【掌編】変態な幼馴染と運命【1000文字以内】

音雪香林

第1話 変態な幼馴染と運命。

 僕の幼馴染の女の子は変態だ。

 何故なら今も。


「やっぱり男子の制服は学生服が至高よね! ああ~、校則通りに着崩さないで着てくれて嬉しい! わかってるわね! 首元まできっちり隠されてるその下の肌を想像するとたまらないわ! ぐへへへ」


 僕の学生服姿をゆるゆるの表情で眺めてそんな言葉を吐いているのだ。

 おい、よだれ出そうになってるぞ。

 口元を引き締めろ。


「どこの世界にリアルで『ぐへへへ』なんていう女子高生がいるんだよ……」


 僕がため息交じりにこぼすと。


「ここにいるじゃない! それにまだ入学式前だから女子高生『予定』よ!」


 変態のくせにまともなツッコミをするな。


「君のために制服が学生服の高校を選んだわけじゃないから」

「なら、私と一緒に通学したかったから?」


 にんまりと唇を笑ませる彼女に、僕はまたため息をつきたくなった。

 そう、小中だけでなく高校まで一緒になってしまったのだ。


 学力のレベルが同じだったための悲劇だ。

 内心で嘆いている僕を知らず、彼女が。


「それよりほらほら、私もセーラー服を着てきてあげたんだから、感想を言いなさいよ」


 彼女は両手指でちょこんとスカートをつまんで広げ、くるりと回る。

 ポニーテールがぴょこんと可愛らしく弾んだ。

 悔しいことに……。


「……可愛いよ」


 その感想は事実だった。


 まだ短く改造していない膝小僧を隠す丈の長さのスカートはおしとやかそうだし、そこから伸びる細い足も印象的だ。


 首回りがちょっと無防備で、首筋の華奢さが強調されている。


 さらに制服の色が紺色なことから肌の白さも際立ち……正直僕も彼女のことを変態と責められないくらい性癖に刺さっている。


 彼女と違うのは実際に言葉として口に出すか心の内に秘めているかだけだ。

 彼女はそんな俺に向かって唇を尖らせすねたような表情をする。


「可愛いって、それだけ? 見てて萌え萌えするとかはないの?」

「そんなん言えるか!」


 彼女はきょとんとしたあと、ニヤァっと口角を上げ。


「言えないだけで思ってることはあるんだね? 白状しなよ~。ほらほら~」


 細い指先で僕の頬をつんつん突いてくる。

 あああ、もう!


 今までもそうだったけどこれからも、僕は彼女に振り回される運命らしい。




おわり

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【掌編】変態な幼馴染と運命【1000文字以内】 音雪香林 @yukinokaori

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