第二章 喪失の一角獣と火焔煉獄に悶え苦しむ紅鳥

-- 第二章 喪失の一角獣と火焔煉獄に悶え苦しむ紅鳥 --

合計:54402文字, シーン:1397文字, カット:13671文字, セリフ:39334文字

あらすじ:シャルルの口から「四獣が宇宙を荒らしまわってること、王国から四獣を討伐して欲しいと頼まれた」と告げられた。 3人は四獣の実体が裏の世界にあるのではないかという結論を出し、討伐するには裏の世界に入れる者が必要であることを推測した。 

3人は死者が蘇るという奇妙な事件の調査のために旅に出た。

調査のために船を貸し出すことをお願いするために王国宇宙船でシャルルが仕えている王国に行った。

小型宇宙船を貸してもらった一行はジュネス星に行った。

ジュネス星に到着した一行は死者が発生する現場の近くにある王国に行こうとしたが、2人の刺客に阻まれる。 彼らは月にいた岳斗を見ていた魔女と紳士だった。 岳斗たちは彼らと戦うが、この2人は強く、絶体絶命に追い込まれたところ、新たに現れた1人の女性に戦いを中断させられた。 彼女は2人の仲間だった。 次の戦いを楽しみにしていることを言って、彼らが出した黒いゲートに消えていった。 

合計:16780文字, シーン:626文字, カット:3839文字, セリフ:12315文字

シーン:学校の期末試験などで、慌ただしく2週間が経過し、岳斗たちは夏休みを迎えた。

カット:一学期最後の授業を終えた岳斗は一旦家に向かって、剣道の道場に着いた。

道場では、五人ほど練習に来ていて、素振りをしている。

練習生たちに素振りの手本を見せている男がいる。

長岡タクマである。 彼はこの道場の実力者の先輩である。

澤宮岳斗 「タクマさん。こんにちは。

元気っすね。」

長岡タクマ 「岳斗か 試験お疲れ様

1週間ぶりに稽古つけるか


おい てめえら休憩だ。」

練習生たち 「おっす!」

澤宮岳斗 「ええ、お願いします。

今日こそあんたに勝つっす」

長岡タクマ 「ガハハハっ それでこそ俺の弟弟子だ

一本勝負でいいな?」

澤宮岳斗 「はいっ」

カット:剣道の道場着に着替えた後…

タクマとガクトは互いに構えあって、試合を開始した。

互いの掛け声と共に竹刀がぶつあり合う音がした。

長岡タクマ 「とおっ! (面にたたきこもうとする)」

澤宮岳斗 「つぅっ! えいっ。 (下に受け流して、左手に叩き込もうとする)」

長岡タクマ 「ぬっ。 甘いぜ。(右側にバックステップして、向き直る)」

練習生たち 「すごい! 2人とも引けをとってねえぞ!」

練習生たち 「おいおい、こりゃ、岳斗が勝つのか?」

練習生たち 「なにばかなこといってるんだ。 タクマさんが負けるわけねえだろ!」

練習生たち 「わあわあガヤガヤ」

カット:今度は岳斗から仕掛けた。

一歩踏み込んで、正面から面に叩き込む。

長岡タクマ 「うらぁ! (受け止める)」

澤宮岳斗 「ぬぬぬぬ (力で押し切ろうとする)」

長岡タクマ 「ぬんっ! そこだあ! (岳斗の竹刀を跳ね返して、面に叩き込もうとする)」

澤宮岳斗 「ふっ! でぇい! (タクマの竹刀を鍔で受け止めて、面に叩き返そうとする)」

長岡タクマ 「遅え! デェリアアーっ! (岳斗が受け止めた際にできた一瞬の隙をついて、胴に叩き込んだ)」

澤宮岳斗 「っ!うおっ。 参りました。」

長岡タクマ 「ふー。 なかなかいい筋行ってんなあ。

こりゃ俺もウカウカしてられん。」

練習生たち 「おいおいおい あまりの迫力に言葉でねーよ」

練習生たち 「そうだな」

練習生たち 「おれら あんなに強くなれんのか?」

練習生たち 「岳斗はあの若さで大したもんだ。」

カット:岳斗とタクマが試合後の礼を終えたところで、着物を着た上品なお婆さんが道場の奥の戸を引いて現れた。

彼女は澤宮おひさと申す。 岳斗の祖母であり、タクマが下宿してる家の主である。

澤宮おひさ 「みんな頑張ってるねえ

餡子と麦茶用意したよ」

練習生たち 「おひささん!! ゴチになりまーすっ!」

長岡タクマ 「おお ヒサさん

ご馳走になるぜ」

澤宮おひさ 「おや 岳斗

あんた また強くなったなあ。」

澤宮岳斗 「ばーちゃん あんがとな でも、タクマさんにはまだ勝てないなあ。」

長岡タクマ 「そりゃそうだ。 この俺に勝つにゃ100年はえ〜んだよ。」

澤宮岳斗 「さっきウカウカしてられんと言ったのはどこのどいつですか?」

長岡タクマ 「バカヤロー ありゃ言葉のあやだぜ。

おお うまそうな餡子だ いただくぜ。」

シーン:5時過ぎ、修行を終えた岳斗は家に帰る途中で、とある店に寄った。

そこは猫カフェで、店名は「春の日だまり」と書かれていて、横に青黒い猫が描かれていた。

カット:岳斗が店に入ると、奥に炊き上がったばかりのいい香りがするコーヒーを淹れているおじさまがいた。

彼はガクト行きつけのカフェの店主の船橋英一郎である。

白髪が混ざった立派な顎鬚を蓄えている。

船橋英一郎 「おお 1週間ぶりじゃないか? 岳斗君」

澤宮岳斗 「ええ お邪魔しますよ。」

船橋英一郎 「来てくれて嬉しいよ。

わたしの可愛い子たちも君を待ち焦がれていたのだよ ふふふ」

日向 「待ち焦がれていたのはあんたのほうだろ

久しぶりだな岳斗」

杏 「あー 岳斗君だっ! おひさー。

ところで、さっき、シャルルと会ったよ。 行き違いだったみたいだね。」

澤宮岳斗 「なに。 シャルルが? ありゃあー。 遅かったか。」

きなこ 「おーい がっちゃん。 チュールちょーだいよー

「岳斗の胸に飛び込んで、頬を擦り寄せている」」

澤宮岳斗 「きなこよ いくらなんでも食いすぎだろ また重くなったぜ。」

きなこ 「なによ。 レディーにそんなこと言うもんじゃないわよ」

虎次郎 「ダハハハ 岳斗はんはそんなこと気にするたまじゃないねん。

それにオメー、なんやえらい丸くなっとるの。

ボーリングできそうやな。」

きなこ 「じゃあ貴方に転がってやるわ」

カット:きなこは軽口言った虎次郎に勢いよく転がって、ストライーーーク!

アホ虎は勢いよく吹っ飛ばされた

虎次郎 「どわぁーーー!」

澤宮岳斗 「ヤれヤれ、相変わらずにぎやかな奴らだぜ」

カイト 「岳斗君 こんちわ マスターがコーヒー淹れてくれたよ」

澤宮岳斗 「おお カイト サンキュー 「そう言って、カイトを抱えて、撫でながら、席に座る。」」

船橋英一郎 「本日のコーヒーはマウンテンブルーだ。

そんで、デザートは岳斗君の母さんの牛が作ってくれた牛乳で作ったクリームを包んだロールケーキだよ。」

澤宮岳斗 「おお ありがてぇっす いただきます。

いやあ コーヒーもなかなか奥深くまで染み渡るな。

あと、ロールケーキもしつこくない甘味だが、それでいて、濃厚だ。」

船橋英一郎 「いやあ、相変わらず舌が肥えてるね。」

澤宮岳斗 「さて、食い終わったぜ。 日向 遊ぶかね?」

日向 「ふん、仕方ねーな 」

カット:そう言って、キャットタワーの一メートル以上の高いとこからから華麗にまいおりた日向は岳斗がボールを投げるのを取るのを準備していた。

澤宮岳斗 「ほれっ」

日向 「んにゃ、(高くジャンプして、口でうまく捉えた。 そして、首を回して、投げ返した。)

ほれ、もう一回だ。」

澤宮岳斗 「あいよ」

カット:岳斗が日向とボール遊びをしていると1人のおじさんが店に入ってきた。  

彼は藤原牧である。 岳斗の高校の教師を務めていて、岳斗の担任を請け負っている。 ちなみにとあるプロレスラーに似ていて、マサさんと呼ばれている。

藤原牧(マサさん) 「おー 岳斗も来てたか。 しかし、相変わらず猫と喋れるのな。 羨ましいぜ。」

澤宮岳斗 「マサさん。 そいつは元とはいえ、あんたが原因だろ。」

船橋英一郎 「ああ。1年前くらいにマサさんが猫化薬を開発した時だったね。」

虎次郎 「あー。 思い出したわい。 岳斗がジュースと間違えて飲んじゃって、黒いハチワレ猫になったんやっけ。」

カイト 「その時は大変だったよね。 岳斗君が人間に戻るためにマサさんが試行錯誤してる間、猫の姿で学校に行ってたもんね。」

杏 「それで、学校から帰ったあと、あたしたちが猫世界のあれこれとか教えたの懐かしいな。」

澤宮岳斗 「全く、戻れなくなったらどうしようかと思ったぜ。 まあ、楽しい冒険ができたし、戻れたから良かったが。

それから猫が喋っていることを理解できているので、驚いた反面、天国がやってきたと思ったね。 わはは。」

藤原牧(マサさん) 「結果オーライだな。」

澤宮岳斗 「おいおい、あんたが言うことじゃないだろ。」

きなこ 「しかし、猫の時も、あんたはイケメンだったよ。 結婚したくなりかけたわ。」

日向 「まあ、俺の次くらいだがな。」

カット:猫たちとの話や戯れを楽しんだ後、岳斗は店を出て、沈みゆく夕日を眺めて、帰った。

家に着いた時、牛小屋から1人の女の人が出できた。

彼女は如月るり子。 2年半前くらいから邦子に連れられてきて、北海道にやってきた。

そして、住み込みで邦子の仕事を手伝っている。

如月るり子 「あっ 岳斗君 おかえり

試験お疲れ様ー。 お母さんが仲良い農家から野菜もらってきて、きょうの料理にするって。」

澤宮岳斗 「へえ なにを作るんだろうな。」

如月るり子 「材料からして、多分鍋だと思うけど。 美味しそうだよねー。」

澤宮岳斗 「そうだな 母ちゃんの料理はいつもうまい。」

カット:食卓に集まった四人はいただきますして、鍋をつつき合っていた。

澤宮北三郎 「いやあ 夏に食う鍋もなかなか悪かねえな

冷たいビールによく合う。」

澤宮岳斗 「肉の量も脂もなお良しやな。」

如月るり子 「ほんとうまい。 幸せ〜」

澤宮邦子 「あらあら、気に入ってくれたわね。

北海道の野菜ってやっぱり、いいわ。」

カット:鍋を食べ終わり、片付けも終わった後、岳斗はさくらを膝に乗せて、るり子とFPSシューディングゲームをしていた。

如月るり子 「が 岳斗君っ ヘリからRPG撃ってきたよー やばいやばい」

澤宮岳斗 「落ち着け RPGを向けてきた時が奴らの最期だぜ」

カット:RPGを男が向けると、岳斗はクレバーにスナイパーで奴の頭をうまく射抜いた

如月るり子 「わあ! やったあ こっちもRPG拾ってきたよ 反撃じゃー」

カット:るり子は姿勢が崩れたヘリに手榴弾を放った。

哀れなヘリは爆発で空中分解して、ビルの下に落ちたようだ。

人質を救助して、ゲームクリア

如月るり子 「あー やったあー どうなることかと思った。」

澤宮岳斗 「いやあ 面白いもんだなあ。 「戦争クソ野郎のギフト 涙と血と汗の宝石を取り戻せ」って

さいしょ、クソゲーの匂いがぷんぷんしてたのにな。」

如月るり子 「何事も見かけによらないわけだね

あ もう10:30だ おやすみなさい」

澤宮岳斗 「おやすみ、るり子」

シーン:翌日、岳斗は家で、友2人とクトゥルフ神話TRPGをやっていた。 キーパーは大抵岳斗がやる。

今日2つ目のシナリオで十二郎は「狩野正男」、新吾は「南奈恵」の探索者を請け負っていた。

カット:岳斗が淡々とストーリーの中の説明をしていた。

澤宮岳斗 「朝起きたら、君らは6間のコンクリートの部屋に閉じ込められていた。

しばらくすると、壁から何かの気体が噴射するような音が聞こえるだろう。

アナウンスが聞こえてきた。

「貴様らには目障りだった。 いま、この部屋に毒ガスが注入されている。 貴様らの命はもって10分だ

ぜいぜい 口から泡を吹き出して、苦しみながら死んでゆくが良い ふふふふふ」

そういったきり、なにも喋らなくなった。

さて、君らはどうする?」

江戸新吾 「keeper 質問だ。

この部屋には何があるのか?」

澤宮岳斗 「君らが通ってきたノブ付き鍵付きのドアと何個かの椅子と一つのテーブル

そして、一枚の大きく、透明ガラスの窓がある

そして、奥に一際存在感がある暖炉があった。」

江戸新吾 「じゃあ 椅子をガラスに投げるぜ」

澤宮岳斗 「おーけー じゃあ椅子を持ち上げられるか筋力抵抗だ

STR7だから、成功率は40%か」

一ノ頼十次郎 「そんな重たいのか?」

澤宮岳斗 「鉄で作られているからな 新吾 1D100で振ってみろ」

江戸新吾 「コロコロ 37 成功だ!」

澤宮岳斗 「じゃあ 君は重い椅子をなんとか持ち上げることができた。

投げるなら、投擲36%だな」

一ノ頼十次郎 「それを見た正男は投げるのを手伝おうとするぞ」

澤宮岳斗 「分かった じゃあ70%で成功でいいよ」

一ノ頼十次郎 「頼むぜー コロコロ 24 よっしゃ 成功だ」

澤宮岳斗 「じゃあ、君らは普段からの仲良いコンビネーションで椅子をガラスに投げることに成功した

だが、ガラスは割れるどころか傷すらつかなかった」

江戸新吾 「ええっ! やべーやん」

澤宮岳斗 「ここで毒ガスが効いてきたみたいだね。

CONロール 2人とも振ってみろ」

江戸新吾 「コロコロ 63 失敗だっ!」

一ノ頼十次郎 「37 成功だ」

澤宮岳斗 「じゃあ 奈恵は毒ガスの影響で痺れて、体が動かなくなってしまうが、正男は平気だった」

一ノ頼十次郎 「奈恵っ! まずい 

そうだ! 暖炉は煙突につながっているはず

奈恵を抱えて逃げるぞ


keeper 奈恵を抱えて、暖炉をくぐって煙突から逃げる!」

澤宮岳斗 「よし いいだろう

STR対抗と登攀に成功したら逃げられるってことでいいぞ

正男のSTRと奈恵のSIZから、成功率は65% そして、登攀は80%だ」

一ノ頼十次郎 「頼むぜー 女神様ー

コロコロ 36 72 やったぜ」

澤宮岳斗 「ならば、君たちは見事、煙突から逃げられた

煙突から出た2人は大きな山が見えた

しかしながら、地鳴りとともにその山が突然動いたように見えた」

江戸新吾 「一体どういうことだ? 山が動くなんて」

澤宮岳斗 「あなたたちはすぐその山の正体がわかってしまった

それは口からタコのような触角をぶら下げて、手に細長い爪を持っている。

体の色は緑色で、表面が嫌悪感を抱かせるほどのヌメヌメした体液が漂っていた。

しかしながら、なぜか見るものを狂気に陥れるその邪悪な雰囲気は人間の世界のどんな言葉でも語れないだろう。


さあ お待ちかねのSANチェックだ! 1D100!」

一ノ頼十次郎 「ぎょえーーーーーーーー」

江戸新吾 「どわーーーーーーーーー」

カット:岳斗はキーパーとしての仕事を終え、2人と別れた。

岳斗はゲームの後片付けを終わらせ、横になった

澤宮岳斗 「ここんとこ平和だな

あの戦いが夢かのようだ。」

カット:その日は何事もなく、本当に平和だった。

翌日、朝早く、いつもの鍛錬を終えたばかりの岳斗に訪問客が来た。

凪空加那江 「岳斗君。 おはよー」

澤宮岳斗 「加那江 どうしたんだ こんな朝っぱらから」

凪空加那江 「シャルルに呼ばれたわ 話があるんですって?」

シャルル •ヴァンタール 「ああ そうだ

2人に詳しい事情を改めて説明しようと思ってな」

澤宮岳斗 「そうか ところで飯でも食ってくか?

今ちょうど母ちゃんがサンドイッチを作ってる」

凪空加那江 「そうね 食いましょうか」

カット:腹こしらえをした三人は岳斗のうちの牧場に移動して、話を始めた

シャルル •ヴァンタール 「岳斗 加那江を追ってきて、不思議な世界に迷い込んだこと、覚えてるだろ」

澤宮岳斗 「ああ 覚えてる。

あの世界は一体なんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「あれは裏の世界(リバーシブルワールド)と呼ばれている。

モンスターや化物がうじゃうじゃいて、生きとしものを憎み、命を奪おうとする奴らだ。」

凪空加那江 「そいつらが二つの世界の歪みである白いゲートから表の世界に入り込んで、人々を襲うの。

それを防ぐために私たちは宇宙各地を転々として、裏の世界で戦っているわ。」

澤宮岳斗 「加那江から聞いたが、本当にそんなに広い範囲で歪みが存在しているのか?」

シャルル •ヴァンタール 「ああ そうだ。

そして、その世界の奥には恐ろしい獣が居て、そいつらが世界を滅亡に導こうとしているらしい。」

澤宮岳斗 「らしい? 直で見たわけじゃないのか?」

シャルル •ヴァンタール 「遥か彼方の星に存在するレブリアム王国の王様に頼まれたんだ。 世界を滅ぼそうとしている獣を倒してほしいと。

ちなみに俺は7年前からその王様に仕えている。」

凪空加那江 「その王様って誰?」

シャルル •ヴァンタール 「ツォン・クリラーディだ。 彼は民のことをよく想ってくれるいい王様だよ。

クーデターで故郷である王国を追い出されて、放浪していた俺をスカウトしたのさ。」

澤宮岳斗 「そうか クーデター起きたのか。

家族とかは無事なのか?」

シャルル •ヴァンタール 「いや、わからない。 無事だといいんだがな。」

凪空加那江 「そして、3年前にあたしは裏の世界に入り込んで、襲われたところをシャルルに救ってもらったわ。

そこから、世界を守るために一緒に戦うことになったの。」

澤宮岳斗 「なるほど 大体わかったぜ。

つまり、奥に潜む獣を倒せばいいんだよな」

シャルル •ヴァンタール 「正解だ。 

でもな、何体いるのかもどこにいるかは不明だ。 おまけに表の世界にいつのまにか現れ、人々を襲っている。

各地の星の軍隊も戦ってはいるが、奴らにダメージを与えることは一度もできなかった。」

澤宮岳斗 「うーむ、こりゃ強敵だ。

なあ、そいつらってどんな外形をしているんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「あー、それな、よくわかんないんだよな

獣に襲われて、全滅することも珍しくない。 いや、それどころかいつものかのようだな。

ぜいぜい、黒いシルエットってくらいか。」

澤宮岳斗 「うそだろ そんなのどーやって倒せばいいんだ。

確かに俺らは裏の世界には入れるが、一つの王国の軍隊に引けを取らないほどの戦闘力は持っていないぜ。」

凪空加那江 「いえ、ちょっと待って。

「裏の世界に入れる」のがキーワードなのかもしれない。 表の世界での無敵さや黒いシルエットの特徴から、おそらく、奴らは裏の世界に実体があるのかもしれないわ。」

シャルル •ヴァンタール 「うんうん、確かに論理は通ってるな。

それを仮定するとして、問題は


「奴らが裏の世界のどこにいるか」

「どのくらいの耐久値を持つか」

「どんな攻撃手段を持つか」などだな。」

澤宮岳斗 「そんなすごい獣だったら、表の世界に現れる時、よっぽど大きな歪みが起きてるんじゃないのか?

あ。 でも、いつのまにか現れるんだったら歪みが発生してから、獣が現れるまで、時間差はそんなにないよな。」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな。 そして、多くの場合は近くでも、軍隊が間に合わなくて、大きな被害が出ているんだ。」

澤宮岳斗 「結局、今んとこは裏の世界で根気強く探すしかないのか。 白いゲートが現れる場所の法則性があればいいんだがな。 」

シャルル •ヴァンタール 「法則性か… ないこともないかもな。」

澤宮岳斗 「本当か!? どんなのがあるんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「俺が7年間集めた情報から、黒いシルエットの獣の出現場所は多くの場合、人が多く集まるところだ。」

凪空加那江 「王国や都市などが考えられるわね。 でも、宇宙規模で考えると王国や都市だけでも膨大な数があるわ。」

澤宮岳斗 「弱ったなあ 下手したらヨボヨボの爺さんになっても見つけられねーかもしれねーだろ。」

カット:3人が打開策を見つけられず、悩んでいたところに、空から白い体に黄色の丸模様のカタツムリがやってきた。

澤宮岳斗 「おい、2人ともあれ見ろ カタツムリが空を歩いて、こっち来るぜ。

あれ? なんか予想よりもあまり驚かなかった。」

シャルル •ヴァンタール 「ああ、王国からの伝達便か 何かわかったんだろうな。」

カット:カタツムリが殻を落として、ナメクジの姿で元来たところを去っていった。

落ちたところまで加那江が走って、殻を拾い上げた。

凪空加那江 「殻を落としたわ この中に手紙が入ってるのかしら?

読んでみましょう。」

カット:殻の中から手紙を取った加那江は手紙を開いた。

手紙は最初は他の星の言語で書かれていたが、1秒ほどで、文字が浮かんだ。 そして、変形し、手紙の文字が日本語になった。

澤宮岳斗 「驚いたぜ。 こっちよりも技術が進んでやがる。

それで、なんで書いてあるんだ?」

凪空加那江 「ええと、「獣に襲われた地で、死んだはずのものが生き返って、生き残った人々を襲う事件が多発している。」という内容ね。

しかも、奇妙なことに死者には獣に襲われたときにできた傷が見当たらない、とも書かれている。」

シャルル •ヴァンタール 「ふむ、その現象を調べてみれば、何かはわかるかもしれんな。」

澤宮岳斗 「おおっ。 事件が起きたところの大まかな銀河地図もいくつかついてるぜ

そこにいって、調べれば何か新しいことがわかるな そうと決まりゃ、出発だ!」

シャルル •ヴァンタール 「おっと、今すぐにはいけないぜ。」

澤宮岳斗 「何故だ?」

シャルル •ヴァンタール 「俺の移動魔法を使うには遠すぎて、魔力が足らん。

王国に連絡して、船を寄越してもらい、明日出発しよう。 加那江、岳斗、しばらくは帰れないぞ。」

凪空加那江 「わかったわ

じゃあ、準備しとかないとね。」

澤宮岳斗 「俺は母ちゃんに「武者修行に行ってくる」って言うか。」

カット:翌朝、3人は牧場で邦子、北三郎、るり子、紅葉、向日葵、桜に見送られ、王国からの迎えの宇宙船に乗る。

宇宙船は50×30メートル、高さが20メートルにも及ぶほど、巨大だった。 特徴としては、宇宙で景色を眺められるように高さ3メートルほどのガラス窓が2列に設置されていて、外壁のメタルは光が反射するほどの綺麗さを保ち、隕石でも凹まない想像をさせるほど、たくましく見えた。

そして、いちばんの目玉は金ピカの錨が船の頂点に取って付けられていて、存在感を大きく感じる。

澤宮邦子 「岳斗、気をつけていってくるんだよ。 シャルルと加那江ちゃんも冒険楽しんできてね。」

ひまわり 「帰ってきたらたっぷり遊んでもらうからな」

澤宮岳斗 「あたりめえさ 親父、俺がいない間、女ひっかけんなよ」

澤宮北三郎 「おいおい、引っ掛けようにも邦子がいちゃ、どうにもならんの知ってるだろ。

しかし、まあ、ものすごい船だなあ まさか、地球の外に文明があるとは思わなかったぜ。」

凪空加那江 「あははは じゃあいってくるよー」

シャルル •ヴァンタール 「うまい土産持って帰ってくるぜ。」

もみじ 「じゃあ、たらふくの魚ちょうだいね。」

如月るり子 「しかし、宇宙ね…

あたしもこの船に乗って行きたいなあ」

さくら 「岳斗兄 行っちゃうの寂しいなあ

あたしもいっしょに行って、いろんな美味しいもの食べたりしたいな。」

澤宮岳斗 「武者修行だからな、危険な旅だ。

まあ、帰ってきたら土産話でも聴かせるぜ。 じゃあ行ってくる。」

カット:岳斗はそう言うと、船に乗り込んだ。

シャルルと加那江も後に続いた。 そして、地上の皆との一時の別れを惜しみながら、旅立つのだった。

シーン:打って変わって、心許ない蝋燭のシャングリラが灯りをわずかに照らしている、寂れた中世風の城

その一つの部屋には、赤いカーペットが威厳のある木造の門から赤い王座まで敷かれている。

その王座には黒い仮面、フードや黒いマントで顔、頭や体全体を覆い隠している者が座っていた。

その前には魔法使いと紳士が立っていて、報告をしているところだ。

カット:魔法使いは淡々と報告していた。 その横で、紳士は薔薇を目を閉じて嗅ぎながら聴いていた。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「…と言うわけで、奴らは獣の場所を掴み、倒すために旅立ったというわけ。

私たちの目的への脅威になってきていることには間違いないわね。」

ゼロ・ラグナイド 「そうか。

奴め、導いたようだな。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「全く、ボスの計画にケチつけるなんて、いい度胸してるもんだねぇ…。 許せないッ!

必ず、なぶり殺しにしてくれるわ。」(怒り)

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「まあまあ、落ち着きたまえ、マドレーヌ。

焦ったって、事をし損じるばかりさ。」(楽観)

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「あなたこそのんびりしすぎなのよ。

いくら「傲慢」を名乗っているとはいえね。 」

ゼロ・ラグナイド 「おいおい、力を合わせる仲間だぜ。 喧嘩はほどほどにしておけよ。」(信頼)

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「まあ、あなたの言う通りね。 …でも、手加減はしないつもり。

この「嫉妬」の名にかけてね。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「いいねえ なかなかのゲス顔じゃあないか。

私の薔薇コレクションと比べても負けない」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「あなたの悪い趣味と一緒にしないでよね!

あたしからみたら、あなたの宝石だらけの服もどうかと思うわ。 目が潰れそう。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「そりゃ、最高の褒め言葉だよ

なんたって、この私が丹精を込めて、磨いたからね。 私以上に宝石と薔薇を愛するものはいないだろうさ。

フッ。」

ゼロ・ラグナイド 「2人とも絶好調だな。 幸運を祈るぜ。」

シーン:出発して、1時間ほど経った頃。 宇宙船はもうすでに人類の揺籠である地球の臍の緒をかっちぎって、果てなき世界を求め、自らの足で一歩一歩進んでいるところだった。

カット:ガラスから外を眺められる食堂に3人はいた。

食堂には、さまざまな料理人ロボットがいて、霜降り肉、天ぷらなどを調理した焼きたてを提供するサービスが備わっている。

さらに様々な星の名産品を料理した品がホテルのバイキングの如く10列のテーブル「長さ5メートル」に置かれていて、王国の威厳を現している。


また、宇宙船はものすごいスピードで移動してるため、ガラスから見える星座がすぐに形を変えてしまうほどだった。

澤宮岳斗 「うほぉー こりゃ豪華だなあ。 食い倒れる自信しかないぜ。

それに星もはっきり見える。」

凪空加那江 「ほんと綺麗ね。

しかし、この船は速いわ。 星がたちまち彼方に流れていく。」

シャルル •ヴァンタール 「そりゃ、王国の中でもピカイチの最速性能を誇っているからな

銀河間の緊急会議などでもよく使われているそうだ。」

澤宮岳斗 「なあ、この紫と緑の丸い模様があちこちにある果物 どんな味するんだろうな(パクっ)

……なんだとっ! (プシュウウウウウウウウッ!!)噛んでも噛んでも果汁がどんどん出てくる! 何だこりゃあっ!」

コック 「それはメロドリス銀河のSD-672という星にある秘境で獲れた実なのです。

その昔、その星は異常天候が起こってから、動物も死に絶え、食べ物が取れず、人減らしをするほど凄まじい地獄のようだったと聞いております。

そんな事情で、最愛の我が子を泣く泣く締め殺した母親は後悔から動物たちの死骸で死の海になってしまったラバァーリャ海に身投げをしてしまったのです。 その時、奇跡が起こりました。 何と、海の中から一本の木が生えて、たちまちたくさんの種類の果物が実り始めました。しかも驚くことに、その木は、身投げをした女性がまるでその木に生まれ変わったかのような、つまり、その女性の形をしていたのです。 その現象のおかげで餓死をすることは無くなったのです。


その女性の目から桃色の光を放つ煌びやかな涙の滝が高さ600メートルから流れて、今も観光客を楽しませています。


その果物は木とリンクしているようで、噛むなどの圧力が加わると涙の滝からの甘い果汁が噴き出すのです。 別の名を「乳吸い実」とも言います。」

澤宮岳斗 「何と壮大な話しだな。 面白いぜ。

あっ、シャルルと加那江は白いゲートを封じるために今まで宇宙で旅したと言ってたよな。

そん時に食ったいちばん美味いのって何だ?」

シャルル •ヴァンタール 「んーむ、そうだな。

やっぱ、ホワラドーノ星の恐竜のような形をした青と赤の縞々のピッパラト・フォンという生き物の胃をウナギ焼きしたやつかな。

これが960万年前から神様たちが祭り騒ぎしているとして知られているプォーラコン星のおミサレ様という大神の涎から取った貴重な酒と合うんだよなあ。 あれさ、一年で3滴しか取れなく、一杯貯めるのに300年かかるんだぜ。」

凪空加那江 「そうそう、だから超銀河団の星々の中でもよっぽど裕福な者しか買えないのよね

私たちはその星でバイリア様が500年前に無くした大切な指輪を見つけて、そのお礼にもらったわ。 ほんと美味かったー。」

澤宮岳斗 「(なんや知らん星ばっかで会話についていけんわ) へえー なかなか興味深い話だな。 楽しみになってきたぜ。」

カット:岳斗が2人から今までの旅の話を聞きながら、豪華な料理に舌鼓を鳴らしているとアナウンスが聞こえてきた。

アナウンス 「皆様、我が国のおもてなしを楽しんでおいででしょうか?

まもなくレブリアム王国直属エバートン空港に到着いたします。 あなたたちの幸運を祈ります。」

シャルル •ヴァンタール 「おっ! もうすぐ着くのか。

よっしゃ、着いたらまず、王様に面会して、小型船を借りるか。」

カット:空港に降りたった3人は王都直行の浮遊列車に乗って、三十分ほどで王都正門前の駅に到着した。

そこからはシャルルの案内で王城まで歩いた。 その道中に噴水の前のベンチで絵を描いている男、路地で色々な楽器を弾いている集団、昼前からビールを飲む者で賑わっている店など、国自体が活気に溢れている。


ちなみに、その人々たちは我々が知っている人間の外形を持つ奴が3割くらいほどで、あとは足を複数生やしたタコ型エイリアンと虎、狼や熊などアニマルのバリエーションが3桁にものぼる獣人、有機生物のように感情豊かなロボット(例えば、手を広げながら、ワーオと驚くなど)、果てには豊富な種類のサイズを誇る小人や巨人も岳斗を驚かせた。

客引き 「さあさあ! そこのボーイ、我がランジュル店でジュエリーレモン割りのカクテルでも飲んでいってよ!」

澤宮岳斗 「悪いが、今は用があるんだな。

暇になったら寄らせてもらうぜ。」

美容師 「アーラ❤️ お嬢ちゃん あなたのお顔綺麗わねー。

アタクシ、美容師デスわ。 貴女をモデルにして差し上げまショ♪」

凪空加那江 「あらッ ありがとねー

でも、今は急いでいるの。 ごめんね」

カット:王城の門に着く頃にはへとへとの2人が我がアイドルの灰猫の後ろに立っていた。

澤宮岳斗 「なあ、シャルルよ。 いつもこんな調子か?

どんだけ誘ってくるんだよ。」

シャルル •ヴァンタール 「へへっ 疲れたか?

この国の民は基本的に楽しいことをみんなで一緒にやることが好きだからな」

澤宮岳斗 「待てよ?そういや、みんな日本語喋ってたな。 あと、新聞や看板に書いている文字も日本語だった。

他の星に広まっているとは考えられないが。」

シャルル •ヴァンタール 「ここは他の星や銀河からの旅行者も多いからな。 銀河での言語調査をして、サーチして集めたその星の人体の特徴データと照らし合わせてから、浮遊粒子型の翻訳ロボットがそれぞれの人に同時に母国語に見えたり、聞こえるように変換しているんだ。」

凪空加那江 「中には他の民族には発音できない特殊な言語も含まれているから、発音録音機能付き翻訳機も飛ぶように売れているわ。

ほんとすごい技術ね。 さっ、城の中に行きましょう。」

澤宮岳斗 「ああ、そうだな。

しかし、嬉しいことに獣人がいたとはね。 ワイルドさと知的さが合わさって、魅力的だ。」

カット:城門の見張り者に門を開けてもらって、城の中に入った3人。

山や海などの抽象絵などが左右の壁に貼られている廊下を通り、一際目立つ赤茶色で塗られたレトロ風な門を開いた。

煌びやかなシャングリラが輝く広々しい部屋で、ルネサンス風の柱が左右3つずつ左右対称にそびえ立ち、柱に挟まれている赤いカーペットの奥には金髪の若い男が赤い服に絹を使った糸が垂れ下がっている肩飾りを着ている状態で王座に座っていた。

シャルル •ヴァンタール 「ただいま戻りました。 王様」

ツォン・クリラーディ 「2ヶ月ぶりだな ヴァンタール

どうだったか?」

シャルル •ヴァンタール 「月にいる魔術師を倒して、地球という星にある北の大地、北海道の白いゲートから魔物が現れることを防ぎました。

ところで、村で奇妙な事件が起きているという知らせを受け取りました。 そこで、調査のために小型船を貸していただきたいのです。 死者が蘇る原因はおそらく、裏の世界の獣に通じるものかと思われます。」

ツォン・クリラーディ 「いいだろう。 船は余ってるほどあるので、好きに使ってくれたらいい。」

シャルル •ヴァンタール 「ありがとう存じます。 では、失礼します。」

カット:挨拶が終わり、失礼しようとした時、王室の門が少々錆びている音を立てて、開かれた。

そして、背中に長い銃を背負っている黒髪パーマの男が中に入ってきた。 見た感じ細長いイタリア人に近い

ペー・フォバート 「王様、ただいま帰還いたしました。 む、その二方は…?」

澤宮岳斗 「俺か? 澤宮岳斗だ。」

凪空加那江 「私は凪空加那江よ。 王様、なかなかいい人でよかったわ。」

ペー・フォバート 「なるほど。 何やら、其方たちから戦いを潜り抜けたニオイがするな。」

シャルル •ヴァンタール 「この2人は白いゲートを通る資格を持つ者で、俺がスカウトした。」

ペー・フォバート 「そうか。」

澤宮岳斗 「あんたは誰だ?」

ペー・フォバート 「申し遅れた。 私はベー・フォバートと申す。

王様に忠誠を誓っている身だ。 他にも3人の側近がいるので、私を含め、四天王と呼ばれているのだ。」

澤宮岳斗 「へえ、そうなのか。 会ってみたくなったぜ。 ところで、王様、質問です。

シャルルから裏の世界に潜む獣を倒せと言われましたが、獣がこの世界を襲い始めたのはいつからですか?」

ツォン・クリラーディ 「7年くらい前からだ。 それまでは本当に平和だったので、誠に遺憾だと思っている。」

凪空加那江 「魔物が裏の世界から現れる予兆は私たち以外で気づくことは可能ですか?」

ツォン・クリラーディ 「いや、完全に不可能だ。 私たちにとっては魔物がどこからか突然現れるように見えるので、手を打ちようがない。

つまり、君たちだけが頼りということになる。 よろしく頼むぞ。」

シャルル •ヴァンタール 「了解致しました。王様。

必ず、獣を倒してご覧にいれます。」

シーン:十数人ほどがスペースに余裕を持って生活できるほどの大きさの船を借りた3人は早速、ジュネス星という惑星である目的地に出発した。

カット:離陸を完了させて、到着を待つ間、3人は今後の作戦を練っている。

シャルル •ヴァンタール 「さて、今後の目的だが、裏の世界の獣を倒すことがゴールで間違いないよな?」

凪空加那江 「ええ、そうよ。 それには獣がいる場所を特定する必要があるわ。

手がかりが見つかればいいんだけど」

澤宮岳斗 「死者が蘇る場所と獣に襲われた場所が見た限り、同じということが気になるな。 もしかしたら死者も裏の世界に関係してるんじゃないのか?」

凪空加那江 「あり得るわね。 とりあえず、地図にある王国や街の人に話を聞いてみるのがいいわ。」

シャルル •ヴァンタール 「さて、そうと決まったら少し休もうぜ。 着くまで、3時間もあるからな。」

シーン:太陽(といっても我々の知ってる太陽ではない)がわずかに墜ちかける昼後、宇宙船は目的地の星に着いた。

町外れの野原に着陸した3人は王国への地図を確認して、幻想的な湖に根付く桜の花びらが舞う道を歩き始めた。

カット:岳斗は初めて見る風景に心を奪われていた。

澤宮岳斗 「おお… こんな幻想的な風景があるのか。

桜が湖の中から生えている。 まるで、ガジュマルだな。」

凪空加那江 「ええ、ほんとに綺麗ね。 こんな時じゃなきゃ、ピクニックにうってつけだわ。」

澤宮岳斗 「あっ あそこにウサギの顔をしたラッコが二匹泳いでいるぞ。」

シャルル •ヴァンタール 「ラビッコロだな。 潜ってから、ジャンプする高さが銀河一で有名だ。 ギネス記録にも載ってる。」

澤宮岳斗 「いやあ、ここで、獣に襲われたり、死者が蘇るとは到底思えないな。

平和に見えるぜ。」

シャルル •ヴァンタール 「まあ、ここが王国から4キロ離れてるからな。

さあ、急ごうぜ。」

カット:王国まで700メートルほどまで、歩いたところで、突然、2人の刺客が林から出て、3人の前に立ち塞がった。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「やあ、諸君

悪いがね、君たちに用があるのだよ。」

シャルル •ヴァンタール 「用だって? こっちは王様から頼まれて、ある事件の調査に来てるとこなんだ。

それにお宅ら、まずは名を名乗るのが礼儀じゃないか? ちなみに俺はシャルル。 そんで、こいつらは岳斗、加那江だ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おっとこれは失礼した。 私はジョー・ワグセルフと申す者さ。 結社・深淵に潜む烏の一員だよ。

そして、こちらのレディはマドレーヌだ。 なかなか美しいマドモワゼルだと思わないかね? 諸君。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ジョー、うっとうしい前置きはいらないわ。

早く本題に移ってちょうだい。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「怒らないでくれよ。せっかくの可愛い顔が台無しだ。

さて、私たちがここに来た目的は、君たちによる獣の討伐を阻止するためさ。

あれはボスの計画へ大きく関わる。」

凪空加那江 「どういうこと? あなたたちは獣を使って、何を企んでるの?」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「しらばっくれないで! あなたたちは王国と協力して、奴の野望に加担しようとしてるに違いないわ。」

澤宮岳斗 「野望だと? あんたら、情報不足だぜ。 あの王様がそんなドス黒いこと考えてると思うか?

きっちり調べてから出直してきやがれってんだ! 邪魔するなら相手になってやらあ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「何ですって!?

この私をコケにするなんて、命知らずだわ。 いいでしょう。 死すら甘い地獄を見せてやるわ!

かかってきなさい! この「嫉妬」マドレーヌが相手するわ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おやおや、すいぶんわんぱくなボーイだ。

しかし、それもこれまでだ。 この「傲慢」ジョーの手にかかれば、どんな敵も私の前にひれ伏すだろうさ。」

シャルル •ヴァンタール 「ああっ。全く仕方ねーな。

こいつら、かなり強いと見た。 2人とも気合い入れろよっ!」

澤宮岳斗 「分かってらあ!」

凪空加那江 「とっとと倒すわよ。」

カット:ジョーはハンカチを取り出して、息を吹きかけるとハンカチの中から薔薇が数本出現した。 同時にマドレーヌも長さ30センチほどの木の杖を取り出し、呪文を唱えると彼女の前に数本の光の矢が現れ、3人に向かって発射した。

シャルルは左、岳斗と加那江は右に避けた。

澤宮岳斗 「来るぞ。避けろっ! 」

シャルル •ヴァンタール 「なるほど。 マドレーヌは魔法使いか。

そして、ジョーは薔薇を武器にするようだ。 よし。 ジョーの薔薇を焼き尽くすか。 燃えたぎる豪炎よ、万物を無に返せ」

カット:シャルルが呪文を唱えるとあらゆる角度から空気を歪めるほどの高温の炎がジョーに向かって、まっすぐ襲いかかる。

しかし、マドレーヌの魔法で竜巻が現れ、炎を吸い取った。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「させないよ! ジョーばっかりずるいっ。 

こんないたいけな少女ほっといて、ほんと、寂しいわあー。 (キッという目つきを岳斗たちに向けて)てめえらぶっ殺してやる!

メテオブレイク!(名の通り、隕石を空中から落とす魔法)」

カット:隕石が降りかかり、避けるのに精一杯な岳斗

加那江は撃ち落とそうとしてる

凪空加那江 「迎え打つわ!

ブラスターグリフォン!(銃を広い範囲に撃ち、物体にぶつかり、爆発した弾に共鳴して、他の弾も爆発する。)」

カット:加奈江が隕石を撃ち落とし、状況は一進一退だ。

ジョーは相変わらず、戦いを傍観してるようだ。

澤宮岳斗 「おいおい、あの宝石のおっちゃん 随分余裕だな?

こっちはマドレーヌ1人に手間取ってるのによ。」

シャルル •ヴァンタール 「よし、マドレーヌはオレが引き受けた。

お前は加那江と協力して、ジョーを何とかしてくれ。」

澤宮岳斗 「おうよ 行くぜ!」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「オイコラァ! あたしを無視してんじゃねーよ、岳斗!

土に潜む大蛇よ 奴を縛り付けて、骨を折っちゃまえ!」

シャルル •ヴァンタール 「おい! 心配するなよ。 オレが相手するからな。

古き木の賢者のマントよ 静寂を切り裂け! 」

カット:マドレーヌとシャルルが魔法合戦を繰り広げる頃、岳斗はジョーに走り、攻撃を仕掛ける。

澤宮岳斗 「ジョー! 行くぜ! 加那江、援護頼む!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おお、何と若々しい。 素晴らしい!

さて、私との華麗なる円舞曲(ワルツ)について来れるかな?」

澤宮岳斗 「ほざけ! 腰痛めるなよ!」

カット:岳斗がジョーに剣をぶち込もうとした時、突然ジョーの薔薇の茎が伸び、岳斗に襲いかかる

岳斗は何回かサイドステップして避けた。

凪空加那江 「今よ! ガトリングスコール! 」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おっと、マドモワゼル。 ボーイとのダンスの邪魔をしちゃいかんよ。」

カット:ジョーはそう言うと薔薇の花を巨大化させて、加那江の銃弾を防いだ。

岳斗は一瞬の隙を突き、疾潜土竜剣を囮にして、横にジャンプした。

そして、飛天流星斬で、林を蹴って、体ごと回転した岳斗は回転エネルギーを利用して、ジョーを斬ろうとした。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「うおっ! (後ろにジャンプして避けた)」

澤宮岳斗 「そこだ! 空中では避けられんねーだろ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「それは君も同じじゃないか? 岳斗君」

澤宮岳斗 「はっ! お得意の薔薇だろ? 切り落としてやる!」

カット:ジョーは薔薇を伸ばし、岳斗の剣に巻きつけたが、剣で薔薇を引きちぎった。

斬られた薔薇から紫色の液体が飛び散った。

澤宮岳斗 「覚悟! 」

カット:しかし、岳斗はいつもの間合いで、ジョーを斬ったのに空振りしてしまった。

岳斗はそのことにひどく驚いている。

澤宮岳斗 「何だど! 間合いは狂ってないのに!」

カット:ジョーは避けぎわに岳斗の体に薔薇を巻きつき、岳斗を拘束した。 岳斗の体に薔薇の棘が突き刺さり、血が出てる。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「ボーイ、剣をよく見たまえ。」

凪空加那江 「ああっ! そんな 剣が溶けてるっ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「これが私の薔薇の真の芸術価値さ。 そう、毒だよ。 諸君。

そして、今、この毒薔薇の棘がボーイの命を削り取る。 見たまえ、死を目前とする人の醜さを。」

澤宮岳斗 「ゔっ。ぐぐぐ、苦し…。 ちくしょお」

凪空加那江 「くそっ! 撃ち落としてやるわ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おっと。 ボーイに当たるぞ。

私の芸術品にケチをつけないでくれたまえ。」

凪空加那江 「くっ…。」

シャルル •ヴァンタール 「くそっ。 なんて奴だ。岳斗相手にここまでやるなんて。

道を踏み外した哀れな草の魔物よ、今、奴に真理の法による神罰を与えよ!」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「テメェよおおおおお! だからああああ、私を無視してんじゃねえええええええーーーーーっ!

あのくそ野郎の口を虚空の煉獄に引き摺り下ろせァ! サイレントブルー!」

カット:マドレーヌが星を揺るがす怒りと共にシャルルの命綱でもある声を存在しない空間に落とした。

後にはただ、静寂が響き渡るばかりである。

シャルル •ヴァンタール 「(なっ 何だと!? 声が出ん。 まずい、魔法が使えないのはやばいっ!)」

凪空加那江 「どうしたの!? シャルル」

シャルル •ヴァンタール 「口パクで(声出なくなっちゃった)」

凪空加那江 「嘘でしょう!! そんな、仕方ない

私だけでも抗うわ。 まずは岳斗を助けなきゃ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「無駄よ! あなたの今の腕で、ジョーの攻撃を交わしながら岳斗に巻きついている茎をピンポイントで撃ち落とすなんて無理無理、無理の助よ! オーッホホホホホホホホホ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おお… どうにもならなく、死にゆくボーイを嘆き悲しむマドモワゼルの顔、実に美しい。 愛だね。」

カット:その時、岳斗が加那江に目線で何か訴えてる。

次にマドレーヌをチラッと見て、加那江に舌を突き出す

そんで、かろうじて動く左手で銃を撃つジェスチャーをした。 そんで、ジョーを見た。

凪空加那江 「? 岳斗がこっち見てる? 何か言いたそうだわ。

この目線とジェスチャーの意味からして… わかったわ やるだけやってみるわ


(アホ顔で)マドレーヌ、やーい お前のカーチャンでへそぉ〜! 三段腹っ。 あかんべ〜。 ボンボンボン盆踊り。

あと、両頬そばかすお化けぇ〜!」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ピクっ。 ついに私のそばかすに触れたわね…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


てめえのその一点の濁りもない美人顔 燃やして、跡形も残さないようにしたろかあっっっっ! このクソアマが!」

カット:マドレーヌが傷ついたプライドを怒りに変え、焔を放った。

その時、岳斗め、なんと炎に飛び込んだではないか!

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「なっ! 何と、焼け死ぬ覚悟を背負って、私の毒薔薇の巣から脱出しようと言うのか!?」

澤宮岳斗 「ぐおおっ! あっちいイイっ!  ハートが燃えるぜぇ!」

カット:岳斗がついに薔薇を振り切って、怒りで我を忘れ、周りが見えないマドレーヌの左頬に右ストレートをぶち込んだ!

もろに入り、マドレーヌは大きくぶっ飛んで、地面に転がり、気絶した。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ぐぶっ!」

凪空加那江 「ヨシっ! うまくいったわ

シャークトルネード!(棒状の物体の周りに弾が回りながら蛇のように進む そして、棒をもつものを噛み付かんとする)」

カット:マドレーヌの炎を纏った弾はジョーの右手にクリーンヒットし、薔薇を手放した。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「ぐおっ! 右手を弾が貫通して痛いっ! 熱いぞ!

…なかなかやるねえ お二人とも。 よく、あそこから機転を効かせたもんだ。 ついでに愛しいマドレーヌも戦闘不能だ。

しかし、岳斗君、君も満身創痍じゃあないか? 火傷がひどいぞ。」

澤宮岳斗 「骨を切らせて骨を断つっていうことわざがあるんでな。

あんたらたち相手に無傷ってわけにゃいかんよな。 はあ…疲れたぜ。 それに身体中が痛い。」

カット:そう言うと岳斗は後ろに倒れ込んだ。

どうやら、全身に火傷を負っていて、髪も縮れてる。

凪空加那江 「ガクトオオオーッ!

そんなっ!嘘よっ!死なないで。 岳斗っ! うぅ、ひっく。」

シャルル •ヴァンタール 「岳斗! あっ 声が出る。 いや、そんなことはどうでもいい。

ジョー、マドレーヌもあれだし、ここは一旦休戦にしないか?

オレは岳斗を病院に運ぶ。 このままだと、あいつ死ぬからな。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「そうか。 確かに筋は通ってる。

しかし、私の辞書に「逃げる」という言葉などないのだよ。諸君

この私がね! 私は必ず、貴様らを殺す。 傲慢の名にかけて!

さあ、かかってきなさい。 (そう言って、左手から薔薇を出す。)」

シャルル •ヴァンタール 「チッ…。

おい! 加那江、気をしっかり持て!

来るぞ!」

凪空加那江 「グスッ、しょうがないわ とっとと倒して、岳斗を病院に連れて行くわ。」

カット:その時、突然、上から声が響き渡った。

高さ7メートルほどある木の枝の上に胸がFサイズの金髪レディーが立っていた。 髪は頭の上の方で束ねていて、髪が垂れるほど長くはない。あと、耳辺りの左右に一筋の長い髪が垂れ下がっている。

色欲 パイン・ダイバート 「止まりなさい! ジョー、そこまでよ。 」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おやおや、美しいレディーかと思ったらパインか。

悪いがね、そういうわけにはいかないのだよ。」

色欲 パイン・ダイバート 「目的を忘れてないかしら?

獣を回収して、ボスの復讐のための駒にするんでしょう。 なら、今、手傷を負ってまで、寄ってたかってくる蠅どもを殺す必要はないわ。

それよりも明日のために準備をしなくてはいけなくって? もう、時間もあまりないわ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「ふぅ。 確かに君のいうとおりだ。いささか、頭に血が昇ってしまったらしいな。」

カット:パインが加那江たちの前に飛び降り、マドレーヌを肩に持ち上げた。

色欲 パイン・ダイバート 「岳斗… よく戦ったわ。 立派ね。

そんじゃあ、私たちは去るわ。」

凪空加那江 「待って! 復讐って? それに、今夜何するつもりなの!?」

色欲 パイン・ダイバート 「だめよ 加那江ちゃん 今は岳斗を助けるのが先決でしょう?」

シャルル •ヴァンタール 「加那江、悔しいがパインの言う通りだ。」

色欲 パイン・ダイバート 「そんじゃあ、またどこかで会いましょう。 

その時は「色欲」パイン・ダイバートが相手するわ。 さよなら。」

カット:パインたちはそう言うと黒いゲートを出して、その中に入った。

そして、黒いゲートが消えた。

凪空加那江 「何なの? 黒いゲートを出したり、消えたり。

一体何者なのかしら?」

シャルル •ヴァンタール 「加那江、岳斗を忘れてないか?」

凪空加那江 「はっ! そうだった。 運ばないと

ぬっ!んぬぬぬぬ… 重くて運べないわ。」

シャルル •ヴァンタール 「しょうがないな オレも運ぶか。

空の女神よ、我の肉体を再変換せよ!」

カット:そう言うとシャルルは猫の時の特徴をそのまま残した8頭身の長身イケメン猫獣人に変身した。

シャルル •ヴァンタール 「よいしょ。 加那江、行くぜ。」

凪空加那江 「わかったわ。(なんか、かっこいい…)」

シーン:第2章 まだまだ続く オラわくわくすっぞ!


あらすじ:火傷を負った岳斗を病院に運んだ2人

ジェシカが自分の角を岳斗に突き刺して、岳斗を治した

ジェシカがパーティインした。

次の日の夜、シャルル、加那江、ジェシカに加えてアビリア(ジェシカの家来)の4人で村に襲いかかる死者とパインと戦った。

戦いの末、追い詰められたパインはシャルルを催眠術にかけ、加那江たちを足止めした。 勝ち誇りながら目的地に走るパインだったが、先に目的地に入ったはずのジョーとマドレーヌに出会ってしまったことで彼女はシャルルに罠にかけられたことを悟る そして、獣の回収と岳斗たちを殺すことを改めて決意するのだった。

シャルルたちは先回りして、本物の白いゲートを見つけた岳斗のもとに急ぐのだった。

合計:17154文字, シーン:334文字, カット:4070文字, セリフ:12750文字

シーン:病院 死者事件のせいか怪我人などがごった返す事態となっていた。

カット:数人の看護師、医師が岳斗を患者運搬車で、治療室に運んでいた。

医師 「これはひどいな。 火傷レベル2〜3に達している。

それに毒物反応も見られる。 早急に対処しないとあかん。」

看護師 「先生、38番の治療室が空いています。」

医師 「そうか そこに運び込め。」

シーン:数時間後、何とか一命を取り留めた岳斗だが、全身を包帯で巻かれていて、意識もまだ覚めていない。

カット:岳斗の隣に座って見守っている加那江とシャルル やはり、心配そうだ。

ちなみにシャルルは元のかわいらしいフォルムに戻ってる。

凪空加那江 「岳斗… とりあえずよかったわ。

でも、これでは、戦えないわね。」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな。 残念だが、ここでリタイヤかな。

しょうがねえな。 オレら2人で何とかするか。」

凪空加那江 「正直、ここまで、強いとは思ってみなかったわ。

最初に裏の世界であった時から、常人じゃない動きだったものね。 ほんと、惜しいわ。」

シャルル •ヴァンタール 「はあ…母ちゃんに顔向けできねえぜ。

大切な息子が火だるまになっちゃったからな。」

カット:安心したのも束の間、落ち込んでる2人に近づく影一つ…

水色の髪に長く、細いポニーテールが垂れ下がっていて、どこか品位がある白い一角獣の獣人女性が岳斗に歩き寄る。

彼女の水色のサラサラした尻尾(膝までの長さ)がファサと音を立てて、優雅に振り子のようにゆっくり揺れている。

ジェシカ・スカイウォーカー 「ああ… 何と痛ましい。 どこの戦士か知らないが、私はあなたに敬意を表わそう。」

シャルル •ヴァンタール 「ありがとな。 こいつはよく戦ったよ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「この者の名は何と申す?」

凪空加那江 「岳斗よ。 澤宮岳斗」

ジェシカ・スカイウォーカー 「そうか。 岳斗か…

あなたの魂は必ず天へと旅立つでしょう。 安心なさって、お眠りなさい。」

シャルル •ヴァンタール 「ちょっと待った。 こいつは一命取り留めているんだぜ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「えっ? あ…

これは申し訳ない! しかし、それはいい知らせですね。」

シャルル •ヴァンタール 「まあ、そうかもな。 でも、喜んでいられない状況があるんだな。

オレらは死者が蘇る事件の調査をツォンという王様に頼まれて、ここに来たんだ。

しかし、道中で刺客に出会い、この様さ。 はぁ…。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「そのことは我々も頭を抱えています。 この国で1週間前から死者の襲来事件があちこちで多発しておりこの国の王として、何とか手を打たねばならないとは思っています。  ですが、何しろ、神出鬼没なので、手も足も出なくて、困り果ています。」

シャルル •ヴァンタール 「えっ。 なんか聞き流せんワードが入っていたような? 確か、この国の王だとか」

ジェシカ・スカイウォーカー 「あ うっかり口が滑ってしまいました。 お恥ずかしい。 あはは。

敬語とかは結構ですよ。 ここには忍びで来ているのですから。」

凪空加那江 「忍びって、誰かのお見舞いに来てるの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「いえ、誰がというわけではないのですが。 ええっと、子供達にお菓子をあげたり、怪我した人の悩みを聞いてあげたり、そんなことをしています。

ああ、そうだ。 刺客についてもっと詳しく聞きたいのですが、よろしいですか?」

シャルル •ヴァンタール 「もちろん、お安いご用だ。」

カット:シャルルはジェシカにマドレーヌとジョーに襲われたこと、パインが何やら気になることを言っていたこと、などを詳しく説明した。

ジェシカ・スカイウォーカー 「復讐? パインはそう言ってたの?」

凪空加那江 「ええ。 なんでもボスの復讐に獣が必要らしいの。

それに明日、何かするって言ってたわ。」

シャルル •ヴァンタール 「裏の世界、死者、獣、そして、あの3人 点が線になって繋がる匂いがプンプンするぞ。

しかし、今回ばかりは岳斗がいないとずいぶん心細いぜ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「岳斗はそんなに強いのですか?」

シャルル •ヴァンタール 「ああ、そうだ。

オレは魔導士だけど、そうは言っても猫だし、加那江は全く病気をしないし、11の頃から旅で鍛えているとはいえ、体が頑丈ってわけでもないからな。

それに引き換え、あいつは剣道で体を鍛えてる。 強いよ。

しかも、母ちゃんから聞いたんだがな、あいつ、9歳の時、親父共々死線を彷徨ってから、大切な人を失いたくない、俺が全部守ってやるという一心で、剣道、ボクシング、空手など色々、格闘技を習い始めて、わずか2,3年くらいで、大人たちがゾロゾロ出ている世界大会を次々と優勝するくらいの凄腕になったんだ。 そっから、さらに強くなって、スペインの暴れ牛をノックアウトさせたり、中国の凶暴な虎を背負い投げで気絶させたりもした。

ブラジルのアマゾン川で、五匹の4メートル以上のワニと水中で格闘した時は、流石に全治1週間の怪我を負ったが、五匹とも捕まえて、現地民と一緒に料理にして、食ったそうだ。」

凪空加那江 「な… 子供の頃からそんなに命懸けで戦っていたの? そこまで、お父さんのこと大切に思ってるのね。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「なるほど、精神的にもタフに鍛えられていたのですか。

通りで、ただ者ではないオーラが漂っていたような気が。」

カット:ジェシカは少し覚悟を決めた顔でシャルルに改めて質問をした。

ジェシカ・スカイウォーカー 「シャルル、岳斗抜きで、明日の決戦に勝てると思いますか?」

シャルル •ヴァンタール 「うっ…

王様に忠誠を誓った身だから、たとえ、この身朽ち果てても戦い抜くと言いたいところだが、そこまで、捨て身になっても勝てる可能性は低いだろう。 正直、ヤバいと思う。」

凪空加那江 「2人でも、あの岳斗が全身に毒や火傷を負うほどの強さだったわ。

パイン、マドレーヌ、ジョーがフルメンバーで来たらどうしようもない。 あ そういえば、パインが色欲、マドレーヌが嫉妬、そして、ジョーが傲慢だったわね?」

シャルル •ヴァンタール 「それがどうし… あ あー、まじかよ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「聖書によると人の大いなる罪が7つ挙げられていて、色欲、暴食、強欲、怠慢、嫉妬、憤怒、傲慢があると言われています。 なるほど、あと4人もいると言うことですね?


これは確かにまずいですね。 分かりました。シャルル、加那江。 これから、私が何をしても驚かないでください。いいですね?」

凪空加那江 「わかったわ。 でも何をするの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「決まってます。 岳斗を今すぐ、全治させるんですよ。 この一角獣の力でね」

シャルル •ヴァンタール 「一角獣、なるほど。 角に不死の病を含む全ての病を治す効果があり、漢方薬として、さまざまな銀河の王様たちが喉から手が出るほど欲しがっていると言う。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「シャルル、あなたは魔導士ですよね?

なら、風の魔法とかで、私の角を切り落としてください」

シャルル •ヴァンタール 「何だって! 角切るだと。 痛いんじゃないのか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「はい、神経が通ってるので、激痛です。

しかし、あの時の痛みに比べれば、微塵もないです。 さあ、おやりなさい。」

凪空加那江 「わかったわ。 じゃあ、あたしは医師や看護師を呼んでくるわ」

ジェシカ・スカイウォーカー 「お願いします。 シャルル、準備はできましたか?」

シャルル •ヴァンタール 「ああ、わかった。 やっぱり、あんたはすごいやつだ。」

カット:シャルルが魔法を唱えて、風のカッターを巻き起こした。

ジェシカは顔に汗をかき、歯を食いしばっている。

シャルル •ヴァンタール 「罪深き神の息よ、その神秘なる者の角を明日の希望に捧げよ。」

カット:風のカッターはたちまち、ジェシカの角を切り落とし、凄まじい量の血を岳斗の病室辺り一面に散らした。

ジェシカは倒れかけたが、地面に落ちようとしている角を手で取り、かろうじて立っていた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「うぐぐ… はぁはぁはぁ シ…シャルル、あとはこれを岳斗に刺せばいい…。」

カット:顔に血の滝を流したジェシカはフラフラした足取りで岳斗に近づいた。 そして、腕を振り上げて、岳斗の胸に思い切り、角を刺した。

その瞬間、岳斗の体が勢いよく跳ね、病院全体に届くような叫び声を上げた。 同時に角が光り輝いた。

澤宮岳斗 「ウワアアアアアアアッ!!!!」

凪空加那江 「!! 岳斗の声だわ! 早く! 」

医師 「女王様! これは一体… 大変だ すぐ止血しなくては!

おい!看護師 ありったけのガーゼと消毒液を貸せ!」

看護師 「はっ はい!!」

カット:ジェシカの治療が始まった時、角の光が収まって、しばらく痙攣していた岳斗の意識が戻った。

岳斗が半身を起こして、質問した。

澤宮岳斗 「はっ! あ ここはどこなんだ?」

凪空加那江 「ここは病院よ あなたは毒と火傷でここに運ばれて、とっても重傷だったわ」

澤宮岳斗 「そういえば あれっ 痛くないぞ。」

シャルル •ヴァンタール 「えっ そうなのか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「包帯を外してみてください。 もう治ってるはずです。」

カット:岳斗が言われた通りに全身の包帯を外してみると、なんと!驚くことに火傷の痕がどこにもみられないではないか!

凪空加那江 「すごいわ! 肌が綺麗になった。」

澤宮岳斗 「一体、何をした

もしや、あんたが額から血を流してるのと関係あるのか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「はい、そうです。

私の角を貴方に突き刺して、治療しました。」

澤宮岳斗 「何だと 一角獣って、伝説でしか聞いたことがないのだが…

まっ、ありがとう。 ところで、名前聞いてなかったが、何て言うの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「ジェシカ・スカイウォーカーです。 以後お見知り置きを。」

シャルル •ヴァンタール 「この国の女王でな、お忍びで来ていたらしい。

まっ、確実にバレてるだろうけどな。」

澤宮岳斗 「な 王女だと? …何処の馬の骨か知らんやつのためにありがとうございます。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「大丈夫ですよ。 傷ついたものを助けるのは当然の務めです。

それと敬語は使わなくて良いですからね。 お忍びなんでね。 フフフ。」

澤宮岳斗 「わかった。 そんじゃあ、遠慮なく。」

カット:皆がほっとした空気になった。 と、顔についている血を洗いとって、治療を終え、額に包帯を巻いたジェシカが突然岳斗に頭を深く下げた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「会ったばかりの貴方たちにこんなお願いするのは不躾かもしれませんが、私を明日の決戦に同行させていただけませんか? 私は薙刀の心得があるので、皆さんの足を引っ張らないように戦うことはできると思います。」

医師 「女王様! いけませんぞ。 国を導く立場にある貴女がそんな危険なところに行くなんて。 もし、貴方の身に何かあったら、残された皇女様はどうなるとお考えですか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「娘ですか…

それを言われると1人の親としては痛いところを突かれます。 しかし、私はこの国を大切に思っております。 そして、あの人が守ると誓ったこの国を私自身の手で守りたいのです。

それに、戦士たちが傷つきながらも戦ってくれるのに、女王という理由で、安全なところに引き篭もるだけということはしたくない… もう二度と後悔したくありません。 どうかお願いします。」

医師 「………分かりました。 あなたは一度こうと決めたら周りがどう言おうと引き下がるような人ではないですからね。

それは我々もよくわかっております。


岳斗様 女王様をくれぐれもよろしく頼みますぞ。」

澤宮岳斗 「ああ、任せておけ。

大切な人を失いたくないという気持ちは俺もよく分かるよ。」

カット:ここで、ジェシカがパーティイン

3人はジェシカといったん別れ、泊まるところを探そうとする。

澤宮岳斗 「さて、明日に備えて、休もうぜ。 って、俺は休んでたけどな。」

シャルル •ヴァンタール 「休むに越したことはないさ。ホテル探すか。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「あの… よかったら私の城に泊まって行きませんか?

ゲストを迎えるためにいくつか宿泊部屋がありますよ。」

凪空加那江 「いいの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「はい、構いません。 遠慮しないでいいですよ。」

澤宮岳斗 「じゃあ、お言葉に甘えるか。」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな。」

カット:その深夜、ジェシカはうなされていた。

とある悪夢を見ているからだ。


風景 焼け落ちた王国や城下町

黒いシルエットの獣が火を吹いて、王国や人々を焼いている。 同時に人々の悲鳴が聞こえる。

所々、軍の気合い声が聞こえる


それを王城の窓から目撃した赤い髪のロングヘアをしている赤鳥の若い王様らしき男は元々王国に仕えていた戦士らしく、引き締まった体をしている。 ジェシカが赤ん坊である子供を抱えて、男に何やら話している。

レオナルド・グランターン 「いいか、ジェシカ。 ここは危険だ。近くの村に避難してくれ。

何かあったら、この子を頼む。 たとえ、この王国が滅びてもこの子さえ生きていれば、いつか再建できるだろう。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「分かりました。 ですが、そんな今際の別れみたいな言葉をおっしゃらないでください。

…約束してください。 必ず生きて帰ってくると。」

レオナルド・グランターン 「うむ、そして、王国や城下町のみんなもだ。

必ず俺が守る。 これ以上誰も死なせん!


ジョン、行くぞ!」

ジョン 「はいっ! 王様 私めは天国だろうと地獄だろうとどこまであなたにお供いたします!」

レオナルド・グランターン 「その言葉心強し! では、ジェシカ、行って参るぞ!

アビリア、ジェシカとクリスティーヌを村まで送っていってくれ。」

アビリア 「了解しました。 さっ、女王様に皇女様 こちらです。」

カット:数時間後、村に避難したジェシカ親子のもとに血まみれの戦士がやってきた。

その直後、戦士は前に倒れ込んだ。 ジェシカは側に駆けよって、戦士を抱える。

バトゥータ 「はぁ、はぁ、 じ…女王さま 申し上げます…。

獣は退治いたしました。 ですが、王国は完全に焼け落ち、我が軍ももはや…、ほぼ全滅です。 そして、王様ですが、傷つく我々を助けるために傷だらけになりながらも戦い、獣にとどめを刺しました。

ですが、獣が消滅する間際に……(ここで、口をつくんで、悔しそうに唇を噛んでいる。)王様は……」(後悔)

ジェシカ・スカイウォーカー 「バトゥータ! レオナルドがどうしたのですか…? い…生きているのですか?」(不安)

バトゥータ 「王様は…獣から出た紫色の恐ろしい触手に全身を巻かれて、獣の中に取り込まれ、獣ごと消えてしまいました!」(悲嘆)

ジェシカ・スカイウォーカー 「! 今、あなたが言ったこと… 本当ですか…?」(驚嘆)

バトゥータ 「触手、ああ、今思い出しても恐ろしい。 獣の体の中から人々の恨み声が聞こえて、頭から離れない…

こんなことになるなんて… うう…」

カット:戦士は悪夢と言ってもいい出来事と王様を守れなかった無念を顔に浮かべながら、死んでいった。

ジェシカ・スカイウォーカー 「そんな… あっ…

うわああああああああッ!」

カット:ジェシカはベットの毛布を押しのけて、勢いよく跳ね起きた。 まだ、満月(地球の月によく似た動きで、ジュネス星の周りを回っている。)が高く降臨している。 ジェシカの額には大量の汗が月に照らされ、光っていた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「はぁ、夢だった… (安堵して、しばらく黙る)


(月を見上げて言う)レオナルド… 私たちはあれから10年間、村で暮らしながら、王国や町、村の復興に力を注ぎました。 おかげで、今はあの時の悲劇の傷跡はほとんどありません。 ですが、貴方や死んでいった者たちは帰ってこない… 永遠に。(言い終わって、一筋の涙を流す)」

シーン:翌日、昼ごはんを食べ終えた4人は出撃準備のために王城にいる。

王国直属軍の戦士たちも数十人お供する。

カット:家臣たちがジェシカの武装を持ってきた。

バットフ 「王女様

お持ちして参りました。 どうぞ」

ジェシカ・スカイウォーカー 「ありがとうございます。 そういえば、岳斗、武器はいらないのですか?」

シャルル •ヴァンタール 「あっ、あいつの剣は溶けたんだっけ。

岳斗の胴体くらいの太さの剣と加那江の短刀を用意して欲しいんだけど、あるか?」

バットフ 「了解しました。倉庫を探して参ります。 しばしお待ちください。」

カット:数分後、家臣が注文通りの剣を持ってきた。

岳斗の剣は向こうまで透き通るような水色の刃文(相手を斬るときに相手に向ける面、鋭い方)と燃え盛る炎の波のような紅い鎬地(峰斬りにするときに相手に向ける面)が特徴的だった。

加那江の短剣は見た目が以前より短い普遍的な剣だが、手に馴染み、使いやすい。

澤宮岳斗 「おお〜 こりゃかっけ〜ぜ。

ありがたい。 大切に使うぜ。」

バットフ 「そう言ってくれたら我々も嬉しいです。」

澤宮岳斗 「そういや、加那江、今まで、剣貸したままだったよな。 すっかり忘れてたぜ。」

凪空加那江 「いいえ、大丈夫よ。 あくまで、弾切れした時の予備の武器だから。

それにもう新しいの貰ったから。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「(ニコッ) 楽しそうでなによりですね。

ああ、そうだ。 バットフ、私の愛用の薙刀を持ってきなさい。」

バットフ 「はい 王女様 こちらです。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「よし、じゃあ…」

カット:ジェシカはそう言いかけて、薙刀を持つと突然彼女から出るオーラが一変して、ピリッとした。

同時に彼女の眼力が鋭くなった。

ジェシカ・スカイウォーカー 「皆のもの、出撃じゃーー!」

シャルル •ヴァンタール 「なっ!? いきなりキャラ変したぞ!」

凪空加那江 「ええっ、薙刀を持つと性格が変わるってこと?」

澤宮岳斗 「やれやれ、ほんとこのパーティーは癖者揃いなこった。

まあ、頼もしくていいじゃねえか?」

カット:4人が準備をしながら談笑してると、長いスカートが特徴の白いワンピースを着ためんこい女の子がやってきた。

ジェシカの少女時代を鏡写しにしたようなポニー獣娘で、違うところと言えば、ショートヘアで、水色寄りの紫髪であることだ。

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「お母様は普段は優しいのですが、薙刀を持つといつもああなるのですわ。 勇敢でしょう?」

澤宮岳斗 「ああ、全くもってあんたの言うとおりだ。 そんて、君もそのDNAを50%ジェシカからプレゼントされてる。」

凪空加那江 「ねえ、貴方、ジェシカのお娘さんよね? お名前聞いてもいいかしら?」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「もちろん! 私はクリスティーヌ・スカイウォーカー・グランターンですわ。 皆様、お見知り置きを。」

カット:クリスティーヌはそう言うとスカートの両端をつまんで、お辞儀した。

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「ん? まあ! 二本足で歩くモフモフな猫ちゃんだあ!

私、おとぎ話でケットシーの話を聞いてから、ずっと会いたいの思ってましたの! 」

シャルル •ヴァンタール 「えっ! そりゃ、嬉し…」

カット:シャルルが言い終わらないうちにクリスティーヌが目をキラキラさせながら、物凄い勢いで走り寄って、シャルルを抱きしめたり、顔をわしゃわしゃしたり、胸に顔を思い切り埋めたり、モフモフの感覚を心の底から楽しんでいた。

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「きゃー❤️

ほんと、すごいモフモフゥ〜  いつまでも触りたくなるわ! スゥー(匂いを鼻で吸い込む音)」

シャルル •ヴァンタール 「だぁーっ! くすぐってぇ! 誰か助けてくれぁ〜っ!

おてんばすぎるぞ!」

澤宮岳斗 「だははは。 そう、猫はいつだって隅から隅までモフモフされる運命なのだよ。

気持ちはずっけーわかるわかるの満タンでごさあ。」

シャルル •ヴァンタール 「オイコラァ! 人を変態みたいに言うなっ! ガクトオオオーッ! 助けんかー! のわあーーー!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「これ、クリス 離してやれ。 シャルル殿が困ってるではないか。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「えー。 だってだって、すごい可愛いんですの🩷。

やめられん〜」

カット:その時、扉が開いて、耳をつんざく怒鳴り声が響いてきた。

マムル 「クリス様ッ! はしたないですよ!

このお方様は遠い遠い星の王国からの調査ではるばるここまでやってきたのですよ。

これ以上やるなら、こめかみをうんと強くぐりぐりしますよッ!」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「きゃーっ! マムルさん。 いやっ。

それだけはっ! それだけは勘弁してぇ〜!」

カット:マムルのすごい剣幕に、可哀想なクリスティーヌは泣く泣くシャルルを撫でることを断念したのだった…。

ほんとに泣いてたりして。

マムル 「シャルル様 皇女様がご迷惑をおかけしました。 申し訳ありませんでした。」

シャルル •ヴァンタール 「いやいや、お元気な娘ですね…? なんかどっと疲れたような…

って、岳斗! お前〜、よくも可愛い弟を見殺しにしやがってぇ〜。

許さんぜ! 7代遡って祟ってやらあ!」

澤宮岳斗 「一代前なら好きなだけ祟っていいんだが。

あっ、もしかして、俺にモフモフしてもらいたかった? んへへへへへ〜」

カット:岳斗がいやらしい手の動きをして、シャルルに近づいたので、シャルルは高くジャンプして、岳斗の鼻柱に怒りの鉄拳をぶち込んだ。

シャルル •ヴァンタール 「この馬鹿やろーが! おたんこなす野郎!」

澤宮岳斗 「ッデェーーッ! てめえなんて、…あれだ、あの、あー、 バーカ!バァーカ! アホォーーッ!」

凪空加那江 「恐ろしいほどの語彙力のなさ…」

シャルル •ヴァンタール 「うわーん! バカって言った方がバカなんだあ!」

澤宮岳斗 「バカって言った方がバカって言った方がバカだ〜! 」

シャルル •ヴァンタール 「バカって言った方がバカって言った方がバカ・・・(エンドレス)」

カット:岳斗とシャルルが小学生、いや、幼稚園レベルの悪口合戦を繰り広げながら、シャルルの頬をつまんだり、岳斗をキック、引っ掻いたり、兄弟喧嘩をしてるのをほっといて、加那江、ジェシカ、クリスティーヌ、マムル、バットフは出発前の打ち合わせをしていた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「軍の準備は整ったか? バットフ」

バットフ 「はい、女王様。 いつでも出発できます。」

マムル 「クリス様、お母様は王様としてのお仕事に行くのですよ。

いってらっしゃいしなさい。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「はい、マムルさん

お母様、いってらっしゃいませ!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「うむ、行ってくるぞ。 明日には帰ってくるからな。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「はい! 村のみんなによろしく言っといてください。 クリスは元気でやってると。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「うむ、承った。 」

凪空加那江 「岳斗、シャルル 

いつまでも子供みたいな喧嘩してないで、行くわよ。  」

澤宮岳斗 「いいや、こいつを魂が抜けるほど隅々まで、モフモフしないと気が済まん!」

シャルル •ヴァンタール 「何言ってるんだ、このケモノ中毒野郎が! その間抜けヅラを二度とできなくさせてやろうかッ!(そこで、爪を立てて、岳斗の顔をバリバリする)」

凪空加那江 「…マムルさん。 このバカどもたちに制裁をくわえてやってください。」(こいつら アホしかいない。)

マムル 「わかりました。 2人とも、こっちきなさい。 ぐりぐりの刑です。

(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)いやとは言わせませんよ?」(激怒)

2人 「(色々ボロボロになっている2人。 互いを抱いて、涙ぐみながら、マムルさんの激しい剣幕に怯えるばかりだった。)…はい。


この三秒後、地獄でも滅多に聞けまい2人の悲鳴と叫び声が王国中に響き渡るのだった…。」(恐怖)

カット:王軍をいくつかに分けて、王国周辺の村の訪問や調査を兼ねたパトロールを実行する。

(ここで、アビリアが一時的にパーティイン)


2時間後、ジェシカは供を1人連れて、加那江、シャルルに目的地の村の分かれ道に着いた。 岳斗は? あのバカがどうしたって? 知るか。 それよか、ジェシカの供である1人のおなごはアビリアという名で、10年前、ジェシカとクリスを逃した部下である。

アビリア 「女王様、二つの村の分かれ道に着きましたよ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「よし、じゃあ、私は近くの村に行く。

アビリア、2人を5キロ先の大きめの村に案内してくれ。」

アビリア 「かしこまりました。 お二人様、こちらです。」

シーン:加那江、シャルル、アビリアは1時間くらい後、目的地に着いた。


そこから、お月様コンニチワの深夜まで、時を飛ばそう。

カット:村にはカワウソとラッコの獣人がいた。 どうやら、今日は二つの村がとある用事で顔を合わせたようだ。

長老の家に二つの村の人々が集まっている (村人のセリフは全て違う人が喋る)

ジェシカ・スカイウォーカー 「王軍パトロール隊に何か変わりはありませんでしたか?」

アビリア 「いいえ、異常ありません。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「そうですか よかった。」

村人 「ジェシカ…いや、女王様

あの、本当に今日死者がここに出てくるのですか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「ええ… そうですよ。

なんでも、死者は人が多いところを襲っているということが分かりましたから。

大丈夫ですよ。 私たちが体を張って、あなたたちを守ります。 あっ、それにジェシカでいいですよ。

10年前からの昔馴染みですから。」

村人 「そんな… 今日は王国としてのお仕事で来ていらっしゃるのでしょう?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「そうですが、ただでさえ、死者のことで不安でしょう。 これ以上緊張したら身が持ちませんよ。

私の本質は女王でもなく、薙刀を振り回す戦士でもなく、みんなを我が子のように思っているお節介な母親ですから。 ねっ。」

村人 「わかったど。 ジェシカさん。」

凪空加那江 「ジェシカって素敵な人ね。 王国の娘として生まれながらもその立場に胡座をかくことなく、王国で生きる者一人一人に寄り添う。 こんな王様ばかりだったら、世の中もっと良くなるわね。」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな。 だから、家臣や戦士たちもみんなジェシカを慕うし、村人たちもジェシカと和気藹々だ。 俺の父上もそんな素敵な人だよ。」

アビリア 「幼い頃、女王様はよく城を抜け出しては色々なところに遊びに行くほどのわんぱく者でした。 その時に様々な人たちと触れ合った経験が彼女の今の性格を作ったのでしょう。 (そして、それは10年前の悲劇によって強まった…)」

ジェシカ・スカイウォーカー 「ああ、そうだった。 よく抜け出しては帰ってきた時にマムルさんによく怒られました。

ふふっ。 懐かしいですね。 アビリア まるで昨日のように思い出します。」

アビリア 「私は6歳くらいから歳の近い貴女のお世話係に任命され、それからは貴女のおてんばぶりにはよく振り回されてきました。

貴女とはよくかくれんぼして、私を出し抜いてましたね。 探すのに苦労しましたよ。 あははっ。」

カット:ジェシカとアビリアが立場を超えた幼なじみとしての昔話に華を添えていると、突然外から兵士の緊迫した報告が飛び込んできた。

兵士 「女王様! 周りを覆い尽くすほどの死者が来ました!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「! 分かりました! 私たちも出撃して、死者の対処にあたります。

貴方たちはここに死者が侵入しないように村人たちを防衛してください。」

兵士 「イエッサー! 女王様!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「アビリア、シャルル、加那江 行きますよ!」

凪空加那江 「ええ!」

シャルル •ヴァンタール 「腕がなるぜ!」

アビリア 「はい! ジェシカ様の宝である村人たちを襲う不届きものめ。 私が成敗してやる!」

カット:満月がこれから起こる戦闘劇をスポットライト照らすかのように輝いている深夜の村

確かに死者があちこちから近づいてきている。

アビリア 「皆様 背中を向け合って、カバーしてください。」

凪空加那江 「わかったわ。」

シャルル •ヴァンタール 「さて、第一幕開場だな… ビシッと決めてやるぜ!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「敵は多いです。油断しないでください。 では、(ここで、薙刀を手に取る)行くぞ!」

カット:4人は死者を薙ぎ倒すべく、気合を入れていた。 

早速死者たちの第一波が来る。

死者 「ぐおおおっ! (爪を振り回して、襲いかかる) キイイイイ!」

シャルル •ヴァンタール 「なんでえ! てめえら、目玉ついてんのかよぉ! 

紅蓮の輪廻よ、常世の幻影を天炎塔へ誘え!(高速で回る炎の輪っかが死者どもを縛りつけ、その身を燃やし尽くす。 そして、塔の形をした炎になる。)」

死者 「うがあああ! ボオオオ!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「死者よ、其方を神のもとにおわす天へと送り届けよう…

天音斬銀天っ! (敵どもを乱れ切りした後、空に上げて、そこで、空中追撃を加える)」

アビリア 「この雷刃で貴様らの肉体を焼き尽くさんっ!

迅雷飛刃陣ッ!(敵にクナイを差して、麻痺させて動けなくさせる。 そこから、別のクナイを空中に投げて、円周にクナイが刺さるようにし、クナイの円陣に円柱型の雷を発生させ、その中の敵を感電させて殺す)」

死者 「ギアアアーーッ!(かろうじて避けて、ジャンプでカナエに襲いかかる)」

アビリア 「加那江ッ! 上から来ますよ!」

凪空加那江 「分かってるわ! シャイニングレインボー!」

カット:加那江が放った6発の弾の芸術的な軌跡はレインボーを描き、奴らの体にぶつかった途端、激しい衝突音とともに白い光を放ち、奴らを消滅させた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「ふぅ。 とりあえず、終わったようだな。」

アビリア 「後は、結社の奴らがどう出るかですね。」

シャルル •ヴァンタール 「第二幕はこんなには簡単に行かんだろうな。」

カット:その時、この雰囲気に不釣り合いな拍手が響き渡った。

そして、闇から1人の女性が現れた。

色欲 パイン・ダイバート 「あらあら、予想以上にやるわね。

これは私もすこーし本気出さなくちゃね。」

凪空加那江 「パイン! 貴女が死者に襲いかかるように指示してたの?」

色欲 パイン・ダイバート 「残念。 不正解よ。 あんな奴らに指示を理解する知能があると思って?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「貴様… 襲いかかってきたとはいえ、かつて人として生きていた死者を冒涜する気か!」

シャルル •ヴァンタール 「ジョーとマドレーヌはどうしたんだ?」

色欲 パイン・ダイバート 「…何にも知らないというのは愚かね。 死者の流れの根源はここじゃないわ。

ここから5キロ先にも大きな村があるのはご存知よね? 女王様」

ジェシカ・スカイウォーカー 「…ッ! まさか!」

カット:居ても居られなくなり、ジェシカが5キロ先の村に行こうとする

パインが手のひらの中から出した黒い長さ10センチほどの串をジェシカの前に投げて、ジェシカを牽制した。

色欲 パイン・ダイバート 「行かせないわ。 それに、貴女たちにはここで死んでもらう。」

アビリア 「(クナイを構えて)女王様の敵になるなら、殺される覚悟はあるのだろうな…。」

色欲 パイン・ダイバート 「それはこっちのセリフよ。 可愛い鹿ちゃん。

まっ、愛する女王様とともに死ねるなら、それも幸せでしょう。」

凪空加那江 「人の幸せを勝手に決めつけないで!

とっとと貴女を倒して、ジョーとマドレーヌのところに行かせてもらうわ!」

カット:パインとの戦いが始まった。

パインは両手から溢れんばかりの黒いビー玉らしきものを大量に出して、加那江たちに向かって、投げた。

凪空加那江 「何かはわからないけど、撃ち落とさないと!

ワイドガトリングスコール!(無数の弾を広い範囲に撃つ)」

カット:加那江の弾とパインの球がぶつかり合った瞬間、白い煙幕が現れた。

シャルル •ヴァンタール 「むっ! 未知のものに対する先入観を利用した撹乱とはよく考えたな!

しかし、甘いッ! 全ての宇宙を産み落としマザーよ、我を命の炎となる標へと導け!」

カット:シャルルが魔法で、パインの位置を特定しようとしたが、何故かパインの生命が反応しなかった。

シャルル •ヴァンタール 「なんだと! そんなバカなッ!

これじゃあ、彼女は死んでることになるッ!」

色欲 パイン・ダイバート 「もう見破っちゃったの? 流石ね。 参謀と言われるだけあるわ。」

カット:パインが煙幕に隠れながら、シャルルの背後からパチンコで狙い撃ちしようとした。

シャルル •ヴァンタール 「うおっ あぶねえ(かろうじて、サイドステップでかわした。球はコーンと高い音を立てて地面にぶつかった)」

色欲 パイン・ダイバート 「なかなか素早いわね。 じゃあ、これはどうかしら(手から出した球をパチンコで数発空中に射った。 すると、球が爆発して、花火になり、そのかけらが加那江たちに速い勢いで落ちてくるではないか! パインはもう一方の手で細い傘を出して、開いた。)」

凪空加那江 「こんなにいっぱい… 避けるのと撃つので精一杯よ! (花火を避けながら、撃ち落としてる)」

シャルル •ヴァンタール 「幻像の軌跡を漂う水の妖精よ、いま一度我らを防護する空の網となれ!(要は雲を作る魔法。雲って言っても物を通さないようにガードするのだ。)」

色欲 パイン・ダイバート 「ふん、ここまでやってくれないと楽しくないわ。 さて、ここらへんで終わらせましょう。」

そう言って、手から銃を出したパインにジェシカが突撃する

ジェシカ・スカイウォーカー 「パイン! こんなので満足しているのか!? 

天地七堕星ッ!(薙刀を回転させて、回転エネルギーで北斗七星を貫くかのように敵をブッ刺し、とどめにさらに回転数を上げてから敵の死兆星ごと地面に突き回しする。)」

色欲 パイン・ダイバート 「っぐあ! 」

アビリア 「ジェシカ様 追撃します!

葬疾過雷!(敵の中に残ってる傷や回転エネルギーを利用して、逆回転のクナイを突き刺して、追い討ちする。 ジェシカの天地七堕星との合体技としてよく使われる)」

カット:パインがジェシカにより、地面に突き刺され、よろよろながらも立ちあがろうとしたところをアビリアによりとどめを刺されて、しばらく動けない。

色欲 パイン・ダイバート 「ククク…

ほーんとよくやるわね。 これでもなめてたっぽい。」

凪空加那江 「観念なさい。 あたしたちは2人のところに行かせてもらうわ!」

色欲 パイン・ダイバート 「本気で助けられると思ってるの?

貴方たちが私と戦った数分、マドレーヌたちは何をしてたと思う? ついさっき、テレパシーで裏の世界のゲートを通過したという連絡があったわ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「なんだと! 村人たちはどうしたのだ!」

色欲 パイン・ダイバート 「あら、質問しなくても少し考えれば、分かることじゃなくて?

でも、せっかくだから、答えてあげるわね。 兵士たちも含め、皆殺し…というところね。」

アビリア 「なんと外道な…! 」

色欲 パイン・ダイバート 「恨むなら、貴方たちの無力さを恨みなさい。

じゃあ、私は行くわ。」

カット:パインはそういうと、右手から黒いスライム状のものを出して、傷口に貼り付けた。

なんと、傷が塞いでしまったではないか。 驚く一行のなかのシャルルにパインはウインクした。

色欲 パイン・ダイバート 「後はお願いね? シャルル」

凪空加那江 「えっ? どういうこと」

カット:パインの謎の一言に驚いているとシャルルが突然呪文を唱えて、地面からいくつものの太い土棘を出して、加那江たちを貫かんとする

シャルル •ヴァンタール 「情熱的なビートを刻む壁よ、奴らを森羅万象の輪廻へと堕とせ」

凪空加那江 「シャルル! いきなりどういうつもりなの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「そうか、奴はシャルルを催眠術にかけたようだ。 現に瞳にうずまき状の模様が見える。」

色欲 パイン・ダイバート 「色欲という名をもらったのよ? 心を持つものを操るのは私の十八番よ 特に男は効きやすいわ。」

カット:パインはそう言い残すと森の中に走り去っていった。

加那江たちはしばらくシャルルの魔法を回避することしか出来なかった。

凪空加那江 「くっ 迂闊に攻撃できないわ。」

アビリア 「私に任せてください。 不届きものを殺傷せずに正気に戻したり捕まえるために使う技があります。

清踊心乱!(二本のクナイを素早く擦らして、軽く感電させるほどの静電気を発生させるとともに分身を生むほどの素早い動きで相手を混乱させる。 そして、クナイの先端で傷をあたえないように体の急所の表面にそっと、かつ、間隙を置かずに素早く触れ、相手を感電で行動不能にさせる。)」

カット:走り出して、バババババッとアビリアのクナイがシャルルの体のツボを刺して、悲鳴とともにシャルルを正気に戻した。

シャルル •ヴァンタール 「はっ! 俺は何をしてたんだ? うおっ、痺れる」

ジェシカ・スカイウォーカー 「おお! 気が付いたか? パインに催眠術をかけられていたようだ。」

カット:その瞬間、加那江のポケットに衝撃が走った

取り出してみると何も変哲のない手紙が真っ二つに破れていた。

凪空加那江 「! 手紙が破れているわ」

シャルル •ヴァンタール 「岳斗、獣を見つけたのか! やったぜ。(ニヤッ)」

アビリア 「結社の奴らをうまく欺くことに成功してよかった。

それにしても、シャルル、貴方は素晴らしい策士ですね。 まさか、村ごとダミーの囮にしてしまうなんて」

ジェシカ・スカイウォーカー 「同感だ。 さあ、早く行こうぞ。 本物のゲートにな。」

カット:パインは事がうまく運んだことへの微笑みを隠しきれなかった。 目的地まで急いで走る。

色欲 パイン・ダイバート 「ふふふ、ちょろいわね。 加那江ちゃんたちには悪いけど、ボスの野望のための邪魔は排除しなければならないからね。」

カット:パインが目的地まで近くまで来ると向こうから二つの人影が現れた。

果たして、それはマドレーヌとジョーだった。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「やあ、パインじゃないか。 うまくやったな。

君ならできると信じていたさ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ふーん、あいつらも大したことなかったね。

さっ、とっとと獣を回収回収っと。」

カット:2人が軽口を叩きながら、行こうとしたところをパインに引き止められた。

パインの顔が青ざめている。

色欲 パイン・ダイバート 「えっ、待って。 あたしは裏の世界にまだ入ってないのよ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「は? どういうことよ。 今こうして会ってるじゃないの?

裏の世界と表の世界にいる人が同じところで出会うことは絶対にないんじゃなかった?」

色欲 パイン・ダイバート 「…まさか

マドレーヌ! ジョー! 貴方たちが今来た村に戻るわ。 急いで! わたしの予想が正しかったなら…(そう言って、走り出す)」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「どうしたんだね。 パイン。 何かまずい事が起きたのか?(2人も続けて走り出す。)」

カット:3人が村に戻るとそこには殺したはずの村人や死者、そして、白いゲートが跡形もなく消え去っていた。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「そんなバカな 村人たちはあたしたちが皆殺しにしたし、白いゲートも間違いなく通った!」

色欲 パイン・ダイバート 「ああ… 策士

なるほどね。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「どういう意味なんだい?」

色欲 パイン・ダイバート 「認めたくないけど、どうやら、あたしたちは嵌められた…。 全て奴が仕組んだようね。

シャルル・ヴァンタール 策士と言われるわけね。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「おい、嘘だろ! じゃあ、村人も死者も白いゲートも全て、シャルルが作り上げた幻だって言うのかよ!?」

色欲 パイン・ダイバート 「おそらく、いいえ、確実にそうよ。 」

暴食 アニー・ゴーウィン 「! ほう…

なんと、あのケットシーはここまでほどの腕だったのか。

深淵の魔界に住みし妖精の魔王と言われる訳がわかったよ。 興味深いねえ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「チクショーーッ! そんなこと言ってる場合じゃねーだろおおっ! バカにしやがって…。 今に見てろ!!(地団駄踏みまくる)」

色欲 パイン・ダイバート 「落ち着いて…と言いたいところだけど、今回ばかりは私も同感よ。

これまでにない煉獄を味わせてやりましょう。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「さて、ゲートの探し直しだな。 諸君、ここから反撃しようじゃあないか。 いやあ、楽しくなってきた。」

シーン:時は遡って、当日の朝

結社の一味による企みを防止するために4人は死者が現れるポイントを探して、先回りしようとしていた。

ついでに獣の居場所を突き止めるつもりでもある。

カット:王国の城内にある築300年の図書館に案内された一行。 ルネサンス建築と似たような構造をしている木造の建物である。 中でも五ミリほどに伸ばした様々な色の宝石を表面に貼ったグランドガラスが外からの太陽光を取り入れており、幻想的な景色を見せた。 本に関しては王国の歴史書や政治に関する資料など、500万冊にも渡るスケールである。


4人は手分けして、王国周辺の地図や街や村などの面積、収穫量、死者の襲来事件に関する過去の資料などを探し出して、その情報から次に事件が起こる地点を割り出そうとした。

澤宮岳斗 「こんな膨大な数の本から事件が今夜どこで起こるのかを突き止めるのか?

嘘だろ、ええ…。 ジェシカ、なんか、大まかでもいいから、どこに何があるのか教えてくれないか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「もちろんです。 あそこの376番に王国内の街や村のあらゆるデータ、そして、向こうの793番に300年分の事件や事故がまとめられています。」

シャルル •ヴァンタール 「よし、早速持ってくるか。」

カット:机に原本から書き写した地図を広げ、死者目撃場所に赤印を付け、村の情報の複数のデータと照らし合わせた。 その結果、いずれも村の人口が多いところが襲われているという共通点が見つかった。

シャルル •ヴァンタール 「思った通りだな。襲われているところは収穫量や他の村への輸出量などから見て、いずれも人口が50人くらいを超えてる。 そして、死者が現れたのはいずれも深夜か。」

澤宮岳斗 「その中で、まだ襲われてないのはここも含めて、二つか。

もしかしたら片方とは限らないかもな。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「二手に分かれて、待機するのは流石に危険でしょうね。 二つの村は5キロ離れていますから。」

凪空加那江 「二つまで絞れてるなら、王軍の中の戦士を数十人くらい片方の村、もしくは両方に配置するのはどうかしら?」

シャルル •ヴァンタール 「うーむ、結社も絡んでる以上、そこまでは単純にいかないとはおもう。 勘づかれて、別の村に切り替えてしまう危険性もある。

代わりと言ってはなんだが、俺と加那江は片方の村で、岳斗とジェシカはもう片方の村により近めの地点で待機するのはどうだろうか? 地理のデータからすると、岳斗が待機するとこには周りと比べて高い木があり、遠くまで見渡せるからな。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「確かに。 結社は岳斗が今も火傷してると思ってるかもしれないので、予想外の奇襲は簡単ですね。

しかし、問題は私たち2人が駆けつけるまで村もしくはあなたたちが持ち堪えられるかどうかです。」

凪空加那江 「もちろん、こっちにきた場合、無理には倒さないで、回避しつつ、遠くから攻めて、時間稼ぎするわ。」

シャルル •ヴァンタール 「問題はパインの戦闘能力だな。 一瞬で村を滅ぼせるほどの能力ならどうしようもない。」

カット:3人が今後の戦闘配置の話してるとき、岳斗は地図と事件簿を見比べて考え込んでいた。

凪空加那江 「どうしたの 岳斗。 何か気になることでもあるの?」

澤宮岳斗 「あのさ、ここら辺で起きた出来事だが、死者が襲ってきたとかそんなばっかりだよな。

「薔薇を持った男とか魔法使いなどがどこかしらを襲った」っていうのがないんだよな。 あいつらすごい目立つのに。 それに事件で犠牲になった者の死因となる傷がいずれも噛み傷、鋭い爪による引っ掻き傷などで、毒殺や焼死などが全く書かれていない。 どうして、結社は自ら手を下さないんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「普通に考えれば、自ら手を下すよりも死者に手を下させた方がメリットが大きいと考えているのだろう。」

凪空加那江 「どんなメリットかしら?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「シャルルから聞いた話だと、奴らは獣を回収して、ボスの復讐に使うのだとか…

もしかすると、奴らも私たちと同じように獣の場所を知らなくて、探しているのでしょうか? そうと仮定すれば、奴らと死者は直接関係はしていないということになるが。」

凪空加那江 「そうよね。 死者をわざわざ使うくらいなら、奴ら自身が強いのだから、自分たちで手を下せばいいはずだわ。

待って、裏の世界では命を憎むモンスターがいるって言ってたわね。 死者も人々を襲ってるんだから、命を憎んでる可能性はあるかも。 まさか…」

シャルル •ヴァンタール 「そうだ。 つまり、奴らも死者を使って、裏の世界にいる獣の場所の手がかりにしようとしているのだろう。

集めたデータの傾向から死者は人が多いところに集まる傾向があるようだ。

…なら、あつめてしまえばいい。 一か所にね。」

澤宮岳斗 「ワープを使って、結社と死者をおびき寄せるのか。 しかし、50人以上も同時にできるのか?」

シャルル •ヴァンタール 「俺を誰だと思ってるんだ? こんなの、朝すぐにナクルト飲む前だぜ。

ちょいちょいのチョーんよ。 魔導士シャルル様に任せておけ!


よし、じゃあこんな作戦にしよう。

まず、俺と加那江がワープ終着点側の村に、ジェシカがワープ開始点の村に行く。

ジェシカは王国の仕事である調査のために、王軍の者たちといくつかの村を訪れてくれ。

その中で、ジェシカは目的地である二つの村の片方に行って、村人たちへの質疑応答などで、村人たちを一か所に集めるんだ。

それを俺がワープする。 もちろん、ワープした後に二つの村の人たちに事情は説明する。 ワープした瞬間に、影の魔法で村人たちがいかにも普通にいるように見せかけたり、深夜にダミーの死者や白いゲートを魔法で出そう。 結社にギリギリまで勘づかれないようにするためだ。」

澤宮岳斗 「俺はどうするんだ?」

シャルル •ヴァンタール 「結社はお前が今も火傷をしてると思っている。 そこが狙い目だ。

俺らが死者もしくは結社と戦っている隙に死者がどこから出ているかをこっそり突き止めるんだ。

そこが裏のゲートならビンゴだ。 1人で先に入って、獣の居場所を探せ。 多分、死者が多いところに獣もいると考えられる。 もし、獣の居場所を突き止めたら、合図をしろ。 そうだな… 時空の神クロノスよ、虚空の激流に流されし遺物を彷徨う我の元に授けよ」

カット:シャルルはそう言うと、床に紫色の魔術紋が現れ、二通の手紙が浮かんできた。

シャルル •ヴァンタール 「岳斗、白いゲートを見つけたら手紙からシールを剥がして、そこに貼れ シールは発信源にもなっている。


そして、獣を見つけたら、手紙を破け。 そうするともう一通も破れ、それが合図になる。

そうしたら、俺らは岳斗の過去の時を見て、ルート通りに行く。 俺らが着くまで、待機だ。」

澤宮岳斗 「りょーかい。 」

シャルル •ヴァンタール 「しかし、白いゲートを通れる事が確信しているのは今のところ、俺と加那江、岳斗だけだ。

もしかしたら、ジェシカは通れないかもしれない。 そうなったらそうなったで、なんとかやってみるよ」

ジェシカ・スカイウォーカー 「分かりました。 もし、通れなかったら、表の世界で村人たちを守りながら、待機します。」

シーン:それから、シャルルたちが死者の襲撃を受けたその時、鎧や兜を被った2人の兵士が森の中を歩き回っていた。

カット:白いゲートを探している。 1人はカピバラの中年獣人で、もう1人は兜で顔の上半分が隠れ、毛がないヒトということくらいしかわからない。 彼は布で覆われた細長い板状の品物を背負っていた。

兵士 「右斜方向から死者がわんさか出てきたぞ。

左斜が女王様がいる村だな。 むっ。 戦いの音が聞こえ始めた。 急げ。」

「ああ、奴らに見つからないルートを案内してくれ。」

兵士 「お安い御用だ。 さっ、こっちだ。」

カット:しばらく歩くと現在地の2メートル下の谷に白いゲートを見つけたが、そこには村近くで見たよりもはるかに多い数の死者が白いゲートから出ていた

兵士 「まじかよ。 俺にはなんもねえとこから死者が現れるようにみえるぜ。。 

って、おいっ。 いくらなんでも無茶だぜ。 多すぎる! 」

「それでも行かなくちゃ。 あいつらが耐えているんだ。

ここまで案内ありがとさん」

カット:兵士はそういうと手紙をとりだして、近くの木に手紙のシールを貼り、兜を脱ぎ、中年兵士にあげた。 何と、兵士は岳斗だった!

そして、崖から飛び降りて、死者が集まってるところに、布が剥がれて顕になった剣を刺して、死者を一挙斬滅した。

澤宮岳斗 「デヤァーーっ! 

堕鷲星震陣ッ! (ジャンプする、高いところから飛び降りるなどしてから、落ちるエネルギーを地面に伝えて、円状周辺に起こした衝撃波で、敵を吹き飛ばす)」

カット:大量の死者たちは岳斗の突然の奇襲になす術もなく吹き飛ばされ、壁に強く衝突したので、起き上がることはないだろう

そして、岳斗は白いゲートに向かって、勢いよく駆け出し、吸い込まれていった。

シーン:第二章 クライマックスへと近づく 


あらすじ:岳斗 白いゲートに入って、獣見つける 加那江たち(アビリアは入れなかった)と合流

獣と戦い、岳斗たちは勝った。 しかし、運命変転の力で、ジェシカが獣に触手に吸い込まれる風景が見えた

岳斗はジェシカを突き飛ばして、代わりに自分が吸い込まれた ジェシカ泣き、怒り狂う

吸い込まれた岳斗は獣の中で赤い朱雀の獣人が真ん中に立ってるのを発見 一騎打ちして、勝った。 獣が消滅して、岳斗とその獣人が加那江たちの前に現れた。

結社の3人が追いついて、レオナルドを加えた5人で決戦

合計:20468文字, シーン:437文字, カット:5762文字, セリフ:14269文字

シーン:場面は変わって、(見た目は表の世界と変わらない)裏の世界で、加那江たち3人はどこからともなく溢れ出でくる大量の死者を倒しながら、岳斗のところに向かっていった。 満月が加那江たちを幻想的に照らしている。

カット:林があちこち茂っている獣道の端には岳斗が倒したらしい死者が大量に倒れていた

凪空加那江 「嘘? 岳斗は1人でこんな数の死者を相手したの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「私も驚いたが、今は死者を倒すことに集中だ。」

シャルル •ヴァンタール 「しかし、アビリアが白いゲートを見れないし、通れないのにジェシカは通れるとはな。

一体、どんな法則があるんだ?」

凪空加那江 「わからないわ。 でも、表の世界はアビリアに任せて、私たちは岳斗のところに行きましょう。」

シャルル •ヴァンタール 「そうだな。 冥府の天秤よ、奴らを死後の審判にかけたまえ!(死者を審判で成仏させる 死者たちの悲鳴が響き渡った)」

カット:10数分後、王国の鎧を着たままの岳斗のとこに着いた

そこはちょうど木が途切れ、開けた平原で、戦うには十分な広さだ。

澤宮岳斗 「やっと来たか これを見ろよ」

みんな 「なっ!」

カット:岳斗が指を指すと朱雀が満月の光を受けながら、優雅に飛び回っていた しかも、10メートルを下らない大きさだ

ジェシカ・スカイウォーカー 「こいつがレオナルドを殺したのか…!

うぬぬ、飛び回っていては手を出しようがないではないか」

澤宮岳斗 「なあ、シャルル。 鳥を飛べなくさせる魔法ってないか?」

シャルル •ヴァンタール 「あるにはあるがな、魔法つっても、鳥との力比べになるんだよな。 しかし、力比べは俺の苦手分野だ。

今、加那江が翼を撃ち落として、体力を削ぐ作戦が頭に浮かんでいる。」

凪空加那江 「とりあえず、それでやってみましょうか」

カット:加那江が弾を翼に向けて数発撃ち、貫通させたが、傷はすぐに塞がってしまった。 奴は痛がる気配すら見せなかった。

しかも、反撃の炎を吐き出したから、岳斗たちは慌てて回避した。

澤宮岳斗 「対策済みってか? しかも、遠くから攻撃されたんじゃあ、こっちがジリ貧になる。」

シャルル •ヴァンタール 「それにちょっとの攻撃じゃ、意味ないみたいだ。 再生力を上回るダメージを与え続ける必要があるな。

よし、命の輪廻を廻る哀れな囚人よ、今一度、星の鎖を解き放て!」

カット:シャルルがそう言うと、地面から数多の数の岩が地面を突き抜けて、空中に浮かんだ。

シャルル •ヴァンタール 「岳斗とジェシカは岩を足場に獣に近寄って、休む間を与えずに攻撃するんだ。

俺と加那江は遠くから援護する。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「了解した。 行くぞ! 岳斗」

澤宮岳斗 「おう! 落ちるなよ!」

シャルル •ヴァンタール 「加那江、銃を改造してやるか。

飛び立つ鉄の雛鳥よ、其方に碧なる舞を授けよう(加那江の銃を水鉄砲にする。 貫通力が強いビームから、範囲が広い滝まで、広く使い分けられる)」

凪空加那江 「オッケー! さあ、攻撃するわよ!」

カット:岳斗とジェシカは獣の近くに来た。

ジェシカ・スカイウォーカー 「よし、獣の背中に飛び移って、翼を刺す。」

澤宮岳斗 「あいよ。」

カット:岳斗とジェシカが飛び移ると着地したところから炎が燃え始めたので、2人は追ってくる炎から走り逃げ回った。

澤宮岳斗 「なっ! 走れぇ!

炎が来るっ!」

シャルル •ヴァンタール 「むむっ。 そんな仕掛けがあったとは。

加那江! その水鉄砲、試してみろ」

凪空加那江 「もちろんよ レインブーストアロー! (水鉄砲を空に向かって発射する。 上から雨粒が矢のように襲いかかる。)」

シャルル •ヴァンタール 「おっと、忘れるところだった。 あいつらに当たるといかんからな。

吹き狂う大鷲よ、岳斗とジェシカにひとつまみの安息を与えよ(対象者の周りに回る渦の圧力で物が周りに外れる)」

澤宮岳斗 「おっ、助かったぜ。 翼んとこに行くか」

カット:岳斗とジェシカはなんとか翼のとこまで来た。

澤宮岳斗 「よし、行くぜ! うおりゃーっ!(2人は思い切り翼をぶっ刺した。)」

獣 「ガアアアア! 」

カット:獣は甲高く鳴くと、突然左右に何周も回転したり、アクロバットをした。 岳斗たちは振り落とされまいと掴むのが必死だが、人の手で抗うにはあまりにも巨大すぎた。 獣のアクロバット飛行の遠心力に2人は勢いよく飛ばされ、地面に叩きつけられそうになる。

ジェシカ・スカイウォーカー 「うおおおお! くそっ… 飛ばされた! 地面にぶつかるっ!」

澤宮岳斗 「やばいっ! このままじゃあペシャンコになるぜ。

シャルルーーッ!」

シャルル •ヴァンタール 「おうよ。 暴れ狂う星の子よ、慈悲深い母の地と成れ!!(重力を獣中心にする これを岳斗とジェシカだけ有効にした)」

澤宮岳斗 「なんだ! まるで獣に吸い寄せられるようだ。 よし、反撃するぜ」

カット:2人は岩から岩へジャンプしながら、獣に近づいて、重力を利用して、切り刻む。

しかし、獣は攻撃を素早く避けてしまい、なかなか当たらない。

凪空加那江 「素早いわね。 なら、奴の息をとめてやる。

サークルオーシャン!(水の玉を発射する 使い道は色々)」

カット:加那江の銃から獣の頭ほどの大きさがある水を発射させた。 獣の顔に

くっつき、獣の呼吸を封じたが、もがいたのも束の間、頭にくっついてる水を自分の体温をあげて、蒸発させてしまった。

凪空加那江 「くっ。 蒸発してしまったわ。」

シャルル •ヴァンタール 「だが、窒息ダメージは与えられた。 動きが鈍ったぞ!」

澤宮岳斗 「よしっ! チャンスだ。(浮遊岩を蹴って、獣に空中追撃を与える)

うおおおお! 翔宙流星斬!(あちこちの浮遊岩から浮遊岩まで蹴り、獣の重力エネルギーで加速し、いろんな方向から獣を切り刻む。 とどめに獣に着陸した勢いを剣に伝え、思い切り刺す。 飛天流星斬と堕鷲星震陣を合体させた)」

ジェシカ・スカイウォーカー 「参る! 赦天十字星!(みなみじゅうじ座の星にあたる6点を刺し、十字に切り裂く)」

獣 「グアっ! ぎゃおおおおーーーッ!(2人は周りの岩に着陸した)」

カット:かまいたちのような2人に斬られ、血を激しく撒き散らした獣が怒りの炎を吐き出そうとした時、シャルルが獣を地に堕とす一撃を繰り出した

シャルル •ヴァンタール 「鳥獣よ、その傲慢なる翼を神なる光に焼き尽くされてしまえ!(天からいくつものの光のビームが出て、獣の体を容赦無く射る)」

獣 「きゃおおお! ギュ…ウウウウ!!(完全に空に羽ばたける翼をもぎ取られ、傷だらけで地面に叩きつけられた。 重力と加那江の水属性を解除した。)」

カット:ダメージの蓄積で弱りかけてる獣はなんとか立ち上がり、岳斗たち4人に全てを焼き尽くす焔を吐いた!

凪空加那江 「来る! クリティカルハーツ!(超高速回転の弾を1発撃ち、弾が巻き起こす旋風で相手の攻撃をそらし、かつ、急所に撃つ急所の一撃)」

カット:加那江の急所の一撃は超高速回転による旋風の圧力で獣の焔を岳斗たちの周りに逸らしながら、獣の眼にめり込んだ。

獣は目から血をあまたに噴き出しながら、地面を揺るがすほどの甲高い叫び声をあげた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「レオナルドの仇だ! ウオオーッ!」(攻撃)

カット:ジェシカが弦から放たれた矢のように勢いよく走り出し、最後の一撃を獣の頭に突き刺した。 獣は突然、叫び声を止めて、天に目を向けたまま生き絶えた。

シャルル •ヴァンタール 「やったのか…! まさか倒せるとはな!」

澤宮岳斗 「ああ、これで一件落着だ… む?(突然目を見開く)」

カット:岳斗の脳内に突然とある風景が流れ込んだ。

獣の嘴が上下に裂けて、中から紫色の触手がたくさん現れて、ジェシカの体を巻き取る。 ジェシカは必死に抵抗するもそのまま、獣の体の中に吸い込まれる。

澤宮岳斗 「あ… ジェシカっ! 今すぐそこから離れろぉぉーーっ!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「えっ 岳斗。 どうした?」

カット:岳斗は冷汗を一筋額から流して、ジェシカに向かって、全力疾走した。 そして、ジェシカに体当たりして、突き飛ばした。

同時に獣の嘴が割れて、溢れんばかりの数多の触手が勢いよく飛び出て、岳斗の全身にきつく巻きついた

ジェシカ・スカイウォーカー 「何するんだ!? がく…

あっ! 触手が!」

シャルル •ヴァンタール 「どういうことだ? とにかく、岳斗を助けるのが一番だ。

緑の世界に住まし踊り子よ、未練斬りのロンドを奏でよ!」

凪空加那江 「あたしも協力するわ! ガトリングスコール!」

カット:加那江の弾やシャルルの刃付きの風の円が獣や触手に向かって、攻撃した。 しかし、獣や触手に触れた途端、なぜか消滅してしまった。 そうこうしている間に岳斗は胸から下の部分を獣に吸い込まれている。

澤宮岳斗 「うぐっ… クソッタレ。」

凪空加那江 「そんな… 何か方法はないの?」

シャルル •ヴァンタール 「くそっ。 攻撃が効かないなら、精神攻撃だ。

生あるものを死の輪廻に引き摺り込む魔物よ、祝福された世界より滅せよ!」

カット:シャルルが精神魔法を獣にかけたが、効き目はない。

シャルル •ヴァンタール 「バカな… もはや打つ手がない。 祈るしかないのか…?

岳斗っ! 死ぬんじゃねー!」(不安)

澤宮岳斗 「もち…ろんだ… 」

カット:そう言い残して、手を引き摺り込まれ、完全に吸い込まれた岳斗

ジェシカ・スカイウォーカー 「あ…ああ…

そんな… レオナルドに続いて、岳斗も… 貴様、よくも、よくも、許さんぞっーーーーーっ!」(激怒)

カット:憎き獣を滅多刺しにしようと駆けつけたジェシカだったが、突然獣が黒い粒子を体から発しながら、消えた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「なっ! …くそ!

おのれ…、いつか仇取ってやるッ!」

シーン:獣の体の中 死者の恨み言があちこちから聞こえてくる

カット:全身を巻き取られ、触手の河に流されるままの岳斗 

澤宮岳斗 「なんだ… ここはどこだ?

それに禍々しい声が聞こえる。 一体どういうことだ? とにかく脱出しなければ。

くそ、触手をなんとかどけなきゃ。」

カット:全身を動かして、触手をどかしたが、新しい触手が次々と巻き付いて、どうしようもない

澤宮岳斗 「ここでおしめえかよ…!? クソッタレ。 こんなとこで死ねるかよ!

待てよ?なんか恨み言とは違うのが聞こえる。 なんの音だ?」

カット:岳斗の耳に炎が燃える音や火山が噴火しているような音が上から聞こえる

同時に一筋の光も見える

澤宮岳斗 「…ええい、ダメで元々だ。 行ってやるぜ。」

カット:岳斗は触手を掴みながら、がむしゃらに上に登る。

光に手が届きそうになったところで、突然手の感触が空振った。 そこから顔を出すとなんと、奇妙なことに獣の体よりも遥かに広い灼熱の世界が現れた。 マグマや煙を吹き散らしている火山、マグマの湖、熱気でゆらめく空間。

澤宮岳斗 「? なんだ… 一体どういうことだ?

獣よりでかい! しかも、暑いな。」

カット:触手から脱出して、大地を踏み締めた岳斗は周りを見渡した。

すると、この世界の中央に目立っている高台に赤長い髪を揺らして、仁王立ちしている鳥獣人がいた。 左手には弓を持っている。 そいつは岳斗に気づいて、言葉を発した。

レオナルド・グランターン 「世界の真理に導かれし者よ、まずは其方の幸運を祝福しよう。 真理の奥を知りたければ、我のとこにくるが良い。 しかし、其方には乗り越えなければいけない試練がある。 運命を歩む者よ、この世界の終わりに抗え。」

澤宮岳斗 「??? 一体どーゆーことよ? 来ればいいんだよな?」

カット:岳斗が高台まで着いた。

澤宮岳斗 「試練ってあんたと戦うってことだよな?」

レオナルド・グランターン 「そうだ。 一騎打ちで我に勝ってもらうぞ。 さすれば、其方はこの世界の呪いを打ち破ることができよう。

準備できたらかかってこい。」

澤宮岳斗 「ちょっと、質問いいか?

あんたは誰なんだ?」

レオナルド・グランターン 「…我は四神の一つ、朱雀なり。 そして、この姿はレオナルド・グランターンの魂を具体化したものだ。

今言うことはそれだけだ。 あとは其方が勝った後に言おう。」

澤宮岳斗 「わかった。 全部聞き出してやるからな。

行くぜ!」

カット:岳斗とレオナルドが正面に向かい合ったまま一寸も動かない。 マグマが沸騰する音が静寂のフーガに伴奏している。 と、どこかの山が噴火し、地面が揺れた。 その瞬間、両者動く。

岳斗、レオナルドに向かって、まっすぐ駆ける。 レオナルドは腰に掛けているベルト付きの筒から矢を取り出し、素早く射った 岳斗、体を前に傾けて走ったまま、首だけを動かして、矢をスレスレかわした。

澤宮岳斗 「遅え! 遅すぎてあくびが10発くらい出るぜ!

これでもくらいやがれぇ! 疾双狼牙剣っ!(疾葬昇虎剣と疾潜土竜剣の合体技 竜と虎を上下の牙にした狼をイメージ 上から岳斗が、下から土の牙が噛み砕く)」

レオナルド・グランターン 「これは! 我が飛べるのを見越して、逃げ場を絶たせたか!

全くもって、見事なり。 しかし!」

カット:そう言うとレオナルドは矢を真下に射って、その反動で真上に神速離陸した。 そして、翼でホバリングしている。

岳斗は攻撃が空打ったので、体を反転させて、着陸した。

レオナルド・グランターン 「そう簡単に倒される我ではないぞ。」

澤宮岳斗 「なあ、飛んでばかりじゃ、試練にならないんじゃないのか? それともそこまで来いと?」

レオナルド・グランターン 「それもそうだな。 だが、心配せずとも良い。 攻撃する時は降りてくるさ。 しかし、避けるときに少し飛ぶことはあるぞ。」

澤宮岳斗 「だよな。 やはりそうか。 (この機動性を攻略しなければならないっ!)」

カット:地上に降りたレオナルドは指と指の間にはめた矢を3本取り出し、神通力で矢の先に火が燃え上がった。 

矢を同時に射る。 岳斗、1本切り落とし、あとはスライディングして、避けた 2本が高台から落ちて、マグマに着水したとき、矢の向きと同じ方向にマグマの柱が湖から噴き出して、岳斗を焼き尽くさんと向かってくる

澤宮岳斗 「ふっ!(回避) マグマの竜が地面を抉りながら、追ってくるっ!」

レオナルド・グランターン 「まだまだこんなものではないぞ。(そう言って、はるか向こうの火山に一本の矢を射った。 矢は超スピードによる空気との摩擦で激しく燃えながら火山に向かう。)」

カット:矢が当たった火山が共鳴して、噴火する。 打ち上げられた岩の流星群が岳斗に降りかかる。

澤宮岳斗 「くそっ! こんな攻撃を躱わしながら、レオナルドに一撃を入れるだと!? 並大抵な方法じゃあ、無理だ!

考えろ考えろ岳斗考えろっ!」

カット:岳斗は猛撃を潜り抜けながら、それとなく周りを見渡した。 その瞬間、頭に一閃が轟いた。

澤宮岳斗 「…! この状況を打開する策を思いついたぜ。 コイツァ澤宮家に代々伝わる秘伝だ。」

レオナルド・グランターン 「ほう、是非聞きたいものだ。 言ってみろ。」

澤宮岳斗 「それはな、(そう言って、高台を駆け下る)逃げるんだよオオオーーーーーッ!」

レオナルド・グランターン 「なっ、何ーーーッ!! 怖気ついたのか!?(羽ばたいて、追いかけてくる)」(驚嘆)

カット:いくつかの岩にけんけんばして、マグマの湖にポツンと浮島に着いた岳斗が突然急停止した。正反対方向にジャンプし、追ってくるレオナルドに剣を振り下ろした。

澤宮岳斗 「どわーーっ!」

レオナルド・グランターン 「なんと。 それほどの奇襲を我が見破れぬとでも思ったか! みくびられたもんだな(横に飛び躱した)」

澤宮岳斗 「クッソォ〜。」

カット:そこからはまた走って、レオナルドの矢やマグマ竜や噴石を躱す泥試合が続いた。

澤宮岳斗 「ゼーハーゼーハー、あっち〜よ。 暑すぎて、喉も乾いたし走り疲れたぜ。(身体中から汗が滝のように流れている)」

レオナルド・グランターン 「もうおしまいか? ならば、楽にしてやろう!」

カット:レオナルドがとどめの一撃となる矢に激しく燃え盛る焔を宿し、矢を放った。 火の粉が激しく舞い上がるほどの爆発と共に矢が当たる音が聞こえた。

澤宮岳斗 「どわーっ!」

レオナルド・グランターン 「あっけなかったな… ん?」

カット:よくみると炎で溶けた空っぽの鎧だった。 岳斗はどこにもいない。

レオナルド・グランターン 「…? 奴は何処だ?」

カット:その時、突然衝撃音が鳴り響いて、浮島の地面がマグマに勢いよく噴き上げられた。

レオナルド・グランターン 「! まさか、奴は上から…? いや、裏をかいて下からだぁーーっ!」

カット:その通りで、岳斗の疾葬昇虎剣が襲いかかった。 スライディングからのジャンプで、斬りかかる岳斗の攻撃をレオナルドは後ろに飛び逃げた。 直後に岳斗の疾潜土竜剣に脆くなった地盤が反応して、地盤がマグマにいくつか噴き上げられた。

レオナルド・グランターン 「またか。 一体、何処に行った?」

澤宮岳斗 「よそ見すんじゃねーぜ!

散舞乱蝶斬!(疾葬昇虎剣、疾潜土竜剣と飛天流星斬の合体技。 疾葬昇虎剣は囮で、敵の注意を下に向ける効果あり 次に疾潜土竜剣で岩や地面を打ち上げて、そこを飛び移り、飛天流星斬で真横〜上から飛んできて、フィニッシュ斬り。 空を飛ぶ敵に有効)」

レオナルド・グランターン 「なんだとぉーー! ヴッ!(斬られて、胸から血を出しながら断末魔)」

澤宮岳斗 「へへっ。 やったぜ。 俺も策士になれるかもな。 ワハハ…」

カット:しかし、どうやら、岳斗はマグマに落ちそうだ。

澤宮岳斗 「って、着地まで考えてなかったぁーーーーーっ! こんなアホな死に方は嫌だぁーっ!(足をじだばたさせるがどうしようもない)」

カット:溶岩に落ちそうになる岳斗。 しかし、レオナルドが岳斗の足を掴んだ。(ちなみに怪我はもう塞がっている)

澤宮岳斗 「あっ サンキュー。」

カット:岳斗とレオナルドは地面に着地して、先ほどの話の続きをした。

レオナルド・グランターン 「お前の勝ちだ。 好きに聞くがいい。」

澤宮岳斗 「わかった。 じゃあ、この世界に入れたのは俺が運命変転の力を持ってるからか?」

レオナルド・グランターン 「そうだ。 もし、その力を持たざるものがこの体に飲みこまれば、魂を乗っ取られるのがオチだろう。」

澤宮岳斗 「なるほど。次の質問、あんたは四神の一つの朱雀を名乗っていたが、あんたみたいな奴があと3体いるのか?

そいつらって、何処にいるかわかったりはしないのか?」

レオナルド・グランターン 「何処にいるかはわからんが、俺を含めて4体であることは間違いない。 しかし、四神の像を使い、麒麟を召喚する儀式はある。 召喚するためには、我らを像に還す必要がある。 つまり、我らが死者の未練から解放される必要があるのだ。」

澤宮岳斗 「そうか… 確かにそれは俺にしか出来んだろうな。

その麒麟とやらが結社との戦いにどう役立つんだろうか? 」

レオナルド・グランターン 「それは俺も知らん。 なぜなら、麒麟は我らが作り出されてから一度も召喚されていないからだ。」

澤宮岳斗 「んん…。

大体わかった。 元の世界に帰るにはどうすりゃいい?」

レオナルド・グランターン 「俺の胸に手をかざせ。 そうすると像が胸から浮き出てくるので、それを持って、しばらく待て。 さすれば、元の世界に帰れるだろう。」

澤宮岳斗 「了解した。 じゃあ… 」

カット:胸に手をかざそうとした岳斗だったが、突然、あることを思い出す。

澤宮岳斗 「あっ! そういや、結社の奴らが追ってくるんだった。 あいつらめっちゃ強いんだよなぁ。

なあ、あんた自身が外の世界に出ることはできるのか?  力を貸して欲しい。」

レオナルド・グランターン 「それはわからんが、お前の運命変転でもしかしたら…

やってみろ」

澤宮岳斗 「おうよ。 っても、この場合、どーやって使えばいいんだよ…?」

カット:使い方が分からず、戸惑っている岳斗の横に歩いてくる女性1人…

エリス・フィッシャー 「岳斗、また会いましたね。

お困りですか?」

澤宮岳斗 「エリス! 久しぶりだ。 実はかくかくしかじかで…」

エリス・フィッシャー 「事情は分かりました。 その場合はレオナルドと握手して、飲み込まれる前にいた世界を頭に思い浮かべてください。 そうすれば、できるでしょう。」

澤宮岳斗 「わかった。 サンキュー。」

カット:岳斗がレオナルドの手を握って、目を閉じる。 しばらくすると、白い光を発して、2人の体が灼熱世界から消えた。

シーン:岳斗とレオナルドは気がつくと加那江たちの前にいた。

カット:3人は顔を上げて、驚いていた。

頬にまだ乾いてない涙の跡を残しているジェシカがレオナルドに駆け寄り、抱いた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「レオナルド…! 無事だったのか!」

レオナルド・グランターン 「心配かけたな。 ジェシカ。(レオナルドの手でジェシカの涙を拭う)

クリスは元気か?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「ああ、お転婆な娘になっているぞ。」

レオナルド・グランターン 「ははっ。 そうか、よかった。 」

澤宮岳斗 「感動の再会?のところ悪いんだけど、2人はどう言う関係なんだ?」

レオナルド・グランターン 「ジェシカは俺の妻だ。 なかなか美人だろ?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「なんと… そのようなセリフをよくも恥ずかしげもなく吐くとは。

言われたこっちが恥ずかしいぞ。 フフッ。」

凪空加那江 「…えと、ちょっと待って。 どう言うこと? なぜあなたは岳斗と一緒に突然現れたの?」

澤宮岳斗 「そいつあ、レオナルド=獣(朱雀)だからってとこか。」

レオナルド・グランターン 「正確に言うと、獣に吸い込まれた魂の情報が獣の外形に影響を与えているようだ。

岳斗が俺の手を握って、運命変転で脱出した。」

シャルル •ヴァンタール 「そういえば、お前と獣って、瓜二つだよな。 獣がそのまま人型になったような。

それに、魂を吸い込まれたってことは戦って、負けたのか?」

レオナルド・グランターン 「いや、その逆だ。 獣と共鳴して、わかったことだが、獣は自分が倒されるとき、倒した者の魂を体ごと取り込んでいる。」

澤宮岳斗 「あんた、そんなに強かったのか。 こっちは4人かがりでやっと倒したって言うのに。」

レオナルド・グランターン 「いやいや、何人かの側近と共に戦った。 しかし、厳しい戦いだった。 多くの戦士たちを亡くしてしまった。」

シャルル •ヴァンタール 「とにかく、終わったな。 王様に報告するか。」

澤宮岳斗 「いや、レオナルドのような獣はあと3体いるはずだ。 レオナルド自身が四神と名乗っていたからな。 

そして、四神の像を使って、麒麟という神を召喚するらしい。 しかし、何に使うんだろうな?」

色欲 パイン・ダイバート 「ボスが完全体になるためよ。」

カット:突然の横槍に岳斗たちは驚いて、振り返った。 そこにはマドレーヌ、ジョー、そして、パインが立っていた。

彼らの殺気じみたオーラが感じてとれる。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「シャルル、てめえ、よくも罠に嵌めやがったな!

加那江にはそばかすを馬鹿にされるし、それに、岳斗! 鬼か、てめえッ! こんな乙女を思い切りぶん殴りやがって、頬が腫れたじゃねーか!」

カット:マドレーヌはそう言って、冷却絆創膏が大きく貼られた左頬を指差した。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「クソ野郎ども、まじで許さんからな。 細胞の一片まで焼き尽くしてやるっ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「ああ、こちらのマドモワゼルは大変お怒りだ。 これ、マドレーヌ。 そんなに怒ったら、肌の美容によろしくないぞ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ウルセェ! 余計なお世話だ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おお、これはとりつく島もないねえ。 岳斗君、マドレーヌのお肌の健康のためにも赤髪の紳士をそちらに引き渡してくれないかね?」

澤宮岳斗 「悪いな。断る! スーパーにでも行って、保湿バックでも買ってやれよ。」

シャルル •ヴァンタール 「パイン、お前らのボスは麒麟を使って、完全体になることで、誰に復讐しようとしてるんだ?」

色欲 パイン・ダイバート 「ツォン・クリラーディ 貴方が仕えている王様よ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「何? どういうことだ?

ツォンとか言う王様がボスに一体何をした?」

色欲 パイン・ダイバート 「ふっ、冥土の土産に教えてあげるわ。 アイツは昔々、ボスの故郷を焼き払って、村人たちを皆殺しにした。 そして、四神の像を盗んで行った…。」

シャルル •ヴァンタール 「それで、はいそうですかって言うわけねーだろっ!

大体、銀河間の平和条約を締結して、ここ20数年ほどは戦争がないんだぞ。 それに王様は10年前ほどに即位してるから、戦争なんて、一度も起こしてない。 出鱈目言うにも調べてから言いやがれ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「事実は小説よりも奇なりとも言うのだがねぇ。 やはり、諸君には受け入れてもらえないようだね。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「とっととこいつらぶっ殺して、復讐を果たせばいいでしょ?」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「そうだねえ。 惜しいことをするが致し方ない。」

色欲 パイン・ダイバート 「やはり、戦うしかないようね? 岳斗、覚悟は決まった?」

澤宮岳斗 「もうとっくに決まってらあ。 かかってこいよ。」

色欲 パイン・ダイバート 「わかったわ。 じゃあ、この死線を潜り抜けられるかしら?」

シャルル •ヴァンタール 「舐めんじゃねえよ。 俺も魔導士としてのプライドがあるからな。」

カット:パインがそう言うと、彼女はダーツの矢を左手から数本、右手から細い剣を出した。 マドレーヌ、ジョーもそれぞれ杖、薔薇を手に持って、戦闘態勢を整えた。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「せいぜい泥臭く抗えよ?」

カット:ついにバトルスタート! レオナルドがパーティイン。

パインvs岳斗&レオナルド


まず、岳斗がパインに向かって、走りながら、疾潜土竜剣を繰り出す。

色欲 パイン・ダイバート 「甘いわ。 デスフィチリセペ!(空間を切り取るダーツのフランス語  Des fléchettes qui réduisent l'espace)」

カット:幾つもののダーツが土竜を裂いて、岳斗に襲いかかるが、レオナルドの矢の炎がダーツを包み、全て消え失せた。

レオナルド・グランターン 「俺の炎は真空すらも燃やし尽くすぞ。」

色欲 パイン・ダイバート 「へえ、なかなか面白いお兄さんね?」

カット:ジョー vs 加那江、ジェシカ  


マドレーヌvsシャルル

凪空加那江 「ジェシカ、気をつけて。 ジョーの薔薇の中の水分は鉄をも溶かすわ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「相わかった。 触れなければいいと言うわけか。


ならば、これを喰らえ!  輪暴紅風舞!(薙刀を回して、作った猛風のリングをいくつか敵に飛ばす。 敵を傷つけた場合、血を纏うリングになるため、そう言われている。)」

カット:ジェシカが風の刃輪を2人に向かって飛ばした。 ジョーが薔薇の鎖を布のように組んで、自分とマドレーヌの盾にしたが、ジェシカの輪は鎖をものともせずに切り裂いた。 それどころかジョーの薔薇の毒を纏い、襲いかかる。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「ほう! これはなんと面白い技だ。   (マドレーヌと共に避けている)

ならば、お返しに私の華麗なる技を発揮させてもらおうか? 」

カット:そう言うとジョーは片手を地面に置いた。 加那江たちの周りの地面から大量の薔薇の花が芽吹き、一面美しい薔薇の庭園が出来上がった。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「私の芸術をとくとご覧になるが良いぞ!諸君。

ヘブンローズブリザード!(薔薇が紙吹雪のように舞う。 飛んできた薔薇の花弁は毒を塗ったナイフとして襲いかかる。)」

カット:加那江たちに薔薇の花びらがところどころ掠り、毒が体に染み渡り始めている。

凪空加那江 「ぐっ。 毒で目眩がして、狙いが定まらないわ。  まずいっ!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「この薔薇をどうにかしてやる。 輪暴紅風舞!」

カット:ジェシカが風リングで薔薇を刈り取るが、刈り取ってもまた、新たに増えていく。 

シャルル •ヴァンタール 「加那江が毒でやばい!   岳斗、レオナルド!  俺は解毒魔法使うから、マドレーヌも相手してくれ!」

澤宮岳斗 「おうよ。 レオナルド! パインは俺が食い止める。」

レオナルド・グランターン 「うむ! マドレーヌは任された。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「行かせるかよ! セブレイトフィールド!(半球型の魔法の壁を出現させ、対象者を閉じ込める。 一切の攻撃も壁を突き破るのは不可能だ。 唯一の突破法は術者を倒すことだ。)」

カット:パイン、マドレーヌ、岳斗、レオナルド、シャルルの5人が閉じ込められた

シャルル •ヴァンタール 「これで足止めのつもりかよ? 燃えたぎる豪炎よ、この壁を無に返せ!(激しい炎が壁を燃やし尽くした。 しかし、壁はなんともない) 

なっ。 くそ。 邪魔するなよっ!」

レオナルド・グランターン 「シャルル、どけ。 俺が射る。  イジニスヴァクス!(炎のエネルギーを矢の先端一点に集中させ、物に当たった瞬間に一点において、エネルギーが急激に解放され、物を焼き貫く。 『火が突然爆発する ラテン語 ignis subitanea explosio』) 


(こちらも同じく矢が激しい光を発して、衝突しても壁にダメージはない) こっちもダメだ。」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「てめえこそ私を放っとくんじゃねぇよっ! 黙って、私に殺されな!」

色欲 パイン・ダイバート 「加那江とジェシカが毒の泉に溺れる前に、貴方たちはあの2人の命を救えるかしらね?  いいえ、きっと無理。」

澤宮岳斗 「なんだと。 やってみなければわからんだろ!」

レオナルド・グランターン 「岳斗よ、おそらく、マドレーヌを倒せば、結界が解ける仕組みなのだろう。

一気に攻めるぞ!  パメンヴァラ!(煉獄の闘志で命を燃やせ! その名の通りで、戦う者の攻撃力と防御力を上げる祓詞。 ラテン語 Per amentiam purgatorii, vitam exurite!)」

澤宮岳斗 「うおおお! 力が沸いてきたっ!

マドレーヌ! 有利になったのはてめえらだけだと思うなよ! 飛天流星斬!」

カット:岳斗が半球の壁を利用して、あちこちから蹴って、攻め込む 

岳斗の猛撃にパインは剣で躱しながら、いつのまにか出した小型銃で撃ち落とそうとする。

色欲 パイン・ダイバート 「まあ、坊や。 頼もしいこと言ってくれるわね? なら、お姉さんの頼みでとっとと殺されてくれない?」

澤宮岳斗 「んなアホな! そりゃこっちのセリフだっ!

ダァーッ! 堕鷲星震陣! 」

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「生を吐き出し、死を喰う怪物よ。 その牙でやつを刺し潰せっ!(土柱の針を出して、岳斗を突き殺さんとする。)」

レオナルド・グランターン 「させるか! オキョーセ・ベゲス!(矢を中心とした円周回りに蛇の頭をした8つの火玉が燃えたぎる。 放つと大蛇の頭が矢にの後を付きながら、それぞれ広範囲に炎を吹き、矢が壁や地面に刺さった瞬間、炎に燃える八岐大蛇の本体が現れ、世界ごと飲み尽くし、永遠の劫火へと誘う。



「八炎頭大蛇」"Octo Capita Serpentis Ignis")」

カット:火を纏った大蛇が土棘、パインとマドレーヌを飲み込んだ。 土棘は完全に跡形もなく焼け消え、地面も幾つものの凹みができた…。

しかし、マドレーヌが2人を包む絶対鉄壁の半球を出現させて、無傷だ。

シャルル •ヴァンタール 「くっ。 流石にそう甘くな…、む?

(地面をよく見るとレオナルドが攻撃したところの近くで、外側の半球の地面がところどころ微妙に溶けている? まさか? )おい!レオナルド! 矢の先っぽに火の玉をギューっと詰め込んで、半球の周りにいくつか撃ってみてくれ。 ただ、まだ爆発させないでくれ。」

レオナルド・グランターン 「何か思いついたようだな…。 わかった。(矢に火を込めて撃つ)」

シャルル •ヴァンタール 「幻想の中で揺らめく残炎よ、迷闇の使者に叛逆せよ!

岳斗! いけ!」

澤宮岳斗 「おうよ! 堕鷲星震陣ッ!(球の頂点に刺し、シャルルんとこにジャンプした。)」

カット:岳斗の一撃のエネルギーは燃えて脆くなった地面に亀裂を入れて、上空に上がるには十分だった。

地面から離れ、横たわった矢の上に莫大な量の地面が落ちて、其奴らに闇を見せた…。 

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「こんなことやっても無駄なの分からないかなー? 私の魔法は完璧だっつてんだろ!とっとと諦めんかい! 木瓜が! 」

色欲 パイン・ダイバート 「ん? 地面に違和感感じるわ? 」

カット:その瞬間、マドレーヌとパインが立っている地面が外からの熱で急激に膨張して、解放された岩どもが狭い半球内で反響させながら、2人にぶつかりまくった。 そのダメージで内外の壁は消えた。

嫉妬 マドレーヌ・ミラージュ 「ッ…! ばか…な!(そう言って倒れながら、消滅する)」

シャルル •ヴァンタール 「よっしゃ! 加那江! 待ってろ。 今、毒を解いてやる!(走り出す)」

色欲 パイン・ダイバート 「なるほど、マドレーヌの壁は熱は通すことを見破ったみたいね? 私でさえ知らなかったのに。(急所を咄嗟に避けて、血だらけでかろうじてよろよろと立ち上がる)」

澤宮岳斗 「シャルルは俺の自慢の弟だからな。 お前さんらの敵じゃない。」

レオナルド・グランターン 「薔薇を焼き尽くしてくれる! ラージス・フディラ!(火矢を空中に撃って、焔の花を咲かせ、枯れ落ちた火粉が地上の者を煉獄に焼き落とす。 


天咲降炎(てんしょうこうえん) "Ignis Caelorum Cadens Florescens" )」

カット:レオナルドの火花が毒薔薇のラビリンスを幻想に送り届け、シャルルは加那江とジェシカに解毒魔法をかけた。

シャルル •ヴァンタール 「星の欠片に住まし小人よ、穢れし泉に慈悲の雨を降らせよ!(解毒魔法 緑色の蛍光が現れ、毒などの状態異常に侵された者の体を包み込み、治療する。)」

カット:解毒で、加那江とジェシカはなんとか起き上がれるようになった。

凪空加那江 「助かったわ。 ありがとう。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「危なかった。 私も毒で動けなくなった時は流石にまずいと思ったぞ…。」

レオナルド・グランターン 「よかった、無事で。 こっちはマドレーヌ倒したぞ。 よし、ここから反撃だ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「あー…。 私の最高芸術とも言えるこの薔薇庭、結構気に入ってたのにねえ。

芸術を理解する者に出会えなくて、寂しいよ。 マドレーヌも倒れてしまったしねえ?」

色欲 パイン・ダイバート 「そうね。5対2じゃ流石に分が悪いわ。 安心して、数は揃えたから。」

シャルル •ヴァンタール 「…? まさかっ! 岳斗は…?」

カット:シャルルが嫌な予感と共に岳斗の方を振り向くと、そこには加那江たちを見据えて、殺気を隠しきれない仁王立ちをしてる岳斗がいた。 其奴の目には渦巻き模様が描かれていた。

凪空加那江 「!! そんなっ! あの模様はっ!」

シャルル •ヴァンタール 「くそぉ! 俺としたことがしくじった!」

色欲 パイン・ダイバート 「剣の腕がいくら強くても「こういうこと」にはちょろいのね? 男ってのは。さあ、殺っておしまい!」

澤宮岳斗 「おう。 ターゲットは4人か…。(ドドドドド…という雰囲気を出して、ゆっくり歩き寄る)

爆飛風刃散!(地面に剣を勢いよく刺し、浮いた岩を剣の腹で羽つきのように打つ。 そして、剣を振る図太いかまいたちの衝撃で、岩を分裂させ、散弾銃のように攻撃する。)」

凪空加那江 「させないわ! ブラスターグリフォン!(岩弾を爆滅させた)」

カット:岳斗の岩と加那江の弾の衝突で舞い上がった土埃の中から突然ジェシカが岳斗の方に突き破ってきた。

岳斗も咄嗟に反応して、ジェシカの薙刀を剣で受け止めた。

ジェシカ・スカイウォーカー 「岳斗! 私が相手だ!

みんな、パインとジョーは頼む!」

凪空加那江 「わかった。 無理しないで!」

シャルル •ヴァンタール 「さて、早くパイン倒すとしようぜ。 旅人に子守唄を奏でる妖精よ、毒夢退散の加護を与えよ!(毒状態耐性)」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「なるほど、私の武器の一つを封じたか。 うーむ、これはなかなかスリリングだねえ。 しかし、まだ手はある。 なっ、パイン君?」

色欲 パイン・ダイバート 「ええ、そうね。 ここはコンビネーション作戦でいきましょうか。」

レオナルド・グランターン 「奴ら、まだ何か企んでるな…。 用心しろ。」

カット:パインが黒いボールを出し、加那江たちを中心とした円の面内に投げ捨て、数秒後に爆発して、地面を抉った。

もちろん、加那江たちは警戒して、避けた。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「うーん、なかなかいい配置だ。 さっ、私の宝である薔薇を栽培するかね。」

カット:ジョーが鼻歌でベートーヴェンの第9番を奏でながら、カラフルな色の宝石で飾り付けられたハットを手に取り、中から赤い宝石をいくつか取り出した。 そして、一つ一つキスしてから、パインのクレーターに投げ捨てた。 すると、宝石が赤く光を発し地面に沈んだ。 突然、幾つものの直径数メートルほどの芽が勢いよく芽吹いた。 そして、あっという間に天に向かって伸び、クネクネした茎のところどころに棘、そして、頂点に直径10メートルを超える絶美の紅い薔薇が満月の光を浴びて、妖しく輝く。

シャルル •ヴァンタール 「!? なんだあ! あの宝石はとてつもない魔力が込められているっ!」

凪空加那江 「美しいけど、同時に、得体の知れない怖さを感じる…。 まるで、この世が滅ぶかのような風景だわ!」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「言ってなかったかね? 宝石は私のもう一つの武器であり、真の芸術でもある。 (碧い宝石を一つ取り出して、見せる)これを見てごらん。 美しいだろう? 宝石が常世の涙とも言われるわけだねえ。(宝石を満月に重ねて、うっとりしている。)

諸君が驚いてくれて、私は冥利に尽きるよ。 さあ、君たちをこの美しき世界の一欠片にしてしまおうか。」

カット:パインが化け薔薇の花の根本を銃を撃って、薔薇が華麗に儚く散る。 同時に散る薔薇の花びらに亀裂が走り、さらに細かく飛び散る

レオナルド・グランターン 「無駄なことと知ってか! オキョーセ・ベゲス!」

カット:レオナルドが薔薇の宝石に向かって放った蛇の火頭が宝石を飲み込んだ時、次々と蛇頭の火のゆらめきが止まり、紅い宝石となった。 そして、地上に落ちて、砕け散った。

レオナルド・グランターン 「何だと! 俺の炎は何物も燃やし尽くすはずだ。」

シャルル •ヴァンタール 「逆にこの宝石が触れたもの全て宝石にするということは考えられないか?

だとしたら、避けるんだ!」

色欲 パイン・ダイバート 「無駄よ。 貴方たちにはジョーの芸術を彩ってもらうわ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「さあ、ワクワクするねえ。 今世紀最高の芸術を完成させようじゃないか?」

パイン&ジョー 「ラプリ・デ・ラメロス!(ジョーが宝石を蒔いて、天に届くほどの大きさを誇る薔薇の樹がぐんぐん伸びて、宝石の薔薇を咲かす。 そして、パインがバラを銃で撃ち落とし、雨に打たれたものは宝石に囚われる身になる。 パインとジョーの合体技「紅い涙の牢獄」をフランス語に翻訳すると "La prison des larmes rouges" )」

カット:パインがそう言うと次々と周りの薔薇を撃ち落として、宝石の雨を降らす。

絶望を感じるほどの数多の宝石が降りかかる。

シャルル •ヴァンタール 「まずい…。 何か手を考えなければ! 宝石か…。」

レオナルド・グランターン 「なんの! 本体を攻撃すればいい! (火矢をいくつも放つが、全て宝石の雨に阻まれる)

ダメか? 加那江。せめて、前に降ってくる宝石の雨を減らせないか?」

凪空加那江 「やってみる。 サイクロンクロウ!(高速回転で旋風を巻き起こす弾を発して、飛んでくるものを巻き込み、そばを回させる。 敵の遠隔攻撃を逸らす防衛術 うまく使えば、敵の弾すら反撃の武器にできる)」

カット:加那江が弾で、宝石を外に飛ばすが、飛ばしても飛ばしても宝石のゲリラ豪雨は止まない

凪空加那江 「キリがないわ。 みんな、薔薇の森の外まで走るわよ!(3人は外に走り始める)」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「おっと。 困るねえ。 モデルが動くといい絵が描けないぞ?

(そう言って、自分の手から薔薇の茎を出して、薔薇の森の周りを囲う壁を作った。隙間は辛うじて外を見れるほどしかなく、しかも、茎の表面に宝石が満遍なく塗りつけられている。)」

レオナルド・グランターン 「くそっ! 宝石があるんじゃあ、焼けんぞ!」

シャルル •ヴァンタール 「魔力すごい使うから、発動させなくなかったが、命には変えられねえな。

時の神クロノスよ 今一度戦地で孤立している仲間へ我らを導かんとせよ!」

カット:シャルルが魔法を発動させたが、ワープできなかった。

どうやら、パインが何かしたようだ。 彼女の左目の瞳が紫色に妖しく輝いている

色欲 パイン・ダイバート 「無駄よ。 この蛇殺しの目(ラーデュタン・セーベンズ "L'œil du tueur de serpents" )は魔法を無効にするの。

フフフ。 無駄な足掻きは最期を醜くするだけよ?」

カット:魔法が不発に終わり、絶望のラビリンスに閉じ込められた3人に最期の時がやってきた…。

加那江の両手と銃、シャルルの尻尾、レオナルドの左足に宝石が当たり、たちまち、身体中を宝石にせんと侵攻してくるではないか!

みんな 「やばい! ちくしょうっ! 」

カット:3人が前頭未踏の危険を迎えた頃、ジェシカは岳斗相手に奮闘しているが、毒で体力が奪われ、分が悪い。

今、鍔迫り合いをしているが、押されている。

ジェシカ・スカイウォーカー 「うぐぐぐ…。 毒でかなり疲労してるが、倒れてはいられん…!」

澤宮岳斗 「どこまでも足掻くか…。 見ていられん! 楽にしてやる!」

カット:岳斗がジェシカを剣で押し飛ばし、ジェシカの左肩から右脇腹まで斬り落とした。

ジェシカは薙刀を前に構えて、防御したが、薙刀ごと斬られ、後ろに倒れた。

レオナルド・グランターン 「ジェシカァーーーーーーッ!」

澤宮岳斗 「ジェシカよ、奴らはもう永くないだろう。 愛する仲間が宝石に命を狩られる様を見ながらゆっくり死んでいくがいい。」

カット:岳斗がパインのところに歩き寄る。 レオナルドが怒り、一心不乱に矢をぶっ放す

澤宮岳斗 「無駄無駄無駄ァ! 全て無駄なのだよ! なっ、パイン。」

色欲 パイン・ダイバート 「ええ、貴方の言うとおりね。 貴方の愛する人たちが」

澤宮岳斗 「フッ、愛する人? そりゃ、パインのことだろう?」

色欲 パイン・ダイバート 「あらあら、そうだったわね。 私としたことがうっかりしてたわ。

今の貴方は私にひ・と・め・ぼ・れ❤️。」

澤宮岳斗 「レディーファーストだ。 ハニー、君が前から見るがいい。」

色欲 パイン・ダイバート 「まあ、何て優しいの。 ダーリン。」

カット:岳斗が後ろからパインの腹に抱きつく。 パインは両腕を横に伸ばす。 まるで、タイタニックのワンシーンだ。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「何と美しき愛だ…。

星の鼓動を揺らめく海とその上を彷徨う船どころか、彼らを照らす夕日まで脳裏に浮かぶっ! 涙を流さずにはいられないよ。」

カット:岳斗が左手をパインの左肩に置き、薔薇の茎で包まれた壁を指さした。

凪空加那江 「岳斗っ! 目覚ましてぇーーっ!」

澤宮岳斗 「今は騒いでいるが、いずれ静かになる。 耳を傾けてごらん。」

色欲 パイン・ダイバート 「んー。 なんて、ゾクゾクするの。 どこまでも醜いわね。生き物というのは。 (聞き惚れてる)」

カット:全ての時が止まったかのような刹那の一瞬、岳斗が音もなく剣を取り出し、パインを後ろから思い切り斬りつけた。

そして、シャルルを真正面から見た。 渦巻き模様が消えた目で。 シャルルも岳斗をみて、一瞬で全てを理解した。

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「なっ! どういうことだね!?」

シャルル •ヴァンタール 「人を惑わす魔の石よ、真理の鎖を破り、流れゆけ!(固体を強制的に液体にする)

そして! 雷神トールよ、流れる命の波紋をその雷で疾り抜けッ!(雷が流体を伝わり、疾る)」

カット:尻尾と下半身を宝石に覆われたシャルルが魔法の雷を壁の茎を伝わせながら、ジョーに神罰を下した。 一瞬の悲鳴と共に2人は倒れた。 茎の壁、化け薔薇や3人に付いた宝石はすっかり消え失せた。

澤宮岳斗 「大丈夫か!? ジェシカ。

一応手加減はしたのだが…。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「大丈夫。 これくらい、戦士ならば覚悟すべき傷だ。」

シャルル •ヴァンタール 「今、治してやる。

神となる宇宙よ。 灯火が消えかける星の子に生の慈悲を与えよ!(回復魔法。 戦闘不能や体力を回復させる)」

ジェシカ・スカイウォーカー 「おお。 だいぶ痛みは飛んだぞ。」

凪空加那江 「よかったあ。 一時どうなることかと思った〜。」

レオナルド・グランターン 「強かった…。 全滅してもおかしくなかったな。」

カット:パイン、仰向けに倒れた状態から、左腕で上半身を起こした。

色欲 パイン・ダイバート 「なぜなの…? 何故効かなかった!?

貴方の目は確かに渦巻きが刻まれていたわ!!」

澤宮岳斗 「…俺を舐めるなよっ! 操られていたのは心の表面だけだ。 そして、貴様らが油断した時、正気を保っている心の奥で催眠術を破った。」

凪空加那江 「えっ! それって、操られてる心と正気を保つ心が同時に存在してるってこと?

そんなのあり得るのかしら?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「似たような話を聞いたことがある。 500年前ほど、あちこちの星が二つに別れて、銀河を巻き込んだ大戦が起きたことがあった。 その時、科学技術が発達していたとある星のスパイが不幸にも敵星に捕えられ、拷問を受けていた時、彼には感電式嘘発見器が脳内に仕組まれていた。 しかし、奇妙なことに彼が喋る時に嘘発見器が反応しなかったが、その情報を基に彼の国に攻め込んだ敵星が軍隊に奇襲をかけられ、その日に敵星が植民地化した。」

凪空加那江 「えっ? 一体どう言うことなの?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「続きを聞いてくれ。 後日、スパイ教育の参考のために彼に心理スキャンをしたところ、驚くことに彼は自分自身に嘘をつき、それを完全に信じ込ませるだけでなく、心の奥に本心を持ち続けられる能力を持つことが判明したようだ。 そこから、彼が隠匿的二重人格であることが医師によって分かった。」

凪空加那江 「隠匿的二重人格? 岳斗もそうなのかな?」

シャルル •ヴァンタール 「それか、単純に剣道で培った精神力かもな…。」

澤宮岳斗 「ところで、シャルル。

そんな魔法覚えてたんだったら最初から使えばよかったじゃんよ。」

シャルル •ヴァンタール 「ジョーが茎を切っちゃうだろ。 

何とかなったんだから、もーいいじゃん。 それにお前なら何とかできると信じてたぜ。」

傲慢 ジョー・ワグセルフ 「相棒を信じて、私の一瞬の隙を待ってた…のか…

なんて美しい兄弟愛だ。 流石に勝てなかった…。(そう言い残して消滅する)」

色欲 パイン・ダイバート 「…人間なんて脆いものだと思ってたけど、貴方たちは強かったわ…。

なかなか…楽しめたわ…ね…。(こちらも消滅する)」

澤宮岳斗 「ついに終わった…」

凪空加那江 「疲れた… 帰って休みたいわ。」

シャルル •ヴァンタール 「賛成だあ…」

ジェシカ・スカイウォーカー 「とりあえず、裏のゲートから帰るぞ。

皆のもの、疲れただろうが、もう一踏ん張りだ。 帰るまでが戦いだ。」

レオナルド・グランターン 「シャルル、抱くか?」

シャルル •ヴァンタール 「ああ、頼む。」

シーン:5人は満身創痍で表の世界に帰り、村に辿り着いた。

カット:村長の家から兵士や村人が一斉に出てきて、帰還に大歓声を上げている。

村人 「ジェシカ様! よくご無事で! さあさあ、おやすみになってください。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「ありがとうございます。さっ、皆さん今日はここで休みましょうか。」

凪空加那江 「そうね。」

アビリア 「ジェシカ様! 獣はやっつけたのですね…

…ん? !! レオナルド様!?」

レオナルド・グランターン 「アビリア! ずっと心配かけてすまなかった。(アビリアを抱きしめる)」

アビリア 「いいえ、謝らないでください。 私は貴方が帰ってきただけでも感服でごさいます。」

カット:そう言って、レオナルドの胸の中で泣くアビリアだった。

兵士たちや村人たちもおいおい泣いている。

シーン:翌朝、村で朝飯を食べて、村人に別れを告げ、兵士たちと共に王国へ歩いた。

数時間後、王国についた。 

カット:ジェシカが門番に開門の号令をして、門が開いた。 

クリスティーヌとマムルが王国正面の玄関で待っていた。

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「お母様! お帰りなさい!」

ジェシカ・スカイウォーカー 「クリス。 ただいま帰りました。 元気にしてた?」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「はいっ! ん? あの赤い鳥のお兄さんって…。 んー?

…!! もしかして、貴方は私のお父様…?」

レオナルド・グランターン 「そうだよ。 クリス、見ないうちに大きくなったなあ。(クリスを抱き上げ、高い高いしてる)」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「お父様にはこれからも私が大きくなるところを見てもらいますよ❤️。 ねー。」

マムル 「王様…! ウウッ…。(泣く)

私は夢でも見ているのでしょうか?」

レオナルド・グランターン 「嬉しいことに夢じゃない。」

シーン:昼 太陽が高く上がっていて、活気がある城下町

カット:岳斗、シャルル、加那江の3人は王国領の城下町を散策していた。

加那江の銃はオーダーメイドなので、製作に数時間かかる。 その間、暇を潰している。

凪空加那江 「ジェシカ、どうしてるかな?」

シャルル •ヴァンタール 「親子3人水入らずで楽しんでるんだろうなあ。」

澤宮岳斗 「ほんと、よかったぜ。 ああ、平和だなあ。

ふあーあ。 眠いぜ。」

カット:高台に登ると見晴らしが良く、王国全体が見渡せる。

特に王領の20パーセントほどの面積を占める湖が人推しだ。

凪空加那江 「わあ…。 綺麗ね。」

澤宮岳斗 「そうだな。 たくさんの人がボードでゆったり漕いでる。

ところで、また3人で旅することになるな。」

シャルル •ヴァンタール 「ああ…。 2人がいくら強いとはいえ、クリスティーヌを泣かせてまで連れて行けねーな。

それに感動の再会に他人が水を差すもんじゃねえ。」

澤宮岳斗 「修行して、もっと強くならなきゃな。

結社は後4人、そしてボスがいる。 あとは獣が3体。」

凪空加那江 「もちろんそうね。

でも、今日は思い切り遊びましょ!」

シャルル •ヴァンタール 「ああ! うまいスイーツあるかなぁ〜。」

澤宮岳斗 「へへへ。 お子ちゃまな舌だなぁ」

シャルル •ヴァンタール 「うっせーよ。 甘党と言えよ。 スイーツラブリ〜ンっ! (手を広げて、ジャンプ)」

カット:夕方、観光を楽しんだ3人が王国に戻り、豪華な一室でジェシカ一家と共に夕飯を食べている。

長机の端から端まで隙間がないほど、多様な豪華料理が並んでいる。

ジェシカ・スカイウォーカー 「レオナルド帰還のお祝いでシェフが張り切ったみたいですね。 どうぞ召し上がってください。」

澤宮岳斗 「そんじゃあ、遠慮なく。

(パクパク)この赤ワニの肉、肉汁までうまいっ!

こんなジューシーなワニがいたなんてな。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「見かけによらず、草食ですの。 だから、意外と美容にいいのですわ。」

凪空加那江 「へえー! 私も食ってみようっと。」

シャルル •ヴァンタール 「おお 亀の甲羅から卵が溢れ出てるな。 どれ、一つ… んー 餡子のような、カスタードクリームのような?

苦い緑茶を飲むのに良い甘さだ。」

レオナルド・グランターン 「やはり、家族と一緒に食べるご飯はどんなうまい料理にも変え難いな。」

カット:フルコースを堪能して、ほんのり酸っぱいレモン紅茶を飲みながら、互いの思い出話に花を咲かせる皆。

ひと段落したところで、レオナルドが話を切り出す。

レオナルド・グランターン 「ところで、岳斗。 お願いがあるのだが…。」

澤宮岳斗 「何だ? 急に改まって。」

レオナルド・グランターン 「(少しの間ジェシカとクリスを見てからまた、岳斗の方を見て言った)

其方たちの獣討伐の旅に俺とジェシカも加えてくれないか?」

澤宮岳斗 「…ッ!? 今、なんて…?」

凪空加那江 「もちろん、貴方たちがいてくれると心強いのだけど、クリスは?

彼女、レオナルドが帰ってきたばかりなのに、またどっかに行くのはあまりにも寂しすぎるわ。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「そのことですが…、私たち3人で話し合った時、私の方から討伐旅に行って良いよと言いました。」

シャルル •ヴァンタール 「クリスティーヌ、それは本心か?」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「んー…。 正直に言うと、やはり寂しいです。 お父様とお母様にはずっといてもらいたいのが私の本音です。 でも、10年前、お父様は私とお母様や王国の人々を守るために兵士さんと一緒に戦って、そして…。

その時の傷跡は物理的にはお母様の尽力で10年前と変わらないほどまで、元通りになりましたが、亡くなった人と大切な人を失った人の心の傷は元通りにはならないんです…。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「クリス…。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「なら、せめて私たちのような人が少しでも減って欲しい。 それも私の本音ですから…。

だから、私は世界平和を祈って、お父様とお母様をお見送りすることに決めたのですわ。」

澤宮岳斗 「そうか。 クリス、そこまで考えていたのか…。」

凪空加那江 「子供扱いしてごめんね。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「いいえ、良いのです。」

シャルル •ヴァンタール 「ジェシカ、レオナルド。 おそらく、長旅になる。

それを覚悟した上でか?」

ジェシカ・スカイウォーカー 「はい。 ジェシカ・スカイウォーカー一個人としても、世界の人々が不幸になるのは見過ごせません。」

レオナルド・グランターン 「もちろんだ。 それに俺は四獣の一体でもあるから、尚更獣の世界への被害を止める責任はある。」

シャルル •ヴァンタール 「(2人の覚悟が伝わってきたな。)わかった。 これからもよろしくお願いします。」

レオナルド・グランターン 「こちらこそ宜しく頼む。」

シーン:翌朝、5人は獣討伐のために王国を旅立つ

王城の正門前で、王国の兵士、メイド、シェフや、クリスやマムル、アビリアなどの顔見知りのメンバーが見送りしてる

カット:ジェシカとレオナルドは旅用の服装に着替えた。

マムル 「ジェシカ様、レオナルド様。 どうかお気をつけて。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「わかってますよ。マムルさん

バットフ、私がいない間、王国を宜しく頼みます。」

バットフ 「もちろんです、女王様。

私の腕で王国を支えてご覧にいれますぞ。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「頼もしい言葉を聞けて安心しました。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「シャルル様、帰ってきたら、撫でていい?

あの感触は忘れられません。」

シャルル •ヴァンタール 「…まあ、やりすぎないならいいぜ。」

レオナルド・グランターン 「行って参るぞ。 クリス。」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「はい。 ところで、私のわがままを聞いてください。」

レオナルド・グランターン 「何だ?」

クリスティーヌ・スカイウォーカー 「お父様、お母様を含めて皆様が必ず生きて帰ると。」

レオナルド・グランターン 「そのわがまま承った。 必ず生きて帰るぞ。

アビリア、クリスの世話宜しく頼むぞ。」

アビリア 「もちろんです。 王様。」

ジェシカ・スカイウォーカー 「それでは、皆様、行ってきます!」

シーン:中世風の薄暗い部屋 シャンデリアが薄暗く揺れている 真ん中に存在感が大きく感じる猫の足であるテーブルが置かれていて、周りには白いソファがテーブルを囲むように置かれている

旅立つ一行を丸い円に写して、見る男1人…

カット:その男はお面、マント、服など、全身を黒ずくめで隠して、ドアから最も遠い白いソファに深く座っている

ゼロ・ラグナイド 「行ったか…

それにしても驚いたな。 まさか俺の自慢の部下を一気に3人とも葬り去るとは…」

カット:男は少しの間思案したが、ゆっくり立ち上がった。

ゼロ・ラグナイド 「あいつら、ほんと面白いな。 なぁ、アニー。(右後ろを向いて、部屋の隅っこを見る)」

暴食 アニー・ゴーウィン 「パクパクゴクゴク、ゴックン。(あぐらをかきながら食事していて、袖なしの白いドレスのスカート部分に血がこびりついている。桃色の髪にこめかみの後ろあたりにおさげを束ねてる髪型。 身長が2メートルを軽く超える。 全身に膨大な量の脂肪を蓄えていて、それが彼女をさらに大きく見せている。 羊の頭をしたウサギの脳みそを飲み込んでる)

…ン。 ウマイカ、ソイツラハ。(基本的に片言で喋る)」

ゼロ・ラグナイド 「そりゃ、うまいだろうよ。 パイン、マドレーヌ、ジョーを下したからな。」

暴食 アニー・ゴーウィン 「ソウカ。 ナラ、クウ…。(立ち上がって、にいいいっと歯を見せて微笑みながら、羊兎の血が混ざったよだれを垂らしてる)」

ゼロ・ラグナイド 「よし。 ヴィン! ジン! ウィルソン!

俺んとこ来い。 作戦会議だ。」

カット:数分後、ゼロに呼ばれた3人が集まってきて、ソファに座った

憤怒 ヴィンオラフ・シャーガ 「ボス、何か御用でしょうか?(ニコニコしてるオールバックの英国紳士風爺様 鬼の模様が描かれている白いマントを羽織り、葵の紋を胸につけた緑色の着物を着ていた。)」

強欲 ジン・ハディック 「何の話なんだ? 俺にボスの座を明け渡すっていう話だったら大歓迎だがな。(古代ローマの人が着る上半身の右の方を裸にして、一枚の白い布を巻いたような服。 基本的にはアヌビスの体で、彼の足と同じくらいの太さで長さ1.5メートルほどの白蛇がそのままくっついてるような尻尾が暇そうにこっくりこっくり眠ってる。 3頭のろくろっ首のクロコダイルが彼の手首と肘の間のとこで切断したらしき断面からうねうね動いている)」

怠慢 ウィルソン・ハベリック 「んあー〜。 ねみーよお

何だよ、せっかく気持ちよく寝てたのに。(ボサボサ頭、無性髭のおっちゃん。 無気力で目や眉毛がダラーんとしてる。 服装は青いジーパン、I'm hungryと大文字で描かれている下にいろんな食べ物が雨のように降ってくるのを眺める金髪少年のイラストが描かれていた灰色の部屋着みたいなシャツ、その上から膝まで届くほど長い黄土色の上着を羽織って、ポケットに手を入れてる。)」

ゼロ・ラグナイド 「おめえら、耳貸せ。(手招きする)

アニーもこっち来い。」

カット:部下4人が集まった。 ゼロは地図を広げ、今後の作戦を話し始める。

ゼロ・ラグナイド 「よし、それじゃ、まずジンとウィルはハワード星のマバラーニャ島にある第12実験棟に行ってこい。 そこは死者に関する実験データがゴロゴロ転がってるからな。

ヴィン爺さんはそのデータを基に裏の世界の獣を探してくれ。 奴らより先回りしなければ。」

憤怒 ヴィンオラフ・シャーガ 「分かりました。 ボスはどうするのですか?」

ゼロ・ラグナイド 「俺か? アニーを連れて、岳斗んとこに行ってくるつもりだぜ。」

怠慢 ウィルソン・ハベリック 「あっそぉー まあ、めんどくさくなければ、何だっていいんだけどな。」

強欲 ジン・ハディック 「それはいい考えだ。 ついでにやられてきたらどうだ?」

ゼロ・ラグナイド 「まさかぁー。 あっはっはっ。 100%実現しない冗談は言うもんじゃないぜ。」

強欲 ジン・ハディック 「ええ。 だから、言ってるんですぜ。」

ゼロ・ラグナイド 「よし、作戦会議はおしまいだ。 いくぞ、アニー。」

暴食 アニー・ゴーウィン 「オウ。 オラ、クウ…。 ハラ、ヘッタ…。」

カット:作戦会議が終わり、それぞれ立ち上がり、部屋から出る5人

ドアが閉まる音が聞こえたあとは孤独と静寂の余韻があてもなく漂うのみだった…

シーン:第二章 完 


第三章に続く

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