ・・・ お見事だな。 まさかここまでやるとはな どうやらみくびってたらしい

しかし、貴様らは死ぬのだ。 それも何もすることもなくな!」

カット:奴はそう言うと、火の玉をあたり一面に放った。

三人は火の玉を避けながら、反撃の機会を伺う

凪空加那江 「くっ。炎の弾!? 気をつけて!奴、まだ死力を尽している!」(恐れ)

カット:魔術師の手から火の玉が放射状に放たれ、砂ホコリを舞い上げている。

3人とも避けながら反撃の機会を窺っている。

怪しい魔導士 「フハハハァー!ムダなあがきは.やめるがよろしい!」

凪空加那江 「わるいけど、みんなそこまであきらめが悪くないわよ!」

シャルル •ヴァンタール 「冥界にもだえる炎よ!彼に終わることなき煉獄を与えよ!」

カット:シャルルの呪文で魔導士の下に魔法陣が現れた。 そこから火が出て、呻き声とともに彼を焼き尽くした。

怪しい魔導士 「!! ぐうおおお・・・!」

シャルル •ヴァンタール 「ひるんだ! 今だ岳斗!」

澤宮岳斗 「わあってるぜ!疾葬昇虎剣!」

カット:岳斗はそう言うと、ジャンプのフェイントを狭んで、地面をタッキングした。

そして、剣で地面をこすりつけながら、今まさに相手の顎を天に打ち上げんとしたとき・・・

怪しい魔導士 「どうあかいたとてもどうともならないこともあるのだ…

終焉は存在しない時の中にある。絶望に沈め」

カット:その瞬間、世界を形作る陽子や電子一つまでもあらゆるもの全てが静止した。 音もこの世界から消え去った。

レゴリスも地球が反射した光を受けて、キラキラしたまま止まった。 魔導士以外は。

カット:岳斗は最後の一撃に全てを賭けていた しかしながら、誰も知らない時の中で、岳斗の全身を赤い蔓(つる)が貫いた…だが、その岳斗が突然蜃気楼のように消えた。

魔導士は目を大きく見開いて、叫んだ。

怪しい魔導士 「なっ! バカな この私だけの世界では避けられるはずがないっ!」

澤宮岳斗 「おい へっぽこ野郎っ! 上だ」

怪しい魔導士 「なにっ!」

澤宮岳斗 「いくぜ 飛天流星斬!」

カット:魔導士が驚いて、上を見た時、止まった時の中で静止してる岩を土台に岳斗は蹴り上がる、いや、蹴り下がって、魔術師に流星のこどく、一撃を振り下ろした。

その一撃は凄まじい振動で月が揺れて、岳斗の身長をはるかに超えるクレーターができたと同時に、魔導士の体を左股まで切り裂いていた。

怪しい魔導士 「うぐぐぐあ ちくしょう まさか人こどきにやられるとは

ちくしょう 


(小声で)デスディニーブレーカーめ」

カット:奴は口惜しそうにそう言うと、二枚おろしのこどく、左右に裂けて倒れ伏した。

そして、黒いチリとなり、消え去った。

シャルル •ヴァンタール 「おい やったなあ! よく避けたな。

          ・・・・・

(しかし、なぜ岳斗はこの状況下で動けたんだ?)」

凪空加那江 「これで終わったのね。 ああよかった。」

澤宮岳斗 「そうだな ん? シャルル なに悩んでるんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「あっ ああ… 最後、奴が時の魔法を持ってるとは思わなかったが、まさか岳斗が奴の世界の中で動けるとも思わなかったからな

俺でさえ動けなかったのに」

澤宮岳斗 「こいつあ 雲を掴むような話だが、運命変転を使ったんだそうだ。」

凪空加那江 「運命変転?なによ?」

カット:ここで、魔導士が時空停止魔法を発動した時まで、時を遡る…


岳斗は最後の一撃に全てをかけていた しかしながら、誰も知らない時の中で、岳斗の全身を赤い蔓(つる)が貫いていた

彼は不辛なことに何も気つかない。唯一の魂をつなぐ鎖が切れてしまっていたことを…。

消された時と共に彼の魂を失った哀れな骸はもはや世界を通ずる門を二度と開くことなきまま地面におちた

怪しい魔導士 「そして時はすべての理に還る・・・」

凪空加那江 「岳斗…?嘘でしょう?死なないでよ…」

シャルル •ヴァンタール 「なんてことだ。まさかあっちが時の魔法を持っていたなんて。俺としたことが・・・!

世界はもうおしまいだ・・・。」

カット:涙を流しながら泣き叫ぶ加那江、絶望するシャルル、胸を貫かれて動かない岳斗。

岳斗はこの瞬間17歳の人生に幕を下ろした…のを見てたのは奇妙なことに、これまた岳斗だったのだ。

澤宮岳斗 「なんだよ… この風景って 俺は死んだのか? しかし、それにしちゃ、最初から3人称というのが気になるな

まるで未来を見てるかのような?」

エリス・フィッシャー 「これは貴方の運命の一つなのです。」

カット:岳斗が突然の声に驚いて振り向くと、そこには膝まで届くほどの長さである白い髪の女性が立っていた。

服装はいかにも自由の女神のようである。

澤宮岳斗 「オメーは誰なのか?」

エリス・フィッシャー 「申し遅れました。 私はエリス・フィッシャーです。

この世界の平和を取り戻そうとしている者です。

ところで、岳斗 貴方はある力を持っています。

なんだと思いますか?」

澤宮岳斗 「んなこと聞かれても 超能力者じゃねーからな」

エリス・フィッシャー 「岳斗 9歳のとある悲劇を思い出してください」

澤宮岳斗 「それって、俺と親父が熊の大群に襲われて、死にかけたことか?」

エリス・フィッシャー 「はい そうです。

あの時、貴方とお父様はどんな傷を負っていたか思い出せますか?」

カット:岳斗は目をゆっくり閉じて、一つ深呼吸してから語った

澤宮岳斗 「・・・医者から聞いたことだが、俺は3本の大きな傷を負っていた。

今も背中にはっきり残ってる。


そして、親父はな、左目、左耳をばっくりと裂かれていて、身体中に爪が内臓に突き刺さってできた傷だな。

肝臓、心臓、両方の肺など、あらゆる内臓や筋肉が切り裂かれていた。

医者が言うには、「あの状態で、生き延びたのはとんでもなく奇跡だ。 まるで、神に祝福されたかのよう…いや本当に祝福されたのだ。」


エリス、それが俺の力とどう関係するんだ?」

エリス・フィッシャー 「あなたのお父様は本来、あの大ケガが元で完全に死ぬことになっていました。

しかし、貴方の力がその運命を変えたのです

そう、つまり貴方は運命を変える力『運命変転』を持っているのです。」

澤宮岳斗 「そう言われてみれば…あのあと、すぐトラックが通りかかって、病院まで運んでくれた…


わかった。信じ難いが、信じてみる。

でも、運命変えちゃったら、別の悪いことが起こるんじゃないのか?

『バタフライエフェクト』みたいにさ」

エリス・フィッシャー 「バタフライエフェクト… 一匹の蝶の羽ばたきが遥か彼方の地でのハリケーンを巻き起こす理論でしたね。

心配ありません。 あなたの運命変転は基本的にはハリケーンを心配する必要なく使えます


ただし、一つだけ気をつけることがあります。 己の生死に関わる運命を変えることは、あなた自身にいずれ取り返しのつかない代償を負わせることになります。」

澤宮岳斗 「そうか… でもよ、どうして俺はそんな力を得たんだ?」

エリス・フィッシャー 「今は神のお導きとだけ答えておきましょう。

貴方は近く、この世界の滅亡をかけて、結社と戦う運命の中にあります。」

澤宮岳斗 「あの魔導士で終わりではないのか?」

エリス・フィッシャー 「ええ、違います。

あの魔導士は結社の中でも下っ端もいいとこです。

結社はこの宇宙全体で運営している組織なのです。

そして、彼らの目的は、世界にいる人々を滅ぼして、生まれた負の感情を呪いに飲み込まれた獣たちの世界破壊のためのエネルギー源にしたりしています。


それで全てではないのですが、私が聞いたりしたはここまでです。 なぜなら、私は記憶の大部分を失っているからです。 そして、断片的なので、正確ではありません」

澤宮岳斗 「そうすると、俺たちが倒すべきなのは、結社と獣たちか。

ところで、結社の中には誰がいるんだ?」

エリス・フィッシャー 「親玉は魔王ゼロ・ラグナイドです。

彼は普段は気まぐれなのですが、一旦スイッチが入ると全てがなくなるまで、とにかく何もかも滅ぼしてしまうのです。 

また、彼が率いる仲間たちは七つの大罪と呼ばれていて、仲間内からも恐れられています。

他にも主要メンバーがいるらしいのですが、今のところはっきりわかるのは以上です。」

澤宮岳斗 「なんやまったく倒せる気がしないな。

しかし、そんなの聞いちゃったらほっとけねーよなぁ。

いっちょやったるか」

エリス・フィッシャー 「ありがとうございます。

ところで、今貴方に残された時間は0.6秒。

0.6秒後に奴は赤い鎖を出して、貴方の体を貫くのです。 しかし、まだ間に合います。


剣を振り上げた勢いを利用して、高くジャンプしてください。

そして、あそこに静止している岩を蹴って、奴を斬ってください。」

カット:エリスはそう言い、空中で静止している岩を指差した。

岳斗は不敵な笑いを浮かべ、エリスに言った。 エリスもにこやかな微笑みを返した。

澤宮岳斗 「おうよ

ぜってー全部ぶっ飛ばしてやらあ。」

エリス・フィッシャー 「運命は貴方の手にかかっています。

ご健闘を。」

カット:突然、岳斗は現実に戻ったのを感覚で知った。

剣を振り上げた勢いを利用して、高くジャンプして、静止している岩を蹴って、奴を斬った。

そして、今に至る。

シャルル •ヴァンタール 「そうか。 そんなことがあったのか。」

凪空加那江 「貴方、運命変転を使ったことってあるの?」

澤宮岳斗 「いや、こんなことは初めてだ。いってえどういうことこった?」

シャルル •ヴァンタール 「まあ、わからんことを考えても仕方ない。

今日はもう帰って、休もうぜ。」

凪空加那江 「そんじゃあ、シャルル 頼むわ。」

シャルル •ヴァンタール 「任せなさいよ。こんなの夕飯後の別腹だぜー

風旅の神よ、我らを命生まれし星に導きたまえ。」

カット:三人の周りを風が囲むように吹き始めたかと思うと、風が大きくなり、彼らを包み込んだ。

次の瞬間、三人は見慣れた田んぼの前にいた。

夕日がカカシを赤く照らしていた。

シャルル •ヴァンタール 「そんじゃあ、カナちゃん またな。」

凪空加那江 「ええ、2人ともまたね。」

カット:2人は家に帰って、焼肉を食って、その日はすぐに深い眠りについた。

シーン:打って変わって、とある蝋燭だけで照らし出された暗い洋風な部屋

ベットやテーブルを中心に向き合っている緑のソファーがある。

そして、月にいる岳斗たちを写した鏡の前に座っている1人のレディーがいた。

レディーの格好は中世の魔女の帽子をかぶっていて、肩が出てる紫色のドレスを着ていた。

カット:そのレディーは岳斗たちを見つめながら、独り言を静かに呟いた。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「どうせやられるだろうと思ったけど、まさか勝てちゃうとはね。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「ふっ。 あんな下っぱになんて期待もするような君じゃあないだろう?」

カット:そう言ったのはドアに近い方のソファーに座って、紅茶を優雅にのんでいるジェントルマンだった。

奴はハットに至るまで、白い紳士服を着ていた。 しかも驚くべきことにファッション全体にキラピカな宝石が貼られていた。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「そうね

でも、面白い結果が得られたわ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「澤宮岳斗君のことかね? なるほど、確かに本当のようだ。

彼が運命変転の力を受け継ぎし者という情報がね。

怖くなったかい?」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「オーッホッホッホッ!

まさか! このわたしがあーっ!?  つまらない冗談を言うもんじゃあないわよ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「だよね、 それでこそ僕がバラを送りたくなる君だねぇ。

私が育てたバラの毒に悶えて、死にゆく君をますます見たくなったなぁ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ふん。 おあいにくさま、そんな貴方のような変態趣味はもってないわ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おおっ これはとんだ失礼だ。すまない。 ふふっ。

ところで、賭けようじゃないか。 彼が運命の波を乗り越えて、栄冠なる未来を手に取れるかどうか。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ふふふ そんな馬鹿馬鹿しい賭け

火を見るよりも明らかよ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「そうだねぇ

じゃあ私はここで失礼するとしよう。」

カット:紳士が退出した後、女は鏡を見ながら言った。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「鏡よ鏡よ この中で、イチバァーーーン美しいレディーはどなたぁぁぁーっ??」

僕の鑑となる鏡 「魔法使い様 もちろん貴方様でございまする。

そして、貴方には誰も勝てないのでしょう。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「うふふふふッ! そのとおりよねえええええっーーーー。

おーっほっほほほほほほほほほォォォォーーーー!」

天の声 「岳斗はまだ、この戦いがどんなに絶望にまみれて、希望の光が塗り潰されそうになるだろうかを知らなかった…


第二章に続く」

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